オラリオ生活が、2日目に突入した。
そう、2日目なのだ。一度寝ても夢が覚めないということは、ここは夢ではなく現実なのかもしれない。少なくともその可能性は跳ね上がった。
ところで皆さん、当然で悪いんですが、俺は今、ついに、かの有名な”アレ”をやっています。
ロリ巨乳の異名で呼ばれる神が、俺に跨っているのだ。
...いや、何もやらしいことをしている訳ではない。
ただ彼女の眷属となるための
神の手から落ちた一滴の
光り輝く血は瞬く間に広がり、背中に模様を描き始めた。
しばらくして光が収まると、我が新たな主神、神ヘスティアは息をつく。
「よし...。できたよ、右京君。」
「ありがとうございました、ヘスティア様。」
下界に降りるに際して殆どの力を封印した神々が、唯一子供達に与えられる力である
俺は感情の高ぶりと共に、改めて異世界に来たという実感を噛み締めていた。
「.......うーん...。」
「ん、なんかありましたか?」
「いや、何でもないよ。それより右京くん。早速今日からダンジョンに行くのかい?」
「そうですね。俺も早く稼がないといけませんし。」
「そっか...ベルくんがいるから大丈夫だとは思うけど、気をつけるんだよ。」
「はい!」
「...あっ! そうだ、これ渡さないといけなかったね!」
そう言って神様が渡してきたのは麻の袋。
曰く、貯金していたヴァリス*1を、俺のために引っ張り出してきてくれたらしい。その額9000ヴァリス。細かい相場は分からないが、ヘスティア・ファミリアの貯蓄からみると結構な金額だろう。
「悪いですよ、こんなに」
「何を言っているんだい!それで死んでしまったら世話ないじゃないか!本当はもっと多くても良いんだよ?」
「いやいや、十分ですよ。ありがとうございます。」
そうして、右京は人生で初めての”冒険”に出発する。
「うぅぅ〜〜〜ん.........」
二人の眷属が出発してからしばらく、神ヘスティアはその小さな頭を抱え、混乱の中で頭を抱えていた。
「...
悩みの種は、ヘスティアの手に握られた、右京・城兼のステイタスが写し取られた羊皮紙。
ステイタス自体に異常はない。
問題は、彼が最初から所持していた『スキル』だ。その名は、
【愛想一極(セリゲート・バージェン)】
ではでは、ファルナもお金も貰ったことですし。
ここからは、これからの生き方について考えてみよう。
まず第一目標としては変わらず、「強くなること」。将来、屈強なアマゾネス達と闘うためには高い防御力か機動力のどちらかで圧倒する必要がある。俺は、装備でブーストできる防御力に特化した
俺は運動神経はあるが戦闘経験はない。「運動できる=戦える」なんて上手くは行くまい。
加えて、ちょいとばかし無茶をしないと成長系スキル持ちのベルくんに簡単に置き去りにされてしまう。俺も成長系スキルがあればいいんだが、ないものねだりをしてもしょうがない。しぶとくダンジョンに潜り続けてカバーしよう。持久力のある防御系ビルドに決めたことには、そういった理由もある。
んで2つ目は、「ベルくんと仲良くなること」だ。ストーリーに深く関わることで未来が変わって、不意打ちでベルくんが春姫救出に出向いてしまうかもしれない。バタフライエフェクトってやつだ。
それを防ぐために、ベルくんの近くに居続けることで動向を探っていきたい。そのためには仲良くなったり、「こいつが居れば頼もしい」と思わせるのが一番だ。最悪側にいられなくても呼んでくれるかもしれないし。なんかRTAみたいになってきたな.....
「.....ョウ、右京?」
「あぁはいはい、どうした?」
「右京は、どんな装備を買うの?予算は多めだけど、慎重に選ばなくちゃ。」
「そうだなぁ俺は....前に出たいから、盾とメイスかな。」
「え? 盾はともかく、なんでメイスなの?」
もっともな質問である。といってもこの世界、棍棒に限らず鈍器を使う人物はあまりいない。某ゴブリンを殺す系アニメの主人公曰く、「剣は使い方を誤れば折れてしまうが、技量があまり必要ない棍棒なら見習いでも使い易い」的なことを言っていた。
「メイスは剣と違って安物であっても刃こぼれしにくいんだ。武器が壊れたらまずいだろ?」
「へぇ、そうなんだ...。確かに、戦えなくなったら困るよね。」
「まあ、そもそも刃がないと困ることもあるだろうし、錘付きの斧とかが現実的かな。」
「なるほど...。あ、あそこの露天に武器が売ってるよ!行ってみよう!」
「フッフッフッ...何を言っているんだ、団長。」
「えっ、だ、団長!?」
「そこらの武器屋より、もっといい得物が売っている場所があるだろう!」
我らが団長の肩を組むと、オラリオの中心部に
「あそこに行くぞ!俺にふさわしい武器が、あの場所に眠っているッ!」
「いや、右京、あそこにあるのはヘファイストス・ファミリアのぶ...」
「イグゾーーーッ!!」
「ウワアァァァーーーーー!!!」
頼りない団長を引きずりつつ、バベルに居を構えるヘファイストスファミリアの店に突撃する。
「こんな店があったんだね...。」
「ベルは知らなかったのか?」
「うん、アハハ...。」
薄暗い店内には、剣や槍、斧、フルプレートアーマーのような重装鎧から軽装のガントレットまで、多種多様な武具や防具が所狭しと並べられている。ここの商品は見習い鍛冶師の作品を置く店のため総じて安い。そして何より、ここは
「右京〜!」
「なに〜?」
「ここに面白い形の斧があるよ〜!」
「おっ、どれどれ〜...」
しばらく店内を物色していると、どうやらベルがカウンターの側で良いものを見つけたようだ。ちょっと見てみよう。
それは、変わった形の片手斧だった。少し長めの柄にハルバードのような刃と穂先がついており、刃の反対側にはハンマーがついている。おそらく斬撃、打撃、貫通全ての攻撃に対応したものだったと思われる。素人目から見ても秀逸な作品だ。
しかし、値段を見て驚いた。お値段なんと2500ヴァリス。そこらに置いてあった斧と大して変わらない値段であったのだ。なにか訳ありなのか?
「...ああ、その武器か。」
「? あんたは店長さんかい?」
「そうだ。その武器は曰く付きのものでな...」
引退した冒険者であろうドワーフの店長曰く、それは大型のハルバード...だったものだと言う。柄が半分のところで折れており、
しかし、優れた武具だったから修理したものの、それが冒険者の遺品だったために縁起が悪いとされて売れ残り、この店まで流されてきたという。
「なるほど、そういうことでしたか。」
「この武器はやめとけ坊主。どうせ捨てるのも忍びなくて形だけ売ってるだけだしな。」
彼は酒を呷りつつそう言うが、この武器は俺にとっては素晴らしく都合が良い。この性能でこの値段。買わない手はない。
「いや、この武器、俺にくれないか?」
「いやいや、やめとこうよ!右京!」
「大丈夫大丈夫。俺こういうの信じないタチだから。」
「本当に良いのか?坊主。」
「ああ、武士に二言はないぜ?」
「...そうか。」
店長は、そう呟くと一滴だけ涙を零した。
「...その武器はな、俺の
「...そうだったか。」
「お前のように勇敢な若者に使ってもらえて、嬉しいよ。あいつも喜ぶだろうさ。」
「ああ、ありがとう。じゃあついでに、こいつらももらおうかな。」
そう言って俺は先程からずっと手元にあった金属製の
「おう、これなら...しめて7000ヴァリスだな。」
「あれ、随分と安いですけど...」
「なぁに、サービスだよ。息子の形見持って死なれちゃぁ堪らんからな!ガッハッハ!」
「! ありがとうございます、店長さん!」
「助かるよ、おやっさん!」
二人は気のいいドワーフに礼を言うと、軽い足取りで店を後にした。
「...うん、これでやることは全部かな。」
「ポーションも買ったし冒険者登録と説明も受けた。後はダンジョンに潜るだけだな。」
あのあと俺たちはバベルの付近にあったポーション屋でポーションを買い、
その後、ギルド内部の図書館で1〜5層のモンスターについて調べ、知識を頭に叩き込んで今に至る。ここまでで計4時間ほど経過しており、現在は正午に近い。
「昼飯食ったら、早速ダンジョンに潜るかな。」
「あんまり無茶しないようにね、右京。」
「わーってるよ、先輩冒険者さん。」
昼飯は何にしようか...
食いすぎると動けなくなるし、軽く何かつまむだけにしておくか。
はい、懲りずに登場、作者でございます。
次からようやく戦闘パートに入ります。お前ら、オリ主人公の戦いっぷり、見とけよ見とけよ〜?(五代雄介)
こんなペースでやってたら完結まで何十年と掛かりそうなので、次回からはパッパといきたいですねぇ。それでは、Chao~♪