美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
「白峰?」
「ん?」
「祈ってくれたんだろ?ありがとう。」
「ああ。」
「白峰の行ってる教会へ行きたくなった。」
「そうか。大歓迎だぞ。牧師先生には、彼がにわとり兄弟です、って紹介するつもりだ。」
「どこまで話がいってるんだよ。」
「それはともかく、市立図書館に行くけど付き合わないか?」
「縛りプレイうんぬんはどうなんだ。」
「そういえば、七村君は夏休みの思い出はあるのか?」
こいつスルーしてきやがった。
「家族旅行くらいかな」
「今年はもう少し忙しくなるぞ。わたしが君を連れまわす。七村係なんだろ」
白峰は、いたずらっぽい笑みをうかべて俺の顔をのぞきこむようにする。さわやかな香水だろうか、シャンプーだろうかが香ってくる。
「白峰、俺誤解しちゃうだろ。」
「ああ、どうせ君の彼女になるなら、君がクラスに溶け込んでから皆に祝福されてなりたいものだな。それまでは七村係ってことかな。そんな係になったつもりはないけどね。」
白峰は楽しそうに髪をなびかせ、笑みを浮かべて斜めに振り向く。半ば踊るように歩く。
前の高校生活は、完全ぼっちだったが、白峰を助けてタイムリープしたこれからは、俺が感じたことのない未知の高校生活になるんだろう。
「さて楽しい夏休みの計画だ。どこの史跡とジオパークへ行こうか相談だ。
白峰がほほえんで手を差し出してくる。おれはその手を握り、自転車をついて図書館へ向かった。
俺たちは、適当な席に座る。白峰は、るるぶの北陸関係を富山、福井、新潟、金沢とかあさっている。
「う~ん、糸魚川は、北陸新幹線のおかげで日帰りでいけないこともないな。」
「フォッサマグナというか
「そのとおりだ。」
「図書館来たのに、スマホいじってばっかだな。」
「るるぶは参考にはなるけど、結局時刻表で計画立てるからな。糸魚川からフォッサマグナミュージアムまでのバスは休日のほうが多いな。」
「せわしないけど、糸魚川発9時半発のバスに乗るには、大宮発6時40分~50分ごろの新幹線に乗らなければいけないな。七村君、おきられるか?」
「フォッサマグナミュージアムにつくのが9時39分、長者ヶ原考古館までバスで1分だから歩いてもたいしたことはない。
12時6分発考古館前で、12時14分糸魚川着。お昼食べて13時23分発南
「バスを一本遅らせると糸魚川で、2時間近く待って午後3時ごろで、午後5時ごろ糸魚川に帰ることになるのか。」
「かなり待ち時間が多いよな。」
「フォッサマグナパークは、タクシー使いたいけど高校生の貧乏旅行なら大糸線だな。七村君、根知駅は、君の大好きな無人駅だぞ」
「何で知ってるんだ?」
「ストリートビューで見た。結構有名どころの遺跡公園とかストリートビューで見れるぞ。ん、どうしたんだ?」
「白峰」
「ん?」
「うちの家族旅行で行ってもいいぞ。」
「そこまで頼むのは...。」
「いや、家族旅行のネタ、ちょっと変わったもののほうが新鮮だしな。それにフォッサマグナミュージアムは、ヒスイや宝石の展示もあるんだろ」
「フォッサマグナがどうしたって?」
「桜井さん」
(どうする?)
白峰に視線をおくる。
「桜井さんは行ったことあるのか?」
「糸魚川はないからいつか行ってみたいと思っている。」
「地学部にとっては聖地のひとつだからな。」
「今年の合宿で行こうかと思っている。」
「いついくんだ?」
「8月7日」
(白峰、一週間ずらそう)
俺は白峰あてにLEINを打つ。
(いや長者ヶ原考古館まで歩いて、お昼のバスで帰るなら平日でも同じだ。家族旅行なら一泊するのもありだな。福井まで行って一乘谷見に行くか?)
「なにしてるの?」
「ああ、こっちの話だ。せっかく北陸行くなら糸魚川だけじゃもったいないっていう話だ。」
「どこかいい露頭があるのか?」
「いや一乘谷朝倉氏遺跡を見ようかなと。」
「復元街並みがなかなかいい感じだからな。」
「そうか。それじゃ。」
桜井は、あっさり自分のいた席にもどっていく。
「ほんとに地質学しか関心がないんだな。」
「じゃあ、七村家の家族旅行のお相伴にあづかることにするよ。」
「ああ、白峰なら、うちの家族も大歓迎だと思うが...?」
「どうしたんだ?」
「いや彼女なのかと聞かれるかなと。」
「わたしはかまわないぞ。ただクラス委員長でお世話してあげてると先手を打って話すから安心しろ。」
「お世話してあげてる...」
「君が七村係だと自分で言ったんじゃないか」
「まあ、いいや2日目は一乘谷へ行こう。」
「じゃあ、家族会議するか。白峰も来て説明してくれ。」
「ああ、わかった。」
白峰は七村家に来ることになった。
七村家では大歓迎だった。いちおう白峰はクラス委員長だと説明はしたのだが...
「白峰さんですか?夕食召し上がってください」
「おきになさらず、でもありがとうございます。」
「いえいえこちらこそ穂高がお世話になっていますからこれくらいは。」
「すみません、お手洗いよろしいですか?」
「どうぞ、どうぞ」
「もしかして彼女なの?」
白峰が外すと母親がにやついてきいてくる。
「さっき、クラス委員長だと言ったはずだが?」
「だからと言って、お兄ちゃん、家族会議に加わってもらうとか」
「白峰がなるべく安く旅行できたほうがいいだろ。それにフォッサマグナミュージアムおもしろそうと思わないか?」
「うん、おもしろそう。宝石とかあるし。西日本と東日本の境とか興味ある。お兄ちゃん春が近いね」
「いま夏だけどな」
白峰が戻ってきた。
「お待たせしました。」
「フォッサマグナパークはタクシーで行きましょう。白峰さんには人数割りで払ってもらいますから。そのほうが楽でしょう。」
「ええ、ありがとうございます。」
「さすがに電車2時間待ちはつらいなと話してたとこなんだ。」
「えっと二日目だけど
「一両電車だな。七村くん、そういうの好きだろう。」
「白峰」
「なんだ?」
「オタクに偏見持ってないか?」
「う~ん、そういうつもりじゃないのだが、鉄道には興味ないのか?」
「全くないというわけではないが、撮ったり、乗ったりとかあんまりこだわらないな。」
「わかった。偏見をもっていたのかもしれない。申し訳ない。」
「博物館をみたらレンタサイクルであちこち見て回ろう。」
「ただ山の方にある諏訪館跡庭園
や南陽寺庭園は、自転車から降りて登らないといけないみたいだからな。」
「白峰さん、福井のホテルは、こちらでツイン予約しますね。わたしたちと折半しましょう。」
「ありがとうございます。七村さん。」
「そうだね。真白お義姉ちゃん、わたしと一緒に泊まろう。」
「おい、皐月、その「おねえちゃん」は、漢字でどう書くんだ?」
「さあ、知らない」
皐月は笑ってみせる。楽しい旅行になりそうだ。
糸静線=北アメリカプレートとユーラシアプレートの衝突部分であるフォッサマグナ(大地溝帯、中央地溝帯)の西側の糸魚川静岡構造線の略称。
九頭竜線=越美北線の愛称。単線で本数が少なく一両電車である。