イライザ・エルメロイ・ベルベットの進学   作:C-Mech

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再度明記いたしますがクロスオーバー小説です。ご注意の上お読みください。


入学編/case.魔法師学生闘争
#1イライザ・エルメロイ・ベルベットの進学


「よくきたね、リザ。丸一年振りかな?」

 

 そうやってベッドの上から私に声をかけるのは、今にも死に体の母、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテだ。

 

「さて、今日君を喚んだのは他でもない。将来の進路を決めないといけないからだ」

 

 私…イライザ・エルメロイ・アーチゾルテ・ベルベットは『将来』という言葉に少しばかり驚く。てっきり私はどこかそこらへんの良家に売り払われて孕み腹として一生を終えるモノだと考えていたからだ。

 読者(いると仮定させて貰いたい)諸兄は『実の娘にそんなことするヤツおらへんやろ、嘘吐くなや』と思われそうだが、いやいや魔術師界でこんなん日常茶飯事やねん、おまえ等こそ魔術師界の汚さ黒さをナメんなやと言いたい。

 …失礼、身に迫る危機の話だったのでつい関係のない諸兄にまで荒い口調になってしまった。話を戻そう。

そう、そんな未来のない未来が待つ私に母が『将来』なんて単語を遣う訳が無いのだ。母は底意地悪い人間だが無神経ではない。マトモな人生を送れない娘にぬか喜びをさせるようなタイプではない。

 

「君には日本へ行って貰おうと考えてるんだ。ここで鉱石科のどこかの家に嫁がせてもいいが、あんまりいい家格のところが見あたらなくてね…」

 

 私が母の考えに思考を巡らせていると、その上から件の『将来』についての説明が始まった。

 

「残念なことに君には才能がない。たいして才能のなかったこの私ですらわかるくらいだから、相当非才の身だよ、リザ。

だからね、君に刻印は渡さないし魔術もこれ以上は教えない。となると、この地で生きていくにはどこかの庇護を得なければならない訳だが、さっき言ったように君を庇護してくれるちょうどいい家が見つからない。

そこでだ。もういっそこの国から出て行って貰えば君の処遇という面倒ごとに頭を悩ませずに済むと思い至った訳だよ。君ももう7歳、私はそのくらいの年齢の時、世界中を駆けずり回って暗殺から逃れていたし、武者修行だと思って日本で頑張っておいで」

 

 なるほど、厄介払い…に見せかけた愛情だな、コレは。

 ついさっき語ったように魔術師界は伏魔殿、母の親心としては娘をその伏魔殿の総本山たる時計塔に近づけたくないのだろう。

母が簡単な魔術を私に教えてくれている頃からなんとなく感じていたが、この母は私をなんだかんだ愛してくれている。意地悪だが決して私を見捨てなかったし、今もそう。いろいろ理由をつけて私を逃がそうとしてくれている。

 

「わかりました。お母様。日本でのお勤め、頑張ってまいりますわ」

 

 あくまでも淑女的に。母と今生の別れになると理解しながら涙は見せず、出来うる限り慇懃無礼な口調で。

 …だめだな、この人の前でそんなこと出来ないや。

 

「ああ、明日朝6:00発の便をとってある。ファースクラスだ。直ぐに出発の用意をしたまえ」

 

「ええ、ええ、お母様。エルメロイの名に恥じぬ生き方をして魅せます」

 

 それだけいって踵を返す。ただ悠然ともと来た道を通って扉を抜ける。

 扉が閉まる直前、ちらと振り返って母を見てしまう。

 母は、ライネス・エルメロイ・アーチゾルテは満足そうな顔をして、私を見下ろしていた…。

 

───────────────

 

 それから約八年。西暦2095年、私は14歳になっていた。今年度末、高校受験をするお年頃である。

 志望校も決めてある。魔法大学附属第一高等学校。ここにしよう。ここなら母とアーチゾルテに仕返しが出来るだろう。

 もともと魔術師は現代の魔法師とは敵対関係にあるといっていい。秘匿を重んじる魔術師と、科学として発展し、情報の共有によって進歩してきた現代の魔法師では、そもそもスタンスが真逆なのだ。相容れることはない。とはいえ、あくまで研究種族魔術師と戦闘民族魔法師では、鼠と猫くらい戦力差がある。

 この前提に立てば、自ずと魔術師に嫌がらせするためには魔法師になるのが手っ取り早いと気づくだろう。

 なにせ魔術師は神秘をばらされたら力を失う。魔法師勢力に魔術師の子女が入るのは、いつ神秘が消滅するかの恐怖に常に苛まれる状態を生み出すことに他ならない。

 そんなこんなで私は愛しき母上と、彼女に私を棄てさせた我が実家アーチゾルテに復讐するため、進学先を魔法科高校へと定めたのだ。

 無論、学力、魔法力がある程度以上ないと入学でなないが、その辺は心配ない。母上と教育係が不出来な私を可愛がってくれたお陰で魔術知識、一般学問には明るいし、そもそも地頭も悪い訳ではないのだ。このままならまず間違いなく合格『は』出来る。

 

…目下の問題は魔術師であることをどう隠そうかということだ。

 

 さっき言ってたことと矛盾している?いや、私は母上達にプレッシャーをかけたいだけでホントにエルメロイの魔術をばらそうなんて考えてないぞ?自分の身にも危険があることをするわけないじゃないか。

 ただ、魔術回路を魔法師たちの魔法演算領域の代わりに使っているから見る奴が見れば『なんかコイツ魔法の発動方法おかしくね?』となりかねんのだ。

 現状対策は魔法行使の際使う回路を頭部近辺のものに限定して、魔法演算領域つかってますよ風に振る舞うことだけだ。

 母お墨付きの才能ナシがその少なめな能力をさらに縛っては一科生合格は難しいかもしれないな…。と、早くも暗雲立ち込める復讐計画に頭を悩ませながら、私は受験当日を迎えるのだった。




設定の読み込みが浅かったりするかもしれないので、ご指摘いただけると幸いです。

 軽微な誤字を修正させていただきました。ご報告ありがとうございます。2023/1/9

改稿方法につきまして。活動報告に記載いたしましたが、改稿します。展開全部変わります。本当に申し訳ないです。ですがコレ以外で自分がこの作品更新できる自信がないのでやります(断行)。以下の2つの方法から選択していただけると幸いです。

  • 新しく改稿版『イライザの進学』を投稿する
  • 本作品を1話から全部改稿する
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