オラリオにて残火は猛る   作:織田三郎ノッブ

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怪物の宴

 

ミノタウロスが26体。即ち、怪物の宴(モンスターパーティー)

 

広間の入口と出口を塞ぐようにして私を囲んでいる。

 

そして、私を囲む全てのミノタウロスが、その手に得物を握っていた。

 

通常、18階層を目指すLV2やLV3で構成されるパーティーであってもこれに見舞われると、危機的状態となる。

 

もしこの状況が主人公達に降りかかった場合、彼らは生き延びることができただろうか?

 

原作では2人の負傷者を抱えた状態で、自身も深手を負いながらも4体のミノタウロスを圧倒した。であれば現在の私の状況に陥ったとしても、彼らなら逃げ延びるか全てを討ち果たすかをするかもしれない。

 

なら、あの時のベルより圧倒的有利な状況である私はこれらを無傷で打倒せねば面目が立たない。

 

ただ、逃げ道を作っておくとすれば、私はミノタウロスと初交戦である。なので戦い方の勝手がわからないのだ。

 

だが、未知を飲み干してこその冒険者である。

 

故に……、 参る!!!

 

 

 

 

 

未知の戦闘の最中、参考にするのは原作でのベルの動き。敏捷を活かしての一撃離脱。そして、少ない手数で敵を仕留めることで立ち回りに余裕を作る。

 

1番最初に接敵したミノタウロスを袈裟斬りにする。

 

やはり、今まで斬ってきた中で1番斬りにくい。一撃で仕留めきることができなかった。

 

だがもう感覚は掴んだ。

 

もう一度、同じ場所を斬り重ねることでミノタウロスは魔石と化す。

 

これで1体目。そして私を攻撃範囲に収めているミノタウロスは3体。

 

なので自身の周りを囲うように太刀を振り抜くことで、攻撃を一瞬躊躇させ、その間3つの頭を刈り取る。

 

これで4体。

 

すると流石に数を生かして、十数体が同時にかかってきた。

 

私は予備動作なしに天井ギリギリまで跳躍する。一心不乱に攻撃を仕掛けるミノタウロスは攻撃対象がいないのに気付かず、武器を振り下ろす。

 

明確に隙を晒したミノタウロス達。

 

私は空中で居合の構えをとると、十数体のミノタウロスが武器を振り下ろしたことにより形成された足場に着地。太刀を綺麗に振り抜く。

 

ミノタウロスの頭が宙を舞った。

 

仕留めた数は9体。仕留め損なり顔を押さえるミノタウロスが7体。そして前がいるため戦闘に参加できなかったミノタウロスが5体。

 

傷をつけられ興奮したのか、一斉に突進の構えを取る7体のミノタウロス。勢いをつけると、同時に突撃してきた。

 

流石にそこまで直線的な攻撃に被弾する私ではなく、うまくかわして2体仕留める。

 

その後、壁を蹴って場に加わらず立ち往生していたミノタウロスを1体切り伏せた。

 

残り9体。

 

なんとか体勢を立て直し、再び突進してきた5体のミノタウロス。

 

私は壁を数回蹴ることで広間の反対側へと移動し、着地ついでに2体斬り伏せる。

 

そのまま、速度に物を言わせて後方から仕留めていき、なんとかこちらに向き直っていた3体もそのまま流れで切り倒して戦闘終了(ミッションコンプリート)

 

さすがに数が数なので、それなりに時間はかかった。

 

けど危うい場面は一回もなかったし、傷も負わなかった。

 

それにしてもすごい数の魔石とドロップアイテムだ。ミノタウロスの角や武器はそれなりの値段になるらしいから、たいへんありがたい。

 

収入面で言えば、めちゃくちゃうまい戦闘ではあったな。

 

諸々を拾い終わったので、次の階層へと移動する。さすがにそれなりに重い。今の私は夜逃げする人みたいな恰好をしているのだろう。次回からはサポーターを雇うことも考えておこう。それともリヴィラの街でもう雇ってしまうか。まぁ、それは街に着いてから決めればいいか。

 

私は次の階層へと繋がる穴へと飛び込んだ。

 

 

 

17階層で通路を歩いていると、今までとは比べ物にならないぐらい広い空間が広がっていた。そしてその中央に存在するモンスターを私は見上げる。

 

ダンジョンで初めての階層主。

 

階層主はモンスターの中で比類するものがいないぐらい巨大なため、階層主が存在する環境は自ずと広大になる。

 

「嘆きの大壁」と呼ばれるそこには、一体の巨人が鎮座していた。

 

あれこそが「迷宮の孤王(モンスターレックス)」階層主ゴライアス。

 

ゴライアスは一度侵入者を見つけると雄叫びを上げ、矮小な冒険者を潰しにかかる。

 

原作では主人公がただただ直線、つまりは17階層の入り口と出口の直線距離を走ることによりなんとか逃げ切っていたが、あれはゴライアスが17階層に到着した時にはまだ出現していなかったからこそできたことである。ゴライアスが既に出現している場合に、最短距離でただ走ることはゴライアスへと向かっていくことと同義でありLV2では生き延びることはできない。とはいえ、あの時のベルは2人を背負ってなお走り抜けた訳だから、主人公が通常のLV2とは逸脱していることがよくわかる。

 

さて、ではLV4の私はどうするのか。

 

それは、ゴライアスの存在の巨大さ故に小回りの効かないという弱点をつき、LV4の『敏捷』で翻弄するというもの。スケールは大幅に違うが、一応は同格なのでなんとかなる筈。

 

つまりは普通に逃げ切るわけである。

 

うん?ゴライアスと戦わないのかって?

 

うん。まぁ、一応ローズさんに釘さされちゃってるからね。さすがに行きで戦ったら言い訳が立たない。ただ、帰りはゴライアスから逃げきれなくて、やむ負えず戦うって場合はあるかもしれないけど。

 

さて、そんなこんなで無事ゴライアスから逃げ切り、17階層の出口に飛び込む。

 

滑り台で滑っているかのような感覚になっていると、突如明るくなり、そして着地した。着地した時の感触は通常の岩のそれではなく、芝生であった。

 

目を見開いた先、そこには緑が広がっていた。

 

まるで地上にいると我々を錯覚させるような光景。

 

ダンジョンの中にありながら、日中のように明るく。

 

ダンジョンの中にありながら、湖も森も街もある。

 

ここは冒険者とモンスターの楽園18階層。

 

安全階層(セーフティポイント)」即ち、『迷宮の楽園(アンダーリゾート)』である。

 

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