薄明の騎士達   作:猪のような

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はい、皆忘れてるでしょう。私です。待ってください!言い訳させてください!お願いだからそのエアリアルの様に振り上げた右手を止めて!水星の魔女ですがね、書き始めたのは良いんですけど展開が予想外過ぎるは想定より地獄になるわやめなさいっ!があったりしてモチベがクソ下がりました。グエル君覚醒でなんとか持ち直しましたよ。こんな作者の作品見てられるかっ!ってなるのは当然ですが、それでも見てくれるならどうぞ…


第二話 助けなきゃ

 

 

 

「スレッタ・マーキュリーに協力?」

 

「そ、あれは恐らく停滞したグループの状況を動かせる起爆剤だからね。なんとしても廃棄されるような事は防ぐってのが父さんの考え」

 

アウローラ寮のプリマの自室で、プリマを含めた四人の生徒がエアリアルとスレッタに対する今後の方針を話し合っていた。

 

「あのスウォーム兵器は確かに興味深いが…しかし社長らしくも無い。今まで他社のMSなどには微塵も興味など無かっただろう?」

 

「け、けど…エアリアル、は、普通の、MSじゃ、ありませんし…社長って、みょ、妙にGUNDに関してくわ、詳しいじゃないですか…」

 

「…リリエのいう通り、エアリアルに興味は抱いていましたが、驚いているような様子は無さそうですし、社長がグループの起爆剤という理由だけで動くとは考え辛いです」

 

この話し合いに参加しているのはプリマ、クロユリ以外に常に目を閉じているパイロット科二年の少年、マティナウ・アスアー。先ほどからオドオドしながら話す同じくパイロット科二年のリリエ・バートという少女だ。

 

「父さんが何を考えているかはともかく!皆も編入生ちゃんを助ける事に異論は無いんでしょ?」

 

「それはいいが……プリマ、お前はいいのか?」

 

「え、僕?」

 

「社長は何かを我々に隠している。勿論、あの方の人の良さは我らも理解してある。疑うつもりは無いが、息子でもあるお前にすら話せないような事だ…気にならないのか?」

 

「気になるけど…大丈夫だよ!父さんは僕を自由にしてくれるって言ってくれた。皆も同じでしょ?父さんは僕達が欲しいものを手に入れる為に全力で協力してくれる。なら、それでいいじゃん」

 

「………それはそうだが…はぁ、分かった」

 

「うんうん!……ふぁ〜…話終わったら眠くなってきた…クロユリ、机の上の()取って」

 

「ん、ああ。ほら」

 

「ありがと」

 

プリマは机に置いてあった小さな箱を開けると、その中から錠剤を何個か取り出し、飲み込んだ。

 

「じゃあ僕寝るから、部屋出る時は電気消して…」

 

そう言ってプリマはベッドに入り込むと、直ぐに寝息が聞こえ始める。

 

「ああ…おやすみ、プリマ」

 

マティナウとリリエが退室し、クロユリは最後に部屋の電気を消してプリマの部屋を出た。

 

「マティナウ、どうせ今日もMSのコックピットで寝るのだろう。送っていく」

 

「いいのですか?クロユリの部屋はプリマの隣では…」

 

「いいから、行くぞ」

 

そうしてクロユリとマティナウはアウローラ寮のMS格納庫にやってくると、そこには8機のMSが居た。その内の一つのコックピットを開け、マティナウは中に入ると、上の服を脱ぐ。するとクロユリの目にマティナウの()()()()()()()()が映る。

 

「ふぅ……あれ、クロユリ。そこら辺に私の寝巻きありません?」

 

「ん…ああ、これか?着替えるのも手伝ってやる」

 

「ありがとうございます」

 

マティナウを突起の部分だけ出した寝巻きに着替えさせると、マティナウは操縦席に背を預ける。すると突起の部分が操縦席に付いていた機械と接続されると、マティナウの目がゆっくり開く。

 

「ちゃんと見えるか?」

 

「ええ、バッチリです」

 

「よし…マティナウ、お前はどう思う?」

 

「水星のMSの事ですか?それとも社長の考え?」

 

「後者だ」

 

「それでしたら、私にはなんとも…けれど会社の指示ならば従います。何せ私はアウローラの犬、なので」

 

マティナウは首に着けたチョーカーを指差してクロユリにそう言うと、コックピットにあった箱を開けて、プリマと同じように錠剤を取り出して口に入れる。

 

「…そうか」

 

「……薬も飲みましたし、私ももう休みます。クロユリも戻って休んでください」

 

「ああ、そうする」

 

マティナウは座席を倒し、毛布を取り出す。クロユリがコックピットから出るとコックピットは閉まり、マティナウの姿が見えなくなった。

 

「……お前が犬なら、私は兵器だな…」

 

クロユリはそう呟くと、自室に戻って行った。

 

 

 

 

 

翌日、スレッタは多くの生徒に注目されながらトボトボと登校していた。

 

「スレッタ・マーキュリーさん、おはよう!」

 

そんなスレッタに明るく声をかける人物が一人。スレッタが決闘に乱入する為に協力したメカニック科二年の、ニカ・ナナウラである。

 

「あっ…ここ…この前はありがとう…ました…」

 

「見てたよ!すっごいねあなたのモビルスーツ!」

 

「えっ?」

 

「群体制御にはどんな階層構造を使っているの?従来の構造?それとも同時的空間コンセプト?」

 

「…お母さんが確か継起的空間?と併用って」

 

「そっか!確かにそれならあの概念統合スキーマの意味は分かるわ。あれで統合荷重の…」

 

どうやらニカはスレッタの扱うエアリアルに強い興味を抱いているようで、スレッタもそんなニカを見て少し笑みを浮かべていると…

 

「おい、水星女!」

 

「ひぃ!?」

 

水星女とスレッタを呼ぶ声が聞こえ、スレッタがそちらを向くとグエルがラウダや取り巻き達を連れて近付いてきていた。スレッタは反射的にニカの背中に隠れる。

 

「この前の決闘は無効だ。今度こそ決着をつけてやる」

 

「じゃ…じゃあ決闘の相手って…」

 

「俺だ」

 

「良かった〜…「良かっただと!?」ひぃ~!だだだだって一度勝ってますし…」

 

「調子に乗るなよ…田舎者が…!」

 

恐らく本人的には煽ったつもりは無いがどう考えても煽りにしか聞こえなかったスレッタにグエルの表情が険しくなると…

 

「あーはっはっはっはっはっはっ!!」

 

突然そんな笑い声が聞こえ、その場にいる全員が笑い声のした方を見る。

 

「プリマ・アウローラ…!」

 

「ぷ、ぷふっ!一回勝ってるから、良かっただって…!」

 

「笑うなぁ!!」

 

クロユリに車椅子を押されながら近付くプリマにグエルは怒鳴りつけるが、プリマはそれを気にせずスレッタの方を見る。

 

「いやー、グエルをあんなの呼ばわりしたり、決闘の相手で良かったって言うなんて、君くらいだろうねぇ。スレッタ・マーキュリーさん?」

 

「え、えっと…あなたは…?」

 

「これは失敬!僕はプリマ・アウローラ。パイロット科三年でアウローラ寮の寮長をしてるよ。よろしくね」

 

「同じく、パイロット科三年のクロユリ・カデナだ。よろしく頼む」

 

「あ、す、スレッタ・マーキュリーです…!よ、よろしくお願いします…!」

 

「うんうん…!早速なんだけどマーキュリーさん!君、寮には所属して無いよね?」

 

「え、あ、はい…」

 

「だったら!是非ともウチの寮に…!」

 

プリマがそう言いかけたところで、チャイムの音が鳴り響く。

 

「あっ!す、すみませんが時間なので、し…失礼します!ほっほっほっ…」

 

「あっ!スレッタさん!」

 

スレッタはそう言って離れていった。プリマはあちゃーという表情をすると、クロユリがグエルの方を見る。

 

「決闘、期待している」

 

「クロユリ・カデナ……あぁ、俺は必ず…!」

 

「……一つだけ言っておく」

 

「何だ?」

 

「揺れるな」

 

「クロユリ…」

 

「…グエル・ジェターク。私は今も、お前を求めている……行くぞ、プリマ」

 

「あ、うん」

 

クロユリは車椅子を押してプリマと共に移動する。グエル達から離れると、プリマは顔を上げてクロユリを見上げる。

 

「クロユリって…ホントにグエルの事が好きだよねえ」

 

「何だ、いきなり」

 

「べっつにー?」

 

 

 

 

 

 

 

その頃スレッタは駆け足で教室を目指していた。

 

「えっと…確かこっち…だよね…うわっ!?」

 

「きゃっ!?」

 

真っ直ぐに教室に向かっていると、曲がり角から誰かが飛び出してぶつかってしまい、二人して尻餅を着く。

 

「いたた…あ、だ、大丈夫です「ご、ごごごごごごめんなさいすみません許してくださいっ!!」うえっ!?」

 

ぶつかって来た相手はスレッタに凄まじい勢いで謝罪の言葉を吐き出し、一瞬で土下座の体勢になっていた。

 

「け、怪我とかしてないですか?い、慰謝料ならいくらでも払います!だから許してください!!」

 

「え、い、いや大丈夫です、から!怪我とかしてないです!」

 

「そ、そうですか…あ、な、なら靴とか舐めた方が良いですか?そ、そうすれば許してくれますか?」

 

「い、いや、そんな事しなくていいですから!」

 

「じゃ、じゃあ何をすれば許してくれますか…?」

 

「べ、別に何もしなくても良いです!ほ、ホントに気にしてませんし、怒ってませんから…!」

 

「ゆ、許してくれるんですか…?」

 

「は、はい…」

 

「そ、そうですか…え、えへへ…この人、優しい…」

 

(な、何、この人…)

 

スレッタは困惑した顔で自分を土下座しながら見上げる少女を見つめる。少女はどこか歪んだ笑顔でスレッタを見つめていた。

 

「あ、わ、私!もう行かなきゃ!し、失礼します!!」

 

スレッタはそう言って走り出し、その場を離れていった。土下座している少女…リリエ・バートは走り去るスレッタの背中をジッと見ていた。

 

「す、スレッタ・マーキュリー…優しい人…えへっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうしてその日の放課後…

 

「肥料、ここに置きます」

 

スレッタはミオリネの温室に肥料を運んでいた。スレッタは一度ミオリネに温室に入るなと言われた事があるので入り口に肥料を置くが…

 

「持ってきて」

 

「は、入っていい…んですか?」

 

「いいよ」

 

ミオリネのその言葉にスレッタは嬉しそうな表情になる。

 

「あっ、私達、親友って事「はぁ!?」すみません!!」

 

「…まぁアンタが決闘に負けたら二人とも終わりだしね」

 

「すみません……そういえば、あの…」

 

「何?」

 

スレッタは温室の横の芝生に目を向けると…

 

「………」

 

人が寝ていた。気持ち良さそうに眠っており、起きる気配がまるで無く、側に杖が置いてある。

 

「…マティナウ・アスアー。アウローラ寮のパイロット科2年よ。そこがお気に入りの昼寝スポットらしいわ」

 

「へ、へぇ…」

 

「気にしなくていいわよ。別に何もしてこないし」

 

「そ、そうなんですか…」

 

スレッタがマティナウをマジマジと見ていると…

 

「スレッタ・マーキュリー」

 

「あ、エランさん…」

 

 

次に現れたのはペイル寮の寮長であり決闘委員会の一人であるエラン・ケレスだった。スレッタは拘束されていた時間にエランに食事を与えられておりその時に少し話をしている。

 

「あ、あの、先日は…」

 

「君を呼びに来た、決闘委員会に」

 

「委員…会…?」

 

「そいつは決闘委員会のメンバーなのよ」

 

ミオリネから補足が入ると、エランが端末を取り出す。

 

「連絡先分からなかったから、交換いいかな?」

 

「あ、はい!」

 

スレッタも端末を取り出して連絡先を交換すると、スレッタはまた嬉しそうに笑った。

 

「リストの12番…叶いました」

 

「リスト?」

 

「連絡先の交換、学校に来たらやりたいなって思ってて…」

 

「他にはどんな事が?」

 

「友達を作る、あだ名で呼ぶ…」

 

「デートをする」

 

「ミオリネさん!?」

 

ミオリネがバラしたデートをするという言葉にスレッタは大声で反応する。エランはやりたい事リストの話を聞いて…

 

「リスト、沢山叶うと良いね」

 

と無表情で言った。その後、エランとスレッタは決闘委員会のラウンジに向かった…ミオリネはその姿を見送ると、マティナウの方を見る。

 

「毎回だけど、いつまで寝てんのよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして時は流れて、スレッタとグエルの決闘当日。

 

「あ、そろそろ始まるよ、クロユリ!」

 

「ああ…」

 

プリマとクロユリの二人はアウローラ寮にあるモニターで決闘の様子を確認していた。

 

「マティナウもMSの中で見るってさ、リリエにも見るように言ったんだけど…」

「いないのか?」

 

「寮にはいないって。まぁ、どっかで見てるでしょ!それより楽しみだねー決闘!」

 

プリマはニコニコしながら、クロユリは真剣な顔でジッとモニターを見ていると、エランの声が聞こえ始める。

 

「これより、双方合意の下、決闘を執り行う。勝敗は通常どおり相手モビルスーツのブレードアンテナを折った者の勝利とする。立会人はペイル寮のエラン・ケレスが務める」

 

決闘の場である戦術試験区域7番に二つのMSコンテナが現れ、それぞれのコンテナからエアリアルと見た事のない赤いMSが出て来る。

 

「お、何あのMS」

 

「…ほう…」

 

「両者、向顔」

 

MSでの通信でグエルとスレッタが顔を会わせる。

 

「スレッタ・マーキュリー、決闘の口上を」

 

「口上?」

 

「さっき教えたでしょ」

 

「あ、え、えっーと…」

 

「ぷはっ、ぐだぐだじゃん」

 

スレッタは何とか思い出しながら決闘の口上を言い始める。

 

「勝敗は、MSの性能のみで決まら「操縦者の技のみで決まらず…!」

 

「「ただ、結果のみが真実」」

 

「フィックスリリース」

 

グエルが少し食い気味だったが口上が述べられ、エランの合図で決闘が始まった。

 

「おー始まったね〜エアリアルとスレッタちゃんもそうだけど、ジェターク社の新型にも注目だね、クロユリ!……クロユリ…?」

 

プリマの声に反応せずに、クロユリはただジッとモニターに映るダリルバルデを見つめていた。ダリルバルデは射撃を防いでいた岩陰から飛び出し、エアリアルに接近する。

 

「ちっ…」

 

「クロユリ?どしたの?」

 

ダリルバルデの一連の動きを見たクロユリは表情を顰める。

 

「余計な事を……いや、寮の連中はグエルに絶対的な信頼を寄せている…やるとしたら…会社の方か」

 

「あれ、何か起こってる感じ?」

 

「恐らくだが、グエルのMSの動きが何時もより単調過ぎる…それにエアリアルと同様にビット兵器を使う辺り…AIでも載せているな」

 

「うわ、マジか」

 

ダリルバルデはエアリアルの射撃攻撃を防ぎながら肉薄し、接近戦を仕掛ける。対してエアリアルは接近戦は不利だとスレッタが判断し、距離を取りながら戦う。すると…

 

「お、何だ何だ〜?」

 

「雨…排熱処理か」

 

突然試験区域に雨の様に水が降り始め、エアリアルはビームライフルで射撃するが、水でビームが減衰してしまい、ダリルバルデに届かない。

 

「あらあら…やるね、ジェターク社」

 

「……揺れるなよ、グエル」

 

エアリアルは強制的に接近戦を強いられてしまい、ダリルバルデがパワー任せに攻め続けてエアリアルの右腕を切り落とす。

 

「あーやばいやばい。こんな事ならスレッタさんの方に行くんだった…」

 

「どうする、負けたら」

 

「どうしようも無くない?」

 

 

 

 

 

「異常も無いのに、管理システムが水散布するわけない」

 

その頃ミオリネも、この決闘に何か仕組まれたものがあると勘付いていた。ミオリネは決闘ラウンジの方に通信を繋ぐ。

 

「今すぐ決闘を止めて!システムエラー修復してから再開するべきよ!」

 

「決闘は平等じゃないよ」

 

「何言って…」

 

「その生徒のバック次第で用意出来るモビルスーツもサポートメンバーも違ってくる。この偶然がたとえ仕組まれたものだとしてもそれを含めて彼の力だよ」

 

ミオリネの発言に対してエランは淡々とそう言った。ミオリネは説得は無理だと即座に判断し、別の方法で水散布を止める事にした。

 

「だったら私もスレッタの力ってことでいいよね?」

 

決闘委員会で止めてくれないのなら自分で止めるしかないと判断したミオリネは直ぐ近くにあったモビルクラフトに乗り込もうと思い、ソレがある方を見ると…

 

「は!?アンタ何してんの!?」

 

「ひっ、ご、ごめんなさいごめんなさい!!」

 

そこには既にモビルクラフトに乗り込もうとしているリリエ・バートの姿があった。

 

「それ!今から使うんだから降りてよ!!」

 

ミオリネは慌ててモビルクラフトの方に走りながらそう叫ぶが…

 

「す、すみませんすみません!!後でなんでもするから許してくださぁぁぁぁぁぁい!!」

 

リリエはミオリネの制止では止まらず、モビルクラフトに乗って行ってしまった…

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

他に近くにモビルクラフトなどは存在しない、ミオリネはもうどうしようも無い事を悟る。

 

「スレッタァ!!」

 

「は、はい!!」

 

「何とかしなさい!!」

 

「ええっ!?」

 

 

 

 

 

「助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ…!」

 

その頃モビルクラフトを半ば強奪の様な形で乗り込んだリリエは焦った様子とは裏腹に非常に正確かつ素早い動きで水散布を管理出来る場所に向かっていた。

 

「あそこを下に曲がって…!」

 

前方に生徒が乗っているエレベーター車両が見える。リリエはそれを確認しながらも速度は全く落とさず…

 

「お、おい!見ろアレ!」

 

「あのモビルクラフト!もの凄い勢いで近付いて来るぞ!」

 

「ね、ねぇ、もしかしてぶつからないわよねっ!?」

 

モビルクラフトは変わらぬ速度で接近し続け、そして…

 

「今っ…!!」

 

車両に当たる寸前の所で急降下し、スレスレながらも車両に当たらずに済んだ…

 

 

 

 

 

「ああ~!惜しい!」

 

「んだよ。よけてんじゃねぇよ」

 

水散布を管理出来る場所にフェルシー・ロロとペトラ・イッタは居た。二人は先程水散布を開始したので端末で決闘を見ていたのだが…

 

「「あ?」」

 

二人が視界の端に何かを捉え、窓の外を見るとモビルクラフトが真っ直ぐ向かって来ていた。

 

「「うわぁぁぁ!?」」

 

モビルクラフトは窓を突き破り、管理室に無理矢理入り込んで来る。

 

「な、何だよいきなり!」

 

「あ、アンタ誰!?」

 

「ひっ、ごめんなさいごめんなさい…!」

 

リリエはモビルクラフトで二人を捕まえ、拘束するとモビルクラフトから降りて水散布を管理するシステムを操作して止める。

 

「ああー!お前!余計な事を…!」

 

「許さないかんな…!」

 

「ひぃぃぃぃ!!」

 

二人をモビルクラフトで捕え、圧倒的に優位な立場にいるというのに、リリエは睨んで来る二人に怯えていた。

 

 

 

 

 

 

「止まった…?」

 

「!嘘、何で!?……け、けどこれでちゃんと戦える!スレッタ、後はアンタが勝つだけよ!」

 

「はい!エアリアル、今度は私達の番だよ!」

 

水散布が止まった事によりビット兵器の射撃が使えるようになったエアリアルはダリルバルデに反撃を開始した。

 

 

 

 

 

 

「お、水散布止まった!良かった〜」

 

「ああ、後は勝つだけ」

 

「…クロユリ、スレッタさんが勝っていいの?」

 

「今回は構わん、ジェターク社の邪魔が入ったのだ。別にいいだろう」

 

ダリルバルデはエアリアルに全く敵わずボロボロになっていく。しかし…

 

「!そうだ、それでいい、グエル!」

 

ダリルバルデの動きが突然良くなり、エアリアルと互角に競り合い始める。

 

「AIの制御を断ち切ったかな?何にせよ、もう大詰めだね」

 

エアリアルは空中からダリルバルデに切り掛かり、ダリルバルデはそれに応戦する。一瞬の攻防の末、勝者は…

 

「勝ったね、スレッタさん」

 

「ああ…全く、最初からグエルに任せておけばいいものを…」

 

そう言いながらもクロユリは先程よりも表情が柔らかくなっている。その様子にプリマも少し微笑んでいると…

 

「俺と…結婚してくれ…!」

 

その言葉を聞いた瞬間、空気が凍りついた。プリマはバッとモニターを見ると、グエルがスレッタに膝を突き、手を握りながら告白していた。

 

「あ、あ〜…」

 

プリマはギギギと擬音が付きそうな感じでもう一度クロユリの方を見ると…

 

ゴゴゴゴゴゴゴ…!!

 

そこには決闘の時より明らかに不機嫌そうなクロユリが居た。

 

「嫌ですぅぅぅぅぅぅ!!」

 

そしてスレッタはグエルを振ってエアリアルに乗って逃げた。しかしクロユリがグエルが振られてもお構いなし。プリマはクロユリの背後に般若を幻視した。

 

(あーあ、僕は知らないよグエル・ジェターク。君が悪いんだからね〜)

 

プリマはクロユリから目を逸らした。

 

 

 

 

 

 

 

そしてMSコンテナに乗ってエアリアルと共に戻って来たスレッタ。

 

「び、ビックリしました…な、何であんな、いきなり…」

 

「スレッタ、お疲れ様。よくやったわね」

 

「あ、ミオリネさん」

 

ミオリネがスレッタを迎える。その表情は珍しく笑顔であった。すると、そこでもう一つ戻って来るものがあった。

 

「あ、アイツ!モビルクラフト泥棒!」

 

そうリリエとリリエが乗ったモビルクラフトである。

 

「アンタ!よくもさっきは…!何とかなったから良かったものの…!!」

 

「ひいっ!ご、ごめんなさいごめんなさい!」

 

「あ、あれ、貴女は…」

 

「あ、す、スレッタさん…え、えへへ、しょ、勝利おめでとうございます…」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

リリエはモビルクラフトの陰に隠れながら歪んだ笑顔でスレッタを祝福する。

 

「何、スレッタ知り合い?」

 

「あ、はい、この前ぶつかっちゃって…」

 

「す、スレッタさん、ぶつかっても全然怒らないから…う、嬉しくて…だ、だからスレッタさんが困ってるから、た、助けなきゃって…」

 

「…待ちなさい、もしかして、水散布を止めたのアンタなの?」

 

「は、はい…その、余計な事を、しましたか…?そ、それならお詫びを…!」

 

「いや…助かったわ、ありがとう」

 

「あ…え、えへへ…アウローラ以外の人から初めて褒められた…」

 

リリエは恥ずかしそうにしながらもとても嬉しそうである。

 

「助けてくれてありがとうございます!えっと…」

 

「わ、私、アウローラ寮のパイロット科2年のリリエ・バートです…よ、よろしくお願いします、スレッタさん…」

 

「はい、リリエさん!……ん?アウローラ寮って確か、プリマさんの…」

 

「は、はい、そのスレッタさん…」

 

「はい?」

 

「ぷ、プリマさんが、スレッタさんと、話したいって…」

 

 

こうして、グエルとの決闘をリリエの協力を得ながら勝利したスレッタは学園生活を守る事が出来たのだった…

 

 

 

 

 

 




水星の魔女の展開が不明過ぎるのでこの時点で私の最初の構想より大分変わりました。例えば最初の構想だとクロユリとニカを知り合いにしてたんですよね。リリエをこんな感じでスレッタと関わらせる気も無かったし、正直原作の展開次第ではこれから先に更に変更を加えかねないんですよねぇ…慎重に書いていきたいです。それではまた次回をお楽しみに。
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