美人クラス委員長が俺の終わった高校生活を変えようとしてくる 作:Brahma
「何言ってるの!いい?絶対だれにも今日のことはなさないでよ?」
「そもそも俺がそんなこと話す相手いると思うか?」
冗談めかしてそのようにいうが、星ヶ崎の表情は苦々しいままだ。
「はあ...今日は厄日だ」
「なにが?それはこっちのセリフだ」
「え~何言ってんの?休日に金髪ツインテ美少女、あんたのいう「谷村英美梨」にラノベの棚で出くわして話しかけられるっていうスチュエーション、あんたの好きなラノベのハーレム主人公って言う展開じゃん。なんで喜ばないの?」
「むちゃくちゃ言うな。そのままなにも起こらなければ遠巻きに「谷村英美梨」が立ち去るやいなや、その棚を物色しようと思ってたんだ。その「英美梨」の正体が、実はお前だった時点で、先日クラスで暴言はいてきたギャルにからまれてる状況にそっくり置き換わっているんだよ。」
「とにかく、今日のことは誰にも言わないこと。じゃあね」
「おい、本忘れてるぞ」
「え...。」
「買わないなら俺がもどしとくけど?」
「いや買うからいい」
「そうか」
「学校で話しかけてこないでよ。マジでぶっとばすから。」
「へいへい」
星ヶ崎が買っていったラインナップを思い出す。あれは長期シリーズになるぞと話してやりたかったが、俺も話さないし、あいつも話しかけてこないだろう。
(あいつがラノベ好きだったとは驚いたな...まてよ?)
一年の時星ヶ崎とは同じクラスだったはずなのに、ほとんど記憶がない。どうしてなんだろうか...
「あのさ、1年の時星ヶ崎に何かあったのか?3年前の記憶にほとんど残っていないんだが」
数日後、ファミレスで白峰に話す。
「ああ、それは、事件があったんだ、というかこれから起こる事件だ。」
「なにがあったんだ。」
「星ヶ崎さんが不登校になり、それから一カ月後くらいに坂戸さんが不登校になったんだ。わたしは事情がわからず止められなかった。」
「白峰だから話すんだが...。」
先日書店街で起こったことを話す。
「そうなのか...星ヶ崎さんは君と同じラノベが好きということか。もしかしたら...。」
「どうかしたのか?」
「そのラノベのせいで、星ヶ崎さんのオタク趣味をひやかされて孤立して不登校の引き金になったのかもしれない。これはチャンスだぞ。わたしにとっても君にとっても」
「どういうことだ?」
「わたしは、委員長として事件を解決できるし、君はラノベ友達、うまくいけば彼女をゲットできるかもしれないぞ。」
「星ヶ崎か?かんべんしてくれ。その日ぶっ飛ばすって言われたんだぞ」
「もちろん星ヶ崎さんのラノベ趣味は内緒にする。わたしも気を付けるから、君も星ヶ崎さんと坂戸さんのことは気にしていてくれ。」
「わかった。」
「なにかあったらおたがいにLEINで連絡とろう。」
その日はそれで別れた。
翌日、白峰とあんな話はしたものの、ぼっちである自分にやれることは少ない。
せいぜい星ヶ崎と坂戸の様子をちらちら見ている程度だ。
まあ、見張ってるのも疲れる。しかしそのチラ見で不運なことに?坂戸と目が合ってしまった。
「何見てんの?きもいんだけど?」
「気になっていることがあるんだけど、一つ聞いていいか?」
「何よ?」
「坂戸と星ヶ崎って仲いいほうなの?」
坂戸の眉間にしわが寄って、顔がゆがむ。
「あーわかった、答えなくていいよ。」
「それじゃあ聞くなよ。」
「いやぼっちには陽キャの世界ってよくわからないからさ。」
「はあ、何言ってんの。きもいからもう声かけないでよね。」
坂戸は、グループの女子たちのところへ戻っていく。
「何話してたの?」
「別に~。星ヶ崎がどうとか、なんかきもいよね。」
そんな声が聞こえてきた。
きもいきもい言われすぎで俺のデリケートはハートは傷つきまくりです。
まあ気にしてたらきりないや。ラノベの続きでも読むか。
読んでいてしばらくすると、ガツンという鈍い音とともに、ドシャっという何か物が落ちたような音がする。
思わず目を離して音のしたほうへ振り向くと坂戸が脛をかかえてうずくまっている。
ふざけていて、椅子に足をひっかけてつまずいたのだろう。
「
「うん、てか痛くて死にそ~」
「だいじょうぶじゃん」
「やべ、中身出ちゃったみたい」
椅子にかかっていたリュックの口が開いてしまって、中身がちらばってしまったようで、教科書やらノーとやら文房具やらが乱雑に重なって落ちていた。
坂戸たちのグループの女子がひろって中身を戻そうとしたとき、
「なにこれ?」
「え、マジ?ちょーうけるんだけど」
「え~これリュックから出てきたの?」
連中が持ってたのは文庫本だったが、その表紙のカバーは、見覚えのある派手な配色だ。
俺と会った時に買った新作のように見える。
(星ヶ崎、もってきてたのかよ。)
坂戸たちは、ページをめくって挿絵があるらしいところで手を止めるたびにわらっている。
「これってさあ、星ヶ崎さんのだよね。」
「リュックからでてきたんだから間違いないでしょ」
「うわー、引くわ」
「あの見た目でこんなの読んでるなんてやばくね?」
がらりと教室の引き戸の音がする。
「どうしたの?みんな」
はいってきたのは星ヶ崎たちのグループだった。
グループのリーダー格の女子が怪訝そうに見回して、坂戸たちのグループのほうを見る。
坂戸たちのグループの女子たちはにやにやしながらこそこそ小声で話している。
星ヶ崎は、床に落ちて口の開いた自分のリュックに気が付く。
「それ私のなんだけど」
「ごめーん、星ヶ崎さあん、ちょっと椅子につまづいちゃったんだけどさあ」
わざとらしく間延びした声で話す坂戸。星ヶ崎が近づくと、やにわに例のラノベを高く掲げる。
「あ...。」
星ヶ崎がかたまったのがわかった。