ヲタク流、オラリオの生き方。   作:ケモミミ推し

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シロカネ・右京

Lv.1

STR I 0
VIT I 0
DEX I 0
AGI I 0
MAG I 0

MAGIC:
SKILL:
愛想一途(セリゲート・バージェン)
・経験値獲得量の増加。
・試練の誘引。
・特定の人物に対する想いの強さで効果向上。








第四話「戦闘開始!」

近くの屋台で軽い昼食を摂った俺とベルくんは、足早にバベルへと足を運んだ。

探索予定時間は1時〜4時の計3時間。かなり短いが、ベル曰くダンジョンに慣れるには時間がいると言う。俺は知識はあるが実地経験は皆無なので、先輩に素直に従うのが身のためだろう。

 

実際問題、いざダンジョンに繋がる大穴を目の当たりにすると、先程までの余裕は消し飛んだ。ここから先は死地であると、ひしめく冒険者たちの目が物語っている。

俺は、ある程度の情報を知っているだけでダンジョン(未知)を知った気になっていたと、改めて認識した。

 

 

 

「右京。まずは僕がお手本を見せるから、そこから少しずつ慣れていこう。」

「了解、団長。」

「...やっぱりそれ、ちょっとくすぐったいなぁ。」

「何が?」

「団長って呼び方」

「事実だろ?」

「そうかもだけど...」

 

ダンジョン第一階層。

主に少数のゴブリンが出現する、ダンジョンの中で一番難易度が低い場所を歩いている。入って数分立つが、今の所はエンカウントなし。

ダンジョン特有の空気にも少し慣れた。そろそろ敵を見たい所だが......

 

「見つけた」

「マジ?」

「ゴブリンが一匹。じゃ、ちょっと見てて」

「おう」

 

そう言うや否や、金属製のダガーを構えて走り出す。ゴブリンは直ぐにベルの接近に気づき、右手に持った小振りなナイフ_おそらく投擲用ナイフだろう_を振り回して応戦。

ベルはそれを冷静に弾き、隙ができたタイミングで首を撥ねて終了。見事なものだ。

 

確かこの時点でのベルはダンジョンに潜り始めて一ヶ月ほどのはず。最初はゴブリン一匹倒すのでやっとだったのが、随分と成長したものだ。それを実際に見ていない俺が言うのもおかしい話だが。

 

「こんな感じだけど...どう?」

「おぉぉ、凄いな。さすが団長。」

「えへへ...」

 

だが教えるのは下手だ。ダーッと行ってズバーンとか言わないだけまだマシな部類かもしれないが。

 

「じゃあ、次は俺の番だな。」

「え、もう少し見てたほうがいいんじゃ...」

「故人曰く、百聞は一見に如かず、と言う。」

「? 何を...」

「結局、実際にやってみないとなんもわからんっつー訳よ。」

「えぇ、大丈夫かな...」

 

体を灰に変化させたゴブリンが落とした魔石を回収しつつ、探索を再開すると、時間を置かずに再度ゴブリンを発見した。今度は2匹。両方とも素手なのが救いか。

 

「何かあったらすぐ助けるからね!」

「おう、まかした」

 

返事をしつつ、即興のメタ○ギア作戦を開始する。

ポケットから小石を取り出し、奥にいるゴブリンが向こうを見た瞬間、片方のゴブリンの足元に転がす。

案の定興味を引かれた手前のゴブリンは、無警戒にこちらに近づいてくる。ここまでは計算通り。

十分に引き付け、曲がり角から顔を覗かせたゴブリンが声を上げる前に、振りかぶった多目的斧槍「アーモリー*1」で頭をかち割る。その音で仲間がやられたことに気付いたもう一体が駆けてくるがもう遅い。拳の振り回しを慎重に盾受けしつつ、槍部分で首を一突き。

ダンジョンでのモンスターとの初遭遇(ファーストエンカウント)は、つつがなく終了した。

 

 

「すごいね、右京! ああやって敵を誘き出すなんて!」

「昔習ったんだよ。」

「誰に?」

「心の師匠。」

「こ、心の?」

 

しかし、これでは魔石は稼げても経験値(エクセリア)は手に入るまい。もっと危険を冒して戦わなければ、ここに来た意味はない。

勿論、一番大切なのは死なないことだけど、安全に冒険できれば誰も苦労しないのだ。

 

「次はもう少し真面目にやるかな。これじゃ”冒険”にならない。」

「ダメだよ右京!エイナさんが『冒険者は冒険しちゃだめ!』って言ってたし!」

「なんじゃそりゃ」

「右京は今日始めてダンジョンに入ったんだし、無茶は駄目だよ」

「無論気を付けるさ。でも第五階層までなら降りてもいいだろ?そこまでは勉強したし。」

「...言ってるそばから」

「こんなの無茶にならんわい。それに、装備代も含めてしっかり稼がなくちゃいけんしな。」

「むぅ...分かった。」

 

 

 

二人の新米冒険者(ルーキー)は探索を再開するべくダンジョンの奥、階層を下る階段目指して歩く。

その先に途轍もない試練が待ち構えていることも知らずに........

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

襲いかかってくるモンスター達は、進むごとに段々と強くなっていった。ゴブリンの群れは数を増やし、鋭い爪や牙で出血攻撃を繰り出すコボルトや、舌で中距離攻撃してくるフロッグシューター、天井に張り付き、ボディプレスで奇襲してくるダンジョンリザードが出現するようになる。特にダンジョンリザードの方は一度のしかかられると一人では抜け出すことも攻撃することも難しく、そのまま殺されることも多いのだという。全くもって恐ろしい。見つけ次第引きずり下ろしてタコ殴りに......

 

「右京!敵が来る!」

「は!?どこから!?」

「壁!」

 

その瞬間、前後の壁がひび割れ、中から大量のモンスターが溢れ出できた。その数コボルト5体、フロッグシューター3体。この現象が()()で発生した。つまり合計数は16体。狭い一本道にいる今の状況から考えると、逃走は難しい。

 

「やっ...ばいねぇ、これは。」

「右京は前を!僕は後ろの奴を片付けて退路を開く!」

「! 心強いね!頼むぜ!」

 

そうして右京は、侵入を阻むように出現したモンスターの群れに立ち向かって行く。

 

 

 

まず向かってきたのはコボルト2体。一匹目の首をを斧槍で切り飛ばし、もう一匹にはヤクザキックをぶちかます。蹴られたコボルトは宙を舞い、残り3体のコボルト達に突っ込んだ。

 

「すっげ...」

 

ここでようやく気がついた。恩恵(ファルナ)を授かったことで、Lv.1とはいえ身体能力がめちゃくちゃ上がっている。これが神の力なのか。

 

「とぅっ!」

 

ダッシュジャンプでコボルト達を飛び越え、まずはノロノロと展開していたフロッグシューターを仕留めにかかる。後衛から潰すのは定石である。

 

「でぇぇぇい!!」

 

跳躍の勢いも利用し、横一列に並んだ蛙共に右手の斧槍を振り下ろす。渾身の一撃は真ん中にいた単眼のカエルに命中し、灰になって消える。そのまま左の奴に注意しつつ、右の奴に乗っかり、逆手に持った斧槍で脳天を一突き。右の奴が舌攻撃で反撃するも、盾で危なげなくガード。これも斧槍の一振りで消滅させる。

ここまででかかった時間は、わずか5秒。体が思い通りに動くだけでここまでテンポよく戦えるのか、と再び驚く。

 

そこに、追い抜かしたコボルト達が襲いかかる。少し反応が遅れたが、斧槍を振り回して距離を取る。盾を構えて後退しつつ、束の間の思考。

 

_斧槍の利点はリーチと威力。ならば一体ずつ相手して一撃で仕留めれば..._

 

考えついた作戦を試すべく、盾を上げたままタイミングを見計らう。そして、不意に前に出て突きを繰り出す。その突きは痺れを切らして飛びかかったコボルトの喉を貫通し、右京の得物にブランと垂れ下がる。その死にかけを片方に投げつけて動きを止めつつ、リーチの短いコボルト達を一匹ずつ仕留める。

こうやって後の先*2や死体を投げつける戦い方も、全て格闘技漫画やファンタジー漫画で知ったものだ。それが、まさかこんなに上手くいくとは思わなんだ。

 

「終わったぞ〜!」

「こっちも大丈夫だよ〜!」

 

いつの間にか、俺達の距離は10メートルほど離れてしまっていた。群れを飛び越えたり下がりつつ戦ったから仕方ないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時だった。

 

 

 

 

 

先程と同じようにモンスターの群れが出現する。しかも今回はベルの周りだけ。途端にベルは身動きが取れなくなった。

 

「ベルッ!」

 

 

 

 

不幸とは、一気にやってくるものである。そんなことを最初に言ったのは誰だったか。

 

 

その状況に畳み掛けるように、後ろから圧のようなものを感じて咄嗟に振り返る。

 

前方の暗闇からゆらりとこの層には出現しないはずの人型モンスターが現れた。影のように黒い体のモンスターはたしか”ウォーシャドウ”。本来第六層に出現するモンスターだったはずだが、戦闘音に釣られて階層を越えてきたのか。しかし、聞いていたものと随分様子が違う。

 

身長は180センチをゆうに超え、のっぺりとしているはずの体には闇が固まったかのような鎧も着込んでいる。本来は存在しないはずの赤い双眸(そうぼう)*3から放たれる鋭い威圧感が肌に突き刺さる。

しかし、特筆すべきは両腕と一体化した二振りの剣だろう。丁度ポケモンSVのソウブレイズのようなカンジだ。

実際には初めて目にしたが、あれが所謂”強化種”というやつだろう。

 

 

「ハハッ...俺が相手しないと駄目かよ」

 

退路は後ろ。しかし大量のモンスターで封鎖されている。ベルがそれらを一掃するまで、少なからず時間が必要だ。

 

「時間を稼がなくちゃな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

..........いや、違うだろう。

 

 

お前はなんのために此処(ダンジョン)に来た?

 

 

金を稼ぐため?

 

 

ベルの動向を見ておくため?

 

 

違うだろう。

 

 

俺の目的は、強くなること。

 

 

”冒険”を重ね、死地をくぐり抜け、自分の殻を破るため。

 

 

なら、

 

 

 

 

 

 

今立ち向かわなくてどうする!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っし」

 

気合を入れ直す。斧槍を握り直し、盾を前に押し出す。古代ヨーロッパの重槍歩兵によく似た構えを取った右京は、目の前の敵を睨みつける。

 

「来いよ木偶の坊!格の違いを見せてやる!」

 

鋭く啖呵を切り、その勢いのままに(ウォーシャドウ)に突撃した。

 

 

まずは小手調べに、盾の裏で構えた斧槍を突き入れる。しかし鋭い突きは左腕であっさりと弾かれ、間髪入れず右手の突きを返してきた。

右京はそれを盾で正面から受け止める。

 

が、早くもここで想定外が発生する。

 

なんと、攻撃を受けた盾の内側に黒い剣が貫通してしまった。どうやら盾の硬度が足りなかったらしい。

 

「クッソ、速えし鋭い!!」

 

咄嗟に体を捻って避けるものの、掠っただけで左腕から血が噴き出す。この感じだと、直撃すれば自分の四肢くらいなら簡単に両断されてしまうだろう。

盾で正面から受けるのではなく、上手く受け流すしかない。

 

「やってやるよこの野郎ッッ!!」

 

連撃を繰り出し続ける影の攻撃を、ひたすらに盾で受け流す。

しかし、速度を上げ続ける剣戟(けんげき)に対し、ついに方向を合わせることすら困難になってきた。

未だに五体満足でいられるのは、攻撃を寸での所で避けられているからに過ぎない。もっとも、いつそれが崩れるか分からないが。

実際、体のあちこちには細かい傷が生まれ、盾には抉られたような跡が無数に残っている。

 

...盾はそろそろ限界か。

なにか策を講じなければ死ぬ。奴の弱点はないか?隙を突けるような穴はないか?

 

 

そんな最中、奴と眼が合った気がした。同時に、妙案を思いつく。

 

(もし奴が目で物を見ているなら......)

 

成功すればいいが、失敗すれば頭から真っ二つにされてしまうことだろう。

これは大いなる賭けだ。

 

 

 

「男は度胸...ってな!!!」

 

そう言って俺は、左手の盾を影の顔面に向かって思い切り投げつけた。

唸りを上げて飛んだ盾は、影の水平切りで真っ二つに引き裂かれる。

 

 

 

 

 

 

その瞬間、()()()()()()()()()()()()()()()()、全身全霊の上段斬りを影に叩き込む。

 

影も片方の剣で受け止めるも、薄く切れ味のある剣は、重厚な斧槍には勝てず粉砕される。

 

 

 

ハアァァァァッッッ!!!!

 

 

 

気迫の乗った斧槍の一撃は、自分より格上であったであろう影を、頭から真っ二つに叩き切った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「良い武器買ってて良かった...」

 

先程まで影がいた場所には、大きめの魔石と30センチほどの刀身が落ちていた。

少なくともアニメでは見たことがないドロップアイテム。あのウォーシャドウの剣先だろうか。

 

 

「右京!!!」

 

切り傷を治すためポーションをイッキしていると、モンスターの灰で汚れたベルが駆け寄ってくる。

あの数のモンスターを相手にしたベルも勿論無傷ではなく、体中から出血している。

 

「大丈ムグっ」

「バカ!早くポーション飲め!」

「...ぷはっ、右京だって全身傷だらけじゃないか!」

「掠り傷だわ!問題ない!」

 

 

束の間の死闘を繰り広げた俺たちは、緊張の糸が切れたのか、同時に膝から崩れ落ちる。

 

「・・・」

「・・・」

「「ハアァァァァァァァ.......」」

 

ダンジョンの中である事も忘れ、二人は地面に突っ伏す。

 

「生きててよかった...」

「ダンジョンってのはこんなのが毎日起こるのかよ...?」

「普通起こんないよ!」

「じゃあ、これが異常事態(イレギュラー)ってやつか?」

「...多分そうだけど、こんなのは僕も初めてだよ...」

 

 

状況を思い出した右京はのっそりと起き上がると、魔石やドロップアイテムをを集め始める。

 

「これが終わったらもう帰ろうぜ。疲れちまったよ。」

「うん、そうだね...」

 

ベルの方も、自分の屠ったモンスターの魔石を集め始めた。

 

「サポーターが欲しいな。」

「サポーター?」

「冒険者とは違って戦闘はせず、こういう回収作業や荷物持ちをする人たちのことさ。」

「なるほど、頼りになりそうな人たちだね。」

「まぁ...そうだな。」

 

 

 

サポーターになる奴らの多くは、ファミリアの見習いや自分自身で戦えるほど強くない奴らがほとんどだ。

だから、サポーターの立場は冒険者よりもかなり低い。顎で使われるだけならいい方で、時には真っ先に見捨てられることも......

 

 

まぁ、ベルくんはまだ知らなくてもいいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
この前買った斧槍にに自分で銘を付けた物。意味は英語で「武器庫」。

*2
相手の動きを見てからカウンター気味に動く事。

*3
2つの目




はい、投稿者です。
途中まで書いてたデータが消えて意気消沈だったところを自動保存機能に救われました。ハーメルン最高!!

主人公くんのスキル、どうですかね。名前はまあいいとして、効果やらが憧憬一途と被っちゃうのは仕方ないと思うのです(萌声)。まぁ主人公の宿命だと思っておいてもろて。

ところで、そろそろメインストーリーを書くのが面倒なところに入ってきましたので、そろそろ細かい描写を大幅にカットするかもしれません。(主要なイベントだけ書く感じ)

ご理解よろしこです。それでは。
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