先に行っておく
ど う し て こ う な っ た
「台無しだ、台無しだ、台無しだぁ!!」
ウェル博士は大声をあげる。
英雄になるはずの自身の道を阻む存在。それがいるだけでとてつもなく心がぐちゃぐちゃになる。
正常な判断は出来ずとにかく気に入らないものを消すかのようにノイズを消しかけていく。
そんな中ウェル博士の目に入ったのはこの場でもっとも非力な存在それは。
「立花 響……ヒヒッ」
ネフィリムと生身で戦っている時点で弱いとは言えないが、それでも彼の優秀な頭脳はこの場でもっとも最適な解答を導き出した。
響は人、そしてネフィリムは聖遺物。人と物、その差がではじめていた。響はネフィリムの相手を始めてから一度も休憩すること無く相手をしている。既にだいぶ息が上がってきているのだ。そして本来、今の響が警戒すべきノイズは装者やスコル、ハティの尽力により響は気にする必要はなく。ネフィリムのみにその集中力を集約させている。
「少し小突けば戦況はこっちにかたむくぅ♪」
そうして彼は最悪の一手をぶち込む。
「THE DISASTER!そこの立花響を殺せえ」
その場にいた全員がその言葉を聞き一瞬固まる。
ウェル博士が発した言葉を理解するのを拒んだのだ。あまりにも最悪すぎる一手に。
そんな中真っ先に動いたのは指示を受けたTHE DISASTER。その次に動いたのは牙だった。
響はネフィリムに集中しすぎるあまりにTHE DISASTERの接近に気付いていなかった。
「響ぃ!!」
そんな響にTHE DISASTERの存在を気づかせたのは牙の悲痛な叫びだった。
響がTHE DISASTERに気づいたは良い。しかし、もはや回避不可能な場所まで来ていた。
それでも咄嗟に体を動かせたのは響の長年の鍛錬の賜物だろう。だが、響の相手はTHE DISASTERではなく、ネフィリムだ。
THE DISASTERを避けようとした響の隙を待っていたかのようにネフィリムはその大口を開けて襲い掛かる。
それを響を避ける事は出来ない。既にTHE DISASTERから逃れようと行動してしまったからだ。
響に迫る逃れられない
死
「え?……おねえ、ちゃん?」
「……良かっ、た」
しかし、響に迫り来る死取り除かれた。
だが、その代わりネフィリムとTHE DISASTERの攻撃を受けたのは立花 牙だった。
THE DISASTERの攻撃を受け止めた左腕は服が酷く破れその隙間から血と肉片、そして骨が姿を晒している。
さらに右腕と上半身の右側三分の一程がネフィリムの口にすっぽり収まり牙を突き立てられ血を流している。
響を助ける為に酷使したのであろう足は肉が裂けて血が滴っている。
誰が見ても酷い状態だった。
だがここで終わらない。
牙に今噛み付いているのは聖遺物を喰らう完全聖遺物ネフィリムなのだから
ブチッブチッブチィ!!!!
凄まじい音を立てながら牙の体が喰いちぎられる。
喰いちぎられた傷口からは血が吹き出しシャワーのように降り注ぐ。
それを浴びた響は思考を辞めていた脳が再び動き出していた。
「……え?おねえちゃん」
響の前には全身をボロボロにし血を吹き出し上半身の右側三分の一を失いそこから臓物の一部を覗かせて立ち尽くす姉の姿が見えていた。
「いやぁ、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?お゛ね゛ち゛ゃ゛ん゛」
響は理解した、いや理解してしまった瞬間。それの事実を否定するかのように大声をあげて牙の体に縋りついた。
この時誰もがあまりの出来事に動きを止めた。あまりにも凄惨な出来事に止まることしか出来なかった。脳が理解を拒んでいたのだ。
「やった……やってやったぞォ!!!!イッヒヒヒヒヒヒ」
そんな中でただ一人だけ、狂ったように笑い声あげる人物が一人。ウェル博士だ
「邪魔者が死んだァ!!僕の英雄街道の邪魔をした石ころを消したぞぉ!!」
そのまま言葉を吐き続けるウェル博士の言葉はあまりにも人としては思えない。いや、人だからこそ出てくる言葉なのだろ。獣だろうとここまで醜悪になる事は出来ない。
「殺してやる……殺してヤ゛ル゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛」
まるで地獄の底から響いて来たかのような大声をあげたのはクリスだった。
その瞬間クリスのシンフォギアに変化が訪れる。クリスのギアが次々と姿を変えていくのだ。
赤かった装甲は赤黒く変色しその形を鋭角的に変えていく。
彼女の怒りと悲しみがない混ぜになった顔はまるで悪魔のようなフルフェイスマスクに覆い隠される。
足や腕にはさらにプロテクターが装着され刃や銃口が見え隠れする。
そこにかつてのイチイバルそしてクリスの面影はなく。重い憤怒と殺意、そして小さな悲しみがその身を包む。
「コロシ゛、テ゛、ヤ゛ル゛」
その声と共にアームドギアは変化し爆発的に巨大化していく。数十はあろうかという多銃身機関砲、いくつものミサイルポッド。他にもバズーカや大砲と変わらぬ程の口径を誇る銃口など数えるのも億劫になる程の兵器が現れウェル博士を狙う。
シンフォギアの暴走と言うにはあまりにも違いすぎる変化に誰も反応出来ない。この現象を知るであろうものはウェル博士の手の中で沈黙を保っている絶望の箱だけだろう。
書き始めた当初はこんな場面考え付いてなかったのに
バイオレンスがすぎる
そして少しだけネタバレする。
ここから先も
バ イ オ レ ン ス
だ!