対物ガチ勢は戦場を駆ける   作:夜叉烏

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 こんばんは。夜叉烏です。

 戦闘シーンはやっぱり難しいですね。

 作者のYouTube(https://www.youtube.com/channel/UCUn4CBwIg1kM4rdr-AkW3Cg/videos)


世の中には色々な人がいるものだ

 

 「さて、どうするか…」

 

 相手の初撃を凌いだ俺は、図書館内でどう動くかを考える。

 

 恐らくだが、狙っている連中は俺を鉄血の差し金と勘違いしているようだ。

 こんな怪しさ満点の格好をしてる奴が、民間人など死ぬか避難するかで人っ子一人いない戦場のど真ん中にいるのだ。まぁ間違えられても仕方ないと言えるが。

 それでも、いきなり50口径で狙撃されるとは思わんかった。

 

 そういえば、さっきの狙撃に気付いたわけだが、俺自身滅茶苦茶びっくりしてる。

 やっぱり、狙撃手であるマーカス――ゲームだと突スナの権化みたいな動きをしてたが――の肉体だからこそ、敵の狙撃手の存在や狙われてるっていう気配・殺気に対して敏感だったりするのかな?

 

 もう完全に見◯色の◯気だもん、だって。

 え、マーカスってこんな繊細なキャラだったの??『サバイバル訓練の一環として獣同然の生活をしてたらこの技を身に着けました』とかそんなオチ??

 

 …まぁ、それはおいておいて。

 

 「できれば話し合いたいんだが…」

 

 国家が衰退したこの世界、もしかしたらこれっきりコミュニケーションが取れる存在に会うことはないかもしれない。

 折角見つけた機会だ。誤解を解いて彼女たちが所属してる組織――恐らく『グリフィン』――に匿ってもらおう。

 俺の腕っぷしならやっていける自信はある。

 

 「む…?」

 

 図書館の外で、何やら複数の気配。いや、この見◯色擬き便利すぎな。

 何?滅茶苦茶訓練した軍人ってこんなにも気配に敏感になるの?

 

 では、交戦の意思がないことを示すべく両手を上げて…。

 

 「見つけたわぁ~❤土下座すれば楽にしてあげる❤」

 

 うお~~いッ!?初対面でいきなりLMGをぶっ放すなって義務教育で習わなかったのかッ!?

 

 咄嗟にバク転を連発させて後退。さっきまで俺がいた床に弾丸が命中して構造材の屑を連続で噴き上げさせ、壁面を抉り、手摺や掛けられていた絵画、案内板を千切り飛ばし、蜂の巣にする。

 

 てか、見るからに大人のお姉さんって感じの女の人が持つ武器じゃねぇだろ!

 しかし…お姉さんの銃、MINIMI軽機関銃かM249 SAWだと思ってたんだが、その割には破壊力が大きく感じる。

 

 MK48か?中々のロマン銃を愛用しているようで。

 対物ライフル程じゃないが、大量の弾丸をばら撒くLMGも好きだぜ、俺は。あのお姉さんとは、いつか分かり合えるだろう。

 

 そして、バク転で回避している間に、ポケットから()()()()を2()取り出し、追ってくるであろう彼女たちの進行方向へばら撒く。

 銃撃による流れ弾で石屑や土煙が舞い、視界が悪くなっているし、こいつはサイズ自体小さい。お姉さんは俺を追うことに夢中のようだし、気付くことはないだろう。

 

 『MK48!あたしが先行する!』

 

 『近距離なら任せて!』

 

 『ここが私の本領発揮だ!』

 

 『ちっ。しょうがない子達ねぇ~』

 

 おっと、可愛い女の子3人衆がお姉さんの横を抜けて先行してきたぞ。

 順に、失敗兵器(K11)を持った青髪の子、M870と思われるショットガンを持ったどことなく婦警っぽい印象の金髪ツインテ、よく分からんが2丁拳銃の黒髪ロングだ。

 

 俺は吹き抜けになっている2階から、読書や勉強のスペースだったと思しきロビーに降りる。

 何気にバク中しながら飛び降りてたので、傍から見ればカッコイイことこの上なかっただろう(自画自賛)。

 

 結果的に、俺が巻いた2匹は速度を上げて先行してきた3人ではなく、後ろで火力支援のため控えていたMk48持ちのお姉さんを目標に膨張。その存在に気付き、異様な虫を排除しようとしたときには時遅く、2匹は彼女を巻き込み自爆した。

 

 『きゃあぁぁぁッ!?』

 

 『『『MK48(さん)!?』』』

 

 よ~し、相手の火力支援担当は潰した。

 お姉さん相手に手荒な真似をしてしまったことに罪悪感を感じたが、戦術人形は人間に比べて遥かに頑丈であると書籍に記されていたため、大丈夫なはずだ。

 

 …俺が使ったのは、タイムクライシス4をプレイしたことのある方にはお馴染みの生体兵器、『テラーバイト』だ。

 一口にテラーバイトと言っても、スカラベ型・ハチ型・ダニ型・カマキリ型の4種があり、今俺が持っているのはダニ型だ。

 

 ダニ型テラーバイトは、目標の動きに合わせて接近、膨脹して自爆するものだ。

 膨張前は極めて小型であり、ポケットにもかなりの量が入る他、小銃2~3発では斃れない程度には対弾性能も高く、非発見率が小さい。爆発の威力はそれほど大きくはないが、人間相手なら致命傷を負わせられる。

 

 たった今2体使ったが、前述の通りその小ささのお陰で、俺の懐にはまだまだたくさんのダニ型を忍ばせている。

 さて、次は誰が来る?

 

 『く…ッ!アタシが行くッ!懐に突っ込めば私の勝ちよッ!!』

 

 何ともメスガキ色の強い声だ。恐らくあのショットガン持ちだな。

 流石にゼロ距離で12ゲージを喰らいたくはない。

 

 というわけで……俺は敢えて彼女との距離を詰める。

 右腕を向け、フックショットを2階に向けて放つ。巻き取り装置を起動させ、一瞬で上階へ移動。

 

 廊下から出てきたばかりのショットガンガールの目の前に飛び出し、鉢合わせる格好だ。

 

 「へ…っ!?」

 

 ショットガン相手に距離を詰めてくるとは思わなかったのか、ほんの一瞬だけ動きが止まる彼女。その油断が命取りだ。

 

 M82の先端に取り付けたグルカナイフでショットガンの銃身をかち上げると、無防備に仰け反って腹を晒す彼女に向けて銃床を叩き込む。

 幼気な女の子へ暴力を振るってしまったことに、一抹の罪悪感を覚えた。

 

 「ぐへぇッ!?!?」

 

 年頃の女の子が出してはいけないような呻きと共に、ショットガンガールは残り2人の戦術人形の間をぶっ飛んでいく。

 

 「M870!?…クソがッ!!」

 

 「K11、落ち着いて!」

 

 おいおい、K11の子グレラン使う気か?

 まぁ、口径20ミリの擲弾なら建物が倒壊する…なんてことはないだろうが、中々どうして派手なことをする。

 仲間がやられたのを見て冷静さを失ったか?だとすれば、あまり褒められたことじゃないな。

 

 横に飛んで擲弾を回避。

 40ミリ榴弾だったら破片数個は食らってたかもしれん。危ない危ない。

 

 そして、さっきと同じように1階に飛び降りるが、青髪がすぐさま追いつき、5.56ミリ弾を撃ち下ろしてくる。

 しかし、前世(?)では考えられない、陸上競技の世界大会など目ではない速度で駆け抜ける俺に照準が追い付かず、5.56ミリ弾の雨霰は一瞬前まで俺がいた空間を貫き、床や壁へ空しく穴を開けていく。

 

 「まさかこんな状況で撃つのが此奴の初陣とはな!」

 

 そしてとうとう、M82A1の初陣がやってきた。

 1発目は対物狙撃銃らしく、遠距離からしっかり両手で構えて撃ちたかったが、まさかいきなり片手で…それもこんな狭所で撃つ羽目になるとは…。

 

 俺のM82A1には、ノルウェーが開発した50口径弾『Mk211』が装填されている。

 これは、1つの弾丸に徹甲弾・炸裂弾・焼夷弾の機能を持たせたものだ。

 装甲を貫いた後に炸裂、その後は非常に高い温度で30秒の間燃え続けるという代物である。自衛隊の軽装甲機動車、米軍のハンヴィーといった軽装甲車両なら、十分破壊できる性能だ。

 人間が当たれば勿論ミンチ、戦術人形でも木端微塵…運が良くても四肢が捥げる位するだろう。

 

 俺は片手でM82を構え、怒りに任せてK11を撃ちまくる彼女の前方――石材で作られた手摺に向けて引き金を引いた。

 スコープは覗いていないためちゃんと当たるか心配だったが、マーカスの脳内火器管制装置(FCS)は、走りながら&スコープなし&片手での正確な射撃を実現した。

 

 ズドォンッ!!

 

 擬音を付けるならこんな感じだろうか?

 マーカスの精神が介入しているため驚くことはなかったが、もし銃を撃ったことのない俺の精神状態のままだったら、その轟音でパニックになっていたかもしれない。

 反動に関しては、リコイル抑制の設計がなされたバレットと、俺の怪力のお陰で軽い軽い。

 

 放たれた50口径Mk211弾は、狙い通り白い石材で作られた手摺に命中。

 着弾箇所で小規模な爆発が発生し、砕けた石材の鋭い欠片が、すぐ後ろでK11を撃っていた少女へ横殴りに降り注ぐ。

 

 「うわわッ!?」

 

 高速で飛び散る破片とはいえ、銃弾並みの威力はないだろうが、それでも彼女の全身を無数の破片が直撃し、衣服を裂き、生体パーツの表面を傷つけ、人工血液を流れ出させる。

 

 俺はすぐさまサイドアームのMARK23をもう片方の手で引き抜き、怯んだ彼女の右肩目掛けて45口径を射撃。

 片手でM82を正確に射撃できる俺に、45口径のハンドガン片手撃ちなど児戯に等しい。

 

 「ぐッ!?」

 

 右肩を撃ち抜かれた青髪娘は、左手で被弾箇所を抑えながら跪く。戦術人形である彼女にとってはあの程度で機能停止はしないだろうが、アサルトライフルを安定して射撃することはできないだろう。

 

 これで3人無力化。後は2丁拳銃の黒髪ロングっ娘だ。

 

 「おのれ…ッ!」

 

 あれは…CZシリーズか?随分マイナーな銃を持っているものだ。

 9ミリ弾を乱射しながら距離を詰めてくる。人形の身体能力は高いとのことだし、至近距離での銃撃を織り交ぜた肉弾戦を展開するつもりかな?

 

 なるほど、俺みたいにデカい得物を持っている奴相手なら有効な手だ。

 しかし…それならば近寄らせなければいいだけの話。

 

 俺は右手で持ったM82を彼女に向け、3発を連射。

 

 「うあッ!?」

 

 狙ったのは彼女本体…では無論そうではなく、彼女周囲の床だ。

 50口径Mk211弾に抉られた床材の破片、土煙が彼女の視界を奪い、飛び散った破片が露出した箇所を傷つけ、血を流させる。

 

 俺は助走を付けると、M82を床へ思い切り振り下ろして突き刺し、それを足場に空中高く飛ぶ。

 そのまま、咳き込んでおり隙だらけな彼女に向けて右足を突き出し、飛び蹴りを叩き込んだ。

 

 そう、これぞ正しく…

 

 「ウルフキィィィックッ!!」

 

 「ぐぼぁぁぁッ!?」

 

 ◯イダーk…じゃなかった。ウルフキックだ。

 『タイムクライシス4』に登場するボスキャラ『ワイルド・ファング』が使用する蹴り技。

 

 鉄骨やコンテナ、フォークリフトを蹴り飛ばす脚力を持つ彼の必殺技で、白い狼を象ったエネルギーを脚に纏い、そのまま飛び蹴りするというものだ。

 

 …いや、いきなりファンタジーすぎるんよ。カッコいいから好きだけど。

 

 とまぁ、そんな彼の真似事により、黒髪ロングっ娘は十メートル程吹っ飛ばされ、本棚にぶつかって這い蹲った。

 流石に狼のエネルギーは纏っていないためただの飛び蹴りだが、人外の脚力で放たれた蹴りは流石に堪えるだろう。

 

 …さて、もう1人ご挨拶をしなければならない奴がいる。

 初っ端から俺を粉微塵にしようと企んだ同業者(50口径信者)が。中々行儀の悪い奴がいたものである。

 

 ()()…するしかないよなぁ?

 

 「ま…待ちなさい…ッ」

 

 「む?」

 

 誰かと思えば、最初にダニの餌食になったMK48のお姉さんじゃないか。息を切らしながらも、MK48の銃口をこちらに向けている。

 爆発に巻き込まれたせいなのか、所々服が破けたり焦げたりしており、フェティシズム溢れる装いになっていた。

 

 まぁ、服が破れてるのは分かるんだけど……何で恍惚の表情を浮かべてるんですか?

 

 「…さらばだ」

 

 「ちょ、何か失礼なこと考えてたでしょ!?」

 

 まぁ、俺は気にしないよ。

 如何にお姉さんが度を越えた変態(マゾヒスト)だとしても。世の中には色々な人がいるからね。

 

 だがまぁ…敵に捕まったときは色々大変そうだとは思うけど。

 

 

 





 キリが良いのでここで区切り、次の回でM82A1ちゃんにコンタクトを取ります。

 MK48ちゃん可愛すぎな。
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