「よし、ラーマ。ここで留守番しとくんだぞ。」
地下室まで連れてきたラーマに言い聞かせる。
ここなら原作でも被害はなかったし、ラーマを守るには最適だろう。
「じゃあ行って...」
そう言うと、ラーマに服の裾を掴まれる。
「...どこに、行くんですか?」
「いや...ちょっとしたパトロールだよ。」
「ぱと..?」
「あー、街を見て回るのさ。今日はモンスターを調教する
それを聞いた彼女は、何故かいきなりポロポロと泣き出し始めてしまった。
「す、すてないで...」
「え!?」
一体どういうことだ?
「いやいや、捨てないよ。実際に俺たちの
「え...?」
「気づいてなかったのか?流石に鈍すぎ......あっ。」
...なるほど。この子はここが適当に入った廃教会だと思っているのか。確かにオンボロだけど、生活感はあるだろ?
「...言ってなかったけど、ここが俺たち、”ヘスティア・ファミリア”の
「こ、こここ、ここがですか?」
「まぁ、気持ちは分かる。俺も最初はそうだった。」
「...今までのファミリアのどこよりも酷い...」
「いや、まぁ、なんだ...。数ヶ月も経ったら、きっといい物件が見つかるさ。」
まぁ、そのうちどこぞの
「...じゃぁ、そろそろ行ってくるな。時間がない。」
そう言って装備_鎧まで着込む時間はないので斧槍だけ_を携え、足早に階段を登る。
「あの......」
「必ず、帰ってきて、ください...」
「...大丈夫、軽く街を見て回るだけだから。危なくなったらすぐに帰ってくるよ。」
「わかり、ました...。」
こんなことしか言えないのは歯がゆいが、今は確認が優先だ。許してくれ...!
「それじゃ、行ってくる!」
街に出るや否や、とりあえずは闘技場に向かう。
モンスターは全てそこから脱走するだろうし、暴れ回った痕跡から後を追うことも可能だろう。
と、思ったのだが。
「うぉっ!?」
裏路地から表通りに出てきた俺の前に、オークが背を向けて立っていた。
まだ闘技場からは遠いのに、もうこんな場所までモンスターが広がっているのか。
「なっ...まずい!」
背を向けたオークの奥に、へたり込んで動けないであろう女性が一人いた。
オークはその女性ににじり寄り、そこらで拾ったであろう
「チッ、こっちを見やがれッ!」
叫んでタゲを取りつつ、斧槍を構える。本当は
「ちょっと付き合ってもらうぜ!」
「ブモォォォォォォ!!」
武器を持つ俺を脅威だと感じたのか、オークは3m近い巨体を揺らしながら重々しい角材を振り回す。しかし...
「お...っそい!」
横薙ぎに振り抜かれた
後ろにあった家の外壁を抉ったものの、体勢を低くすれば簡単に掻い潜ることができる。おまけに隙も大きい。
「でぇぇぇい!」
俺がその隙を逃すはずもなく、穂先で正確に胸の中心を貫かれたオークは魔石を失い、あっさりと爆散した。
「っと...大丈夫ですか!?」
「あ、ありがとうございます...」
「えっととりあえず、ギルドまで案内を...」
その瞬間。
頭の奥を殴られるような轟音とともに、後ろの家が粉々に吹き飛んだ。
その衝撃と土煙に、思わず目を瞑ってしまう。
恐る恐る顔を上げると、その先に立っていた
「あれは...インファントドラゴン!? なんでこんなやつが!」
インファントドラゴンと言えば11〜12階層に稀に出現する、体長4
というか、なんでこんな奴が地上に!? いや、
こんなやつ原作に出てきたっけ!? また改変かよ! バタフライエフェクトってやつか!?
「だぁぁークソッ!おいあんた!死にたくないなら早く逃げろ!」
「は、は、はいっ!」
ギルドの方角に逃げ出す女性を確認した後、改めて目の前の竜種と相対する。
相手はダンジョン上層の階層主と言っても良いレベルのモンスターだ。正直、一人で勝てる可能性は皆無。しかし......
「まぁ、一人逃がせただけでも良い方かな...」
戦いの火蓋は、唐突に切って落とされた。
この状況。実は自分にできることはほとんどない。
というのも。先程記述した通り、インファントドラゴンは上層での実質的な階層主であり、確か11〜12階層の攻略可能ステイタスはB〜Sくらいだった気がするので、こいつと戦うためにはほぼレベル2になれるほどのステイタスが必要になる。
しかし、自分のステイタスは比較的高い基礎アビリティの「力」と「耐久」ですらCに届く程度しかない。少なくとも数値上で勝ち目はない。
「勝てるわけねぇ...」
幸い奴はそこまで足が速いわけではないので、全速力で逃げ続ければ死ぬ可能性は少ない。しかしブレスを吐くこともあるので絶対ではない事と、建物を破壊しながら追いかけてくるため街の被害はむしろ広がってしまう。
だが、今は確かガネーシャファミリアと「剣姫」がモンスターを倒して回っているはずだ。轟音を聞きつけて増援が来てくれれば......
...本当にそれでいいのか?
ベルは(恐らく)今、ヘスティア様をかばいながらモンスターと戦っているはずだ。たとえ逃げ続けていたとしても、決して諦めずに。そんなベルに追いつきたい、追い抜いてやりたいと願っているこの俺が逃げるのか?
_そんな様子じゃあ、いつまで経ってもあいつに追いつくことなんてできないぜ。_
分かってる。でも相手は滅茶苦茶に強い。戦って
_別に俺は「正面から勝て」なんて言ってないさ。武器、地形、多めに貰えたステイタス。使えるものはいくらでもある。_
そんなに運が良いことなんかあるかよ。
_あるさ。そういうモンだからな。_
...そこまでいうなら、少しくらい前向きに逃げ回ってみるか。
_あぁ、そうしとけ。きっと上手くいく。_
「...よし...。」
腹は括った。後はやるだけやってみるだけだ。
どうも、投稿者です。
パソコンを買い替えてフォントが変わったので、指の動きがぎこちなくなった気がしています。
さて、ストーリーの件ですが。割としっかり書いているつもりなんですが、一向に話が進みません。第八話にしてまだアニメ二話のとこですからね。ペースアップして、早く魔法とか改変要素とか披露したいんですけどね。
こちらはそんな感じです。では。