ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩⅩⅩⅡ 錯交

 

〜バンside〜

 

ブリタニア時計台の指令コンピューターを正常化し、【キラードロイド】なる未知の化け物との戦いから撤退した俺たちは、スレイブプレイヤーとなっていたケイタくんを病院に連れて行き、その場でレイと別れて父さんのいる【ビルニッジ天文台】へと帰っていた。

マングースさんの運転する、帰る車中で。

 

「レイの人脈って、ホントどうなってるのかしら?」

 

とジェシカが窓から外を見て呟いた。

 

「どうしてですジェシカさん?」

 

ジェシカの呟きに、ヒロが振り向いて訊ねる。

 

「私たちが把握してるだけでも、レイの人脈って普通の人より遥かに凄いものよ?私ですら、各国への人脈なんてないのに」

 

ジェシカは驚きを通り越して、呆れたように肩を竦めて言う。

確かに、レイの人脈はかなり気になる。

去年のイノベーターの時も、警察官の紳羅さんと協力関係をいつの間にか築いてたし、俺たちよりも先にオタクロスと接触してたようだし。

この半年の間でその人脈がさらに広がっている。

 

「今更感が凄いけどな」

 

コブラも呆れたように言う。

 

「ていうか、あたし達レイの助言が無かったらさっきのキラードロイドに瞬殺されてたんじゃない?」

 

「確かに。アレを相手するのは初見では無理だ」

 

「そう考えると、レイ君って本当に僕らより歳下なのか疑わしくなるよ」

 

「はい。頭の回転の速さに単独行動を行えるだけの人脈・・・・・・正直まるで―――」

 

「『化け物』か?」

 

言いにくそうに言うヒロの代わりにジンが答えた。

 

「は、はい。僕らとは違う次元、世界で生きているような感じがして」

 

ジンの言葉に俺以外の全員ヒロと同じ表情を見せる。

それにしても、『化け物』か・・・・・・

 

「その言葉、メアたちの前では言わない方が良いと思うよ」

 

俺はヒロたちに向かってそう言った。

 

「どうして?」

 

ランがなぜかと訊いてきた。

 

「レイ自身は自分が『化け物』とか言われるのになんとも感じてないみたいなんだけど、メアたち、メアとキヨカが聞いたら手が付けられないほど怒るから。まぁ、俺も噂というか、人伝に聞いたから真相はわかんないけど」

 

けど、事実なんだろうな。

メアとキヨカ。

特にメアはレイが『化け物』などと呼ばれるのを極端に嫌う。

レイ自身は興味無いように、どうでもいいようにしてるけど。

 

「とにかく、思っていても簡単に口には出さないことだ。そうだろバン君?」

 

「ああ。ジンの言う通りだ。それに、もしレイの逆鱗に触れることがあるなんてことがあれば・・・・・・最悪、死んだ方がマシだと実感する」

 

とブルブルと震えて告げる。

レイが本気で怒ったことは片手で数える程度しかない。

けど、そのどれもが自分ではなく、誰かのため。

レイは自分に関しては無関心と言ってもいいほどで、自分の身を顧みない行動をする。

まるで死に場所を探しているみたいな感じに。

止めたくても、無茶をするな、なんて俺に言う資格はない。

何時も心配させている俺が言っても、論破されるだけだ。

それはアミやカズも同じ。

止められるとしたら、唯一メアぐらいだ。

けど、そのメアがディテクターに拐われた。

今はまだ自制してるけど、何時そのタガが外れるか・・・・・・

レイのことだ、メアやカズを助けるためなら何でもするはずだ。

それに、レイは秘密主義過ぎる。

半年前、レイが世界を周りに行ったのも見聞を深めに行くから、って言っていたけど、その前からあちこち動いていた。

家のレイの部屋にはパスワード式の金庫があり、その中には俺も知らない何かがある。

レイが変わり、今のようになったのは空中要塞【サターン】でLEXと戦い、全てが終わってから。

いや、イノベーターに関わってからかもしれないけど、あの時。

俺がサターンを自爆させるための操作をしている時に、レイとLEXが会話していたのを視界の端で見ていた。

その時に何を話していたのかは分からなかったけど、LEXから何か託されたのかもしれない。

アイツのここ1年の動きを見ていてそう感じる。

 

「そう言えばレイさん、風摩キリトの事知っていましたね」

 

ふと思い出したようにヒロが言う。

風摩キリトの事はレイに言ってない。

というより、言い忘れてたのだが・・・・・・。

そこで、ディテクターにより最初にブレインジャックが起きたトキオシアデパートの地下。

シーカー本部で初めて風摩キリトにあった時の言葉を思い出した。

あの時、風摩キリトは俺にこう言っていた、「これなら、彼の方が強かったね」と。

 

「もしかしたら、レイは風摩キリトと戦ったことがあるのかもしれない」

 

「けど、そんなことレイから一度も聞いてないよ?」

 

俺の言葉にランが言う。

 

「コブラ」

 

「ん?」

 

「コブラはこの半年の間のレイについて何か知ってる?」

 

俺たちよりも先にレイに会っていたコブラなら知ってると思い訊ねてみる。

 

「いや、知らないな。俺が初めて会ったのは、博士にレイを迎えに行くよう言われて、その時レイがいたイタリアで会った時だな」

 

「イタリアが・・・・・・」

 

「そん時何があったのか知らねぇが、アイツのLBXがボロボロだったな」

 

「え?!それって[カオス]のこと!?」

 

「ああ」

 

そう言えばレイの前機の愛機たるカオスが今どうなってるのか、レイから聞いてない。

いつの間にか父さんが渡した今の機体[エレボス]だったし。

 

「カオス?」

 

「それってレイが今の機体を使う前のLBXってこと?」

 

レイの前機、カオスを知らないヒロやジェシカたちが首を傾げて尋ねてくる。

 

「ああ。カオスはエレボスの前の機体で、俺の使ってた[オーディーン]と同じ父さんが設計したLBXなんだ」

 

カオスのスペックはオーディーンやジンの前機[ゼノン]と同等、もしくは上のクラスのスペック。

そのカオスがボロボロになるって・・・・・・

 

「一体レイに何が・・・・・・」

 

謎が深まる中、俺たちを乗せた車はビルニッジ天文台へと帰還して行った。

 

〜バンside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

「―――って感じです」

 

「わかった。事後処理は我々が行おう」

 

森上ケイタの病室の前で、僕はレオンさんと話していた。

森上ケイタの病室は個室で警備が厳重だ。

検査してもらったところ、特に後遺症は無いようだが無理矢理操られていたため体力が消耗してるらしく、しばらくは検査入院が必要とのことだ。

ブリタニア時計台での戦闘のことを話し、事後処理をお願いする。

恐らくイギリス政府と連携してになると思うが。

 

「調査結果はNICSへも知らせよう。まぁ、ディテクターに繋がる手掛かりは皆無だと思うけどな」

 

腰に手を当てて苦笑するレオンさん。

恐らくそうだろうね。

これで手掛かりがあったらディテクターの尻尾ぐらい掴めてるだろうし。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「?どうした?」

 

「いや・・・・・・ちょっと気になることが」

 

「?気になること?」

 

「ええ」

 

そう言い、一旦間を置いて窓の外から、更なるブレインジャックを阻止できたブリントンの街並みを観て言う。

 

「タイミングが良すぎる」

 

と。

 

「タイミング?」

 

「ええ。僕らが丁度イギリスにいた時にブレインジャックが起こった・・・・・・あまりにもタイミングが良すぎる」

 

僕らが丁度イギリスにいたタイミングで、ブレインジャックがたまたま発生した。

そんなことありえるか?

これは偶然?

だが、それはどんな確率だ?

そんなの天文学的確率に等しいレベルの偶然だ。

 

「たまたま・・・・・・って感じじゃなくてか?」

 

「まぁ、ただの"勘"ってのもあるけど」

 

けど、もし僕らの来たタイミングでブレインジャックを起こしたのだとすれば、ディテクターはどこかで僕らのことを監視している事になる。

まぁ、気のせいかもしれないけど。

 

「・・・・・・ブレインジャックによって生じた被害は」

 

「交通やインフラ、建物等の損害。元に戻るのにはかなり時間が掛かるな。具体的な損傷は今調査してるが・・・・・・」

 

人的被害は無いようだが、やはり生活に必要な物は被害が出てる。

それになにより、これでLBXへの非難が高まる可能性がある。

もしかしたら、LBXに襲われた、ということでトラウマやパニック障害が出る人も出るかもしれない。

最悪、イギリスという国でLBX自体が存在できなくなるかもしれない。

一刻も早くディテクターを止めないと。

森上ケイタの警護をレオンさんが手配してくれた人たちに任せて、僕とレオンさんはスコットランドヤードへと帰った。

レオンさんの運転する車で帰る道中、何故ブリタニア時計台に風摩キリトが居たのか気になる。

風摩キリトはオメガダインのテストプレイヤーだ。

LBXのカスタム技術はオタクロス並だし、スキルは大会に出たら優勝するほどのトップクラス。

彼とは半年前、A国に行った時。

オメガダインのあるLシティに行った時戦った。

何処で調べたのか、僕がアキハバラランキングバトルの第1位ってことを知った風摩キリトが、オメガダインを見学し終えて近くのカフェで休憩していたところにやって来て、バトルを申し込んで来たんだよね。

正直かなりギリギリだったかもしれない。

素のスキルは僕やジンと遜色ない。

彼の操るLBX[デクーOZ]は、イノベーターが使っていた[デクー]をカスタムしたLBX。

機体カラーは深紅の赤。

しかも従来のデクーとは性能が一回りどころか、二回り・・・・・・いや、その倍以上の性能だ。

恐らく機体のチューンナップもさながら、彼自身のスキルの賜物だろう。

結果はなんとか勝てたが、かなり危なかった。

カオスの特殊モード【エクシードモード】は使わなかったが、アレは短時間だけど使ったからな。

いや、正確には使ったと言うより、自動的に入った(・・・・・・・)が正解か。

結果、勝てたは勝てたが少々ズルをしてしまったという気持ちも少なくはないのだが・・・・・・

まあ、それは置いといて。

風摩キリトのあの眼・・・・・・アレは何かに必死にもがいている眼だ。

兄さんたちの様子からして、風摩キリトと何度か戦ったことがあるのだろう。

それに、風摩キリトがあの黒い竜をキラードロイドと呼んだことから、オメガダインが関連していることは間違いない。

僕らが知らないことを彼が知っているということは、何処かであのキラードロイドと戦ったという事だ。

あの時のあの表情や眼は、苛立ちや忌々しさといった感情だった。

まあ、それもそうだが、第一は、何故風摩キリトがあそこに。

ブリタニア時計台に指令コンピューターがあるのを知っていたのか、ということだ。

考えられるとすれば、オタクロス並のコンピュータースキルがあるという事だが・・・・・・

なんていうか、彼・・・・・・そこまで悪いヤツって感じじゃないんだよなぁ。

イノベーターの頃のジンと同じ???でいいのかな?そんな感じで、自分の目標に向かって一直線、という感じを得る。

強いヤツと戦いたい、って前に言ってたし。

何が彼をそこまでするのか解らないけど、なんでかそれを否定したくない。

風摩キリトの事を考えながら移動し、スコットランドヤードに着く。

スコットランドヤードに着き、ロビーに入るとシャロとティア姉が待っていた。

 

「お疲れさま2人とも。もう警戒態勢は解かれたから大丈夫よ」

 

「そうか・・・・・・まあ、被害報告などでしばらくは忙殺されるのだろうがな」

 

「ま、それは今考えても仕方ないわ」

 

「そうだな」

 

ティア姉とレオンさんの会話を聴きながら。

 

「大丈夫だったの?」

 

「まあ、色々あったけどね」

 

シャロと苦笑を交えて話す。

色々気になる事はあるけど、今はブリントンでのブレインジャックによるこれ以上の破壊を防げたことを喜ぶとしよう。

時間的にもう兄さんたちは父さんのいるビルニッジ天文台に着いた頃だろう。

 

「ティア姉、シャロはもう外出しても大丈夫?」

 

「ええ。まだ混乱はあるかもだけど、それも少ししたら落ち着くはずよ」

 

窓の外を見て言うティア姉。

窓の外を行き交う人々は、多少の混乱はあるようだが、それでも普通に過ごしていた。

 

「だって。良かった〜」

 

ふぅ〜、と息を吐いて両腕を上げて伸びをする。

硬くなっていた身体が少し解された感覚を感じ、軽くストレッチをする。

 

「それじゃあ僕らは行こうシャロ。僕も買い物しないといけないし」

 

「・・・・・・主夫?」

 

「主夫か?」

 

「主夫?」

 

・・・・・・・・・・何故かシャロ、レオンさん、ティア姉にツッコまれた。

 

「誰が主夫だ」

 

ジト目で3人を見る。

 

「いや、主夫ではなく、主婦だな」

 

「そうね」

 

「・・・・・・」

 

レオンさんの言葉に頷くティア姉とシャロ。

ん?

 

「今変な文字に言い直さなかった?」

 

主夫を主婦に変換したように聞こえたんだけど?

 

「気の所為だ」

 

「気の所為よ」

 

「気の所為」

 

・・・・・・・・・・なんか示し合わせたように言う3人。

いや、気の所為じゃない気がするんだけど・・・・・・

まぁ、それを繰り返していてもはぐらかされるような気がするので置いておく。

 

「あ、レオンさん、コレ」

 

思い出したように、バッグからレオンさんから渡された閃光音響弾の余りを渡す。

 

「ありがとう。お陰で僕も兄さんたちも撤退出来たよ」

 

「そうか。それは何よりだ」

 

満足そうに頷くレオンさん。

レオンさんはそのまま少し考えたような表情を見せ。

 

「それはキミが持っていた方がいいかもしれないな」

 

と告げた。

 

「え?」

 

「護身用としてだ。今やキミも有名人だからな。最低限の身を守るものはあった方がいいだろう」

 

まぁ、確かに。

ただでさえ、史上最年少でブリュンヒルドを優勝し、欧州(ヨーロッパ)地区チャンピオンに至ったため、何かと有名に加え今回のアルテミスでファイナリストに入ったからなぁ。

知名度はかなり高い。

そう考えるとレオンさんの気遣いは有り難い。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて持たせてもらうね」

 

再びバッグに厳重に仕舞う。

ま、構造上そう簡単にピンが外れることは無いけど。

近くにある時計を視ると、すでに時刻は14時を過ぎていた。

 

「それじゃ、僕とシャロは行くね」

 

「おう」

 

「ええ。またねレイくん。シャーロットちゃんもまたねー。何かあったら気軽に連絡してね」

 

「はい。ありがとうございました」

 

ティア姉の会話からどうやらシャロと連絡先を交換したようだ。

何かあった時に助けてくれるだろう。

ティア姉は結構心配性だからね。

レオンさんとティア姉と別れ、僕とシャロはスコットランドヤードを後にした。

スコットランドヤードを後にし、僕とシャロは近場のスーパーへと来ていた。

 

「ゴメンねシャロ。手伝ってもらっちゃって」

 

「構わないわ。私を助けてくれたお礼、とでも思って」

 

「あはは・・・別に気にしなくてもいいのに」

 

シャロを助けたのは偶然。

成り行き、って感じだしね。

カートを押して、次々と食材を入れる。

父さんの事だから、ストックしておかないと絶対食べないのは目に見えてる。

まあ、ストックしても食べない可能性も無くもないが・・・・・・

そんな事を思いながら店の中を歩いていく。

それから十数分店を散策し・・・・・・

 

「ありがとう。助かったよ」

 

隣には持ってきていた袋いっぱいの食材が床に置いてあった。

 

「気にしないで。私もついでに頼まれて買うものがあったし」

 

かくいうシャロの隣にも僕ほどではないが一袋に食材などが入っていた。

どうやら親に買ってきて欲しいと頼まれたらしい。

店の中で軽くシャロから両親の事を聞いた。

 

「さてと。帰ったら早速調理しないとなぁ」

 

何作ろうか考えてると、丁度僕が呼んだタクシーがやって来た。

 

「それじゃあ、またねシャロ」

 

「ええ。また・・・・・・気をつけて」

 

「ありがとう。シャロも気をつけてね」

 

「ええ」

 

タクシーに荷物とともに乗り込み、ビルニッジ天文台へと向かうよう告げる。

タクシーに乗り十数分後、タクシーはビルニッジ天文台の正門前に着いた。

料金を払って荷物を持って降り、正門から内部へと入る。

それにしても―――

 

「・・・・・・買いすぎたかな」

 

たくさんの食材があるため重い。

けどまあ・・・・・・この程度問題ないか。

最近身体能力が上がってる気がするんだよね。

気のせいかもしれないけど。

そう思いつつ天文台の中を歩き、奥へと向かう。

奥に着き、パスワードを解除して部屋へと入る。

部屋に入ると―――

 

「ただい・・・・・・何してるの」

 

『『『あ』』』

 

何故かみんな床に這い蹲って、書類を掻き集めてる姿があった。

なんか数時間前より部屋が汚くなってるような・・・・・・

 

「お、おかえりレイ」

 

「レイ、おかえり・・・・・・」

 

やべ、と顔してる父さんと兄さんたち。

僕はそのまま真顔で扉を閉め、キッチンのほうへと行き食材を冷蔵庫や冷凍庫に分けて仕舞う。

仕舞い終えるや。

 

「この数時間でなんでこんなに汚くなってるのぉぉぉっ!!!!???」

 

と、戻ってツッコんだ。

 

「何をしたらこうなるのか誰か説明」

 

左手を左腰に当てて兄さんたちに訊ねる。

僕の問いに、兄さんたちはえーと、と口を淀ませながら答えた。

なんでも積んでいた紙束にぶつかってこうなったとか。

しかも、なったのは僕が天文台に着いた数分前。

いや、ホントなにやってんの?

 

「はぁ・・・・・・」

 

呆れて溜め息を吐きつつ近くに落ちていた紙を拾う。

 

「ここは僕がやっておくから、父さんたちは[エルシオン]たちの改造と、僕らのLBXの修理をして。兄さんたちは別室で休んでて」

 

「「はい・・・」」

 

僕の言葉に父さんと兄さんは真っ先に返事をした。

 

「それと、夕飯のリクエストがあったら早めに言って。これ終わったら作っちゃうから」

 

喋りながらもテキパキと紙を片付け、区別分けをする。

休まる時間がねぇー・・・・・・

ヤレヤレ、と感じつつも十数分で紙の片付けと掃除を終わらせる。

掃除を終えて片付けてると。

 

「レイ、聞きたいことがある」

 

と、父さんが訊いてきた。

 

「なに?」

 

「あのキラードロイド・・・・・・レイから視てどう看えた?」

 

「・・・・・・異質。LBXじゃないのは確か」

 

父さんの問いにそう答える。

 

「自立稼動で、LBXを破壊する。まるで兵器のようだった」

 

「そうか・・・・・・」

 

時計台での戦闘で感じたことを伝える。

多分、父さんもアレがLBXというカテゴリーに入らないことは解ってるはずだ。

 

「それに、アレはたぶんディテクターと関係ないと思う」

 

「どうして?」

 

「先に僕が戦っていた時に、[アキレス・ディード]にも攻撃していたから」

 

「アキレス・ディードと!?」

 

ジェシカの疑問に答えた僕の言葉に兄さんが驚く。

 

「そう。それに、風摩キリトが知っていた、ということは何かしらでオメガダインが絡んでる」

 

そう。

風摩キリトが知っていた、ということが一番のキーワードだ。

何かしらでオメガダインが絡んでるのは間違いない。

それに、それがなんなのか分からないけど、なんでか僕の勘が告げていた。

アレを創った人は、全ての殲滅。

いや、破壊、または抹消を望んでいると。

キラードロイドからは憎悪、憤怒、憎しみといった感情を感じたのだ。

 

「・・・・・・」

 

「レイさん?どうしたんですか?」

 

考え込んでるとヒロが心配そうに訊いてきた。

 

「いや・・・・・・なんか、嫌な予感がする」

 

「え?」

 

「なんか分からないけど、さっきから誰かに殺気みたいな何かを向けられているような、そんな気が・・・・・・」

 

気の所為か・・・・・・と思いつつ片付けを終え今度はキッチンのほうへと行き、夕飯の支度をする。

 

「で、リクエストとかある?」

 

エプロンを着けてお玉を片手に訊ねる。

 

「ま、任せる」

 

「同じく」

 

「あたしも」

 

「私も」

 

「ああ」

 

「あははは」

 

兄さんたちに訊ねたが特にないらしい。

 

「父さんたちは?」

 

「私もお前に任せる」

 

「俺も」

 

「同じく」

 

でもって父さんたちも同じと。

 

「オッケー。じゃあ僕で決めちゃうから」

 

と言ってキッチンに篭った。

 

「さてと。な〜に作ろうかな〜」

 

端末とイヤホンを取り出して、イヤホンを耳に付け音楽を再生させて食材を吟味する。

イギリスということで、一品はもう決まってる。

あとは・・・・・・

 

「ふんふふん、ふふーん♪」

 

小さく鼻唄を漏らして料理を始める。

今の時間は午後17時。

丁度夕飯の時刻には出来上がるかな。

包丁を右手に、食材を切りながら手際よく料理を始めるのだった。

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンside〜

 

 

「―――ふんふふん、ふふーん♪」

 

 

キッチンの方から偶に、僅かに聴こえるレイの鼻唄と料理をする音を聴きながら俺たちは夕飯が出来るのを待っていた。

 

「ね、ねぇ。アレ、完全に主夫よね?いえ、主夫というより主婦よね?」

 

「あ、あははは」

 

ジェシカのレイへの評価になんとも言えない俺。

すでに父さん主導の元、コブラとマングースさんがエルシオンたちの改修及び修理をしている。

ジェシカから父さんの研究を手伝っていたのか質問され、昔の、

父さんと一緒に住んでいたころを思い懐かしむように答える。

庭先で工具を手にLBXのプロトタイプを弄ったりしている父さんを横から眺める俺の姿が脳裏に浮かぶ。

 

「バンさん、LBXの開発者がお父さんってどんな感じなんですか?」

 

「そりゃ嬉しいよ。でも、家では普通のお父さんだよ。一緒にいた頃は、寝坊したり、散らかしたりしてよく母さんに怒られていたし。あ、最近はしょっちゅうレイに怒られているかな」

 

「あー・・・・・・」

 

「ここに来た時も怒られていたわね」

 

「うっ・・・・・・それは出来ればスルーしてくれると・・・・・・」

 

出会った第一印象がレイに怒られているという構図だったため肩身が狭い。

 

「と、とにかく早く戻れるといいわね、元の生活に」

 

「うん」

 

元の生活が何時になったら戻れるのかわからないけど、早く元の生活に戻りたいと思う。

 

「僕もお母さんに会いたくなりました・・・・・・また後で連絡してみようかな。あ、でも、バンさんたちと一緒にいるのって好きなんです!それに、僕には世界を救うという使命がありますし!」

 

「ヒロはヒーローを目指してるものね」

 

「もちろん!僕の目標はセンシマンですから!」

 

「おかしなヒーローにかぶれるのもいい加減にしろってーの」

 

「ああ!センシマンをバカにするのは許しませんよ!良いですか、センシマンは世界に平和を・・・・・・」

 

ヒロがランにセンシマンについて力説しようしたとその時。

 

「みんな、観て!!」

 

窓の外を観たユウヤが血相を変えて言った。

 

「どうした」

 

尋常ではない様子から急いで窓の外を観る。

窓の外を観た俺たちは外の光景に目を見開いた。

何故なら、外に映る光景は―――

 

「これって・・・・・・」

 

「ウソでしょ・・・・・・」

 

天文台に通じる橋の上を数え切れないほどのLBXの大群が跋扈していたのだから。

 

「LBXがこんなに・・・・・・」

 

しかもその動きは統率された動きだ。

どう見てもあれは―――

 

「ディテクター・・・・・・!」

 

操られたLBXだ。

 

 

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