マリアが先程の宣言から続けて言葉を紡ぐ
『我々、武装組織フィーネは各国政府に対して要求する。そうだな、さしあたって国土の割譲を求めようか!もしも二十四時間以内に果たされない場合は各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう』
ノイズを利用し国家に対する脅し。驚きの事態だ
「何処までが本気なのか」
「巫山戯たことを抜かしやがる」
翼と奏はその言葉にそう返す
『私が王道を敷き私達が住まう為の楽土!素晴らしいと思わないか!』
だが余りにも現実的ではない言葉だ。まさにアイドル大統領とでも言うべきか
「何処までが騙りか知らぬが」
「余りにも現実的じゃぁねぇな」
「私が騙りだと?」
「やるんならもっと可能な所から始めるんだな!考え無し!それにガングニールはそう易々と纏えるもんじゃねぇ!」
奏がマリアのガングニールを否定する。
そして翼、奏はもう我慢ができないと聖詠を歌おうとして
『お二人とも落ち着いてください』
「緒川さん!?」
「なんだよ!」
緒川からの通信が入る
『今シンフォギアを纏えばお二人がシンフォギア装者だと世界に知られてしまいます』
「この状況で!」
『ツヴァイウィングのお二人の歌は戦いの歌ばかりではありません人を癒し勇気づける歌でもあるのです』
その言葉で二人は思いとどまる
「確かめてみたら私が言ったことが騙りなのかどうか」
その挑発に二人は乗ることは無かった
それを見たマリアは
『会場のオーディエンスの諸君を解放する。ノイズに手出しはさせない、速やかにお引き取り願おうか!』
その言葉に会場の人々は困惑する
「何が狙いだ」
「訳わかんない奴だぜ」
そしてマリアに通信が入る
『何が狙いですか、我々の有利を放棄するなど筋書きには無かったはずです。説明して貰えますか』
「このステージの主役は私。人質なんて私の趣味では無いわ」
『血に汚れる事を恐れないで!……調と切歌を向かわせています。作戦目的を履き違えない範囲でおやりなさい』
「OKマム」
会場の人々が順調に避難する中、一人残る人物が居た。その少女は俯き何かを堪えているようだった。そして未来達と一緒にいた牙も会場から退場すること無く現場を見ていた。
そしてツヴァイウィングの二人がシンフォギア装者として力を発揮する為にカメラ中継を止めようと緒川は走っていた。
「お二人は今世界中の視線に晒されているその視線の檻からお二人を解き放つには……」
そんな時通路に二人の少女が居るのを緒川は見つけた
「やっべぇあいつ来るデスよ!」
「大丈夫切ちゃん、いざとなったら」
そう言って黒髪の少女は胸元の赤いペンダントを指し示す
「調ってば、穏やかに考えられないタイプデスか!?」
金髪の切ちゃんと呼ばれた少女が調と呼ばれた少女にペンダントにしまわせる。
「どうかしましたか!?早く避難を!」
そんな二人のやり取りを知らず一般人だと思っている緒川は2人に避難を呼びかける。
「あっ…え〜っとデスね…この子が急にトイレへと言い出しちゃってデスね…あはは…参ったデスよ…!!」
切ちゃんは調を隠して誤魔化そうとするも、じーっと言いながら調は姿を見せる。
「あぁ、じゃあ用事を済ませたら非常口まで案内しましょう。」
緒川の呼びかけに切ちゃんは笑いながら言う。
「心配無用デスよ! ここいらでちゃちゃっと済ませちゃいますから大丈夫デスよ!」
「分かりました。でも、気をつけて下さいね」
緒川はその場を後に走り去っていった。早く歌姫を助ける為に
「はぁ…何とかやり過ごしたデスかね…」
「じーっ…」
溜息を吐く切ちゃんをじっと見つめる調。
「どうしたデスか?」
「私、こんな所で済ませたりしない」
「デスよね…。全く、調を守るのは私の役目とはいえ毎度こんなんじゃ体がもたないデスよ…」
「いつもありがと。切ちゃん」
切歌に礼を言う調
「それじゃ、こっちも行くとしますデスかね!」
そう言うと2人は走っていった
「帰る所があるというのは羨ましいものだな」
人がいなくなった会場でマリアはそう呟いた
「マリア、貴様は一体…」
「わけわかんねぇな……」
マリアの呟きに二人は疑問を大きくしていく。だがそんな二人に構うこと無くマリアは言葉を投げかける
「観客はみな退去した。もう被害者が出る事は無い、それでも私と戦えないと言うのであればそれはあなた達の保身の為。あなた達はその程度の覚悟しか出来ていないのかしら!」
マリアはそう言い放ち二人に仕掛けようとしたが、誰も居なくなったはずの観客席から足音が響く。そしてその人物はステージに上がってくる。その事に三人は動きを止める
「全員避難したはず…」
「あんた何やってんだ!?」
「今すぐ避難を!」
ステージを上がってきた人物は下を向き俯いた状態だったが顔をあげる。するとマリアが驚愕の表情でその人物、少女を見る
「…セ……レナ…なの?」
「お久しぶりです。マリア姉さん」
そう返したのはセレナ・カデンツァヴナ・イヴ、マリアの妹だ
「セレナ!」
ライブ会場に向かうヘリの中でも
「セレナ姉!?」
「知り合い?」
クリスが驚愕する
「昔バルベルデで世話になってた人だ」
クリスにとってもう一人の姉も言ってもいい存在であるセレナ、その登場にクリスは困惑していた
マリアは死んだはずの妹を目にして駆け出そうとするが
「マリア姉さん、私は姉さんの敵です」
「……え?」
セレナはそう宣言した
「マリア姉さんがなぜこんな事をするのか私にはわかりません。私の知る姉さんはこんな事をする人じゃ無かった………姉さんの目的は知りませんでも、私は姉さんを止める。大切な人が道を踏み外そうとするなら私は傷付けてでも止める!それが私の覚悟!」
「……そんな、セレナ」
そう言ってセレナは胸元から赤いペンダントを取り出す
「それは!」
「シンフォギア!?」
セレナは歌う聖詠を大切な家族を止めるため
「
セレナはシンフォギアを纏っていく。その身に纏うはアイギスの盾、神話にて主神ゼウスのものとも、ゼウスが娘の女神アテナに与えたものともされる。ありとあらゆる邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持つとされている。鍛冶神ヘパイストスによって作られたとされ、形状は盾であるとも、肩当てまたは胸当てのようなものであるとも言われている
セレナのシンフォギアは軽鎧のような全身装甲に近い守りに特化したプロテクター。それでも他のシンフォギアに比べれば比較的にプロテクターが多い程度なのだが。
「マリア姉さん、私が相手です」
「セ…レナ」
セレナは空中に浮かぶ盾型のアームドギアを出現させマリアに相対する。望まぬ再会だとしても、自身の姉だとしても、セレナはマリアを真っ直ぐに見つめる。セレナは傷付けるのも傷付くのも嫌いだ、しかしそれを言い訳に逃げる事はしない
セレナは覚悟した