狼姫咆哮シンフォギア〜世界を駆ける神狼〜   作:エドアルド

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例え闇に手を伸ばそうとも

 

 フロンティアへ降り立った牙たちは真っ直ぐにフロンティア内部目掛けて走っていた。しかし、それを遮るように次々とノイズが襲いかかる。

 

「数が多いわね!?」

「ウェル博士がソロモンの杖を持ってるからね」

 

 マリアの零した愚痴に牙がそう反応する。実際ソロモンの杖がある限りウェル博士は無限の兵隊を生み出せると言っても過言では無い。

 だが──

 

我流・神狼ノ多重爪撃

 

我流・海獣骨鏃

 

 相手が悪かった。

 牙の放つ爪状の大量の斬撃がノイズを一欠片も残さず吹き飛ばし。響が投げ放ったゲイ・ボルグが鏃へと変じ増加しノイズを寸分の狂いもなく撃ち抜いていく。

 更にはウェル博士の捕縛チームとしてついてきたリベルタスの第一部隊が輸送機を人型に変形させ銃撃でノイズを撃ち抜いていく。

 ノイズたちは近付くことすら出来ずにただの炭素へと変わっていく。

 

 だがその順調な道筋を邪魔するように影が差す。

 

「上!!」

 

 いち早く気付いたら牙の声と同時に全員が影の主の姿を見る。それはリゼ・アルジェネロ、否── THE DISASTERであった。

 THE DISASTERは急降下し牙たちの目の前に立ち塞がる。

 

「グレイプニル!!」

 

 牙がそう叫んだ瞬間牙のギアが変形していく。グレイプニルとのデュオレリックである。そしてすぐさま鎖を展開しTHE DISASTERの首や手、足に巻き付け更には地面や周辺の柱を経由させることでを拘束した。

 

我流・神狼ノ枷

 

「今のうちに!!」

「すまん!」

 

 ギチギチと音を立てて今にも引きちぎられそうな鎖だがウェル博士捕縛とフロンティア操作組を先に行かせるには十分だ。

 

 そしてTHE DISASTERが拘束を引きちぎる寸前。攻撃が殺到する。

 

 ピンク色の大量の丸鋸が──

 

α式百輪廻

 

 緑色の三日月状の刃が──

 

切・呪リeッTぉ

 

 ガングニールのアームドギアからの光線が──

 

HORIZON ‪✝︎ SPEAR

 

 THE DISASTERに当たる寸前に、拘束されていたTHE DISASTERは牙たちの背後に存在し、牙にその拳を叩き込む。

 

「がっ!?」

「お姉ちゃん!?ぐっ!!」

 

 吹き飛ばされた牙に驚愕した響は立て続けにTHE DISASTERの拳を受ける。響はなんとか防ぐ事が出来たが大きく後退する。

 

「今のは、フラッシュブリンク!」

「なんで使えるの!」

「今のリゼは使えないはずデス!?」

 

 一瞬にして牙の拘束から逃れたTHE DISASTERが能力を使用した事に驚愕する。THE DISASTERが使った能力は【フラッシュブリンク】。自身を粒子化し瞬間移動する技である。

 今のTHE DISASTERではパンドラの箱による影響で使えないと予想されていた。実際にカ・ディンギル跡地の戦いでは能力は使われていなかった。

 

 しかし、あの戦いから1週間程が経過した事により少しずつだがTHE DISASTERは能力が使えるようになったのだ。元々、不安定で暴走しやすい聖遺物であったが故のパンドラの箱の影響への順応が可能にした牙たちにとっての最悪の成長である。

 

「厄介!!だけど、単調!!」

「先読みしやすい!」

 

 しかし、牙と響は何度か後の攻撃には瞬時に対応した。背後に来たTHE DISASTERの拳の側面を振り向きざまに蹴り飛ばす事で攻撃を外させた牙。フラッシュブリンクにより一瞬で距離を詰めてきたTHE DISASTERの蹴りを拳で相殺する響。

 二人にはTHE DISASTERの動きが見えていた。というのもTHE DISASTERのフラッシュブリンクは基本的に背後に回るか距離を詰めることにしか使われていない。確かにフラッシュブリンク自体は協力な技だが使い手が理性が無いのであればそこまで驚異足り得ない。今のTHE DISASTERではフラッシュブリンクを使うだけの思考能力が無いのだ。

 

「そこデス!」

「なんとか私たちでも見える!」

「流石、マム」

 

 そして一番の要因としてギアの強化がある。今回の戦いに備えてギアの強化改修が行われたがその中に視覚サポートが追加されている。それは装者にサーモグラフィーやナイトビジョン等を使った時と同等の視覚情報を提供する機能である。

 フラッシュブリンクという技は自身を粒子化する事で瞬間移動をする技であり魔法のような代物でない。閉鎖空間ではその中でしか移動できななどの制約が存在する技でもある。そしてギアによる視覚サポートにより微かだがフラッシュブリンクによる瞬間移動の軌跡が見て取れるのである。

 故にこの場の全員がフラッシュブリンクに対応出来ていた。

 

「でも、厄介なのは変わりない……」

「それにしても……私たちしか狙わないね」

「私たち3人は眼中に無いどころか敵としてすら見られてないようね」

「なんだかムカつくデス」

「でも、2人がこの中で1番強いのは事実」

 

 ある程度交戦して五人はTHE DISASTERが牙と響しか狙わない事に気付いた。他の3人の攻撃には反応自体はしてるがほぼ無視されている、実際THE DISASTERにとって3人は驚異足り得ていなかった。

 

「それでも!私たちはここでただ見ている為に来たわけじゃないのよ!」

「リゼはアタシたちが助けるんデス!」

「何も出来ないなんて嫌!」

 

 その事に声を荒らげたのはF.I.Sの3人だった。この場にはリゼを大切な家族を助ける為に来たのに今は殆ど牙と響の二人にTHE DISASTERの相手を任せっきりである。その事実に自分達の不甲斐なさに彼女達は腹を立てた。

 そんな彼女たちがとった行動は彼女たちにとっては至極当然の少し前から考えていた行動だった。

 

 3人は懐から予備のLiNKEを取り出し自分達に注入した。

 

『何をしているのですか!』

 

 自らの活動限界を狭める行動でありオーバードーズの危険性がある突然の行動にフロンティアのコントロールルームに向かいながらも戦いを画面越しに見ていたナスターシャ教授は声を荒らげる。

 

 しかし、3人はその声を無視するかなように胸元のギアに手を伸ばす。

 

「「「開梱!!パンドラ!!」」」

 

 その言葉とともにまるで鍵を捻るようにギアを回すとギアから闇が溢れ出した。

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