対物ガチ勢は戦場を駆ける   作:夜叉烏

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 夜叉烏です。

 タイムクライシス4のプレイ動画見てたら急に書きたくなってしまって。
 どこまで続くかはわかりません。



目が覚めたらマーカス・ブラック大尉だった

 

 目覚めたらマーカス・ブラック大尉になってた(唐突)。

 

 いや、気が振れたと思うかもしれないが本当なんだ、信じてくれ。

 俺は就活が近くなってきた大学生で、課題を苦労してこなし、メールで提出して眠りへ就いたのに間違いはないんだ。

 しかも俺の部屋じゃなくて何というか…小屋?みたいなところにいるんだよ。目が覚めたら隙間風の入ってくる建物の、古いベッドの上で横になっていたんだ。

 

 服装はゲームと全く一緒。フード付きの黒いジャンプスーツ、縞模様のチョッキ、目元以外を隠した黒ずくめの格好だ。

 

 …え?マーカス・ブラック大尉ってそもそも誰だって?まぁ、確かに彼が出てくるゲームは発売年も古いし、忘れている方も多いと思うので、解説させていただく。

 

 簡単に言えばシューティングゲーム『タイムクライシス4』に出てくる中ボスキャラだ。

 アーケード版のステージ1ボスであり、所属組織であるアメリカ陸軍『ハーメルン大隊』の第3中隊中隊長。

 

 ハーメルン大隊とは、大隊長グレゴリー・バローズ中佐率いる極秘生物兵器特殊部隊のことで、陸空海軍・海兵隊の4軍統合、選抜された優秀な兵員で構成され、非合法な実験や任務を専門に実施している。

 作中では、大量の生体兵器『テラーバイト』を奪取し、コロラド州軍の空軍基地を襲撃。空軍が試験中の最新鋭ステルス無人爆撃機を強奪し、搭載している巡行核ミサイルでアメリカ中の主要都市を攻撃しようとした。

 

 そして、危険な任務に比して報酬やその他待遇の悪さ、それによる軍政府へ失望感から、マーカスは部下とともにハーメルン大隊を裏切り、欧州のテロ組織『W.O.L.F』と独断でテラーバイト不正取引事件を引き起こすが、派手に動き過ぎたため、軍部とVSSEに目を付けられる。

 テラーバイトを積んだトラックを運転し、逃亡を図るが、VSSEエージェント(主人公)の銃撃でタイヤを狙撃され横転、そのまま市街戦に突入するが、エージェントたちと米軍統合監察部のウィリアム・ラッシュ大尉の銃撃で死亡した。

 

 人によっては、若干小物臭く感じるキャラかもしれない。

 

 だが、彼は対物ライフルであるバレットM82A1を()()()()()、フック付のワイヤーを乗用車に引っ掛けて()()()()()()()()怪力、前述のワイヤーを物に発射して引っ掛け、振り子のように軽やかに移動する――要はス○イダー〇ンみたいな移動法――という人外なのだ。

 なお、これで『戦闘力も()()()()』という公式評価だったりする。

 

 嘗て、アーケード版にのめり込んでいた俺は、このキャラが好きでたまらなかったわけだが…。

 「片手で対戦車ライフルだと…!?何者なんだ!?」というセリフが忘れられん。正確には対戦車じゃないんだけど。

 

 そういえば、M82A1って反動低減のための設計が施され、12ゲージ散弾と同等レベルの反動に落ち着いたとか…。

 じゃあM82A1を片手で撃てるのってあまり凄くないのか…?まぁ、ショットガンを片手で撃てるのかと聞かれたら分からんが。

 

 …まぁ、そんなことはどうでもいい。まずは現状を確認せねば。

 確実に言えるのは、ここが俺の家ではないのは勿論、日本でもないこと。こんな硝煙臭い地域が日本にあってたまるか。

 紛争地帯か何かか?

 

 考えられるのは異世界転生――俺自身が異世界に行くだけならまだしも、なぜマーカス・ブラックになったのかが一番の謎だが。

 まぁ、常人より遥かに強い肉体を手に入れられたのはありがたい。そして何より…。

 

 「うおぉ……本物だ……」

 

 ベッド脇の、傷の目立つ机に立てかけられていた漆黒の長物。

 工学とは無縁のとある写真家が、「50口径が撃てるライフルが欲しい」という浪漫溢れる夢の実現のため奔走した結果完成した、パワフルな対物ライフル。

 M82A1の実銃が、俺の目の前にあった。ロングマウントレールと銃床部に取り付けられたグリップから、後期型と判断した。

 

 ミリオタの俺からすれば、本物の銃を…それもビックな50口径弾を11発装填した大型ライフルなど、テンションが上がらないわけがない。

 

 「バレットと予備マガジン3つ…サイドアームのMARK23(フラッシュライト付)、予備マガジン3つ、フックショット、グルカナイフか…」

 

 銃なんて撃ったことないが、マーカスになった影響なのか、扱い方や戦闘方法等の知識、経験したことがよく分かる。

 得物であるバレットも、まるで吸い付くように掌に馴染んだ。重くもない。寧ろ鳥の羽のような軽さに感じる。

 ハンドガンとグルカナイフも同様だ。

 

 もし、今射撃したとしても、銃声や反動に驚いたりはしないだろうと確信した。

 …これで、人を殺したとしても。

 

 「しかし、武器だけというのもなぁ…」

 

 身一つで放り出されなかっただけありがたいが、流石に食糧は必要だ。

 精鋭が集うハーメルン大隊の幹部ともなれば、サバイバル等の経験も豊富だし――記憶によると、マーカスはサバイバルの経験があり、食べられる動植物、飲み水確保等の知識もあった――、多少の空腹も我慢できるだろうが、それでも限界はある。

 どこかの蛇よろしく現地調達するのも手だし、野生の味にも興味があるが、やはり上手い料理を食べたい。

 

 「…下、降りるか」

 

 M82を背負い、その他装備品を身に着けると、軋む床を気にしながら部屋を出、階段を使って1階に降りる。

 この家の古さ加減では、水道が通ってるかすら怪しいが、缶詰や飲料等の保存食なら可能性はあるだろう。

 

 

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 キッチンや地下室を漁ってみたが、賞味期限に余裕のある保存食を見つけることができた。

 パン、コンビーフ、パスタ、ビーフシチュー、オレンジ、パインの缶詰等々。飲料は粉末のアセロラジュース、インスタントコーヒー、後はドライフルーツとビスケット、砂糖や塩、粉末ミルクなどの調味料。

 水道は奇跡的にも断たれていなかったようで、蛇口を捻ると清潔な水が出てきたため、綺麗に洗ったペットボトル数本に入れて持っていく。

 

 後、何か役に立つものを探していると、頑丈そうなバック――軍隊で見かける背嚢ではなくショルダーバッグ――を見つけたため、そこに詰め込めるだけ積む。

 人外なマーカスの肉体からすれば、バックの中を食糧で満たした状態でも重く感じない。

 

 後は消毒液と絆創膏、包帯だな。

 まぁ、撃たれた箇所を治療できるような道具はない。一般家庭にあるようなものなので仕方ないが。

 

 (しかし…)

 

 割れた窓ガラスから外の様子を伺う。

 戦争でもあったのかと言わんばかりの街の様子に、三度一体ここはどこなんだと思った。

 

 弾痕の残る壁、崩れ落ちた建物……小競り合い程度では、このような破壊のされ方はしないだろう。

 2つ以上の大きな勢力が、この街を巡って争っていた可能性が高い。

 

 「…だとすると、ここも危ないな」

 

 とっとと街から出てずらかろう。乗り物を調達できればなお良い。

 それに、戦場だったのなら使える武器や弾薬が落ちているはずだ。その都度回収していこう。

 

 ざっくりと今後の方針を決めると、俺は荷物を背負い、家を出て行った。

 

 

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 「2062年…」

 

 地味に露出多めな、赤いバイザーで目元を覆っている女性の集団と出くわし、隠れてやり過ごしたりしながら、これまた損傷の酷い図書館へ転がり込んだ俺は、歴史の本が収められている棚で破れたり焼かれたりせずに残った書籍を読み漁っていた。

 

 「どこのター〇ネー〇ーだ、この状況は…」

 

 纏めると…

 ①2030年、中国上海沖の北蘭等でコーラップスが流出する事件が発生。コーラップスとは、物質を分子レベルで分解する謎の物質らしい。大気汚染により人類の生存可能領域が狭まる。

 ↓

 ②2045年、自国の保全等政策の利害関係の不一致により、第三次世界大戦が勃発。緒戦から核兵器が大量投入される。

 ↓

 ③2051年に大戦は終結。核兵器による更なる汚染拡大と国家の衰退による民間軍事会社(PMC)による都市運営の委託が行われる。

 ↓

 ④人類に代わる労働力「自律人形」により復興を進める各国だったが、2061年に自律人形メーカー『鉄血工造』の人形たちが暴走。人類に攻撃を開始した。

 ↓

 ⑤民間軍事会社『グリフィン・クルーガー』を中心に、人形たちと彼女らを指揮する指揮官たちの奮闘により、何とか拮抗状態にある…。

 

 平和という概念が消え去ったような世界だ。マジで核戦争が起きるとは…。

 

 取り敢えず、当面の生活について考えなければならないな。

 いつまでも野宿と保存食で過ごすわけにはいかない。

 

 「それと、SMGかPDWが欲しいな…」

 

 それに、M82A1とサイドアームであるMARK23ハンドガンの間を埋める火器が欲しい。

 MARK23と弾薬を共有できるUMP45やクリスヴェクター、フィリピン海兵隊特殊部隊向けに魔改造されたM3サブマシンガン、場合によってはライフル弾に匹敵する威力の5.7ミリ弾を使用するFN P90、AR-57といったところか。

 

 銃身の下にグルカナイフをワイヤーで縛りつけ、死神の鎌のような見た目になったM82で薙刀ムーブするのも手だが…。

 

 「さっきのあいつらはただの痴女集団じゃなくて、鉄血の人形…要はアンドロイドというわけか」

 

 その割には滅茶苦茶人間らしく造られてたんだよなぁ…。マジでター〇ネー〇ーだぜ。

 …確か、鉄血の人形と人類が今現在バチバチにやり合ってるんだっけ。ヤバいじゃん。見つかったら即殺されるじゃん。

 

 「…逃げよう」

 

 マーカスのチート肉体とバレットの超火力で『俺TUEEEEE!!』したい気持ちもあったが、ここは抑える。

 相手の実力が不明なのだ。そんな状態で下手に敵に回すのだけは避けたい。

 

 「ッ!?」

 

 図書館から出ようとした直後、言いようのない悪い予感を覚え、足を止める。

 目の前を途轍もなく巨大なものが猛速で通過したかのような錯覚を覚えた直後、俺の左側にあるコンクリートの壁が爆ぜ、打ち崩された。

 

 咄嗟に館内へ戻ると、頑丈そうな壁を見つけ、その後ろへ身を隠す。

 ここなら、生半可な銃では貫徹できまい。

 

 何が起きたかは、既にわかっている。

 狙撃手(スナイパー)による狙撃だ。

 

 (あの破壊力…ただの弾じゃない。.338(ラプア・マグナム)か、或いは…)

 

 壁の壊れようから、M24等に使われる7.62×51ミリNATO弾ではなく、より大口径の弾丸だと予想。

 敵の様子を見ようと顔を出したい欲に駆られるが、必死で我慢する。

 

 (同業者(50口径信者)…か?)

 

 窓際に匍匐移動すると、M82のクソデカスコープを取り外し、狙撃地点と思しき方向に向けて覗く。

 といっても数秒間だ。長いこと顔を出していれば、即ミンチになるのは目に見えている。

 

 それでも、不完全ながら敵の姿を見ることができた。

 僅か数秒の間でも、その美しい()()()()()は、俺の記憶に深く刻まれたのだった。

 

 

 





 物語は進むにつれ、M82を魔改造(使用弾薬変更など)しようと思います。
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