タケミカヅチ様達と出発して半月ほどでオラリオに着いた。
だが、ここで思わぬ障害があった。
入都?審査が長いのだ。
個人で入る分には全然大丈夫なのだろうが我々は数柱の神とオラリオでの第二級冒険者に相当する外部のLV4がいる訳だから厳しくなるのだろう。私が闇派閥の関係者だったら問題だからな、しょうがない。
一方、子供達といえばオラリオの城壁の大きさに驚いて目を見張っている。うむ、子供らしくて大変よろしい。
お!
やっと中に入れるそうだ。
「大変お待たせしました。ようこそ世界の中心オラリオへ」
中に入るとたくさんの野次馬がこちらを見ていた。
「外から来たLV4って誰?」
「いや、子供ばっかだしどう考えても一人しかいないでしょ」
「つーか、タケミカヅチ最近降りてきたくせしてもうLV4の眷属いんのかよ。うらやましいなクソが」
「ん?何かアマテラスのとこにあんなやついるって聞いたことがあるような?」
あれだけ待たされれば、噂は広がったようで暇を持て余している神様たちが見に来たようである。確かにこの先来るであろうヒリュテ姉妹の時もこのような感じだった。彼女らの場合は私たちに勝ったファミリアに入ると宣言していたのもあってお祭り騒ぎであったが。そのぐらい外部のLV4というのは珍しいのだろう。
「よし。とりあえずギルドに行かなきゃいけないみたいだから、重國も一緒に頼めるか」
ということなので同行する。
ギルドに入っていくと、チラチラとこちらを見る視線が感じられる。やはり噂はここまで広がっていたか。
「ようこそおいでくださいました。ファミリアのご登録でしょうか?」
「うむ。よろしく頼む」
流石はギルドの受付嬢。接客がきれいである。
「私はローズと申します。よろしくおねがいいたします」
「まず貴方様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「タケミカヅチという」
「かしこまりました。では次にファミリアの方針を決めていただきたく」
「ダンジョン探索系だな」
「了解しました」
まぁ、そうだな。LV4がいるのに商業系や製作系にする理由がない。それに武術の神であるタケミカヅチ様の気性には合わないだろうし。
「では最後にファミリアの団員の情報をこちらに」
ローズさんから私に用紙を渡された。
私の情報を埋めていく。
記入すべき情報は氏名と出身地。後はLV。そのくらいだ。
書き終わったので彼女に渡す。
彼女は用紙に不備がないか確認している。
「はい。これで手続きは終了となります。お疲れ様でした」
「うむ。ありがとう」
なんか終わりの雰囲気だったので、私は彼女にギルドから家を斡旋してもらえるかどうか聞いてみた。
「本来であれば行ってはいないのですが…、少しお待ちください」
上司に確認に行ったのだろう。
あ、戻ってきた。
「住居の紹介についてですが可能です。本来であれば行えないのですが、【タケミカヅチ・ファミリア】様の場合は賃金の支払いが将来的には可能だと判断させていただいたので」
「いまから案内をすることも可能ですが如何なさいますか」
「すまぬが頼みたい」
「了解しました」
その後、みんなと合流してローズさんの案内で家を見に行く。
案内されたのは極東では見慣れた長屋であった。さすがに温泉はなかったが、浴槽はちゃんとしていた。それに庭もある。
「こちらですが【タケミカヅチ・ファミリア】の皆様は極東出身とのことで、極東式の建物とさせていただきました。こちらでよろしかったでしょうか?」
「うむ、完璧だ」
慣れ親しんだ家を紹介してもらえて大変ありがたい。それなりに稼げるようになったら、温泉付きの館を立ててみたいが。
「以上で案内は終わりとなりますが」
「大変助かった。要らぬ時間を取らせたな」
「それでは私はこれで」
ローズさんはきれいな一礼をして去って行った。
ローズさんをみんなで見送った後は、新しい住まいに荷物を広げる。
荷ほどきを私も手伝っているとタケミカヅチ様に声をかけられた。
「すまぬがダンジョンに潜るのは明日からにしてもらえるか?」
「ええ、かまいませぬが。どうしてそんなことを?」
「いやなに。重國があまりにダンジョンに潜りたそうでソワソワしているものだからな」
これには私も苦笑するしかない。
念願のオラリオに来れたことで相当浮ついているようだ。だが、さっきのファミリア登録の時にダンジョンに今からでも入れるのかと聞かなかっただけでも褒めていただきたい。それだけ期待していたのだ。
タケミカヅチ様に釘を刺されてしまったからには、本日のダンジョン初探索は断念するほかない。楽しみは明日にとっておこう。
その日は夕飯を食べて直ぐに寝た。
明日のダンジョン探索に備えて。