ただ、ストックが後2つしかない(´;ω;`)
今回はラミア族がメインのお話です
人間は古来より蛇という生物を恐れ、敬い、そして崇めてきた。
時に悪魔として、時に神として、時に怪物としての畏怖をその身に受けながら生きてきたのだ。
そんな生物の特徴は目の前の銀髪の彼女の下半分にもあった。
そう、彼女は下半身が蛇なのだ。
「えっと……貴女は?」
俺は少し引きつった笑みを浮かべて彼女に尋ねる。
すると彼女は俺の質問に対して少し困ったような顔をしながら答える。
「私はラミアのリースと申します。見ての通り下半身が蛇では御座いますが、危害を加えるつもりはありませんのでご安心ください」
「そ、そうですか……」
彼女の言葉を聞いて俺はホッとした。
どうやら本当に敵意は無いようだ。
だがそうなると新たな疑問が生まれる。
何故俺の部屋に彼女が居るのか?だ。
俺は恐る恐る彼女へ訪ねた。
「あの……失礼ですけどどうしてここに?」
「はい、実は先日貴方のお母様にお会いしまして、その際に私の種族についてお話ししたのですが、とくに忌避感や嫌悪感を抱いてらっしゃらないようでしたので、私も是非ともお近づきになりたいと思いましてこうして伺わせていただいた次第です」
「な、成程……そういうことでしたか……」
母の事だからきっとこの子の事を気に入ったのだろう。
確かにこの子は悪い子じゃなさそうだし、何より可愛い。俺には勿体無いくらいの美人さんだ。
まぁそれは置いといて、この子が俺の部屋に来た理由については分かった。
しかしまだ一つだけ分からない事がある。
「あの……それでリースさんは何のためにここに?」
「はい、私は先ほど申しました通り、貴方と婚姻を結ぶべく参りました次第でございます!」
「……はい!?」
今なんて言ったこの人!? 婚姻ってつまり結婚ってことだよな!? 一体何を言っているんだこの人は! っていうかそもそも俺達会ったばかりだし、名前しか知らない相手と結婚とかおかしいよね!? しかも何でそれがさも当然みたいな感じになってんの!? 俺は突然の爆弾発言により頭がパニック状態になっていた。
そんな俺を見てリースさんは不思議そうな顔をする。
うん、多分だけど君が普通じゃないんだよ。
とりあえず落ち着こう……。
俺は深呼吸をして気持ちを切り替えてから再び彼女に話しかける。
まずはこの人の目的を聞き出さなければならない。
「あのですね……婚姻というのはお互いに愛し合って初めて成立するものであって、何も面識のない人と結ぶものでは無いと思うんですよ」
俺の言葉を聞いたリースさんはキョトンとした表情をする。
そしてすぐに納得したように手をポンッと叩くと笑顔で答えてくれた。
どうやら分かってくれたらしい。
「なるほど…つまり貴方とここで既成事実を作ってしまえばいいということですね!」
前言撤回、分かってくれてないらしい。むしろ悪化している気がするのは気のせいであって欲しいものだ。
俺はなんとか説得しようと試みるが、リースさんの猛攻の前にあえなく撃沈してしまった。
そしてそのままなし崩し的にベッドに押し倒されてしまう。
「り、リースさん落ち着いて下さい!こういう事はお互いをよく知ってから……」
必死に抵抗を試みるが絡みつかれた腕は全く動かない。
流石は蛇といったところだろうか。
だがそれでも諦めずに暴れているうちにリースさんの身体の一部が変化していく事に気づいた。
頭には王冠のような角が現れ、瞳の色も金色へと変わっていく。
それだけではない、背中からは翼のようなものまで生えているではないか。
その姿を見た瞬間、俺は本能的な恐怖を感じてしまった。
まるで自分が自分ではなくなっていくような感覚に襲われる。
しかし、逃げることも出来ず、ただされるがままになっているとリースさんの顔が近づいてきた。
顔を捕まれて無理やり唇を奪われる。
舌を入れられて口の中を蹂躙される度にゾクゾクとしたものが背筋を走り抜けていった。
細く長い舌が歯の間を通って侵入してくる。
そのまま上顎の裏側や下顎の裏などをなぞられるたびに腰の奥が熱くなるのを感じた。
どれくらい時間が経ったのだろう?実際にはほんの数秒だったかもしれない。
だが今の俺にとっては永遠にも等しい時間のように思えた。
ようやく解放された時には全身の力が抜けきっていた。
「大丈夫です…貴方は何もしなくて良いのです。全て私に任せてください……」
そう言うとリースさんは再びキスをしてきた。今度は触れるだけの軽いものだった。
そしてそのままゆっくりと首元の方へ移動していき、同時に服を脱がされていく。
やがて胸元に到達すると、乳首を舐められ、軽く甘噛みされた。
その途端今までとは比べ物にならないほどの快感が全身に走る。
「ふわぁっ!?」
あまりの衝撃に耐えきれず情けない声が出てしまう。
恥ずかしくて口を塞ごうとしたが両手を押さえつけられているためそれも叶わない。
「我慢しないでください……もっと可愛い声で鳴いて欲しいです……」
耳元で囁かれる言葉は甘く、溶かされるような錯覚を覚える。
だが、ほんのわずかに残った理性で俺は何とか踏み止まった。
このままではいけない!どうにかしてこの状況から抜け出さないと! そう考えた俺は彼女を説得すべく口を開く。
「リースさん…辞めてください!俺には好きな人が居るんです!」
俺の言葉を聞いて彼女は動きを止める。
解放されてホッとすると同時に罪悪感が湧いた。
何故なら今言ったことは嘘なのだから。
本当は今目の前にいる彼女に惹かれてしまっている。
彼女の美しい容姿も、甘い匂いも、柔らかい肌も全てが愛おしく感じてしまっていた。
だからこそこんな形で結ばれてはいけないと思ったのだ。
しかし、彼女はそんな俺の考えなど見透かしていたかのように微笑むと再び口を開いた。
ただし、先程までの優しい笑みとは違う妖艶な笑みを浮かべながら。
それはまるで獲物を前にした捕食者のようであった。
リースさんは俺を見つめたまま自らの肩に手を添え、耳元でそっと呟く。
その言葉は俺の心を揺さぶるのに十分な威力を持っていた。
「それなら、貴方を私の虜にしてあげます……もう他の女なんて目に入らなくなるほどに……」
そしてリースさんは俺の首筋に牙を突き立てた。
鋭い痛みと共に何か熱いものが流し込まれていくのを感じる。
それと同時に身体が燃えるように熱くなり、頭の中に霞がかかったようにボーッとし始めた。
思考がまとまらず、頭が働かない。
ただ分かるのは目の前の女性を愛したいという気持ちだけだ。
俺は無意識のうちに彼女の背中に手を伸ばしていた。
リースさんはそれに応えるようにして俺を強く抱きしめてくれる。
彼女の温もりと甘い匂い、そして柔らかな胸の感触に包まれた俺は幸福感で満たされていた。
そして、リースさんは最後にもう一度キスをすると、再び俺の上に覆い被さってきた。
それからどのくらいの時間が経っただろうか? 俺はリースさんの体の下でぐったりとしていた。あれから何度も求め合い、互いの全てをさらけ出した結果がこれだ。
正直、体力の限界を迎えており指一本動かすことすら億劫である。
リースさんは満足げに笑いながらこちらを見てくる。
それがとても嬉しかった。この笑顔を見るだけで幸せな気分になれるから不思議だ。
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対人脅威度:極めて高い
外務省異種族交流担当部門
特殊事例担当室所属 花崎 幸祐
本個体は、ラミア族の集落で暮らしていた一般の異種族であり、戸籍謄本も確認済みである。
個体名『リース・バジーナ』は△×県□□町の青年18歳の異種族交流相談センターへの相談により確認された。
証言によると、瞳が赤から金色に変わり、頭頂部付近から王冠のような突起部が出現したと報告され本人協力の元、確認が取れている。
恐らく、本個体は興奮状態、もしくは強い不安に陥った場合に変化すると思われる。
研究所からの見解によると、一種の先祖返りであると推測される。
青年の首元と左小指の根元に咬傷が確認されたが青年の体内から毒素は検出されず本個体による分解が可能であると確認された。
通常時はほかのラミア族と変わらぬ能力しかないが、変化時は魔力由来の強力な毒素を生成し、瞳には対象の石化能力が確認されている。
以下この瞳の呼称を「魔眼」とする。
魔眼の対策として、淫魔族の研究員協力の元、魔眼用コンタクトレンズと魔眼用眼鏡を作成、本個体への着用義務を命じる。
本個体は、異種族交流法第一四条六項に則り人間と異種族との婚姻を認めるものとし、外務省魔界交流担当部門特殊事例担当室の所属とする。
本個体の体質は基本的にバジリスクと同じであるため、対処法等の詳しい説明は、伝承幻獣大全集2365ページから2378ページまでをご参照ください。
人間:バジリスク種に愛された哀れな青年。噛まれるのが癖になった。
バジリスク種:意外と危険度の高い種類のラミア。怒らせなければ礼儀正しいいい子である。
伝承幻獣大全集:人間界に伝承として伝わっている魔界の生物についてとても詳しく記したちょーすごい魔物図鑑。全六万六千六百ページ