対物ガチ勢は戦場を駆ける   作:夜叉烏

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 こんにちは。夜叉烏です。

 別作品の執筆で遅れてしまいました、申し訳ない。

 作者のYouTube
 (https://www.youtube.com/channel/UCUn4CBwIg1kM4rdr-AkW3Cg/videos)


対物使いに悪い奴はいない

 

 「よっと」

 

 ワイヤーを建物へ引っ掛け、巻き上げることで崩れかけの建物の屋上に移動。

 

 「こらッ!逃げるなぁッ!!」

 

 お姉さんが下からMK48を乱射し、7.62ミリ弾をばら撒いてくるが、俺はすぐさま死角に入ってやり過ごした。

 彼女が上ってこない間に対物使いの元までご挨拶に向かわなければ。

 

 建物の端から飛び降りると、再びフックショットを向かいの建物目掛け発射。

 そのまま、振り子のように高速移動。

 

 フックを外しては別の建物に引っ掛け、の繰り返しだ。時折、高い建物を見つけてはその頂まで登り、位置エネルギーを稼いでいく。

 

 しかし撃ってこないな。まぁ、猛速で三次元移動してくる俺を並の狙撃手が狙えるわけないか。

 遠目――スコープで覗いたところ、目測500メートル位にある建物の屋上に陣取る桃髪の狙撃手が見えた――で見た感じ、銃は構えているようだが、なぜか銃口をこちらに向けてはいないようだ。

 

 …もしかして怯えてる?

 戦うための存在である戦術人形でしょ…一瞬そう思ったが、こんな黒づくめの対物ライフルを背負った男が、自分を狙い猛スピードで駆け寄ってくるのだ。

 怖いと思うのも仕方がない。

 

 (おや、無線機弄ってる?)

 

 銃を置き、手に持った何かを必死で操作している様が、スコープ越しに見えた。

 恐らく無線機で上官に指示を請おうとしているのだろう。

 

 う~ん…今情報を伝えられるのはマズいな。

 彼女らからすれば、今の俺は完全に敵。上司にも自分たちと敵対関係にある存在として伝えるだろう。

 そうなれば、グリフィンからもマークされてしまう。

 

 取り敢えず、自分はグリフィンに仇なす存在ではないことを知ってもらわなければ。

 

 報告を止めるべく、威嚇射撃のつもりで彼女の真横にある給水タンクの基部を狙い、片手でM82を連続発砲。

 ワイヤーで空中を振り子移動している最中の銃撃。こんな安定性など皆無な状態での射撃にも拘わらず、俺が放った50口径はタンクの基部を正確に撃ち抜いた。

 

 俺スゲェ…いや、凄いのはマーカスか。

 

 50口径が命中した瞬間小爆発が発生し、タンクを支える鋼製の支柱を千切り飛ばし、支えを失ったタンクが彼女の方へ倒壊した。

 桃髪の娘は地を転がってそれを回避し、難を逃れた。

 

 よし、今のうちに一気に距離を詰めてしまおうか。

 あの娘のいる建物の屋上へワイヤーを引っ掛け、巻き上げることで壁に張り付き、よじ登る。このフックショット、何気に射程長いんだよな。

 

 あっさり屋上に上った俺は、ぎこちない足取りで逃げようとするM82を持った女の子を視界に捉える。

 おぉ、やっぱり50口径信者(同業者)…それも同じM82使いとは!類は友を呼ぶとは正にこのこと!

 

 俺はワイルド師弟ばりの凄まじい跳躍で彼女の前へ降り立つと、申し訳ないが彼女の得物を思い切り蹴り上げ、腕から飛ばした。

 凶器を持ってたら話し合いできないからね。

 

 そのままへたり込む――所謂ペタン座りという奴だ――女の子の首元へ、銃身の先端へ取り付けられたグルカナイフの刀身を這わせる。

 手荒だが、まずは彼女の戦意を削ぎ落しておきたかった。

 

 ……え、滅茶苦茶可愛いじゃんこの娘。流れるような桃髪に赤と黒のヘッドセット、デカすぎず小さすぎずな双丘、俺を見て怯えてる表情。

 全てにおいて美少女認定される奴ですねこれは。ついでに言うとタイプだ。

 

 さて、まずは誤解を解かないとな。

 

 「…一応言っておく。俺は鉄血の回し者とかじゃない。しがない軍人だ」

 

 そういって刃を降ろすと、彼女に向けて左手を差し出す。う~ん、俺カッコいいな!(自画自賛)

 

 「え…あ…」

 

 処刑人の如く斬首されるかと思っていたのか、戸惑うように俺の顔と差し出された手を交互に見、十秒ほどの間を置いて漸く俺の手を取った。

 その仕草、全てが可愛い。

 

 「あ、ありがとう、ございます。…その、申し訳」

 

 「いや、民間人なんて人っ子一人いないところにこんな怪しい奴がいれば、そう思うのも仕方ない」

 

 そう言うと、俺が蹴飛ばした彼女の愛銃を拾い、返してやった。

 「ほら、M82A1を落としたぞ」みたいな。…「ハンカチ落としたぞ」感覚でやるもんじゃないな。

 

 「あ…ありがとう、ございます」

 

 警戒を少しばかり解いたようだ。よし、一応友好的な関係になったっぽいな。

 

 「何だ。初手から人を木端微塵にしようとしてた割には、随分大人しいんだな」

 

 「す、すみませんっ」

 

 茶化すように言うと、慌てて謝ってくる。可愛い。

 ゴツイ対物ライフルを持ってる割には、性格が似合わないな。もっと豪胆というか、姉御肌な性格だと勝手に思ってたんだが。

 

 「「…」」

 

 沈黙。気まずい雰囲気。

 何か話題を振らなければ。

 

 「…マーカスだ」

 

 「え…?」

 

 自己紹介は大事。この時、前世の名前を言いそうになって焦ったのは内緒だ。

 

 「元アメリカ陸軍ハーメルン大隊第3中隊長、マーカス・ブラック大尉だ」

 

 「…グリフィン辺境調査団所属、戦術人形・M82A1と申します」

 

 うん、知ってた。君の手の中にある銃を見れば分かるよ。

 確か、戦術人形は持ってる銃が名前になってるらしいじゃん。

 

 「別に君らに何かしようってわけじゃない。寧ろ頼みがある位だ」

 

 「お願い…ですか?」

 

 一生野宿で過ごすわけにはいかないからな。

 

 「俺をグリフィンで雇ってくれ。衣食住、武器弾薬の補給、手厚い補償も込みで」

 

 

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 「作戦失敗とは、クソッ…!」

 

 「NZ75!悔しがってる暇があったら早く走れ、痛…!」

 

 「ちょっとちょっと~。五月蠅いから騒がないでよ~」

 

 「もう切符は切らない!あいつ、見つけたら即刻射殺してやるッ!!」

 

 ボロボロになりながらも、マーカスの加減により何とか破壊されずに済んだNZ75、K11、MK48、M870は、M82A1が陣取る建物の階段を必死に上っていた。

 手負いのせいなのか、足取りがやや鈍い。

 

 肩を撃ち抜かれたK11はMK48におぶさっており、痛みに顔を歪めていた。M870は自身の得物の他、MK48の愛銃を持たされているため、不機嫌気味である。

 

 「無事でいてくれ、M82A1…!」

 

 「大丈夫でしょ。あんな長距離を短時間で移動できるわけないわ」

 

 MK48の報告で、M82A1が陣取る建物に目標が向かっていったのが分かっており、援護のため追跡を開始しているところだった。

 

 「いや、まぁそうだが…あいつならあたしたちよりも早く着いてそうなんだよなぁ…」

 

 マーカスの有り得ない身体能力を目の当たりにしたK11が、冷や汗を垂らしながら独り言ちる。MK48も、ワイヤーアクションで一瞬にして建物の上階へ上っていく様子を見ていたため、否定できなかった。

 

 階段を上り切り、屋上に続く扉を、2丁拳銃を構えて先行していたNZ75が蹴破る。

 

 「M82A1!大丈夫か!?」

 

 「悔しいけど、撤退するわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 「…ほう、カルト集団の御神体だったのか。それで狂信者共が色々惨いことを働き…もっと大々的にそいつらの殲滅活動をやってもいいと思うが」

 

 「いえ、その…鉄血との戦闘で手一杯で、見過ごされている状況です」

 

 「だが、そいつらも鉄血と同等かそれ以上の"害"だ。放っておける存在じゃない。俺1人でも乗り込んでやろうか。純粋な美少女を勝手に祀り上げ、それを隠れ蓑に好き勝手するとは許せん奴らだ。万死に値する」

 

 「び、美少女…っ?///」

 

 「うむ。…そいつらの性格なら、新しく人形を祀り上げる位はするだろう。新たな被害者が出ない内に叩くべきだ」

 

 角材を突っ込んだ一斗缶で火を起こし、それで湯を沸かしている傍ら、自分たちが追っていた男とM82A1が仲良く隣り合って座っていた。

 男の言葉に、寡黙且つ悲観的、浮世離れした性格で知られているあのM82A1が、まるで恋する乙女のように顔を赤らめているではないか。何気にレアなシーンであり、MK48は心の隅で『後で揶揄っておこう』と決めた。

 

 「ほれ、コーヒーだ。砂糖とミルクも一応あるぞ」

 

 「あっ…ありがとう、ございます…///」

 

 金属製のカップに入ったコーヒーを差し出され、それを赤い顔のまま受け取る。

 …そんなタイミングで、男が此方に気付いた。

 

 「オッス(´∀`)b!」

 

 「「「「軽いわッ!!」」」」

 

 因縁ある相手に軽く挨拶された4人の突っ込みが炸裂したが、当の本人は覆面の裏で笑みを浮かべるだけだった。

 





 久々に筆が乗ったので書きました。

 
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