現在のステータス
シロカネ・右京
Lv.1→Lv.2
力:SS 1081 →I 0
耐久:SSS 1102 →I 0
器用:S 927 →I 0
敏捷:A 891 →I 0
魔力:D 558 →I 0
魔導 I (レベルアップにより発現)
MAGIC:
「ブリンク」
・転移魔法
・射程、重量限界は魔力量に比例。
≪法則を破りし其の一歩≫
SKILL:
「愛想一途(セリゲート・バージェン)」
・経験値獲得量の増加。
・試練の誘引。
・特定の人物に対する想いの強さで効果向上。
「いやぁ悪いな、ヴェルフさん。色々と助けてもらっちまって。」
あの後、てんやわんやの騒動に割り入って収拾をつけた鍛冶師に礼を言う。
なお、俺達を取り囲んでいた職人達に専属が決まっている旨を伝えると、各々が寸分狂わず舌打ちをかました後、蜘蛛の子を散らすが如く去ってしまった。
「魔剣が打てる」っていう特別な才能を持つヴェルフに嫉妬する気持ちは、まぁ分からんくもないが。
「何、良いってことよ。こんな大物の顧客、逃がすわけにもいかねぇしな。」
しかしハハハと豪快に笑う姿は、いかにも気のいい兄貴分といった様子。やはりいいヤツだな、コイツは。
「は、はじめまして!ベルクラネルです!」
「おう、知ってるぜ。最近、アンタの名前を聞かない日はないからな。」
「あ、あはは...そう言われると、なんだか照れちゃいますね...」
…なんか原作よりも謙虚…というか女々しくなったか?
「で、天下の『リトルルーキー』が俺の防具をご所望だって?」
と、彼の背負っていた木箱が開かれる。そこには深い金属光沢を湛えた白い軽装鎧が。
「わぁ、凄い...」
「勿論コイツは売る。だがよ、ベル・クラネル。買い物ついでに、ちょいと頼まれ事をしてくれねぇか?」
「頼み事…ですか?」
「あぁ、この鎧を気に入ってくれたら...俺をお前の専属鍛冶師にして欲しいんだ。」
「はい、よろしくお願いします!」
鍛冶師の真摯な願い出に、兎は嬉しげに即答する。
「お、おいおい。即答かよ。」
「だって、前の鎧も凄く戦いやすかったので...僕は、ヴェルフさんの防具を使いたいです。」
しばらく呆気にとられたように呆けていた鍛冶師も、ここまでの答えが返ってくるとは思っていなかったのだろう。
「くく...ハハハハッ!!そうか、そんなに気に入ってもらえたんならしょうがねなぁ!」
恥ずかしくなるほど純真なベルの言葉を聞いて開けっ広げに笑いながら、ベルをえらく気に入ったようだった。
「...そうだ、ならよ、ヴェルフさんや。」
「おう、どうした?まさかアンタも契約するってか?」
「あぁ、是非お願いしたいね。と言っても武器はもう買っちまったからな。しばらくは防具専門の契約になるが...」
本日二度目の呆け顔。続いて、今日一番の笑顔。
「...おいおい、今日はなんだ!?贅沢にも程があるぞ!!」
「お、じゃやめとくか?」
「上等だ、やってやる!お前ら二人の装備、まとめて作ってやろうじゃねぇか!!」
立ち上がった彼の目は、燃え上がる焔を幻想させる程の熱い輝きを灯していた。
「じゃ、よろしくな。ヴェルフ!」
「よろしく、ヴェルフさん!」
「...ッ、おう!!」
色々とゴタゴタはあったが、遂に原作最初のパーティーメンバーがベルの下に揃った。もっとも、二人ほど新顔が混じってはいるが。
「...私はまだ納得していませんからね、ベル様。ましてや鍛冶師、しかも"クロッゾ"なんて。」
「うっ...ご、ごめんってリリ。相談しなかったのは謝るから...」
「おいおい、そんなに俺が嫌いか?リリ助。」
「だーかーらー!私はリリ助ではなくリリルカですってばー!!」
リリがリーダーであるベルに文句を垂れつつ、鍛冶師の青年にを抗議の声を上げる。確かに、最近パーティーの指揮も担うようになってきたリリにとっては、断りもなくメンバーを増やすのは思わしくないかもしれない。
...ついでに反りも合わないかも。まぁすぐに慣れるさ。
「そんなケチケチすんなよリリ。経緯はどうあれ仲間が増えたんだ。なぁ、ラーマ。」
「...いきなり知らない人が来て、ちょっと怖かった。」
「すんませんしたぁぁっ!!」
自分としては別に構わんだろう、と高を括っていたが、愛するラーマを怯えさせてしまったとなれば話は別。ラーマのみならずリリにも向けて頭を下げる。うちの子かわいいもんね、仕方ないね。
「...右京様、少しよろしいですか。」
「ん、どした。」
歩きながら周囲を警戒していたところ、後衛から出てきたリリに小声で声をかけられる。
「今日はまだ"魔法"を使っていませんか?」
「おう。ヘスティア様にも口酸っぱく言われたからな。耳タコだぜ。」
何故かは分からないが、始めて《ブリンク》を使ったあの日からヘスティア様には色々と言い含められていた。
『...いいかい右京君。君の魔法のことは
『君の"魔法"はね...なんというか...空間そのものを......説明が難しいなぁ...』
『まぁとにかく!!怖い人たちに捕まったりしないように、人目につく場所では絶対に使わないこと!いいね!』
...まぁ、言わんとしていることは分かるけども。"空間魔法"なんて得体の知れない
「他派閥の人間にバレていい代物じゃない、って話だろ?」
「はい。本来なら私も知ってはいけなかったのですが...」
「リリのことは信頼してる、ってヘスティア様も言ってただろ。俺も気にしてない。なんならウチに
「...っ!」
リリの肩が強張る。しまった、今のコイツに
「...確かに、そうすればもっとベル様のお傍にいられますね。右京様にしては名案です。」
「あんだとコラ」
狼狽する青年をよそに、しかし少女の反応は意外にも明るかった。
「真似事とはいえ、このパーティーの指揮ができるのはリリだけですもんねぇ。」
「何を言う、俺だって......おっ。」
原作に比べて随分と自信家になった少女と言葉の応襲を繰り広げていると、前方から何者かの気配を察知する。すぐに少女達を下がらせ、おニューの
「来たぞ。」
眼前には、11階層を代表するモンスターであるオークやインプ、ハードアーマードなどが徒党を組んで立ち塞がっている。
「オークは任せろ!あれなら俺の腕でも当てられる!」
「じゃあ、僕はインプを!」
押し寄せる怪物に鍛冶師の大刀が唸り、少年の短刀が閃く。
「おうおう、二人とも頑張れ〜」
「えぇ、右京様も戦ってくださいよ!」
「いやいや、俺は...」
足を上げ、リリの後ろ...正確には爪を振り上げたインプを蹴り飛ばす。
「ガキのお
「いつの間に後ろに...」
インプは弱い。それこそゴブリンと大して変わらないが、同じそれよりも悪知恵が働く。弱いからと油断していると、
「でも...そうだな。数が多いし、俺も加勢したほうが良いか?」
「いや、大丈夫です...わたしが援護しますから。」
獣人の少女が身の丈を超える大弓を構え、同じく大振りな矢をつがえる。
先程までは少し不機嫌だったラーマだが、ドン!ドン!と暴力的な音を上げながらオークやハードアーマードの強靭な皮膚を次々に撃ち抜いていく。
「悪い、助かる!」
援護を受けた鍛冶師が、大刀を振り回しながら些か乱暴に礼を飛ばす。
近接戦闘ができないラーマも、距離を保つことさえできれば結構強い。やっぱこの子才能あるでしょ(親バカ)
...もっとも、彼に及ぶべくもないが。
「ベルさんには......いらないみたいです。」
最前線に立つ少年を見た少女が嘆息する。
そこには白の突風に蹂躙されたモンスターが残した灰と魔石が転がっていた。恐らく、あの大群との戦闘で、全ての急所を正確に斬ったのだろう。
「全く...末恐ろしいな。」
こちらを振り返り満足そうに手を振る少年を見て、その成長ぶりに青年は少し肝を冷やすのだった。
戦闘を始めて数時間が経過した現在、何度か小休止を取り、男衆も前衛を交代制でこなしている。
今前に出ているのはベルと右京。
「ずおぉぉりゃァ!!!」
大戦斧を薙ぎ、オーク3体をまとめて両断する。
「うん、やはり良い得物だ。大枚はたいた甲斐があったな。」
今日だけで何度も、何体もモンスターを屠ってきたが、オークを両断した刃も、ハードアーマードの硬殻に叩きつけた破砕杭も、刃こぼれどころか曇り一つない。
鈍色の輝きを失わない相棒を掲げ、満足そうに呟いた。
「右京ー!リリがそろそろ大休止を取るってー!」
「はいよー!」
定期的に謎のビーム__おそらく新しいスキルで強化されたファイアボルト__を撃って疲労が溜まり気味なベルを見たのか、リリが長時間の休止を提案したようだ。
丁度自分も腹が減ってきたところだ。飯だ飯だと小踊りしつつ、仲間の声が聞こえた場所へと戻る。
「お疲れ様です、ベル様...あと右京様も。」
「おいコラ、俺はオマケかよ。」
「オマケついでに小言が一つありますよ、右京様。」
不満顔のリリに続いて、後ろのラーマも頷いている。
こうなってしまうとどうにも弱い。
「ベル様もですが、特に右京様は前に出すぎです。霧の中で声すら届かない所まで離れるのは良くありませんし、魔石の回収も面倒です。」
「うぐ...」
「霧の中だから、わたしの弓も遠くまで届かないです。」
「うぐぐ......すまん、気をつける。」
身長的にも年齢的にも下の彼女達に正論で殴られるというのは、少々心にくるところがある。
ポーションでも治らない痛みってあるんだなぁ...
「さて。小言もこのくらいにして、そろそろ食事にしましょうか。最初の見張りは...右京様、お願いします。」
「俺かよ。わりとサボリ気味だったからか?」
「そうかもしれません...ねっ」
ドスン、と重い音と共に、冗談だろとツッコミを入れたくなるほどデカいカバンを地面に下ろす。
「なぁ、毎回思ってたんだけど...それ重くねぇの?」
「えぇ、しっかり重いですよ。」
アニメ視聴時代から長年感じてきた素朴な疑問に、驚くほど簡素な答えが帰ってきた。
「やっぱりか。」
「はい。スキルのおかげで背負って走ったりはできますけど、結構疲れますよ。」
「そんだけ重いもの持てるならさ、コレとか振り回せるんじゃねぇの?」
そう言って青年が少女に大戦斧を差し出す。
しかし、少女が首肯することはなかった。
「大きな武器はそれだけ高価ですし、そもそも私に戦闘の心得はありません。だから私には精々、ありったけのアイテムを詰め込んだ重いカバンを持っていく事しかできなかったんですよ。」
リリのスキル__たしか《
「なるほどねぇ...魔法のカバンでもあればいいのに。」
「魔法のカバン...?なんです、それは?」
ついゲーム感覚で呟いてしまった青年の言葉に、少女が反応する。
「いやほら、カバンにいくらでも物が入るとか、そういうのだよ。四次元ポケット的な。」
「よじ...?そんなもの、ある訳ないじゃないですか。そんな物があれば
確かに、そりゃそうか。もし可能性があるなら俺の魔法とか...
「...ハハッ!」
「何か、面白いことを言いましたか?」
「...いや、何でもない。」
一瞬頭をよぎった妄想を流石にあり得ないと笑い飛ばすが、脈絡のない笑いに、お怒りな様子の少女から咎められる。
いや、誤解なんですリリルカさん、許してください。アンタそこまで怖い顔できたのかよ。
次の瞬間、満面の笑みで礼を言う
「右京君、この後ちょっといいかな?」
ダンジョンから帰還し、魔石やドロップアイテムも換金した後。新しいパーティーでも問題なく戦えたという旨や最高到達階層を伝える際、アドバイザーであるエイナさんから呼び止められる。
「ン、どうかしました?」
「実はね、右京君のアドバイザーが変わることになったの。」
「えぇ、そりゃまたなんで?」
申し訳無さそうに口ごもったエイナさんの様子に、少し不信感を感じた。原作じゃこんなこと無かったよな。
「あー...それがね...」
「アンタ
眼前のアドバイザーの初めて見る表情を眺めていると、その後ろからもう一人、美しい女性が現れる。
エイナさんよりも少し背の高い麗人だった。薔薇のような真紅の髪を背中まで伸ばし、その下から耳__恐らく狼耳だとケモナーの嗅覚が叫んでいる__が見えている。
「アンタたち二人がとんでもない速度でレベルアップしたもんだから、ギルド長が『何としてでも強さの秘訣を解明しろ!』ってうるさくてね。」
「通常業務に加えてそんなことまでしてたら、流石にエイナ一人じゃ回せなくなるのよ。だからある程度ヒマしてた私に
「…あ、うす。」
原作にもほとんど登場していないレアキャラに、少し呆けてしまっていた。決して目の前のキツめクールビューティー
「とにかくよろしく。私はエイナみたいに親切じゃないけど。」
「あぁ、分かりました。よろしく...えーっと...?」
「ローズよ。」
「あぁ、ローズさん。よろしく。」
動揺のあまり若干童貞臭い振る舞いをした感は否めなかったが、とにかくサポーターが変わったらしい。なんで?
「あ、そうだエイナさん。座学についてなんですけど...」
「うん、そっちの方は引き続き私が対応するね。」
「...座学って?」
薄々面倒な予感はしつつ、
「私が個人的にやってることなんだけどね、ギルドの資料から階層ごとの地形とかモンスターの特徴について教えてるの。」
「なんでそんな面倒な事を...」
辟易として聞き返すが、対象的に彼女はどこか嬉しそうな様子。
「えー、だってねローズさん。ベル君もだけど、授業を聞きたいって言ってくれる人なんていなかったから...」
「...アンタ、受けたの?エイナのスパルタ授業。」
「えぇ。元々勉強は得意なんで、結構楽しいですよ。」
動揺した麗人の問いに、青年はあくまで飄々として答える。
ここじゃ勉強くらいしか取り柄ないから、少しでも努力しなくちゃな。
「...私は手伝わないわよ、面倒臭い。」
「あはは...私が勝手にやっている事ですから...」
「...右京君?」
「ハイ、ごめんなさいッ!!」
一歩ごとにふわふわと揺れる尻尾を__ついでに尻も__隠しもせず眺める青年は流石に怒られると確信して先手を打ったが...どうやら早とちりだったようだ。
「...?今日の勉強会はどうするのかなって、思ったんだけど...」
「あ、なんだそっちかぁ良かったマジで」
「...ベル君はもう始めてるけど、右京君も来るでしょ?」
先程連行されていったベルは、既に奥の部屋に拘束...もとい案内されている。
「すみません、この後は予定があって...」
「えーなになに、誰かと会うの?」
「会うには会いますけどねぇ...ちなみに女性と。」
「わー、右京君も隅に置けないなぁー、このこの〜」
眼前の乙女全開ハーフエルフからは、かつてのスパルタ鬼教師の気配など欠片も感じられない。人って分からんよなぁ...。
「でも、今回はただの買い物ですよ。」
「えー、なんだぁ。」
「今日行くって言っちゃってるんですよ。すみません。」
「いやいや、約束ならしょうがないよ。」
「あ、でもベルと同じ宿題は欲しいです。ベルに持たせて貰えますか?」
「...うん!勿論!」
世話焼きな人だなぁ…。
「...言い忘れてたけど、右京君。」
「ン、どしたんすか。」
「...いくら好きでも、人の耳や尻尾をじろじろ見るものじゃありません。」
「いや...そんな......スミマセン。」
いや、バレてたのかよ。
「え、今日はヴェルフさん休むの?」
「あぁ。ちっと頼み事をしててさ。」
翌日。バベルの前に集まったのは、ベル、右京、ラーマのみだった。
「頼み事?」
「防具だよ。この前買ったコイツ、まだ使えんことはないけどさ。中層に行くにはかなり心許ないんだよな。だから、ヴェルフの在庫にあった鎧の調整と...ついでに俺の
傷だらけの軽装鎧に触れながら、鍛冶師が不在の理由を説明する。
史実通りならば、中層初進出の時点でいきなり18階層まで降りなければならなくなる可能性が高い。何が起こるか分からんし、やれることは全てやっておかねば。
一気に仕事を頼みすぎたせいでヴェルフはてんてこ舞いなようだが、本人が充実していそうなので良しとしよう。
「じゃあ、今日は3人だけなんだね。リリも休みだし...」
「下宿先の親父さんの看病でしたっけ。...わたしも手伝いに行ったほうが良かったのかな。」
倒れたノームの店主を看病するという旨を伝えて休んだリリに、ラーマが心配する素振りを見せる。
「あんま大人数で押しかけるのも迷惑だろ。ま、今日は緩くやろうぜ。丁度"例の魔法"も試しておきたかったしな。」
彼が言及したのは、昨夜突然ステイタスに発現した、とある"魔法"。
「いいなぁ、右京。これで魔法2個目でしょ?」
「いやいや、確かにかなり便利だけどやっぱ地味だろ。もうちょっとこう、雷とか炎とか、派手な魔法がさぁ...」
幼女神は、彼が新しく発現させた"魔法"を以下のように呼称した。
「
彼に秘められた才能を、発露するであろう無限の可能性を、彼も神すらも、未だ底は知れない。
「急いては事を仕損じる」
逆もまた然り。