狼姫咆哮シンフォギア〜世界を駆ける神狼〜   作:エドアルド

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オラァン!バイオレンスの時間だァ!!


伝播する厄災〈上〉

 

「ヒッ!?ヒィィィィィィ」

 

突如として向けられた殺意にウェル博士はたじろぐしか無かった。

邪魔者を一人殺したと思ったら謎のパワーアップを遂げこちらに殺意を剥き出しにする邪魔者が現れたのだ。

 

「なんなんだよもぉぉぉぉぉ!?」

 

あまりの理不尽さ、あまりの理解外の事にウェル博士は取り乱す。

しかし、ウェル博士を待ってくれるほど今のクリスは優しくはない。

 

数多の兵器群にその姿を変えたクリスのアームドギアが唸りを上げる。多銃身機関砲が回転を始めミサイルポッドの蓋が開き、エネルギーが充填される。

そして死が撒き散らされる。

 

Infinity Murderous intent

 

 

爆音を撒き散らしながら銃弾、ミサイル、ビーム、ありとあらゆる遠距離兵器がウェル博士に殺到する。

がそれを遮るのはTHE DISASTER。ロンギヌスを盾に攻撃を潰していく。

だがそれを越えTHE DISASTERの装甲を削り少しだが出血させる。

 

聖遺物が完全聖遺物を圧倒しているのだ。本来ならありえない。

しかし、それを越える為の感情がある。それは愛。

今のクリスには無縁とも言えるだろう。しかし、彼女の怒りは殺意は愛が深いからこそ、その愛が転じた感情が彼女の力の原因。

 

そしてその心に応える為の機能をシンフォギアは持っている。その名は心象変化。

装者の思いに応える為の機能。それが最悪の形で発現しているのだ。もっともそれを引き起こした要因の一つは厄災の箱なのだが。装者達は知る由もないだろう。

 

そして絶望は伝播する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛とは人が生きていく上で必ず持つものである。

親愛、友愛、異性愛、相思相愛、慈愛、純愛、敬愛、愛、愛、愛。数多の愛がこの世には溢れている。

故に愛する対象が居なくなった時その感情はどうなるのだろうか?

悲しむのだろう泣き叫ぶのだろう。そして怒り憎しむのだろう。

 

さて愛は必ず持つものであると言ったな?ではこの時この場所で愛を失ったものはどれだけいるだろうか?

愛を殺意へと転換してしまったクリスそれは起爆剤だ。

 

 

 

 

 

************

 

 

 

 

 

天羽奏にとって立花牙とはどんな人物か?

そう聞かれれば彼女はこう答えるである。友人にして恩人である。

今の彼女が生きているのはライブ会場で牙が彼女の絶唱を止めたからだ。彼女が今も装者であるのは牙のおかげだ。

数多の恩義を牙に受けている。

そして彼女と牙は装者の中で歳も近く二十歳を超えている。当然酒のそういう付き合いもしている。なんなら翼とはまた違った親友なのかもしれない。

さて質問だこんな彼女が牙に対して愛の類を抱いていないだろうか?

否である。

 

「………………」

 

奏を包んだのは怒り。また奪うのか、家族のように。また誰かを失うのか?家族のように

元々あった彼女の憎しみの断片、それが作用し。奏は強さを望む。

だってそうすれば誰かを失う事なんて無いはずだから。

 

コロス

 

クリスと同じように奏のシンフォギアも変化していく。その装甲の色はオレンジ色をほんの少しだけ残した黒。プロテクターは荒々しさをまし全身を覆うように装着されていく。

アームドギアである槍もより鋭くより凶悪に形状を変える。

奏の怒りに染まった顔はそれと反対に熱を感じさせない平坦なフルフェイスマスクに覆われる。

 

そしてその暴威はノイズに振るわれた。彼女のアームドギアの一振で地面は吹き飛びノイズは塵芥のごとく宙を舞い炭にその体を変える。

 

更にアームドギアに黒いエネルギーが集約し始める。それはどんどんエネルギー量を増やし輝きを増す。

そしてそのエネルギーは解き放たれる

 

Unleash ∞ Exacerbation

 

奏はアームドギアを足元につき刺す。そしてそこを起点にして黒いエネルギーの奔流が当たり一体を襲う。

エネルギーの奔流が無くなった頃には大きなクレーターの中心で佇む奏だけがいた。

 

ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛

 

彼女の慟哭のみが鳴り響く。

 

 

 

 

 

************

 

 

 

風鳴翼にとっての立花牙とは?

そう聞かれて彼女はこう答えるだろう。共に戦う仲間だと。

牙に一番最初に会った時は相棒である奏の命を助けてもらい。その後も戦場を同じくしノイズとの戦いで背中を預けあった事もある。

 

普段の付き合いこそ他の装者達に比べれば少なくとも二人の間には確かな絆があったのだ。

そして彼女は自身を防人と称し常に人々を国を守るべく戦ってきた。

 

だが今はどうだ?ウェル博士の悪逆を許し仲間を守る事すら出来ずに。しかも自身はノイズばかりを相手にしていた。

なんと不甲斐ないことか。自身の弱さでまた奏のように仲間を危険に晒すのか?また誰かをさきもる事も出来ないのか。

 

翼は怒る不甲斐ない自身に友を傷付けた敵に。

 

そうして翼のギアにも変化が訪れる。

シンフォギアのプロテクターは深い深い青に色を変え、刃の如くプロテクターは鋭さをます。更に身体中にプロテクターが装着され、その姿はさながら武将。翼のアームドギアは長くなり大太刀と呼べるまでに巨大化、そしてその刃は青い炎を携える。

顔を鬼のような総面の面具に包む。

 

翼は炎を携えた大太刀をおもむろに振り上げる。すると轟々と燃え盛っていた炎は内側に集約するように規模を縮める。しかし、そこに秘められたエネルギーは膨大。

圧縮された炎は翼の大上段の振り下ろしと共に解き放たれる。

 

蒼炎ノ斬波

 

閃光と爆音が撒き散らされ、圧縮された炎の斬撃はTHE DISASTERに届く……はずだった。

 

しかしそれを遮ったのは

 

「落ち着け翼!!」

 

弦十郎だった。これ以上暴走を始めた装者達を止めるべく翼の前に立ち塞がったのだ。

 

しかし、今の翼の前に立つならば等しく皆斬り捨てるべき敵である。

翼の怒りとは裏腹に酷く落ち着いたその瞳が弦十郎を射抜く、斬り捨てるべき敵として。

翼は青い炎を携えた大太刀を構え切りかかる

 

「急いでくれよキャロルくん!!」

 

今の弦十郎にできるのは翼を止めることだけだ

 

 

 




バイオレンスは続くよ何処までも
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