狼姫咆哮シンフォギア〜世界を駆ける神狼〜   作:エドアルド

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なんかスゲェ筆が乗った今回でした

ちなみに本日2度目の投稿なので前の話がまだの人はそちらからどうぞ


思い

 

「「「開梱!!パンドラ!!」」」

 

 マリア、切歌、調の3人のその言葉とともにギアからは闇が溢れ出す。

 

「あっ!?ガァァァァ!?」

「ぐっ!?ギィィィィィィ!?」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?」

 

 闇は3人を包み込むと同時に3人を蝕み始める。闇に呑まれる3人は肉体的にも精神的にもやってくる激痛に苛まれる。

 未だにギアにへばりつくその闇、パンドラの箱による強い負の力を閉じ込める鍵を自ら解き放った事の当然の帰結であった。

 

「っ!?開けた!?」

 

 その事に牙は驚愕した。確かに完全に除去出来ないが故に戦力強化としてギアに組み込む提案をしたのも最終的な使用権限を装者自身にしたのも他でもない牙であったがそれを使いこなす事自体はもっと先の事と考えていた。何より実戦でいきなり使うなど想定外も想定外であった。

 

 案の定3人は叫び声を上げ続けるだけで未だに自分を蝕む闇に苦しまされるだけである。

 しかし、そんな3人にTHE DISASTERが目を向けた。その目には今まで3人に向けていなかった明確な敵意が見て取れた。

 

「響!!守るよ!」

「うん!!」

 

 その事に真っ先に気付いた牙が響に声をかけてF.I.Sの3人を守るようにTHE DISASTERに立ち塞がる。

 そんな牙と響ごと3人を粉砕しようとTHE DISASTERは背中の翼を稼働させ一気に加速する。

 

 牙と響はそんなTHE DISASTERを真正面か受け止める。二人とTHE DISASTERが激突した瞬間凄まじい音共に牙と響の方が押し込まれる。

 

「グォォォォォ!!」

「オォォォォォォ!!」

「ハァァァァァァ!!」

 

 しかし、F.I.Sの3人の目の前で牙と響はTHE DISASTERを押しとどめる。そしてTHE DISASTER相手を轢き殺さんと力を込め雄叫びを上げる。、牙と響は守る為に力を込め裂破のごとき声を上げる。

 

 このまま力比べになるかと思いきやTHE DISASTERはその顎を開き炎を喉奥に貯める。しかし──

 

「口!閉じなぁ!!」

 

 牙がTHE DISASTERを押さえるのに使ってた右手をTHE DISASTERの頭に移動させその頭を地面に叩きつける。牙の腕と地面によりその顎を勢いよく閉じる事となったTHE DISASTERは炎を口内で爆発させ口を大きく損傷させる。

 

「舐めんじゃないわよォ!!」

 

 牙は全身の血管がはち切れそうなほど更に力を込めてTHE DISASTERの押さえ込むと同時にF.I.Sの3人に声を投げかける。

 

「お前ら!リゼを助けるんだろ!なんだその姿は!なんの為にここに来たんだ!?足手まといになる為か!」

 

 牙のその3人の決意を大切な家族を助けると言う決意を鼻で笑うような言葉に3人は目を見開く。

 

「……ふざけ、ないで、ちょうだい!」

「アタシ、たち、は、足でまとい、なんかじゃ、ないデス!」

「リゼ、を、助けるのは、私たち!そっち、こそ大変そう!」

 

 今まで叫び声を上げるだけだったはずの3人は痛みに耐えながらも強気に牙の言葉に反論する。まるで自分達の決意はこの程度で終わる程度ではないと証明するかのように。

 

「だったらさっさと立ちなさい!」

 

 その言葉に感化されるように3人は顔を上げTHE DISASTER──否、リゼに視線を向ける。リゼを見る3人の瞳にはかつての記憶が蘇っていた。

 

 

 

 

 

 出会いは最悪だった。マムから新しくF.I.Sに来る子供という事で紹介されたのがリゼで、彼女が最初に放った言葉は──

 

『よろしくしなくて良いから』

 

 あまりの言い草にその場にいた全員が絶句していたのを3人は覚えている。そんな挨拶をされれば不快になるのも当然で当たり前のようにリゼとの関係は良くなかった。

 

 だが、リゼと共に過ごしていくうちに少しずつ彼女への認識は変わって行った。

 

 ある時切歌がはしゃいだ時に足をもつれさせて転んだ。膝からは血を流して当然のように大きな声で泣き出した。そんな切歌に真っ先に手を差し伸べたのは他でもないリゼだった。舌打ちをして『バカじゃない』や『もっと落ち着きを持ったらどう?』なんて憎まれ口をたたきながらもテキパキと切歌の傷の手当をして切歌の口に棒付きキャンディを突っ込み泣き止ませた。

 

 またある時、調が料理をしていた時だ。今でこそF.I.S組の中では一番料理が上手い調だが最初からそうだった訳では無い。調味料を間違えたり分量を間違えたり焦がしたり半生だったりとそれ相応の失敗をしながら上達していった。そしてその料理の上達にひと役かってでたのがこれまたリゼだった。『不味い飯を食わされたらたまったもんじゃない』などと言いながらも丁寧に優しく教えてくれるのだ。

 

 さらにある時、マリアが落ち込んだ時。『……何辛気臭い顔してるんだ?長女様がそんなんでいいのかよ?』と若干の呆れを滲ませながらマリアの隣に腰掛けて話を聞いた事もあった。

 

 シュミレーターでミスをした時にカバーしてくれた。F.I.Sでの実験を肩代わりしてくれた。私たちの代わりに不満をぶつけてくれた。数え切れない程の優しさを貰ったのだ。

 そうして彼女たちは理解した。リゼ・アルジェネロという少女は他人に冷たく突き放すような言動が多いがそれには優しさがあるという矛盾。だが同時にどうしても一定以上に親しくはしなかった。

 

 リゼ自ら確かに壁を作ってはいたがそれでもリゼ・アルジェネロという少女の温かさを優しさを彼女たちは受けて来た。

 

 

 

 

「リゼ、あなたの苦しみも過去も私たちにはわからない」

 

 リゼは自分の弱い面を見せようとはしなかった。

 

「でも、それでも、受けた恩をあだで返すほどお馬鹿じゃないデス!」

 

 リゼはいつも無意識に彼女たちに寄り添って来た。

 

「もし、これが、リゼにとって必要の無い事だとしても」

 

 リゼは伸ばされた手をとったことは無かった。

 

「「「リゼの手を無理やりにでも掴んでみせる!」」」

 

 

 

 

 その決意が今、闇を絶望をねじ伏せた!!

 

 

 

 

 今まで彼女たちを蝕んでいたはずの闇は急激に形を変え、逆に力を与える。ギアは黒を通り越した漆黒へと変わり鋭利で攻撃的なフォルムへと変形を遂げる。ギアの出力は今までのおおよそ3倍。戦闘に特化したその形態はリゼと戦えるように3人のステージを押し上げた。まるでその思いに応えるかのように。

 

「リゼ!待ってなさい!」

 

 マリアはそう高らかに宣言しその槍のアームドギアを構えた。それに続くように切歌と調も己がアームドギアを構えた。

 

 

 




ちなみになぜリゼがフラッシュブリンクで拘束を抜け出さないのかと言うと普通にエネルギー消費がデケェからです。あんまり連発すると疲労で倒れます。まあ、その場合でも動くんですけどね。THE DISASTERが

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