ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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変化する日常

 

〜レイside〜

 

純喫茶スワローからダック荘に戻り、いつも通り過ごした翌日。僕らは普段通りの朝を迎えていた。

ただ一人を除いて。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「メア、そろそろ機嫌直しなさいよ」

 

「うん。昨日からその調子だよ?」

 

機嫌を損ねてるメアにフランとルナが宥める。

 

「だってさ、レーくんのこともう知られてるんだよ?あーーっ!もうこんなことなら今日のウォータイム、ジェノックを制圧しようかな」

 

「いやいやいやいやいやいやいやいや!!!しちゃダメだからね!?」

 

「できるでしょ、レーくんたちなら?」

 

「いや、確かにできなくもないとは思うど・・・・・・」

 

ま、まあ、ジェノックくらいなら僕らだけで制圧は可能だ。いや、だからってしないけどね!?

 

「なら、やろう」

 

「却下に決まってるでしょ!?」

 

眼が本気のメアを全力で落ち着かせていた。

 

「ど、どないしたんメア。そんなに殺気立って」

 

「見ているこっちも怖いよ」

 

「ああ」

 

第一小隊の面々もビクつきながらやってきた。

というか、全員がこっちを怯えながら見ている。

 

「フランちゃん!ルナちゃん!今日のウォータイム、ジェノックを落とすよ!」

 

「いやいやいや!ダメだよ!?」

 

「そうよ!?さすがにそれだけはダメよ!?全面戦争になるわ!」

 

「知ったこっちゃないわぁぁぁーーーー!」

 

鬼気迫る表情。

 

「メアってレイの事になるとポンコツになるのよね・・・・・・」

 

「うん」

 

さすがにそろそろ放置はして置けず。

 

「はいはいメアそこまで!ステイ!」

 

メアの頭をポンポンして撫でる。

 

「・・・・・・私は犬じゃないんだけどレーくん?」

 

「落ち着いた?」

 

「・・・・・・ええ」

 

小さい頃からメアが怒った時はこうすれば収まる。

長年一緒にいた幼馴染みならではの収め方だ。

 

「まあ、ジェノック潰しはまたしてきたらその時にすればいいよ」

 

「いや、レイ。さすがにそれは止めてほしいんだが?」

 

「・・・・・・It's ジョーク」

 

「その間はなんだ・・・・・・」

 

カゲトラとのそんな冗談とも言えないやり取りをしてる中。

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜オトヒメside〜

 

「・・・・・・私とした事が・・・・・・。・・・・・・こんな策にはめられるなんて」

 

朝食の席の中、私は頭に手をやり苦難していた。

隣に座るフウが。

 

「現在の配置、装備では有効な打開策はありません」

 

「そんな事言われなくても、分かってるわ!」

 

「失礼しました。隊長」

 

「そんな言い方ないんじゃないの?オトヒメ」

 

「そうね・・・・・・。悪かったわ、フウ。少し頭を冷やします・・・・・・」

 

シェリーの言う通り、これはフウのせいではない。隊長である私の責任だ。なのに、フウに八つ当たりをしてしまった。恥じるべきだわ。

 

「いえ、大丈夫です」

 

「やっぱり、僕が突撃して突破口を・・・・・・」

 

「そんな事したら、スイちゃんが壊れちゃう!」

 

スイの提案にシェリーが反対する。

今の状況ではスイがロストしてしまう。

 

「・・・・・・。ううん。やっぱりだめよ。私の小隊からロストはさせない」

 

隊長として・・・・・・。私個人としても、仲間をロストさせはしない。

 

「だけど・・・・・・、このままじゃ・・・・・・」

 

私たちが悩んでいると、フウが。

 

「あの、レイたちにお願いはどうでしょう?」

 

と、提案してきた。

確かにレイたち第五小隊の助力があれば今の状況を打開できるはず。けど。

 

「そうしたいのだけど・・・・・・」

 

視線の先にいるレイたちは、この場所からでも分かるほど激怒しているメアを必死で宥めていた。

 

「メアが激怒こしてるね」

 

「十中八九、昨日の件でしょうね」

 

事の発端であるジェノックを殲滅しようなんて話も出ている。さすがにそれは冗談だとは思うのだけど、レイたちならジェノックぐらいすぐに制圧できるだろう。彼らは私たちハーネス最強の小隊なのだから。

昨日の件を聞いた私は事の発端者である瀬名アラタと星原ヒカルに呆れと侮蔑を浮かべた。レイについてはジン様が来た際に軽く知らされたから、私たちハーネスは全員知っている。

けど、レイはレイ。ハーネス快進撃の立役者、ゼロであり最強のプレイヤー。そして、私たちのクラスメイト、山野レイなのだ。誰でもない。

レイの心情は分かるし、それをよく知っているメアの事もわかる。だからこそこれに今彼らを巻き込ませたくはない。私の責任なのだから。

 

「それじゃあ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

無言で頷く。

やっぱりこれは私たちで。いえ、私が何とかしなければ。

 

〜オトヒメside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

「昨日はウチのアラタとヒカルが申し訳なかった!!」

 

「・・・・・・・・・・はい?」

 

学校に登校し、教室に着くとしばらくしてジェノック第一小隊隊長の出雲ハルキがやって来た。

やって来るなり、ハルキは僕の前に来て謝罪してきた。

 

「いや、待って。いきなり過ぎて追い付かない」

 

額のこめかみを押さえてハルキに言う。

 

「昨日って、スワローでのこと?」

 

「ああ」

 

まさかハルキはわざわざ昨日の件を謝りに来たのだろうか?こんな朝早くに一人で。

 

「別に僕はいい・・・・・・いや、良くはないんだけどね」

 

視線を逸らしてハルキに視るように促す。ハルキも僕の視線を追いかけて、視線の先を見る。

 

「「「・・・・・・・・・・」」」

 

視線の先にいるのは三人の女子。

とういうより、メア、ルナ、フランの三人である。

 

「あ、あの・・・・・・」

 

「なに?」

 

「何かな?」

 

「なにか?」

 

「っ・・・・・・」

 

三人ともハルキが来るなり睨むように視線を強くしていた。

 

「はぁ・・・・・・三人とも、僕のために怒ってくれてるのは嬉しいけど、程々にね?特に、ジェノックを殲滅なんかダメだからね?」

 

「なっ!?じぇ、ジェノックを殲滅!?」

 

「当然でしょ?」

 

「朝食の席ではメアを落ち着かせていたけどやっぱり、昨日あんなことあったんだし、ジェノックは殲滅していいんじゃないかな?」

 

「そうだよね!レーくんたちならジェノックぐらいの小国、簡単に制圧殲滅出来るもんね」

 

恐ろしい会話を淡々とする三人。それを聞いてハルキの顔は顔面蒼白を通り越して今にも気絶しそうだった。

他のクラスメイトはやれやれという感じで助けてくれなかった。ひどい!

 

「あー、うん。まあ、そんなわけで、隊長なんだから部下の教育はちゃんとしといて。僕だったからよかったけど、他の国の子に言ったらどうなるかわかんないよ?」

 

「わ、わかった。伝えておく」

 

「それと、個人情報ベラベラ喋るなって星原ヒカルに言っといて。後、アラタにはところ構わずバトルを要求するなって。まあ、二人とも来たばかりだから事情は分かるけど、僕らにとっては関係ないしね」

 

「あ、ああ」

 

「ああ、それと美都先生に伝言」

 

「美都先生に?」

 

「そう。あ、いや、ジェノック全体にかな?」

 

コホンと咳をして目つきを変える。

 

「次はない。次やったら問答無用で滅ぼす」

 

「全員ロストさせる気だから」

 

「抵抗は無駄」

 

「これはジェノックに貸しだから」

 

席を立って言う。

僕に続けてフラン、メア、ルナが立て続けに言う。

 

「わ、わかった。必ず伝えとく」

 

「それじゃあね」

 

手を振って出ていくハルキを見送る。

ハルキが出て教室の扉が閉まると。

 

「はぁっ・・・・・・!息が苦しかったわ!」

 

「うん。呼吸すらままならなかったよ」

 

「まったく。レイたちを怒らせるとはジェノックには物好きがいるもんだな!」

 

「ギンジさんは普段からスズネさんと一緒にレイさんに怒られておりますものね」

 

「シズカ!?」

 

ギョッとして抗議するギンジ。

 

「あら?違いました?」

 

シズカの言葉に僕らは笑った。

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜ジェノックside〜

 

ホームルームの時間。ジェノックの司令官にして二年五組担任である美都玲奈が教壇から昨日の問題についてハルキに聞いていた。

 

「―――それで?山野レイたちには許してもらえたの?」

 

「その・・・・・・貸しだと言われました」

 

「貸し?」

 

「はい。次やったら問答無用で滅ぼす、だそうです」

 

ハルキの言葉に全員慌てふためく。

全員、山野レイたちの実力を知っているのだ。

 

「はぁーーー。まったく・・・・・・面倒なことしてくれたわねアンタ達!」

 

ジェノック第四小隊隊長キャサリン・ルースが事の発端であるアラタとヒカルを睨む。

 

「ホントだよね。しかもよりによってあの、山野レイたちに喧嘩を売るなんてね」

 

「まったくだ」

 

「普通、彼らを知っていたら喧嘩を売りはしないはずです」

 

キャサリンに続いて第五小隊隊長風陣カイト、第二小隊隊長磯谷ゲンドウ。第三小隊隊長東郷リクヤからもアラタもヒカルに非難が入る。

 

「わ、悪かったって」

 

「悪かったで済んだら、こんなに苦労はしてないのよ!!」

 

「彼らの恐ろしさを本当に知らないからそんな軽いんだよね」

 

「?どういうことだ?」

 

「・・・・・・前に一度、彼らに喧嘩を売った小隊がいたんだ。その結果その小隊は全員が退学。ロストしたんだ」

 

「しかもレイたちはダメージを一切受けずに、一方的に」

 

「それ以来、彼らに喧嘩を売るような人はいなくなったんだ」

 

ユノとサクヤの言葉にアラタとヒカルは驚愕する。

 

「しかも今回はレイたちの個人情報だ。レイはともかく、フラン・フルーリアや石森ルナ、川村メアはレイに関して機敏だから、本気だぞ」

 

「ええ。次同じことしたらジェノックは確実に消滅するでしょうね」

 

ハルキと美都玲奈は未来でも見据えているのか、青い顔をしていた。

 

「え、でも、さすがに全員で反撃すれば・・・・・・」

 

「アラタ、それはアラタがクラスメイト全員をロストさせるってことだよ」

 

「なっ!?」

 

「当人たちが言っていた。抵抗は無駄、だと」

 

「本気のフランたちを止められるのはレイだけよ」

 

「そしてその彼が、次はないと言っている。つまり、ジェノックはレイによって生かされてる感じだ」

 

ようやく自分たちがとんでもないことを仕出かしたのだと気づいたアラタとヒカルは何も言わずに俯いた。

 

「はぁ。私の方からも山野レイたちに謝罪しておきます。そして瀬名アラタと星原ヒカル。二人には罰として反省文を書いてもらいます。―――それでは朝のホームルームをはじめます」

 

空気が悪い中、二年五組のホームルームが始まった。

 

〜ジェノックside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

「昨日から大変だったようだなレイ」

 

「ホントだよ。まったく・・・・・・」

 

放課後の屋上。僕ともう一人。ロシウス所属の法条ムラクは屋上を囲む金網に寄りかかりながら話していた。

ちなみに、フランたちには先に帰ってもらっている。

 

「だが、バレたのはお前が『英雄の一人』ということとアルテミス二連覇ということだけなのだろう?あっちの方はバレてないんじゃないか?」

 

「ああ。幸いなのがそれなんだよな」

 

そう。この神威大門での事はバレてない。

 

「そう言えば、最近ムラクの周りに変なやつが居るみたいだけど?」

 

「ああ」

 

「まさか仮装国の現国が干渉してるわけじゃないよね?」

 

「・・・・・・」

 

どうやら当たりらしい。

まあ、ムラクがそんなのに従うわけないって分かってるけど。

 

「どうする?こっちで何とかしようか?」

 

「いや、いい」

 

「そう?まあ、ムラクがいうならいいけど」

 

その後、たわいもない話をしてムラクと別れジンさんのいる商店街の遊技場のビリヤード施設に向かった。

ビリヤード施設に向かう途中、CCMにシスイからのメールが来て。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そういうことか」

 

さすがシスイ。頼んでいた依頼をもうこなして調査結果を報告してきた。

 

「まったくオトヒメは・・・・・・」

 

オトヒメの思ってることに苦笑を浮かばせ。

 

「まあ、オトヒメなりに僕たちに気を使ってくれたのかな」

 

今朝のことを思い出した。

何か話したそうだったのになかなか言い出せずにいたオトヒメの顔を。

 

「これは僕らが悪いね」

 

小さく呟いて、目の前のビリヤード施設へと入った。

中に入ると店内は薄暗く、ひとつのビリヤード台だけ照明がついていた。

 

「お待たせ、ドルドキンス」

 

手に持つ細長い棒。『キュー』で白い玉を打ったジンさんにコードネームで声を掛ける。

 

「いや、時間通りだゼロ」

 

ジンさんもコードネームで返し、キューを台の上に置き歩いてくる。

 

「さて、昨日の件はすでに耳に入ってる」

 

「さすが、ジンさん」

 

「それとまあ、大変だったな。色々」

 

「あー、うん・・・・・・まあ・・・・・・」

 

ジンさんのその一言により、どっと疲れが押し寄せてきた。

 

「はぁ・・・・・・しばらくは好奇の視線が来るからね」

 

「だが、あの頃に比べたら少しは楽なのではないか?」

 

「まあね」

 

四年前のあの頃に比べたらまだマシか。

 

「それで、明日のウォータイムだけど」

 

「ああ。白小路オトヒメたち第三小隊の件だな」

 

「Correct」

 

ジンさんにも情報が伝わってるのかすぐに話をした。

 

「第三小隊は―――にいる。配置されてる相手の戦力。そして第三小隊の現状では打破は不可能だろう」

 

「ええ。それにシスイからの情報で、そこにはアラビスタのエース、【ホワイトフォックス】の異名を持つ白牙ムサシが配置されてる。しかも彼の集中力は現神威大門で三本の指に入る」

 

「ああ。もし我々の全勢力を投入することになったらアラビスタの司令官、キース・ジョーダンはこの隙を逃さないだろう」

 

「そうなると守りが手薄となったハーネスは堕ちる」

 

「そうなるな」

 

例え本拠地を守れたとしても、重要拠点であるニーズシティなどは奪還される。

 

「となると、立てられる作戦は―――」

 

「ええ。これしかない」

 

僕とジンさんは顔を見合わせて頷いて。

 

「最速で敵を無効化し」

 

「尚且つ守りを維持し」

 

「白小路オトヒメたちを助けるには」

 

「僕らが」

 

「レイたちが」

 

「「救援に向かうしかない」」

 

 

 

 

 

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