対物ガチ勢は戦場を駆ける   作:夜叉烏

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 夜叉烏です。

 やっぱり人対人の戦闘描写は難しいですね。

 作者のYouTube
 (https://www.youtube.com/channel/UCUn4CBwIg1kM4rdr-AkW3Cg/videos)


新出単語『対物ヤー』

 

 MK48率いる小隊に急遽加わることになった俺は、皆とS08地区の威力偵察に同行することになった。

 敵情視察が主な任務であるが、余裕があれば適宜殲滅行動に移行して構わないと、彼女らの指揮官から言いつけられたようだ。

 

 「K11、お前負傷してるがちゃんと撃てるのか?」

 

 「一応、応急処置はしたぜ。もう一戦やる位なら大丈夫だ!」

 

 「そっか。頑丈で何より」

 

 「お前ほどじゃねぇよ」

 

 K11に突っ込まれた。確かにその通りだ。

 NZ75の本気の拳をぶち込まれても、撫でられるような感触しか感じなかったし、9ミリ弾や5.56ミリ弾位なら数発喰らっても気付かないんじゃないかとすら思う。

 

 K11もK11で、肩に喰らった45口径弾をその場で自前摘出し、軟膏状の生体パテで埋めた急ごしらえの治療(応急修理)状態で作戦に参加しているらしい。ワイルドだぜ。

 

 「あぁ、それと人間のゲリラにも気を付けなさいよ?」

 

 「ゲリラ?そんなならず者がまだいるのか」

 

 MK48の警告に意外な感を覚えた俺へ、M870が説明してくれた。

 

 「第三次大戦や蝶事件のゴタゴタに紛れて好き勝手やってるのよ。軍も警察も機能不全になってる今、あいつらは結構生き生きしてるわ」

 

 「武器や物資を警察や軍の施設から分捕ってるから、装備も案外充実している。面倒な相手だ」

 

 NZ75の言葉を聞き、少し顔を顰める。

 ゲリラが持ちそうな武器といえばAK-47やRPG-7だが、それに加えて装甲車…下手すれば主力戦車を持ち出してくる可能性も捨てきれない。

 どこかで対戦車兵器を手に入れたいな…。

 

 「油断は禁物…ってかい?」

 

 「でも、マーカスさんが斃れる姿が想像できません…」

 

 M82A1の言う通り、この肉体を手に入れてからというもの、俺が負ける姿など想像もつかない。

 彼女たちを一蹴したせいで、負けない自信がより大きくなっている。

 

 しかし、鉄血やゲリラとの戦闘経験はまだない。

 どんな兵器を装備しているのか、この地域に展開している奴らの規模は…分からないことだらけである。

 

 「なるほど、気を付けないと…なッ!」

 

 狙われていることを瞬時に察知した俺は、レッグホルスターからMARK23を引き抜くと、背後の建物屋上からデカブツを構えているゲリラの眉間を撃ち抜いた。

 死体と構えていた得物が建物から落下する。

 

 「囲まれてるぞ」

 

 俺が報告するまでもなく、人形たちは動いていた。

 俺にコテンパンにされたとはいえ、それはあまりにも相手が悪すぎただけ。彼女たちも歴戦の兵士なのだ。

 

 「ゲームの始まりよ~」

 

 MK48が、カフェで待ち伏せていたゲリラ共に機銃掃射を浴びせ、ガラス越しに7.62ミリ弾の弾幕を叩き込む。

 気づかれていないと勝手に思っていた馬鹿共は、全身をガラス片と7.62ミリ弾に抉られ、手にしているAK-47(カラシニコフ)を撃つ機会がないまま地を這った。

 

 「爆ぜろ、クソ共ッ!!」

 

 K11が2階からAK-47を撃ち下してくるゲリラに向け、20ミリ擲弾を連射。

 2発とも室内に飛び込み、炸裂。エアバーストグレネードを発射したのか、部屋に突入した擲弾は空中で弾け、弾片と爆風が目標を撃ち倒す。

 次いで、民家の窓から無防備にも身体を晒してAK-47を射撃している奴らを、5.56ミリ弾のフルオート射撃で薙ぎ払った。

 

 「掃除の時間よ、馬鹿共が!」

 

 「逃しはせん!」

 

 M870が被弾を恐れず肉薄し、至近距離で12ゲージ散弾をスラムファイヤで射撃。瞬く間に2名を蜂の巣にして仕留めると、やっと銃を向けてきたゲリラの顔面を銃床で叩き割り、昏倒させる。

 NZ75も躊躇なく敵に突進し、ハンドガンの取り回しの良さを生かして近接戦闘を展開。2丁拳銃の速射でゲリラの胴体だろうが頭だろうが穴だらけにし、中国武術で使われる足技"旋風脚(トルネードキック)"で仕留めていく。

 

 (ゲリラ…って言えば聞こえはいいが、凶器を持って粋がってるチンピラみたいなもんだな。銃を撃って当てりゃあ勝てるって思ってやがる)

 

 ゲリラの銃撃を見、そんな感想を抱く。

 戦術も、個人の腕っぷしも、志も、俺たちとは比べ物にならないほどおざなりだ。弱いもの虐めばかりしてきたのだろう。

 

 目についたゲリラをバレットの片手撃ちで粉砕。明らかに対物ライフルが戦うような間合いじゃない近距離からの一撃を喰らった彼は、文字通り『ミンチよりひでぇ』状態となってしまった。

 

 次いで、フックショットを壁に打ち込み、建物の外壁に張り付くと、瓦礫の後ろで隠れるゲリラを斜め上方から狙撃して肉片へ変換。

 ついで感覚でM67破片手榴弾2発をそれぞれゲリラの隠れる建物の一室と、通りに積み上がった瓦礫の裏へ投げておく。

 

 爆発で吹っ飛ぶゲリラ。俺はフックショットを使ってゲリラのど真ん中へ降り立つと、グルカナイフを銃剣代わりに取り付けたM82A1を一閃。

 突如目の前に現れた俺にゲリラ共が目を剥く中、1名の肘から下を斬り落とした。流石グルカナイフ、切れ味がやべぇ。

 

 腕を落とされて絶叫するゲリラが五月蠅かったので、奴の顎へマズルブレーキを叩き込み、そのまま射撃。こんな至近距離で50口径を喰らってしまった不運なゲリラの頭は一瞬で粉微塵、更にすぐ後ろにいたゲリラも貫通キル。

 

 「て、てめぇッ!!」

 

 残りが装着した銃剣を突き出してくるが、遅すぎて話にならない。銃剣術習ってないな?

 そもそも"銃剣術"の存在自体知ってるかどうか。

 

 突き出されたAKのハンドガードを掴んで引き寄せ、その持ち主の首元へエルボーを叩き込むと、首の骨が砕ける音と共に彼は得物を離して吹っ飛ぶ。奴のAKを拝借した俺は、残りの連中へ7.62ミリ弾のフルオート射撃を見舞った。

 M82A1を片手で撃てる俺からすれば、この程度の反動を抑えるなど児戯に等しい。撃ち出された7.62ミリ弾の雨霰は、正確にゲリラ共を薙ぎ払った。

 

 「そういや、M82はちゃんとやれてるのか?」

 

 30発すべてを撃ち切ったAKを投げ捨てた俺は、同じ得物を使う人形が気になって周囲を見渡す。

 何かと抜けている印象が拭えないM82A1。俺みたいに突スナの使い手ってわけでもないっぽいし、こんな近距離戦で対物ライフルを撃つなんてやったこと…ないよな?

 

 一応、彼女の戦闘を見ていると、MK48たちよりも一歩下がった位置へ陣取り、バイポットを瓦礫に立て、伏せ撃ちでゲリラたちを狙撃しまくっていた。

 壁や車越しにゲリラを撃ち抜いたり…俺みたいに常軌を逸したようなプレイスタイルではないが、対物ヤーとしては腕前Sクラスであろう。

 

 (案外容赦ないな…ま、じゃないとやってられんか)

 

 ちょっと頼りなさそうだと勝手に思っていたM82A1だが、容赦なくゲリラ共を肉片に変えていくその様は、さっき俺に怯えていたのと同一人形とは思えない。

 やっぱり彼女も戦士なんだなぁ…と思い知らされた。

 

 …と、車のエンジン音が遠くから聞こえてくる。音からして戦車じゃないな。

 こういう奴らが使う車といえば、あれしかないよなぁ?

 

 フックショットで建物の屋上に移動し、音が聞こえてくる方に向けてデカいスコープを覗き込む。

 

 「…外れた。ガッチガチの特殊車両じゃねぇか」

 

 前世で見る機会のあった、某企業製のテクニカルトラック…ではなく、ドイツ製のTM-170装甲兵員輸送車だ。

 あれは7.62×39ミリ弾に対応した装甲防御力を持っており、警察特殊部隊、軍の後方部隊が採用していたりする。

 車体上部のハッチには、M2重機関銃が据え付けられており、テロリストが身を乗り出して銃把を握っている。

 

 M2機関銃の弾薬はM82A1と共通であるため、倒した後は弾を頂戴していこう。

 

 「装甲車が来てるぞ。ご丁寧に機銃付きでな…それとM82、一緒に来い」

 

 「え、私…ですか?」

 

 「対物ヤーとしての、本来の仕事が来たからな。君も上がってこい」

 

 そう。M82などの対物ライフルを装備した兵の本来の仕事の1つが、『装甲車両の破壊』である。

 流石に主力戦車の装甲は貫徹できないが、あのような小銃弾を防げる程度の目標なら、M82でも十分通用する。

 

 「ほんじゃあ、よっと…」

 

 左手のフックショットを建物に打ち込んで巻き上げ、建物の屋上まで一飛び。ここなら、疾走する兵員輸送車が良く見える。

 50口径Mk211弾なら、1キロ以上離れた距離にいるTM-170のボンネットを貫徹し、エンジンを食い破るなり燃料タンクを穿つなりできる筈だ。

 

 「お待たせしました」

 

 「しゃがめ。奴らはM2を持ってる。遠距離狙撃をやってくるかもしれない」

 

 上ってきたM82A1に向け、警告するように言っておく。

 ベトナム戦争でアメリカ軍がやったように、M2にスコープを取り付けて長距離射撃をやってくるかもしれない。

 大口径弾による長距離狙撃は、俺たち対物ヤーの仕事だというのに。重機関銃は景気よく弾丸をばら撒いていればいいものを。

 

 俺とM82A1は屋上の縁にバイポットを立て、隣り合って愛銃を構える。

 …この場面、何か既視感を感じると思ったら、某宇宙人と人類の戦艦が撃ち合う映画で、M82を構えた2人が宇宙船の窓を狙撃して破壊するシーンだ。

 

 スコープの向こうには、ごつい車両が悠々と前進してくる様が映っている。

 防弾ガラスの向こう側にいる運転手や助手席のゲリラの顔は見えないが、M2重機関銃の銃把を握るゲリラは、どことなく楽観的な表情が見える。

 「M2のグリップを握る俺は無敵だぜ、ヒャッハ~~ッ!!↑↑」とでも思ってるのか?じゃあ、その余裕そうな顔を今すぐ吹っ飛ばしてやる。

 

 「…あの、このような時に申し訳ないのですが…」

 

 「うん?」

 

 某映画のように、2人隣り合い、伏せ撃ちの体勢を維持したまま、射撃の時宜を見定めていると、不意にM82A1が喋りかけてきた。

 

 「たいぶつやー…とは、何なのでしょうか?」

 

 思わず噴き出し、スコープから目を離してしまった。きょとんとした表情でそんなことを聞いてくる彼女が、可愛らしくも滑稽に映ってしまったのだ。

 今それ聞くのか?やっぱりこの子は天然…若しくは所謂『不思議ちゃん』と呼ばれる人種らしい。

 

 「…俺たちみたいに、対物ライフルを持って戦場を駆ける者のことさ!」

 

 その言葉と共に、俺はM2を操るゲリラの眉間目掛け、バレットのトリガーに添えられた指へ力を込めた。

 





 対物ライフルの銃身に銃剣付けて槍や薙刀みたいに使うの好き。
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