ヲタク流、オラリオの生き方。   作:ケモミミ推し

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第十一話「後日談と神の赦し。」

 

名も無き冒険者達から贈られた怪物進呈(パスパレード)を蹴散らした四人は、早々に帰路についた。

言わずもがな、彼らの間に漂う空気は重い。

 

溜め込んだ罪を告白し、それを快く許したとはいえ、モンスターに囲まれるという極限状態の中で些かハイになっていた事も否めない。気分が落ち着いてくると、滅茶苦茶なことを口走った事が急に恥ずかしくなってきた。

 

 

「その...右京様。」

 

その別れ際、リリルカに声を掛けられた。

 

「ン、どうした?」

「本日は、本当にありがとうございました。このお礼は...」

「礼なんていい、俺が勝手にやった事だ。」

 

小さな体を深々と曲げ、謝罪の言葉を掛けられる。

しかし、俺は礼を言われる立場ではない。リリルカの窮地を助けたとはいえ、逆に勝手な事情でラーマを危険に晒してしまった。これは非常に良くない。

 

「それより、明日は予定空いてるか?」

「は、はい。」

 

「...実は、うちの主神がリリルカに会いたいと言っていてな。」

「...っ!」

 

それを聞いた直後、その背中が硬直する。

 

「お前のことは前から調べていたらしいぞ。色々と話を聞きたいんだと。」

 

これは原作通り、『ソーマファミリア』の人間のことを怪しいと考えたヘスティア様が主にエイナさんから情報を集めていた所に繋がる。

俺が気づいて向かう前にベルを8階層辺りまで逃がしてくれた()()も、相談を受けていたエイナさんのおかげで駆けつけることができたのだ。

 

「何も取って食おうって訳じゃない。大体の事情や、うちのお人良しが全部許したってことも報告しとく。あとは、お前と直接話したいって言うだろうからさ。」

「......」

「今日は疲れたろ。帰ってゆっくり休みな。明日、ベルをお前の宿まで迎えに行かせるから。」

 

罠にかけた奴のホームに出向くってんだ。心を許したベルのほうが緊張せずに済むだろう。

 

「頼めるか、ベル?」

「もちろん。リリも、それでいい?」

 

少し間を置き、こくりと頷く。

 

「じゃあ、宿の場所憶えるついでに送ってやれ。俺は先に帰って神様に報告しとくから。」

「うん、分かった。」

 

 

 

そこまで話して一旦別れる寸前になってやっと、リリルカが口を開いた。

 

「......あのっ!」

 

フードを目深に被ったリリルカが、少しだけ覗いた口元から和らいだ表情を見せる。

 

 

「...ありがとう、ございましたっ」

 

「おう、また明日な。」

 

 

 

 


 

 

 

 

その後、ホームに帰ってすぐにリリルカ・アーデの件をヘスティア様に報告した。

と言っても、俺が言えたのは精々自分で見聞きしたことのみで、原作知識を出すことができなかったのは少し面倒だった。

 

「...っていう感じで、トラップアイテムやらなんやらで冒険者を騙して稼いでいたようです。』

「そうか...。ありがとう、右京君。」

「うす。」

 

どうやら、彼女のリリルカへの印象はかなり低そうだ。結構怖い表情で不機嫌そうにソファーにもたれている。

まぁ、そうなるよな。俺もラーマが騙されたとなったら絶対カチコミに行くし。

 

「でも...」

「何か言うことが?」

 

その雰囲気に少しだけ気圧されながらも、一歩前に出てハッキリと述べる。

 

「俺は、ベルに彼女は必要だと思いました。あいつも俺も、オラリオの()()()()()には疎い。」

「それにあいつ自身、根っからの悪人って訳じゃない気がするんです。...確証は、ないんですけど。」

 

「...そうか。」

 

神はただ頷く。

 

「......まぁ、本人と会ってから決めることにするよ。重ね重ねありがとうね、右京君。」

「...うす。」

 

 

 

 

......原作ではこんなにキレてなかった、よな?

 

 

 

 


 

 

 

 

帰ってきたベルの説明とともに普段の調子に戻っていくヘスティア様に安堵した後は、修羅場に一日で二回も遭遇して疲れたせいか、寝床に直行した。

しかし、いざ寝台(ベッド)に寝転んでみても中々眠りにつくことはできなかった。ふと思いついた思考が頭の中を駆け回っていたからだ。

 

 

(...ベルの魔法、直接見ると凄かったな。)

 

そう、『魔法』である。

 

(俺にもあんな魔法があれば、あいつみたいに活躍できるようになるのか...?)

 

(確か魔法は本人の資質や願いに反応して発現するって話だけど、そもそも魔力の存在しない世界から来た”部外者”の俺に魔力は宿るのか?)

 

(いや...それなら...)

 

 

 

まだまだ思考の種は転がっていたものの、疲弊した脳の働きは曖昧になり、やがて緩やかに眠りの中へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、久しぶりに夢を見た。

 

 

 

 

 

 

 

「力が欲しいのか?」

 

_急に何聞いてんだ?欲しいけど。_

 

 

「何のために?」

 

 

_もちろん、強くなるため。_

 

 

「何故そんなものを望む?」

 

 

_...まだ見ぬ彼女を救うため。_

 

 

「その力に何を望む?」

 

 

_それは..._

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の早朝、いよいよ対談の時が来た。

部屋には朽ちた長椅子の一つに座る女神と、神妙な面立ちで壁に寄り掛かる青年が一人居るのみ。

 

......正直気まずい。てか顔怖いんですけど。

 

「神様、お待たせしました!」

「入ってくれ。」

 

そこには、白髪の少年と犬耳の少女が.........犬耳?

 

そうか。そういえばリリは身バレ防止のために変身魔法を使ってたな。すっかり忘れていた。それにしても...

 

「いいな...」

「...? なにか言った?」

「あぁいや、何でも無いよ、なんでも。」

 

ケモミミは昔から好きだけど。まさか、不意打ちとはいえリリ助にドキッとする日が来るとは...。

 

 

 

 

 

「リリルカ・アーデです...」

「君が噂のサポーター君か。彼等から話は聞いているよ。」

 

「あー...ちょっと茶でも淹れてくる。」

「あ、僕も行くよ。でも、コップが三つしか...」

「なぁに、気にすることはないさ。ボクと君が一緒に使えば良い♪」

「はは、神様もそんな冗談言うんですね。」

 

そう言って下に降りるベルに、慌ててついていく。あんな(空気の重い)所に居られるか!俺は下に降りさせてもらう!

 

 

 

 

 


 

 

 

...空気が重い。顔が上げられない。

この女神は、私に罵詈雑言を浴びせるだろう。

当然だ。私は到底許されない事をしたのだから。

 

彼等は...私を助けてくれた冒険者たちは、私を責めてはくれなかった。まるでそれが彼等からの罰とでも言うように。

なら、眼前の神は何を...?

 

 

 

 

 

「さて、まずは君の覚悟を聞こうじゃないか。」

 

「君は、二度と同じ過ちを繰り返さないと誓うかい?」

 

その問いに、心の内にあった言葉で即座に答える。

 

「はい、誓います。ベル様に、ヘスティア様に。何より、リリ自身に。」

「リリは、お二人に救われました。もう二度と、あの方達を裏切たくありりません。」

 

 

「...うん、分かった。その言葉は信じよう。」

 

「正直に言うよ、サポーター君。僕は君が嫌いだ。」

「散々ボクのベル君を騙しておいて、今度は取り入ろうなんて。本当に嫌な奴だよ、君は。」

 

(......)

 

「右京君達が助けに行ってなかったら、最悪の事態に陥っていたかもしれなかったんだ。だから僕が君を裁く。」

 

(...一体、何を?)

 

 

「...ベル君達を手助けしてやってくれ。」

「え...?」

 

(それを私に...?)

 

罪悪感に苛まれ続けたリリルカ・アーデにとって、罰は自分自身を許すための唯一の薬になるはずだった。

そのため、二度とベルとは関わるなという旨を伝えられるとばかり思っていた。

 

所謂(いわゆる)お目付け役さ。彼らが悪い奴に捕まらないように、守ってやってくれ。」

「言っとくけど、君のためじゃないからな!」

「僕は今回の件で確信したんだ!あのまま放っておけば絶対ベル君は騙されるし、右京君も割と頼りない!」

 

ビシッと指を指し、はっきりと言い切る。

 

「もし君が罪悪感に押し潰されそうになっているなら、行動で挽回してみせろ!それが君への罰だ!」

 

「……はい、ヘスティア様!」

 

 

 

「神様、お待たせしました!」

「おまたせーっす...」

(良かった...なんかいい話っぽく終わってくれて...)

 

 

「そうだ、サポーター君。」

「はい?」

「パーティーを組むのは許可する。お守りも任せる。だけど...」

 

すぐさまベルの腕に抱きつき、どことは言わないがチャームポイントを押しつけつつ宣言する。

 

「ボクのベル君に手を出すなよ!」

「なっ...!」

「か、神様!?」

 

しかしリリも負けてはいない。すぐに態勢を整え、空いている反対の腕に絡みつく。

 

「いえいえ、リリは()()()、ベル様に優しくしてもらっていますから〜!」

(たとえ相手が神様でも、絶対負けません...!)

 

 

 

 

 

 

 

 

(良かった...ようやく平和になった。)

 

これから長く続いていく二人の因縁が生まれる瞬間を数歩離れたところから眺めつつ、予定(チャート)通りに進む物語を見て、一人安堵するのだった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「そういえば右京君。今日の予定はあるのかい?」

 

ベルもリリもいなくなった教会の中で、唯一残っていた俺に話しかける。ちなみにラーマは朝からお使いに行ってもらってます。

居ても気まずいかもしれないからね。仕方ないね。

 

「いや、今日は準備しつつ、ゆっくり休むつもりです。」

 

昨日は色々あったしな。

 

「なら右京君。久しぶりにステイタスを更新してみないかい?」

「おお、そういえばやってなかったですね。」

 

最近はラーマの修行につきっきりだったし、一区切りという意味でも丁度いいだろう。

 

「んじゃ、お願いします。」

「...おいおい右京君、これじゃありがたみってものがないじゃないか!」

 

上着を勢い良く脱ぎ、背中を向けてヤンキー座りをカマした俺に、神様は不満げにぼやく。

 

「いいんすよ、どうせ今回もステイタス上がってるだけでしょ。なんか大きな変化でもないと、期待も薄れるってもんですよ。」

「悲観的だなぁ。そんなに心配しなくても、君には立派なスキルがあるじゃないか。」

 

「いやいや、あんな使い勝手悪いやつ、全く有り難くなんて......ないことはないですけど。」

「な〜んだ、やっぱり嬉しいんじゃないか!素直じゃないなぁ、君は〜!」

 

ひとしきり笑った後、俺をなだめるように語る。

 

「なに、問題ないさ。右京君はまだまだ成長期だし、すぐに新しい力が.........」

「あれ、どうかしました?」

 

「.........だ」

「...ん?」

 

 

「魔法だーー!!!!!!」

「ン゙ゴァァァー!!!!!」

 

不意に背中に衝撃を与えられ、前に突っ伏すことを余儀なくされてしまう。

 

どうやら驚きのあまり暴発した神の張り手(ゴッドブロー)をモロに喰らったようで、それはそれは綺麗な体勢で石畳に顔を埋めていた。

 

 

 

この日を以て、俺はある面白い魔法を獲得した。

 

 

しかし、成長期か。

...どうやら、少しは楽しくなりそうだ。

 

 

 

 

 




おひさ〜、投稿者だよ〜!(気さくな挨拶)

ようやく課題も一段落ついて、やっと書き終えました。
夏休み入るまでに、せめてあと2話は書き上げたいですね。

さて、次回は魔法習得回となります。アンケートを取っていますので、意見を頂けると嬉しいです。ほな!
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