狼姫咆哮シンフォギア〜世界を駆ける神狼〜   作:エドアルド

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まだまだ頑張るぞー。


災禍は尽きず

 

 マリア、切歌、調の3人はパンドラの力をねじ伏せ付けその力を己がものにする事に成功した。

 それに一拍遅れてTHE DISASTERは全身から黒い雷撃を放つ。

 

Evil Vortex

 

 その黒い雷撃により牙と響は吹き飛ばされそれと同時にTHE DISASTERは3人に向かってその拳を振り下ろす。

 しかし、3人は臆すること無く今までかろうじて捉えていたその拳を完全に見切りそれぞれ、槍、鎌、丸鋸のアームドギアを拳に向けて同時に叩き付ける。

 

 3人のアームドギアは拳をはじき、そして隙が出来たTHE DISASTERの懐に潜り込み逆に浅くではあるがTHE DISASTERの胴体に切り傷をつける。

 

「効いている!」

「これなら!」

「戦える!」

 

 THE DISASTERは攻撃の後で隙ができた三人に向けて尻尾を振るうが。

 

「忘れてもらったら困るなぁ!!」

 

 三人に届く前に牙が間に割って入り尻尾を受け止める。そしてそれにより動きが一瞬止まったTHE DISASTERの顔に響の蹴りが命中する。

 

 それによりTHE DISASTERは吹き飛ばされる。だがTHE DISASTERはすぐに体勢を当て直して5人を見据えると同時に完全聖遺物であるロンギヌスを手に持った。

 

 そして一直線に5人に向けて突貫すると牙がTHE DISASTERの前に躍り出る。そしてロンギヌスを受け止める。

 

「グッ!?」

 

 ロンギヌスを受け止めた牙は凄まじい倦怠感を伴うが何とか受け止める。無論そんな事をすれば牙はロンギヌスによりエネルギーを吸われ最終的に死に至る。だがそれは牙も承知している。

 

「その槍貰うわよ!!」

 

 そう言った牙はニヤリと笑い歌を歌った。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl

 

 それは諸刃の剣、絶唱。爆発的にフォニックゲインを高める代わりに使用者に凄まじい負荷をかける自爆に近いその歌を躊躇わず口にしたのだ。

 

 牙がロンギヌスのエネルギー吸収と絶唱の負荷により血反吐を吐きながら爆発的に高めたフォニックゲインはひとつ残らずロンギヌスに吸われる。そして、フォニックゲインを大量に吸収したロンギヌスは突然、牙とTHE DISASTERの手から二人を吹き飛ばしながら勢いよく弾かれ空中に浮かんだ。

 

 ロンギヌスは空中で止まるとその形を一瞬で変えた。二叉の穂先がよりあわさり三角形に近い形の穂先へと変貌する。外見の変化としてはそれぐらいであったが今この瞬間にロンギヌスはその存在を変貌させた。

 

「創槍カシウス!」

 

 その名は完全聖遺物〈創槍カシウス〉。破槍ロンギヌスと同一でありながら対をなす槍。

 ロンギヌスはエネルギーを吸収する特性がある。それは単純に使い果たしたエネルギーを手に入れる為である。その殺傷能力なぞオマケに過ぎない。

 その真価はカシウスにある。カシウスの能力は『創造』。その身に宿した莫大なエネルギーを対価に生命を除くあらゆる物体を『創造』する事にある。

 

 ロンギヌスは元々長年周りからエネルギーを吸収し続けていたしかしそれだけでは今の時より更に数百年経たねばカシウスにはならなかったであろう。だがとある研究機関に発掘されリゼ・アルジェネロに渡った事で急激にそのエネルギーを充填し始めた。そこに追い打ちをかけるかのような牙の絶唱の人類一億人分のフォニックゲインがトドメとなりその姿を表したのだ。

 

 そんな創槍カシウスに牙は迷いなく手を伸ばす。

 

 しかし、それは愚策であった。災禍へと変貌したTHE DISASTERにとってカシウスがあろうと無かろうと関係ない。その思考は至ってシンプル目につくあらゆる生命を殺し尽くすことである。これが同じ人同士確かにあるならば同時にカシウスに手を伸ばし戦闘はまだ続いただろう。だが、今この時、カシウスに手をばした時、THE DISASTERは新たに大剣を何処からともなく取り出し牙を殺しにかかった。

 災禍と人との違いが今ここに出た。

 

 THE DISASTERの大剣が牙へと迫りその体を──

 

「「「ハァ!!(デース!!)(ヤァ!!)」」」

 

 ──切り裂くことは無かった。

 

 THE DISASTERと牙のその間にその身を割り込ませ全力をもって牙に迫る大剣を弾いたのは、マリア、切歌、調の3人であった。

 

 たしかに牙の行動は愚策ではあったがそれは1対1であった時。仲間がいるからこそ牙も迷いなくカシウスに手を伸ばしたのだ。

 

 そして大剣を弾いた3人に続き響が空中で無防備になったTHE DISASTERの腹に蹴りを叩き込もうとしてその足は空をきる。

 そして逆に地面へと叩き落とされる。

 

「ガッ!?」

 

 THE DISASTERは空を飛んだ、ただそれだけであった。空中はTHE DISASTERの領域である。THE DISASTERがただ暴力で我武者羅に暴れていたが故の忘却。

 

「忘れていた……」

「空は……」

「リゼの領域デース……」

 

 マリアたちにとっては当たり前であった事実。リゼ・アルジェネロの── THE DISASTERにとってのもっとも親しみ得意とする領域、それが『空』。

 少しづつ少しづつまるで思い出すかのようにTHE DISASTERはその力を露わにして行く。

 

 

 

 

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