夜叉烏です。
取り敢えず頭の中にある設定を文字に起こしていきたかったので、連投します。
作者のYoutube
(https://www.youtube.com/channel/UCUn4CBwIg1kM4rdr-AkW3Cg)
「外した…いや、躱された…!?」
民間軍事会社『グリフィン・クルーガー』所属の戦術人形バレットM82A1は、図書館から出てきた黒ずくめの人影に対する狙撃結果に愕然とした。
目標との距離は1.8キロ。
自分の得物の最大射程に近い距離だが、風も弱く、弾道低伸性に優れた50口径弾を使用、何物にも妨げられない状況下での狙撃失敗に、悔しさと驚き、そして相手への畏怖が混じった感情を覚える。
12.7×99ミリ弾が放たれる寸前、目標は彼女が狙っているのを察したかのように歩くのをやめ、そのまま歩き続けるのを前提に放たれた強烈な一撃は、目標の目の前を横切るように外れたのだ。
そして、目標は狙撃されていることを一瞬で見抜き、M82の方をほんの一瞬だけ確認した後に館内へ飛び込んだ。
狙撃に反応し退避するだけでなく、大まかな狙撃地点を一瞬で見つけるとは、訓練された軍人――それも精鋭中の精鋭――に違いない。
「…ッ!こちらM82A1。
『え、アンタが…?了解、追撃するわ!』
まさかしくじるとは思わなかったのだろう。グリフィンの辺境調査団から派遣された小隊――M82A1の他、Mk48、K11、M870、NZ75――メンバーの1人であるMk48は、懐疑的な声音でM82A1の報告を疑い、しかしすぐに頭を切り替えて追撃に移る。
室内戦で分隊支援火器とは、あまりにも取り回しが悪そうに感じるだろう。
だが、彼女は歴戦の戦術人形。膂力も、反応速度も人間とは一味も二味も違う。
更に、20ミリ擲弾との複合銃で火力の大きいK11、狭所での戦闘に絶大な威力を発揮するショットガンのM870、取り回しとスピードではこの中で一番のハンドガンNZ75。
いずれも、実戦を経験してきた戦士だ。
目標は自分と同じM82を背負っており、室内戦では邪魔なことこの上ない。それに加え、サイドアームの拳銃以外に室内で取り回しの良い銃器を持っていない。
数の有利もあるし、直ぐに制圧できるだろう。
…そう思っていたのに。
『がッ…!?マズイっ…銃が…!!』
『何この爆発!?あいつ手榴弾投げてなかったでしょ!?』
『な…何、どういうことッ!?がはぁッ!?』
『有り得ない…!何でこの室内であんなものを…ッ!?』
無線から聞こえてくるのは、仲間たちの圧倒的不利を報せる音声ばかり。
如何に敵が強かろうが、そんな簡単にやられるほど軟ではないと確信していた彼女たちが、ただただ慌てふためくばかりで、交戦している相手の特徴すら満足に伝えることができず蹂躙されていく。
M82A1にとって、この状況は信じられなかった。
仲間の音声に間が開き始めるのを他所に、自分1人では何もできない無力感・喪失感に打ちひしがれる。
それでも得物を構え、巨大なスコープを覗こうとするが、手が震えて覗いた先の景色がブレる。
これでは、命中など望めない。
(これも、罰なのですか…?指揮官…私はどうしたら…)
自らの思い出したくない過去が過ぎり、自分で考え行動することができない、指揮官の"導き"に従う毎日を送っていたM82A1は、仲間の救援も逃げることも、連絡を入れることもできずに膝を着き、対物ライフルの銃身を下向け、茫然自失となっている。
動けないならまだしも、司令部へ連絡も入れられないほど、今の状況が彼女を追いこんでいた。
「…はッ!指揮官、指揮官…!」
震える手で無線を手に取るM82A1。やっと指揮官へ指示を仰ぐという行動に取れた。
(指揮官…私を導いてください…!)
「…ッ!?」
直後、彼女の視覚センサが、猛速で接近してくる物体を捉えた。
先ほど狙撃した目標が、建物の屋根を飛び移りながらM82A1の下へ走り寄る。人間は勿論、戦術人形でも無茶苦茶な速度・体力。
まさか、もう小隊の仲間を制圧したのか、戦闘開始から3分も経っていない。
ワイヤーらしきものを腕から発射し、それを外壁に引っ掛けて巻き上げることで、三次元的な高速移動を可能にしているようだ。
M82A1が陣取るビルの屋上にも、簡単に到達できるだろう。
そして、右手に持つ対物ライフルを
しかも2発を連射し、M82A1のすぐ横にあった給水タンクを支える2本の脚を直撃。炸裂弾を発射したのか、命中とともに鋼製の支えが小規模な爆発を起こし、千切れ飛んだ。
4本の脚の内2本を失った給水タンクは、一溜りもなく倒壊をはじめ、M82A1向かって倒れてくる。
「きゃッ!?」
得物を抱え、地面を転がることで、倒壊するタンクに巻き込まれることはなかったが、彼女は転がったタンクを見ながら戦慄した。
いくら反動を軽減するための設計が施されているとはいえ、高速で空中を移動している安定性など皆無な状態で、しかも片手でセミオート小銃のように連射するなど馬鹿げている。
それでいて、凡そ500メートルの距離で正確に給水タンクの基部を撃ち抜く射撃精度。
人間では、いや戦術人形でも有り得ない。
「し…死神…」
対物ライフルの先端に取り付けられた、刀身が屈曲した刃。それと併せて、常識では全く測れない身体能力、射撃精度、黒ずくめの顔が見えない服装。
まるで鎌を携えた死神が、自分を狙っているように思えたM82A1は、身を震わせ、恐怖に耐え切れずに逃げようとした。
だが、恐怖によって足がもつれ、上手く走れない。屋上の出入り口までの30メートルが、永遠に続く道のように感じる。
「失礼」
「…!?がはッ…!!」
横合いから、黒い人影が突っ込んできた。
得物のライフルに、これまでに喰らったこともない強烈な蹴りを入れられ、弾かれて手から離れ、宙を飛んで十数メートル離れた場所に堕ちる。
目の前に仁王立ちした男が、武器を失いへたり込むM82A1の首元へ、屈曲した漆黒の刀身を這わせた。
やっぱりヒロイン枠はM82A1ちゃんかなぁ~。
ドルフロのゲームはマジで全然知らないので、編成とかは割と滅茶苦茶です。