ANOTHER TIME 仮面ライダージオウ れん編 作:すずらん☭️
3話と4話と補完計画という体ですが、1話2話という事件を経てるという設定なのでご了承ください
次回、仮面ライダージオウ!
「魂を吸われるって神浜ではもっぱらのウワサなんだって!」
「木崎衣美里だよー!」
「綾野梨花!」
「やっぱ…そういうことだよねぇ…!」
「久しぶりだねジオウ……宝崎で会った時……以来かな?」
「こうなった以上、やるしかないようだな」
「ええぇーっ!?」
「ごめん、説明はあと!」
『ANOTHER EP03 ソウル・レクイエム2018』
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この本によれば…普通の高校生常磐ソウゴ。
彼には魔王にして時の王者、"オーマジオウ"となる未来が待っていた…
"スーパータイムジャッカー"ことティードの野望を、仮面ライダービルド達平成ライダーと共に阻止したソウゴ達であったが、彼らが次に出会う存在は…魔法少女。
人の生命エネルギーを吸収するアナザーマギカに対処するためにソウゴ達は調査を始める訳ですが…この物語のソウゴ達は、皆さんがよく知っている彼らとは少し違うお話の存在…かも知れません…
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常磐ソウゴは大きな欠伸をして目を覚ました。
所々身体の節々が痛み、まだ頭も身体も目を覚ましきってはいないと言える。
そんな鉛のように重たい身体をなんとか引きずりながら1階の居間へと降りると、彼が住んでいるクジゴジ堂の店主でありソウゴの大叔父である常磐順一郎が迎え入れた。
「おはようソウゴくん!起きるの遅かったからもう2人とも朝ごはん食べ始めちゃってるよ」
「ふ、あぁぁ〜…おはよ〜…うん、なんだか疲れが取れなくて…」
再び大きな欠伸をしながらソウゴは食卓に着いた。
同居人であり、穿った見方をすれば彼の邪魔者でもある明光院ゲイツとツクヨミにもおはようと挨拶をし、コーヒーとサンドイッチを摂取する。
「どうしたの?すっごくだるそうだけど…」
「ん、まぁ〜……ね……あんな事があったし……なんだかとっても身体が重くて……」
「だらしがないぞジオウ、あの程度の戦いでへばるなんてな」
サンドイッチを口に運びながらゲイツは冷たく言い放つ。冷たい視線も添えて。
ゲイツとツクヨミは、"最低最悪の魔王"と呼ばれるオーマジオウという存在が支配する2068年の未来からやってきた。
その目的は、いずれオーマジオウとなる常磐ソウゴを倒し、自分たちがいる世界を変えるためである。
そしてソウゴには夢がある。
それは"王様"となることだ。
幼稚園児や小学校低学年の夢というならまだ違和感がないものと認識できるが、そんな夢を高校三年生になっても持ち続けている。大真面目に。
ゲイツとツクヨミがやってきた当初に、オーマジオウがどのような戦いをしていたのか、どんな非道なことをしてきたのかを見せられたソウゴは、そんな"最低最悪の魔王"ではなく"最高最善の魔王"を目指すようになった。
そんな彼と共に過ごす中で、ゲイツとツクヨミもまた変わってきていた。
たしかに同一人物ではあるものの、自分たちが見てきたオーマジオウと高校三年生の常磐ソウゴが結びつかず、とりあえずはソウゴを消すのではなく、ソウゴがオーマジオウとならない未来に導いていこう…というスタンスを取っている。
それを阻むものもいるのだが…それは別の話。
「ん〜ん…それもそうかもしれないけどさぁ〜…」
「順一郎さんが何回呼んでも起きてこなかったから、魂でも抜かれたのかと思っちゃったんだから」
「魂?そんなこと……あったよねぇ……」
遠い目をしながら内容は別として、他愛もない会話をしていると、順一郎が追加のサンドイッチを配膳しながら話に乗ってきた。
「魂が抜けるっていうと、最近そういうウワサがあるみたいだよねぇ」
「はぇ〜…物騒なウワサだねぇ〜…」
「なんでも、暗い夜道を歩いていると、ツクヨミちゃんくらいの歳の女の子が、ボロボロの白い着物を纏った女の子に魂を吸われるって神浜ではもっぱらのウワサなんだって!」
そのウワサを聞いて、ツクヨミが楕円形のタブレットを取り出し、調べ始めた。
「神浜…っていうと、この時代では最近発展してきた新興都市みたいね…たしかにネット上にもそういうウワサが流れているみたい」
「気をつけなよぉ?もしかしたら神浜だけじゃないかもしれないんだから」
ツクヨミが心配する順一郎に軽くお礼をいうと、店の入口から声が聞こえた。
「あっ、お客さん来たみたいだから、食べ終わったら食器まとめといてね!後で洗っとくから!」
そう言うと、そそくさと店へと出ていった。
「ねえ、そのウワサってもしかして…アナザーライダーの仕業かなぁ」
「……その可能性はなくはないな、だが決めつけるには情報が少なさすぎる」
「よしっ!それじゃあ行ってみようか……神浜に!」
決心したソウゴに、もう眠気はなかった。
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時代を駆け抜けた平成仮面ライダー達…
その力が今、未来へ受け継がれる!
祝え!新たなる王の誕生を!
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ANOTHER EP03
【ソウル・レクイエム2018】
「さぁーて!着いたよ神浜〜!!」
ソウゴとゲイツが持つ専用バイクであるライドストライカーを数十分走らせ、3人は神浜駅前へ着いた。
世間はとっくに冬休みということもあり、人通りが多い。大荷物を抱えて忙しそうにしている者、友人と楽しくお出かけしている者、ベンチに座って空をぼーっと眺めている物……それぞれにそれぞれの物語がある。
「それにしても…あんなウワサが流れているって言うのに、まるで無関心みたいね…危機感がないというか」
通行人を眺めながらツクヨミが呟く。
「いくら危険なウワサが流れていようと、自分だけは大丈夫という根拠の無い自信があるんだろうな」
「いいんだか悪いんだか…」
元いた時代が荒廃し殺伐としていた時代だからか、ゲイツとツクヨミは呆れている。
それをよそに、ソウゴは見慣れぬ街並みに心を弾ませているようだ。
「へぇ〜!電波塔とか大きなショッピングモールとか歴史ある神社とかお寺とか、色々あるんだねぇ〜!」
「全く……遊びに来たわけじゃないんだぞジオウ、まずは調査をしないとどうにもならんだろう」
ソウゴは読んでいたパンフレットを取り上げられたが、特に動じてはいない。
「大丈夫だって!なんかそういう情報に詳しそうなとこ、それに書いてあったからさ!」
「えぇ?情報屋……ってこと?そんなのここには書いてないみたいだけど……」
ツクヨミはゲイツからさらにパンフレットを取り上げ情報を探すも、ソウゴが言うそれらしいものは見当たらない。
「まあとりあえず行ってみようよ!商店街にそこはあるみたいだからさ!」
行き当たりばったり……といえばそれまでだが、自分の直感を"なんか……行ける気がする!"と信じてきたソウゴは、これまでもそうして事件を解決してきたのだ。
2人もそれは半信半疑ながらも分かっているから、ソウゴの言うことを聞き、商店街へと向かった。
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3人を出迎えたのは、先程と変わらず賑わっている商店街だった。
大きなショッピングモールがあるとはいうのに、この街の商店街は市民に愛され、今もこうして活気づいているのだろう。
「あぁえぇーっとー……そこじゃない?」
ある建物の前に脚を止め、看板に書いてある文字をゲイツとツクヨミが同時に読み上げた。
「「エミリーの……お悩み相談所……!?」」
「いやぁさ、こういうとこって、漫画とかだと街の事情とか詳しい感じするじゃん?だからここにしようと思ってさ」
「あのなぁ、いくら漫画でそうだからといって、現実でもそうだとは限らんだろう!?」
軽くキレているゲイツを宥めつつもソウゴは扉を開こうとする。
「まあまあ、せっかく来たんだし寄ってみようよ!」
「本当にこれでいいのかしら……」
ツクヨミの呆れ声も交えて。
こんにちはー……と挨拶しながら扉を開けると、内装は手作り感が溢れるものであった。
ハート型の風船、上から吊り下げられた連なっている輪っか、マゼンタ色の水晶が設置されたケーキの断面のような模様の四角い机、そして背面には『エミリーのお悩み相談所』と書かれたハートと逆三角形のような装飾……
ソウゴは心の中で、なんか……違う気がする……と思ったが、それも吹き飛ばされてしまった。
「おっ?お客さーん!しかも3人も!!ささっ、座って座って〜って、ヤバ!椅子足んなくね!?」
「あたしが立つから大丈夫だよ!ごめんねーっ、今用意するから!」
中にいたのは今時のギャル……と形容するべき少女2人だった。
2人とも金髪だが、最初に声を発した方は腰下まで長いのツインテールで、今3人分のパイプ椅子を用意している方は短めのツインテールだ。
少し2人のテンションに引きながら、ソウゴたちはパイプ椅子に腰をかける。
「改めましてっ、エミリーのお悩み相談所にようこそー!あーしがここの所長の木崎衣美里だよー!ピッチピチの中学一年生!よろしくねーっ☆」
「んでっ、あたしはえみりんの友達の綾野梨花!中学三年生だよーっ!よろしくねーっ!」
「そんなに若いんだ…」
想定外のことが続くと、人間の思考は停滞してしまうが、気を取り直してソウゴ達も自己紹介をする。
3人の名前を聞くやいなや、衣美里は軽く頭を抱えてて唸っている。
「えっ、大丈夫……!?」
「大丈夫大丈夫!えみりんは初対面の人に独特なあだ名付けるのが得意だからねーっ、ちょっと待っててよ!」
納得できるような出来ないような返答に、ツクヨミは押し黙ることしか出来なかった。
「おし!決まった!」
「おおっ!?どういうあだ名ー?」
「えぇーっとーねー……」
1人1人指さしながら、衣美里はあだ名を付けた。
「『ときわっしょい!』『ミョウツー!』『ヨミヨミ新聞!』……ね!」
「あははっ、いつもに増してセンス爆発してんねーっ!」
盛り上がってる2人をよそに、ゲイツ達は困惑しているようだ。
「なんなんだこいつらは……まるでついていけん……」
「新聞って……どこから出てきたの……」
「まあまあいいじゃんいいじゃん!面白いんだし!」
独特なあだ名もすんなり受け入れられるのも、ソウゴのいい所なのかもしれない。
それどころか、あだ名をつけられる機会がそうそうなかったからか、ソウゴは少し嬉しそうだ。
そんな嬉しい気持ちを弾ませながら、会話を続ける。
「それでさあ、ここって随分フランクな感じなんだね!相談所っていうもんだから、厳かな感じかと思ってたんだけど」
「んまぁーねーっ、ぶっちゃけ、相談所って言ってるけど、あーし達は楽しくだべってるだけだし?」
「そのだべりが思わぬ解決の糸口になったりするから、こうして相談所ってなってるんだよーっ」
「あーしとしてはあんまし相談に乗ってるって感じはしないんだけどねーっ?でもさっ、楽しくだべってて誰かの役に立ててるんなら一石二鳥じゃんっ?ってことで!3人はどういうご要件で来たのーっ?」
流れるような会話で本題について聞かれたソウゴは、その話術に感心しながら話し始めた。
「2人はさ…最近神浜で騒がれてるらしい"ウワサ"について……知ってるかなぁ?」
「おー……まぁー……ねーっ……昔から神浜って変なウワサが多い感じだし?あーしの尊敬してる先輩からたまに聞いたりするよーっ」
「そうなんだ……それで、俺たちは女子学生の魂を吸う白い着物の女の子のウワサについて調べてて……何か知らないかなと思ってさ」
ソウゴの言葉を聞いて、2人は先程までとは違い、動揺しているようだ。
「知ってるは知ってるけど……あんまし首を突っ込んで欲しくはないよねー……」
「うんうんっ、どういう意図かは知らないけど、好奇心だけでそれを追いかけるっていうのは、あたしはあんま感心しないかなぁー……」
その言葉を聞いて、にこやかに笑みを浮かべながらソウゴは返した。
「好奇心だけ……ってわけじゃないよ?俺さ、王様になりたいからさっ、民を守るのは王様の役割でしょ?だから見過ごせないって思ってね」
またもや2人はぎょっとした目で驚く。
「「王様っ!?」」
「あーし色んな子見てきたけどっ、そんなこと言う人に初めて会ったよ〜……」
そんな会話を繰り広げる3人をゲイツが眺めていると、何か気づいたようだ。
険しい顔になったゲイツに、何かあった?とツクヨミが話しかけようとした瞬間、突然梨花が立ち上がった。
「……ごめんねっ、あたしちょっと行かなきゃだめな用事思い出した……またねっ!」
返事を聞く前に、梨花は相談所から走っていった。
「ちょ、ちょっと!?」
「いきなりどうした!?」
「とりあえず俺も行ってくる!」
困惑する2人をよそに、ソウゴも走り出した。
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中学生の女子を高校生の男子が走って追いかけているという光景は、傍から見れば危ないものだろう。
商店街から離れていくにつれて、人通りも少なくなっていたからか、それを目撃した人物はそう多くはないが。
「もー!なんで追っかけてくるのさー!」
「なんか、そうした方がいいって思ったからさ!」
「むーっ……やっぱソウゴくんって変わった人ー!」
軽く息を切らしながら走る2人は、いかにも危険な雰囲気が漂う工場地帯に辿り着いた。
「ねぇ梨花、ここに何かあるの?」
「しっ!……来たからには、あたしから離れないでね?」
人差し指を口に当てて、先ほどとは違う真剣な眼差しで梨花が注意する。
と、その時。
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
女の子の悲鳴が耳へと轟いた。
恐らく、その声の主は自分たちがいる所からはそうそう離れていないはず。
辺りを見渡しながら探すと…
「っ……!?あれは……!」
腰が砕けた少女に詰め寄る、ボロボロの白い着物を纏った少女がいた。
「あっ、ちょっとっ!?」
梨花の静止も聞かず、ソウゴは走り出し着物の少女に体当たりをかますと、その拍子に着物におどろおどろしい書体で書かれた名前と数字を目撃した。
「大丈夫!?とりあえずあっちに逃げて!」
ソウゴは襲われそうになっていた少女を立ち上がらせて逃がす。
「やっぱ…そういうことだよねぇ…!」
「ソウゴくん!危ないよ!ソウゴくんも逃げて!」
「大丈夫!……俺は、仮面ライダーだからさ!」
そういうと、ソウゴは変身ベルト《ジクウドライバー》を腹部に当て、右手に小さな時計型の変身デバイスである《ジオウライドウォッチ》を構え、カバーを回し、天面のボタンを押す。
《ジ、オウ…!》
素早くドライバーの右側のスロットにウォッチを装填し、天面のスイッチを押し、ドライバーを傾け、脚を大きく開き、左手を逆側に突き出し、ポーズを取る。
「変身!」
そのまま左手で、ドライバーを時計回りに1周させると、身体の後ろの時計のベルトのようなエフェクトが身体を包み込む。
《ライダーターイム!!……カメン"ライダー"!ジ、オーウ…!》
その変身音の通り、ソウゴの顔に『ライダー』という文字がピンク色で書かれて、全身が黒と銀で覆われたものへと"変身"した。
これこそが、最前最高の王を目指す戦士『仮面ライダージオウ』だ。
《ケン!》
音声の通り、ベルトから文字が出現し、そのまま専用武器《ジカンギレード ケンモード》となる。
それを白い着物の少女へと振りかざす。
鈍い金属音が響くと、相手も魔道士が使うような杖で防御していた。
「ねえ君…もしかして"アナザーマギカ"…だよね?どうして人を襲ってたのか、話して貰えない!?」
ジオウの問いかけに彼女は応じるはずがなく、杖を弾いて距離を取り、杖を大きく振りかざし、濁った色の光弾を乱発してくる。
ジオウは咄嗟にそれを回避したが、光弾が着弾した地点は小さな爆発が起こっている。
「やっぱり…話しちゃくれないよねぇ…!」
《ジュウ!》
刀身を仕舞い《ジカンギレード》を《ジュウモード》へと変化させ、アナザーマギカの光弾を撃ち落とし、何発か攻撃を与えることに成功した。
見た目は目元まで黒いオーラで覆われたコスプレをした女の子だが、その身体は堅い鎧で覆われているようで、火花が散っている。
畳み掛けるように、ジオウは《ジカンギレード》
の天面のボタンを押し、必殺技を放つ準備をした。
《タイムチャージ! 5・4・3・2・1…ゼロタイム!!》
「おりゃーっ!!!!」
《スレスレ撃ち!!》
「ジュウ」と描かれたピンク色の文字型エネルギーが連発され、アナザーマギカへと着弾した…ように見えたが、杖の先端から鎌を展開し、円状になるように振り回して防御したようだ。
ジオウがなにっ、と一驚の声を上げるとほぼ同時に、アナザーマギカが鎌を振りかざしながら接近し、そのままジオウの身体を袈裟斬り…!
大きく火花が飛び散り、ジオウは苦悶の声をあげてしまう。
「くうぅ…だったらこれで!」
左手に天面が緑、土台が紫のライドウォッチを構え、先程の変身時と同様のプロセスで《ジクウドライバー》の左側のスロットに装填し、別の形態へと変身する。
《アーマーターイム!サイクロン!ジョーカー!"ダブルー!"》
ジオウは、街の涙を拭う2色のハンカチにして探偵の『仮面ライダーW』の力を継承した姿、《ダブルアーマー》へと変化した。
そのまま左手の人差し指をピン…!と指さし、決めゼリフを放つ。
「さあ…お前の罪を…教えて?」
決めゼリフの途中で手をパーに開き、相手に問いかけるが、もちろん応じるはずが無い。
それも重々承知なので、言い終わるやいなや、すぐに風を纏った回し蹴りを連続で仕掛ける。
1発、2発…と確実にダメージを与え、相手の体力を削っていく。
「これでもくらえぇ〜っ!!」
先程と同じように人差し指を差し出すと、緑色のエフェクトを纏った竜巻が立ち込め、アナザーマギカを巻き込んでいく。
次第にそれは大きくなっていき、脱出するのは困難だろう。
「よし!これで!」
両方のウォッチとベルトの天面のボタンを押してベルト全体を傾け、一気に時計回りに一回転させると、必殺技の音声が鳴り響く。
《フィニッシュタイム!マキシマム!タイムブレーク!》
ジオウの胸から肩にかけて装着されている緑と黒のアーマーが分離し、『メモリドロイド』に変形をするやいなや、1人と2体が風に巻き上げられ、必殺キックをくらわせる体形を取る。
2体のメモリドロイドが両足に合体し、脚がWの文字を描き、竜巻に取り込まれているアナザーマギカへと直撃した!
爆発を起こし、壊れた人形のように動かなくなったアナザーマギカに対し、ジオウは緩やかに着地するが…違和感を感じていた。
以前戦ったことのあったアナザーマギカや普段戦っているアナザーライダーと違い、このアナザーマギカには"中身がない"……そう感じたのだ。
攻撃を与えた時の手応えはあったが、不思議とそう感じた。
その違和感を確かめようと、倒れているアナザーマギカにジオウが歩み寄ろうとするが、突然時間が静止してしまう。
「っ……!?これは……まさか……?」
自分自身が停止してしまっているという感覚はあるが、手足が思うように動かない。
この時間停止をジオウは何度も経験しているが、今はそれに対抗する手段はない。
そんな彼をよそに、一定のリズムを刻んで、白いローブを身にまとった少女がジオウとアナザーマギカの間に割って入ってきた。
「なっ……お前は……!?」
「久しぶりだねジオウ……宝崎で会った時……以来かな?」
「やっぱり……君も……"タイムジャッカー"なんだね……!」
「うーん……そうとも言えるね……今の私は、タイムジャッカーとしての役割を果たしているだけ。だから、他のタイムジャッカーのように、君の代わりに新たな王を擁立しようだなんてこれっぽっちも考えてないよっ」
挑発するような口調でそう言いながら、アナザーマギカの中に手を突っ込み、ライドウォッチを醜く歪ませたような形の"アナザーウォッチ"を取り出し、天面のボタンを押すと…
《REN…》
呻き声のような音声を鳴らし、再びウォッチを体へと押し戻す。
禍々しい紫色のオーラを巻き上げながら、アナザーマギカはゾンビのように全身をうねらせらながら立ち上がった。
目の前でその一連の流れを見つつも、自分の体は動かず何も出来ない。
それがジオウにはとても歯がゆかった。ここで完全に停められれば、更なる被害者は出ないかもしれないのに。
「それじゃあ、引き続き私を楽しませてくれよ?」
タイムジャッカーは悠々とその場から立ち去り、それと同時に時間停止が解除された。
「……くそぉっ!!」
復活したアナザーマギカがジオウに再び立ちはだかる。それに、先程よりも攻撃の威力、速さが増しているようだ。タイムジャッカーが何か細工をしたのだろうか?
あまりにも速い連続攻撃を受けて、ジオウは大きく弾き飛ばされ、ダブルアーマーも解除されてしまった。
反撃をしようにも、攻撃を当てられず、何とか体勢を立て直そうとするも、思うように力が入らない。
「……っ!?まずい……!」
アナザーマギカは杖を大きく掲げてエネルギーを溜めている。何か大技を放とうとしているのが目に見える。
エネルギーを溜め終わるやいなや、ジオウに向かってそれを放とうとしたその時。
「くらええぇ〜っ!!!!」
赤と黄が混ざったような極太のビームがアナザーマギカを撃ち抜いた!
それに驚くジオウの前に、ふわふわとしたスカートをはためかせ、赤い花をモチーフにしたかのような服装の少女が立った。
「……大丈夫!?」
魔法少女へと変身した綾野梨花であった。
「ええぇーっ!?」
「ごめん、説明はあと!とりあえず、あれをなんとかしないと!」
「えっ、あ、うん……わかった!」
梨花は手のひらのコンパクトを開き、鏡から光弾を放つ。回避されてしまったが、その隙を縫ってジオウが打撃を与え、それを数回繰り返す。
その時にジオウは先程までの戦いと違うことを発見した。
「(なにこれ……人魂……?)」
攻撃を受ける度に、アナザーマギカの体から青い火の玉が溢れ、それは空に上がってまるでどこかへ旅立っていくように消えていく。
それに触れても何ともないが、ソウゴは不気味に感じた。
でも、今はそれを気にしている場合ではない。そのまま攻撃を続けると、アナザーマギカは元からボロボロの風貌が更にボロボロなっており、衣装が所々剥がれてしまっている。
表情は暗闇に隠されたように全く読み取ることは出来ないが、このままでは不利と判断したのか、アナザーマギカは後ずさりして撤退しようとしている。
「待てっ!」
その声に応じるはずもなく、2人はアナザーマギカを逃がしてしまった。
落胆している2人の間に、しばしの沈黙が続いた。
方や黒と銀の鎧を纏い、顔に"ライダー"と書いてある存在。
方やいわゆる"魔女っ子"を彷彿とさせるような服装の女の子。
その沈黙を破ったのはジオウだった。
「あのさ、梨花……君って、魔法少女……だったんだね」
「え、魔法少女のこと知ってるの?」
「まあね……前に、宝崎って街に行った時に魔法少女と出会ってね……」
その事件について語ろうとした時……
「りかっぺー!ときわっしょーい!どこー!?」
衣美里の声が複数人の足音と共に耳に入ってきた。数秒後に2人がいる路地にゲイツ、ツクヨミ、衣美里がやってきた。
「うおっ!?誰っ!?」
ジオウの姿を見て驚いた衣美里を見て、ジオウはドライバーのウォッチを取り出し、ソウゴへと戻った。
「あぁごめん、俺だよ俺」
「と、ときわっしょい!?何それー!すっげー!」
そのやりとりを見ながら、梨花も魔法少女への変身を解除する。
「やはりそうか……お前たち2人は魔法少女だったんだな」
「ゲイツ!知ってたの!?」
「あぁ……2人とも、左手に指輪をしていたからな……」
「あれっ!?3人とも魔法少女のこと知ってる感じー?」
話が混雑してきた所を、ツクヨミが切り出した。
「一旦、お互いの情報を整理した方が良さそうね。ごめんなさい2人とも……決して隠し事をしようと思っていたわけじゃないんだけど……」
「いや、あたし達も同じだよ……危ない目に巻き込みたくなかったし……でもこうなった以上、あたし達も話すよ」
その場で5人はお互いの話していなかった情報を話し始めた。
常磐ソウゴがいずれ最低最悪の魔王になり、それを阻止しにゲイツとツクヨミが未来からやってきたこと。
ソウゴとゲイツが人間の自由を護る戦士"仮面ライダー"だということ。
ソウゴがオーマジオウとなることを阻止しようとしている別の勢力、タイムジャッカーの存在。
タイムジャッカーは過去の仮面ライダーの歴史を奪い、アナザーライダーと呼ばれる怪人に一般人を変身させ、オーマジオウとは別の王を擁立しようとしている存在だ。
一見、最低最悪の魔王を生み出さないように活動している勢力に見えるが、事故に遭う前に時を止めてアナザーライダーにならなければ死ぬと言い無理やり契約を迫ったりと、やり方は決して正しいとは言いきれない。
そして、アナザーライダーが誕生すると、本物の仮面ライダーの歴史がなかったことになってしまう。
例えば、2017年に活躍した仮面ライダービルドの力が奪われてしまうと、仮面ライダービルドに変身していた桐生戦兎という男は仮面ライダービルドにならなかったifの人生を歩んでしまう。
その歴史改変はアナザーライダーを倒せば元に戻るという訳では無くて、アナザーライダーは同じライダーの力を持たないと現状では倒すことが出来ない。
アナザービルドを倒すには仮面ライダービルドの力、アナザーファイズを倒すには仮面ライダーファイズの力。
では、ジオウ達はどのようにしてそれぞれのライダーの力を得ているのか?
それが先程ジオウが使っていた仮面ライダーの力が込められているライドウォッチによるアーマータイムだ。
対応した力がないと完全にアナザーライダーは撃破出来ないものの、1度撃破してから復活するまでにタイムラグがある。その間、本来の仮面ライダーの変身者の記憶が戻り、ライドウォッチを受け取る。
また、直接変身者に会わずとも、元の変身者が第三者に渡していて、それを継承するというパターンもある。
そうして、ソウゴ達はいくつもの仮面ライダーの歴史を継承してきたのだ。
タイムジャッカーによる歴史改変を受けても、本来の仮面ライダーの変身者達はいずれ仮面ライダーになる存在だ。それぞれの時代に時空転移システムを備えた《タイムマジーン》という機械で時間を越えて、力が込められていないブランクウォッチを彼らに渡して、現代で仮面ライダーの力を受け取る。
……という、複雑なシステムを一度に説明され、梨花と衣美里は混乱している。
「う、うぅーん……?」
「わかったようなわからないような……いや、むしろわかんないよー……」
衣美里は顔をしかめて頭を抱えてしまっている。
そうなるのも無理はない。実際、ソウゴ達も数々のレジェンドライダー達と触れ合っていく中でこのシステムを理解したのだから。
「でさっ、3人は魔法少女のこと知ってんだよねー?どこで知ったの?」
「さっきの白い子が宝崎とか言ってたけど……」
2人の問いに、ソウゴ達は話し始めた。
以前も黒いオーラを纏った少女が人を襲い、生命エネルギーを吸収しているという怪事件が起こり、解決のために宝崎という街に向かい、黒江という魔法少女と出会ったこと。
彼女から、魔法少女はキュゥべえと呼ばれる白いたぬきと猫を合わせたような小動物と契約し、たった一つの願いを叶える代償に、魔女という人々に絶望を振りまく幻魔と戦う使命を課される存在ということを聞いている。
また、その事件の正体は修道女のようなケープを纏い、魔女のようにおぞましく、歪んだオーラを発していた少女のような存在であり、ソウゴがこれまで戦ってきたアナザーライダーとも違う存在であるが、魔法少女のもうひとつの歪んだ姿……という意味合いで、便宜上"アナザーマギカ"と呼んでいる。
その事件は、妹とその友人を失った少女、環いろはからライドウォッチを受け取り解決済みだ。
「なるほどねー……そんなのがいるんだ……」
「つまり、さっきの銀髪の着物の子も、もしかしたら魔法少女になっていた存在ってわけなのかなっ?」
「そうだな……あの時は環いろは自体も事件を追っていたからウォッチを貰えたが……今回もそう行くとは限らないな」
「そもそも……そのアナザーマギカの名前とか手がかりは……」
ツクヨミの言葉を途中で遮り、ソウゴが告げる。
「"れん"……それが彼女の名前だよ。彼女の着物にも書いてあったし、タイムジャッカーが起動したウォッチもそう言ってた」
アナザーライダーには、その元となったライダーの名前と、そのライダーが生まれた年代が記されている。
それを手がかりにアナザーライダーが誕生してしまった年代に向かい撃破するのが攻略法と言えるが、今はアナザーれんに対抗出来るウォッチがない。
「だとしたら、直接彼女に会ってみるしかないな」
「2人とも、そのれんって子を知ってたりしない?」
「うーん……」
「あーし友達結構いるとは思うけど……聞いたことないかなぁ……」
衣美里は明確に返答をしたが、梨花はすこしはぐらかすような素振りを見せている。
「それじゃあさ、二手に別れない?俺と梨花がアナザーマギカの目的とかを聞き込むからさっ、3人はその"れん"って子のこと調べて貰えない?」
両手を合わせて軽快な音を出しながらソウゴが提案する。
「おっけー!んじゃっ行こー!ミョウツー!ヨミヨミ新聞!」
「おい!どこへ行くんだ!」
「とりま学校っしょ!センセには話つけとくからー!」
「結局呼び名それなのね……」
衣美里の突然の行動に呆れながらも、3人で走っていった。
「それじゃあ俺達も行こうか!」
「う、うん……で、聞き込みって、どこでやるのさっ?」
「とりあえず……駅前……かな?さっき見たとこ、結構人いたし」
「うんっ、わかったっ」
2人もまた、駅前へと向かった。
ソウゴは梨花が何かを拾っていたことに気づかなかった。
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ソウゴ達が神浜に来てから数時間が経過したということもあり、人通りは少し減っている。
ソウゴと梨花は手分けをして聞き込みを開始した。
「怪事件?あ〜あれね……結構なウワサになってるよねー」
「ウワサ自体は知ってるけど、実際に目撃したことはないかなぁ」
「俺の彼女も襲われるんじゃないかって心配してるよ〜……早くいなくなってほしいわ」
「はうぅ……理由がどうあれ、お友達さんが傷つくのは見たくはないですぅ……」
「あちしの前にそいつが出てきたらやっつけてやるんだい!」
……と、聞き込みを続けたがどれも手がかりになるものはなかった。
「はぁ〜……心折れちゃいそうだよー……ソウゴくんって、いつもこういうことやってんのー?」
「ははっ、まぁね……運がいいとすぐに手がかりが掴めるんだけど……今日はダメな日かもしれないや」
「そっかぁ……なんか探偵さんとかの気持ちがわかるよー……」
「あと1人くらいに話しかけたら、少し休憩しよっか?」
はーいという返事を貰い、2人で通りかかった青髪の少女に話しかけた。
「ねえねえっ、ちょっといいかなっ?」
「何?忙しいんだけど!」
あまりの迫力に驚きながらも、最近神浜で流れているウワサについて聞き込む。
「あー…それね…確かに、レナの学校でも何人か被害者が出てる、って聞いてるけど?」
この子の名前はレナっていうのか、と思いながら、彼女の話をソウゴと梨花は聞き続ける。
「でも正直、ざまあみろって思う気持ちもあるのよね」
「えっ?」
「全員が全員そうだったかはわかんないけど、少なくともレナの知ってる限りは、被害者はみんな……その……いじめっ子なのよ」
レナは少し顔をしかめている。
いじめは…人の心の中に少なからず存在する悪意がちょっとした事がきっかけで起きるものだ。
「だから、その魂吸う女の子?には感謝してる…とまでは言えないけど、スカッとしたとは思ってんのよ」
そこまで聞いて、ソウゴはあることを察したが言葉には出さなかった。
「そっか……ありがとう!ごめんね長々と」
「ほんとよ!まったく……それじゃっ」
そう言って彼女は立ち去ってしまった。
「ねえ……あの子もしかして……」
「多分……梨花が思ってることが合ってると思うよ」
これまで全く手がかりが無かったが、ひとつだけ手がかりが見つかった。
"被害者は主にいじめっ子"だと言うことだ。
「んー……手がかりにはなるけど、裏付けが欲しいよねぇ……」
「あたしの友達にも色々聞いてみるよっ!……あ、えみりんから連絡来てるっ」
梨花のスマホには、衣美里から調べ物が終わったから1度合流しようと連絡が来ていたので、2人は1度相談所へと戻ることにした。
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相談所へと戻る途中。
「やあ、我が魔王」
「ウォズ!」
濃い緑色のコートにグレーの長いマフラーを纏った黒髪の青年がソウゴに話しかけてきた。
「誰?ソウゴくんの知り合い?」
「えぇっとね……ウォズって言って、俺の忠実な家臣……かな」
「へぇー!もう家臣さんがいるんだ〜……しかもいっけめーん……!」
この人が俳優さんだったら売れそうだなーという梨花の視線を無視し、ウォズはソウゴに話しかける。
「また、厄介事に巻き込まれてしまったみたいだが……あくまで君はこの事件を解決するつもりかい?」
「もー……ウォズなら分かってるでしょ?たとえ俺の覇道に必要じゃなくっても、俺の手が届くんだとしたら助けたいって」
「そう言うと思ったよ……たしかに、前回といい"アナザーマギカ"とやらはこの本には載っていないからね」
ウォズは"逢魔降臨暦"という大仰なタイトルの本を開きながら告げる。
「あくまで私の想像だが、我が魔王。この先君の心には、少なからず迷いが生まれてしまうだろう……だとしても、君は君の道を進むといい」
「そっかぁ……つまりさ、いつもの俺でいい……ってことだよね?」
余裕の表情でソウゴはウォズの肩を軽く叩く。
彼もまた微笑んだ。
「そうだね……それじゃあ我が魔王、私はこれで失礼するよ……少しやることがあるのでね」
「そうなんだ、じゃあまたね〜!」
2人の絡みを見ていた梨花は不思議な気持ちになった。
「なんか……王様と家臣にしては、随分とフランクな感じなんだねーっ」
「そう?普通じゃない?」
「本人がそう思ってるなら……まーいっか!」
再び2人は相談所へと歩き始めた。
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ソウゴと梨花がウォズと会う数時間前。
ゲイツ、ツクヨミ、衣美里の3人は衣美里の通う神浜市立大附属学校へと向かっていた。
もうそろそろ年を跨ぐ季節だからか、身体を突き抜けるような寒さが襲ってくる。
そんな寒さだと言うのに、小学生くらいの子どもは走り回って遊んでいる。
まあ、やかましいのは今歩きながら電話している衣美里もだが。
「そーそー!そんな感じ!だから先輩も用事終わったら合流してくんなーい?ん?ん?おっけー!今ガッコに向かってっから、終わったらそのまま直行でおねがーい!」
やっと電話が終わったかと2人が呆れていると……
「いやぁごめんねー!とりま、頼りになる援軍というか先輩呼んだからさっ」
「援軍?」
「さっきりかっぺとときわっしょいがなんかやばそーなのと戦ったらしいじゃん?だから戦えるあーしの偉大な先輩を援軍にねーっ」
「ということは……その人も魔法少女なの?」
「うんうん!あーしよりも長く魔法少女やってる大ベテランで、ほんっと頼りになるんだよーっ!」
と、これから衣美里がその先輩のことについて話そうとしたその時。
3人の目の前に白いローブを纏った少女が現れた。
ゲイツはその少女に見覚えがあった。
「っ!?貴様は……!」
「やあ、久しぶりだねぇ……宝崎で会った以来……かな?」
飄々とした態度で少女は続ける。
「このまま君たちを見過ごしてもいいんだけど……少しばかり、君たちの邪魔をしに来たよ」
「……なんだと?」
ゲイツが彼女を睨んだその時、空間が突然歪みだし、サイケデリックな色彩が広がる空間へと変化した。
「これって……!」
「魔女空間だよ……!」
衣美里はツクヨミを庇うように右手を伸ばし、彼女を下がらせる。
「あの子が……りかっぺとときわっしょいが出会った……タイムジャッカーってやつなんだねっ」
「恐らくな……気をつけろ、奴は何をしてくるか分からん」
「わかってるよ……魔女空間を作り出すなんて、相当やばいやつだって分かるから……」
先程とは打って変わって、衣美里も真剣な表情を浮かべており、ツクヨミは懐から《ファイズフォンX(テン)》という武器を銃モードにして構える。
そんな3人を嘲笑うかのように、少女は指パッチンをすると、耳を塞ぎたくなるような轟音を立てて、自らの体躯の何倍の大きさはあるクリーチャーを召喚した。
「やっぱ……魔女も呼び出せちゃう感じ……?」
衣美里は冷や汗をかいていた。
2人は頼りになる存在かもしれないが、魔法少女自体は今ここに自分一人しかいない。
いざとなれば2人を逃がして、この魔女を1人で相手しなければならない可能性があるのだから。
「それじゃ、頑張りたまえ!」
灰色に濁ったオーロラをくぐり抜け、少女は姿を消した。
「こうなった以上、やるしかないようだな」
ゲイツは《ジクウドライバー》を腰に装着し、赤いライドウォッチを起動させる。
《ゲイツ…!》
《ゲイツライドウォッチ》をスロットに装填し、天面のボタンを押しドライバーを傾け、両腕を前へ大きく突き出し、そのままドライバーを包み込み、回転させる!
《ライダーターイム!仮面"らいだー"ゲイツ!》
その名の通り、顔に黄色い文字で「らいだー」と書かれ、赤いボディを煌めかせた、最低最悪の王を止める戦士、仮面ライダーゲイツが降臨した。
それとほぼ同時に、衣美里も魔法少女へと姿を変えた。
衣美里の変身形態は、ハートを象ったような衣装であり、平たく言ってしまうと"小悪魔"という所だろうか。
「ほぇー……なんかかっこいい!」
「言ってる場合か!……俺は魔女と戦った経験はあるが、恐らくお前の方が経験は上だろう、お前が指示をしてくれるか?」
「おっけー!……って言いたいとこだけど、あーしも普段はサポートだから自信ないよーっ……でも、やってみるしかないっしょ!」
ツクヨミを物陰へ下がらせ、魔女との戦闘が始まった。
魔女は醜く歪んだナースの身体に夥しい数の注射器が装填されている。
《ジカンザックス!》《You!Me!》
ゲイツは専用武器"ジカンザックス"を取り出し、ゆみモードで自分の身体の数倍以上の大きさの魔女に矢を放つ。
それを迎撃するかのように、魔女は注射器から同じように矢を放ち相殺させた。
一見、拮抗しているように見えるが、手数は圧倒的に魔女の方が上だ。
ファイズフォンXでツクヨミも援護してくれるが、次第に飛んでくる矢の数が多くなり、ゲイツは回避が中心となってしまう。
それでも諦めず射撃を続けるが…徐々に押され始めてしまう。
「(ここまでは手筈通りだが…あいつが上手くやってくれるか…)」
《Oh!No!》
回避するのが困難になり、ゲイツは《ジカンザックス》を《おのモード》に切り替え、矢を切り払う方へ切り替えた。
ずっとこのまま相手の矢を切り払うだけではジリ貧だ。早いところ衣美里に仕事をしてもらいたいものだと思いながらそのまま続ける。
矢を切り払い初めて、凡そ40秒ほど経った時、ゲイツが期待していた時が訪れた。
巨大な鉄球がコンクリートにぶつけられたのかと思うほどの轟音が鳴り響いた。
魔女は大きく体制を崩すと同時に、注射器が数基破損した。
「……遅いぞ!」
「ごめんごめん!ちょこーっと、手間がかかっちゃってさ!」
魔女の頭の上に、尻尾の先に巨大なハートを装備した衣美里が立っていた。
衣美里が立てた作戦はこうだ。
衣美里の固有魔法は幻惑であり、それを使って一気に魔女の武器を破壊する……というように魔女の認識を阻害させるというものだ。
それを生かすには1回の攻撃で充分であるが、衣美里の攻撃を当てるには、魔女の注射器による攻撃を避ける必要があるので、ゲイツには囮をやってもらい、その隙に……という言ってしまえば簡単な作戦だった。
その作戦は上手く成功し、魔女を幻惑状態にさせることが出来た。
まだ生きている注射器を暴発させ、魔女は混乱しているように見える。先程までは攻撃をちゃんとゲイツの方に向けていたが、それが出来なくなっているようなので、衣美里は先ほどの作戦と同時に視界を奪う幻惑状態にもしたのか……と、ゲイツは一瞬で理解した。
それだけの仕事をした上で、自信が無いと言っていたのだから大したものだ、と感心しつつ。
「それなら、こいつでケリを付けるか」
《ウィザード!》
灰色と黒のライドウォッチを起動し、右側のスロットに装填し、ジクウドライバーを勢いよく一回転させ…
《アーマーターイム! プリーズ! うぃざーど!!》
絶望を希望に変える指輪の魔法使いこと、『仮面ライダーウィザード』の力を宿した形態、仮面ライダーゲイツ ウィザードアーマーが降り立った。
腰から伸びたローブ、ウィザードの変身アイテムを象った両肩のアーマー、背中の魔法陣の外周を折り曲げたようなマント、そして顔の《うぃざーど》の文字…それを見て衣美里は驚嘆しながら告げた。
「おぉ〜!なんだか上品〜!」
「さっさと決めるぞ!」
衣美里のノリに少しずつ慣れてきたのか、それをスルーしてドライバーに装填されているライドウォッチの天面を押し、再びドライバーを一回転させ、必殺技を放つ体制に入った。
《フィニッシュターイム! ストライク!タイムバースト!》
地面に魔法陣を展開しながらその場で一回転し、ローブを右手で払うと、右脚に紅い炎が燃え上がる。
「はあぁぁぁ……!!」
ロンダートからのバク宙で空中に舞い上がり、身体を回転させ、魔女に一撃を食らわせる体制を整えた。
その一連の流れは、衣美里が言葉を失うほどに美しかった。
「はぁぁぁーッ!!!!!」
まるで炎の弾丸と化したゲイツはそのまま魔女に必殺キックを叩き込む!
炎の弾丸による強烈な一撃を受け、魔女は糸が切れたマリオネットのように大きく体勢を崩し、撃破された。
ように思われたが、最後の悪あがきと言わんばかりに、まだ生きていた注射器からビームが放たれた。
そのビームは隠れていたツクヨミの方へと向かっている。
「っ!?やばっ!?」
ゲイツよりも先に衣美里が気づき、カバーに入ろうとしたが、このままだと間に合わない!
「ツクヨミ〜ッ!!!!!」
ゲイツの絶叫が鳴り響いた。
……To be continued
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次回、仮面ライダージオウ!
「間一髪、だな!」
「そんな悲しい事件が起きてたなんて…」
「お前……一体どうして……!?」
「この時代のあの子のことを……お願い」
「お前は……俺達が止めてやる!」
「君のことは、俺達が救う!」
《アーマーターイム!!"レン"〜!!》
『ANOTHER EP04 キミがつむぐヒビ2017』