「...なあ、ベル。」
「なに、右京?」
「いや、そんなに楽しみか?」
「もちろん!だって"二つ名"だよ!」
「ン...良かったな。」
顔を綻ばせる彼に声をかけたものの、こちらとしては素直に喜べない。
「右京は嬉しくないの?」
「嬉しいというか、不安というか...。」
自身の眷属が偉業を成し遂げた時に与えられる、神からの褒美という形で始まった"二つ名文化"だが、娯楽に飢えた神々にとっては最高の遊び場だったようで。
「
原作ではヘスティア様が_おそらくフレイヤ様もサポートしたのだろうが_尽力して無難な二つ名を勝ち取っていたが、果たして俺まで庇えるのだろうか。無理に守ろうとした挙げ句共倒れ、なんてのはゴメンだが......
「...ま、俺が気を揉んでも仕方ないか。」
今は少しでもマシな名前が貰える事を祈っておこう。
と、手を合わせて南無南無やっていたのも束の間。
「あ、神様帰ってきたよ!」
「げ、マジか。」
待ちきれない様子のベルが階段を駆け上がり、我らが女神を迎え入れる。しかし、いざ入ってきたヘスティア様の表情は芳しくなく...もっと言えば気まずそう。いや、申し訳無さそうといった顔か。
「すまない右京君...!」
「俺かぁ...。」
どうやら、神々の遊戯の標的は俺になったらしい。
「まずは弁明をさせてくれッ...!」
定例通り行われた
「じゃあ、タケんところのヤマト・命ちゃんの二つ名は『絶✝影』に決定〜〜〜〜!!!!」
「ぐぁぁぁぁぁっっ!!!」
「悪いなタケミカヅチ。」
「恨むなら己の天然ジゴロを恨め!」
酷すぎる名付け、あまりの痛さに絶叫する主神、醜い嫉妬のあまり追い打ちをかける男神達。今日の
「よし、最後はヘスティアんとこの奴らだな!」
「ファミリア初のランクアップが二人同時、しかも
「なぁヘスティア、一体どんな裏技使ったんだ!?」
「ぼ、ボクは何もしてない!全部彼らの努力の賜物だよ!!」
遠慮くヘスティアに
「ところで皆!少しだけでいい、話をさせてくれないか!!」
「お、どうしたヘスティア!この期に及んで命乞いか〜?」
尚も揶揄う神々にも怯まず、
「彼等はボクの初めての眷属なんだ、少しは手心を...」
「別にいいじゃん、
「ウッ...!」
確かに、神々やそれに近い感覚を持つ者にとってはイタい名前だが、あくまで子供達には好評だ。
「で、でも、右京君は心配してたんだ!自分の二つ名が酷いものになるかもしれないって!」
「ほぅ、我らのセンスが分かる奴がいようとは......将来有望だな。」
「俺達のネーミングセンスにさぞ感動する事だろうな!」
「うむむむぅ〜〜〜...!」
その辺りで、暖簾に腕押しの対応にヤキモキしていたヘスティアに助け舟が入る。
「ちょっといいかしら?」
その張本人は、なんと女神フレイヤ。天界でも、勿論オラリオでも屈指の美貌を誇る彼女の参戦に、その場の全員がざわめく。
「え...フレイヤ?なんで君が...」
「あら、お邪魔だったかしら?」
眉を物憂げに下げた彼女に「その通り」なんて事を言える
一瞬でその場の空気を支配した女神は、
「私、あまり適当な名前ばかり付けすぎるのもつまらないと思うのよね。だから、たまには主神の親心を汲んでみるのも面白いと思うのだけれど。」
にこやかに微笑む彼女の前では、己の悦楽を是とする男神達も従順な良い子に早変わり。
「賛成〜〜!」
「確かに俺も飽きてたんだよな〜」
女神の参戦により、一気に流れに乗れたと思うのも束の間。
「でもねぇ。
「えっ」
少しずつ雲行きが怪しくなってきた。
「そうね...どちらかの名前を決めて良い代わりに、もう一人の名前は他の神に一任する、というのはどうかしら?」
「な、そんなの...!」
この
「賛成ーー!!」
「さすがフレイヤ様、今日も美しい!!」
「ちょっと!ホイホイ尻尾振ってんじゃないわよ!」
「まぁ......面白そうだから良いか。」
「フレイヤ様、美しいだけじゃなく頭も良いのか...。」
「それに...」
「私、黒髪の彼に良い二つ名を考えたのよね。」
男神達を魅了する美貌、女神の嫉妬の矛先を逸らす立ち回り、そのどちらにも属さない神々をもまとめて丸め込む口の上手さ。
稀有な能力を幾つも持ち合わせた
「右京君の二つ名は、その......................
『
「...........................................おぉぅ。」
てっきり『
なるほど、由来は俺の
「本当にすまない!!ボクが不甲斐ないばっかりに、こんな...!」
「いやいや、思ってたよりだいぶマトモっすよ!」
まぁ、無難とは程遠いが。
「...じゃあ、気に入ってくれたかい?」
「......。」
「何故顔を逸らす!?」
「...オレハケッコウスキデスヨ」
「やっぱり駄目なんじゃないかー!?」
.........言えない。
ちょっと一瞬かっこいいと思ってしまったなんて...!
内なる中学生が目を輝かせているなんて...!
「...『
「まぁ、アレだよな。」
「地味ですね。」
「...ですね。」
「だよねぇ!」
「地味でいいじゃんよ。俺なんて『
「でも、私はかっこいい二つ名だと思いますよ?『
我々の座る団体用の円卓には、俺とベルの隣にそれぞれシル・フローヴァと謎の緑髪エルフ美人。一体何リオンなんだ...。
ちなみにシルさんは、俺を挟んでベルの斜め前に陣取り、左8度で可愛さいつもの2割増と名高い『魔法のアングル』を保持している。飲みの席でもコスパ最強のさりげない仕草を忘れぬ辺り、やはり流石としか言い様が無い。
というかシルさん?ベルのこと結構本気でオとそうとしてない?原作よりアタック強いよね?
「というか、お二人はここにいていいんですか?」
「『私達を貸してやるから存分に笑って飲め』と、ミア母さんから伝言です。」
「金を使えって?」
「そういうことです。」
状況確認を済ます中、隣のシルさんはいつの間にかラーマの口に料理を運んで存分に可愛がってくれている。ラーマも恥ずかしがってはいるが、満更でもない様子。かわいい(脳死)。やはりケモミミか。
「では、クラネルさん達は
「はい、もちろん調子を見ながらですけど。」
「そうですか。」
終始一貫してクールなトーンで話す彼女の言葉で、場の雰囲気は少しだけ引き締まる。
「クラネルさんのパーティーは、一般的な
「ですが、上層と中層は違う。モンスターの質も、その出現頻度も。ですので十二分に注意を...」
そこまで
「オウオウ、パーティーの事でお困りか?『
鈍い俺でも感じ取れる嫉妬と悪意を孕んだ声。彼の名はモルド・ラトロー。熟練のLv.2、上級冒険者である。
補足すると、オラリオにいる冒険者の過半数はLv.1の下級冒険者であり、彼はこの街では割と上澄みに近い。それより上はオラリオでも10%に満たず、Lv.3、Lv.4は『第二級冒険者』、Lv.5から上は『第一級冒険者』と呼称されるが、アレのほとんどは只の「
という訳で、登場してすぐの間は「新進気鋭のルーキーをいびるチンピラ先輩」といった
「俺達はLv.2だ。中層に行くなら、俺達のパーティーに入れてやってもいいぜ?ただ...」
リューさんに向けた下卑た視線を隠そうともしない。うーん、まだクソ野郎だな。
「仲間なら分かち合いだよなぁ...?」
「おいおい、勝手に決めんなよ
机の向かいでキレ顔を隠そうともしない純情エルフが爆発する前に、椅子を引きつつ立ちはだかる。
「いい年して若い奴にちょっかいかけてんじゃねーよ。加齢臭で飯が不味くなるんだが?」
「あぁ?何だテメェ、ふざけんじゃnゴンッッ
「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!!」
「う、右京!」
「あぁ何だやるかぁ?でもアンタ...」
今にも殴りかかって来そうな男を我らが団長が抑えるが、俺の方は一切の遠慮無し。だってここは『豊穣の女主人』。騒ぎなんて起こそうものなら......
ドゴォォンッッッ
"女主人が動く"。
「騒ぎを起こしたいなら外でやりな...。」
「ここは、飯を食って酒を飲む場所さぁッ!!!」
この店を支える柱は、泣く子も黙る
「げっ...オイ、行くぞ!」
「アホタレェ!!ツケは効かないよ!!」
「は、ハイィィ!!!」
騒ぎなんて起こそうものならこの始末。これが、この店が『オラリオ
「...おっかねぇ〜」
「アンタも大概だよ、『
「......これでも穏便に済ませた方だっての。」
「なんか言ったかい?」
「ヴェッマリモ!!!」
かくして、酒場の小競り合いは終結した。一方......
「私、完っ全に蚊帳の外ですね...。」
「...わたしもです。」
一連の騒動の静観しつつちびちびと酒や果実水を口につけていた少女達は、円卓の隅で小さくなっているのであった。
我が名は投稿者!一ヶ月ぶりに新話を届けに参った!
夏バテとコロナのダブルラリアットで死にかけておったのだ!
決してサボっていた訳ではないから許して頂きたい!
〜閑話休題〜
後編の流れは既に作ってあるけど、オリキャラ出すかどうかで悩んでるので次回は未定です。アンケート貼っておくので、皆様の意見を取り入れられたらと考えてます。
また一ヶ月後に会いましょう。では。