美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
白峰真白side
(わたしは何を言っているんだ。現時点とか)
ベッドの上でわたわたしてしまった。
(気を取りなおそう。七村のぼっち脱却のはずなのにへんな方向へ行っている。わたしはクラス委員長だ。クラスメートがクラスにとけこめるようにするのも務めだ。)
自分に言い聞かせた。
七村穂高side
休み時間、俺は読書していた。すると斜め後ろに誰かいる気配がする。
陽キャグループ、金髪ツインテの星ヶ崎という女子だった。美人だがわずかにツリ目なので怖い。
俺女子にカツアゲされちゃうのかと思った時、星ヶ崎は「きもちわる」って小声でつぶやいた。
星ヶ崎は、仲間の陽キャグループの女子たちのところへ小走りになると別のグループの女子にぶつかりそうになる。
「あっ、ごめん」
「うん、大丈夫」
ぶつかりそうになった相手の女子はそう応える。
「ごめんね~」
と笑顔で返している。
「ちょっと、るーりー、なにやってるの?」
「ん~、なんでもない。」
「それよりさ、これ見てみて、かわいいでしょ」
なにやらペットか動物の動画を見せ合っているらしい。
チツ...
舌打ちが聞こえてきた。
はじめ自分かと思ったが、その舌打ちの主、坂戸という女子は、星ヶ崎のほうをにらみつけていた。陽キャのグループも一枚岩ではなくいろいろあるらしい。
まあ、俺じゃなきゃいい、と思いラノベのページに目を落とした。
次の週末だった。
俺は、地下鉄で30分ほどの書店街へ行った。新刊から希少本までそろう便利な書店街だ。
意外な掘り出し物もあるから書店街めぐりはやめられない。ネットでは味わえない楽しみだ。
しかしラノベのコーナーでとんでもない人物と出くわした。
カーキ色の深めのベレーというか野球帽というかに似た帽子-あとでどうやらキャスケットというらしいと知った-を深めに被っているが、金髪ツインテだ。オープンショルダーのニットからは肩がのぞいている。ハイウェストのスカートをはいて、ハイヒールを履いている。
『冴えない女子のプロデュ―ス法』とかいうラノベに出てくる谷村スペンス英美梨のようだ。
黒髪ロングのヒロイン霜ヶ岡詩子との掛け合いを思い出つつ、俺は、リアルの「谷村スペンス英美梨」っぽい人物を遠巻きにみていた。目の前の「英美梨」の手元をみるとラブコメ系のラノベや漫画をがっつりかかえて、俺の一番お目当ての棚の前に陣取っている。どう考えてもガチ勢でしかもめちゃくちゃ趣味があいそうだと感じる。
しかしあの容姿は陽キャそのもの、どうやっても気後れして話しかける気になれない。
あきらめて別の棚を見に行くかと思いかけた時だった。
そう思った時、「英美梨」がこちらを向いてきた。
俺はまるで追い詰められたような気持になった。
「ちょっと、あんたこっち来いよ」
女の子なのにドスの聞いた低い声だ。
俺はカツアゲされるんだろうか?
ピアスした金髪細面のおっかないにーちゃんか、リーゼントに黒い吊り上がったメガネのようなにーちゃんが出てくるパターンかよと強烈で重々しい恐怖で胸がいっぱいになる。
「金出せよ、てめえ、俺の彼女を不愉快にした慰謝料だ、慰謝料」
とか言われるのだろうか?無言の圧力を感じ「英美梨」に連行されていく。
まともに顔を挙げられない。
「なにか言いたいことあるんじゃないの?」
「すみません、人違いじゃないですかね?」
しどろもどろになりながら弁解する。
チツ...と舌打ちが聞こえる。
「七村でしょ。わたしのことじっと見てたじゃん」
「いやあその、見てたというか、視界に入ったというか、いや勘弁してください。そんなにお金持ってないんで...せめて帰りの電車代くらいはご容赦を...ってあれ、なんで俺の名前知ってるんだ?「谷村英美梨」のそっくりさん?」
「?「谷村英美梨」、『冴えジョ』の?」
「あ、知ってました?」
気持がぐだぐだ、パニック状態でありながらも、深くかぶったキャスケットの顔になにか既視感を感じる。
「?もしかして星ヶ崎?」
「それはこっちのセリフよ。気が付いてなかったの?」
「いやだから、「谷村英美梨」によく似てるなと...」
「気づいてなかったんだ。じゃあ呼び止めるんじゃなかったな。」
「いやまてまて、なんでお前がここにいるんだよ。」
すると星ヶ崎は再び舌打ちした。
「来ちゃ悪い?七村だって来てるじゃん。」
「いや俺はさ、お前も知っての通りそういう人種じゃん、てかお前もそういうの好きなの?」
星ヶ崎が持っている学園ラブコメ系ラノベとまんがを指差して尋ねる。
星ヶ崎の顔がじわじわ赤くなり、本を棚の空きスペースに置く。
「うっさいなあ、関係ないでしょ」
「前に俺が学校でそういうラノベ読んでたら、「きもちわる」って言わなかった?」
「あれはしょうがないじゃん。七村が読んでいるラノベが気になって立ち止まって、つい...。」
「しょうがなくないぞ。俺の気持も考えろよ。」
「じゃあわたしの気持も考えてくれたっていいよね?」
「なんだぞれ?あやまれよ」
「わたしのグループはああいう本読まないし、ああいう本は話題にしないの。それどころか笑われるかもしれない。だから七村わかってるよね?」
「なにが?」
「くっ...」
「いやいやそれは某黒髪ロングアイドル72のうめきだろ」
あれあの髪は藍色だったろうか...
そんな思考を星ヶ崎の声が遮った。