フロンティア内部の通路を弦十郎を始めとしたウェル博士捕縛組が駆けていた。通って来た道に黒い炭素を作りながら。
──パパパパパパパパパ
リベルタス第1部隊が構えたアサルトライフルから断続的に銃声が鳴り響くと同時に銃から発射された弾丸がノイズを貫き炭素へと変えて行く。
本来ならありえない光景ではあるが錬金術により生成された哲学兵装である、怪物を殺すという特性を持つ銀の弾丸によりその体を朽ち果てさせていく。
「コントロールルームまではあと少しです」
ナスターシャ教授のその言葉を証明するかのようにノイズは数を増やし更に攻勢を強めていく。通路を埋めつくし体を槍のように変形させ突撃し行く。
「ハアッ!!」
だが次の瞬間には裂破の掛け声と共に放たれた拳圧が吹き荒れる暴風のように通路を駆け抜け数百を超えるノイズを一瞬で砕いていく。
その拳圧を生み出したのは風鳴弦十郎であった。
憲法違反とも揶揄される力を持つ彼は本来、ノイズに対して有効な攻撃をする事はできない。
では何故彼の拳圧によってノイズたちは破壊されたのか。それは彼の両腕に付けられた篭手が答えであった。
それはリベルタスで作られた装備であり正式名称はまだ無い。それはシンフォギアと同じく別次元にまたがって存在するノイズを強制的に現実世界の物理法則下に固定する効果があり、物理攻撃による殲滅を可能とする
しかし、ファウストローブという本来であれば女性にしか使えないものを元に作った際に男性でも使えるようにと色々と手を加えたのが原因なのかノイズを物理法則下に固定する機能が不安定でありもし使った場合はノイズを倒すのにシンフォギア装者の数倍の攻撃力が必要になる。
そしてノイズから身を守るノイズの炭化作用を無効化する特殊なバリアフィールドが未搭載であり使用者は触れる攻撃と同時に炭素になる。さらにエネルギー消費が激しくすぐに使い物にならない失敗作であった。
だが風鳴弦十郎というOTONA等と揶揄される彼が使えば触れること無くシンフォギア装者を超える力がノイズを粉砕する結果となった。エネルギー消費も一発で数十のノイズを砕く弦十郎にとってはさほど問題にはならなかった。
そんな暴力がノイズを砕く事により驚く程のスピードで彼らはフロンティアの内部を進み遂にコントロールルームに到達した。
「ウェル博士!!」
「何故ここにいるぅ!?」
コントロールルームにはネフィリムの腕に変化させた右腕を介してフロンティアを操るウェル博士がいた。
「僕に近寄るなぁ!!」
ウェル博士はそう叫びながらソロモンの鍵を使ってノイズたちを弦十郎たちに向けて次から次へと召喚していくが。
弦十郎の拳圧と銀の弾丸による攻撃で一瞬のうちに炭素になっていく。
「観念するんだ!!」
「僕は英雄なんだ!!こんな所で捕まってたまるかぁ!!」
そう喚きながらノイズが効かないとなると今度は拳銃を取り出したウェル博士だが緒川の拳銃の銃撃により拳銃を弾き飛ばされた。
「グッ!?……これで終わりだと思うなよ!!」
「っ!?待て!!」
拳銃が弾き飛ばされた影響で痛む腕を庇いながらネフィリムの腕を地面に叩き付けたウェル博士は地面に穴を開けそのまま逃走をはかる。逃がすまいと弦十郎が追い掛けるがそれよりも早くウェル博士は穴に全身を沈め穴は元々そこに無かったように綺麗な床に戻る。
「ウェル博士は逃がしてしまいましたか……」
「逃げ足の速い奴だ」
「ですが、今はフロンティアのコントロールを奪うのが先決。お願いします」
緒川と弦十郎は悔しそうにウェル博士が消えた床を見つめるがこれよりも優先するべき事があるとナスターシャ教授はリベルタスからやって来た3人の女性に目を向ける。
その3人は人とは思えないような美を揃えた3人だった。手に持った光槍と背中の光翼が更に人以外の要素を際立たせている。
彼女たちはワルキューレ。かつてアヌンナキに作られた戦闘用人形。リベルタスが発見した当時は損傷が激しくまともに動く事も出来なかったが他の同型の損傷の少ないパーツを利用する事でこの3体だけは稼働させる事が出来ていた。
金髪のワルキューレがスルーズ、ピンク髪のワルキューレがヒルド、黒髪のワルキューレがオルトリンデと呼ばれる個体である。
3体はコントロールルームのコントロールパネルに触れると目を瞑り意識を集中させる。
「フロンティアに接続」
「ハッキングを開始…」
「攻勢防壁およびネフィリムによる妨害を確認、対処を開始」
「私もアシストします」
3体がフロンティアに接続を開始すると同時にナスターシャ教授も一緒にコントロールパネルを使ってフロンティアを止めるべく動き始める。
「では、私たちはこのままコントロールルームでの護衛を行います。弦十郎さんたちはどうされますか?」
「俺たちはウェル博士を追う」
「そうですか、ご武運を」
「そちらもな」
リベルタスの部隊長が弦十郎にこれからの事を聞けば弦十郎は迷いなくウェル博士を追う意志を見せた。ウェル博士がこれ以上何かしでかす前にどうにか捕まえたいのだ。
ウェル博士にら今まで散々場を掻き乱されておりこれ以上なにかされて状況を悪化されると困るのだ。
※一部描写を変更しました。