~レイside~
イギリス、ブリントンでディテクターによるブレインジャックを阻止し、ビルニッジ天文台へのLBXの大群、並びにキラードロイドによる襲撃を阻止してすでに2日が経過していた。
襲撃を阻止した翌日の早朝、僕らは修理をしてもらっていたそれぞれのLBXを父さんから受け取り、僕らはダックシャトルでA国NICSへと帰還していた。
やるべきがあると言う父さんと天文台で別れ、僕らはNICSへ。
別れる際、父さんにちゃんとご飯を食べるように告げたがちゃんと食べてるか不安だ。
一応2日分はストックしてあるんだけど・・・・・・
で、NICSへと戻った僕らはそのままブリタニア時計台と天文台でのブレインジャックとキラードロイドについて話し合った。
最初のブレインジャックはともかく、天文台を襲撃したブレインジャックについては幾つか不明点があるが、一番の議題はキラードロイドについてだった。
破壊されたキラードロイドの部品を持ち帰り、オタクロスが調べた結果、やはりキラードロイドはディテクターとは関係ない、第3勢力によるものだと判明した。
証拠に時計台での[アキレス・ディード]との戦闘があり、これは明白となった。
現状キラードロイドに対抗出来るのはスーパーLBX[∑オービス]のみ。
∑オービスを操作する兄さん、ヒロ、ランはキラードロイドへの切り札となった。
そのまま幾つか話し合い、解散。
その後、僕はカイオス長官とスコットランド・ヤードのレオンさんによる被害報告と時計台での調査報告を聞き、ICPOのクリスさんや警察庁の公安所属の紳羅さんと話し合い―――
NICSに帰ってきて翌日。
「―――あそこでトリトーンを倒していれば、こちらが有利になっていたはずです」
「そうかもしれない。でも、ヒロが無理をしなければいずれ∑オービスの力で押し切れたんだ!」
「攻撃は最大の防御です!攻められる時は行くべきです!」
「ヒロ!」
それぞれのLBXの調整具合を確かめるための特訓で、兄さんとヒロの喧嘩が起きていた。
「はぁ・・・・・・」
何となく予測出来ていた兄さんとヒロの口喧嘩にため息が小さく漏れでる。
ため息を吐きながら、右手にお馴染みの武器を持ち。
スパンっ!!
兄さんとヒロの頭へと一閃する。
「いたっ!」
「あたっ!」
「うわぁぁ・・・・・・」
頭を押さえて蹲る2人に、ドン引きしているラン。
「そこまで、2人とも。これ以上やるなら、実力行使するけど?」
「もうしてるじゃないか!!」
「もうしてますよね!!」
バッ!と立ち上がって詰め寄って言ってくる2人。
「痛たた。ジン、頭にタンコブ出来てない?」
「ランさん、僕の頭大丈夫ですか?」
兄さんはジンに、ヒロはランにそれぞれ聞いていた。
「大丈夫、手加減して叩いたから」
その2人にヒュン!と風切り音を鳴らして右手に持っている武器、ハリセンを振るい告げる。
「いや、手加減してあの音なの?」
「手加減していても痛いものは痛いのよ?」
ユウヤとジェシカが何か言うが・・・・・・
うーん、そんなに強くないつもりなんだけど。
そう思っていると。
「なんでいきなり叩くのさ!」
「そうですよ!」
「2人が呆れるくらいの喧嘩をするからでしょ?」
クワっ!と接近して訊いてくる2人に淡々と返す。
「まあ、何となく予想していたから大して驚かないけど」
ヤレヤレ、と肩を竦めて返す。
「ジンたちの後に、僕の[エレボス]の調整後の調整してもらおうと思ってたけど、これじゃあ同じ結果かな~」
エレボスは∑オービスのプロトタイプだ。
その為に、[エルシオン]たちの長所をふんだんに詰め込まれている。
∑オービスがエルシオン、[ペルセウス]、[ミネルバ]の3機を合わせて誕生したものに対して、エレボスはその3機の長所をひとつに詰め込んだLBXだ。
故にクセがかなり強く、並大抵のプレイヤーでは振り回されるし、満足に動かせることも出来ない。
まぁ、それを普通に動かしている僕はかなり異常なのだけど。
「とにかく、特訓は一旦中止。というより、今日はもうこれ以上特訓しても身に入らないでしょうから、今日の特訓は終了!」
「え!?」
はァ、とため息を吐きながらそう告げる。
なんで!?と顔をする兄さん。
僕はそのまま、
「それでいいよね、コブラ?」
扉を背もたれにして寄りかかっていたコブラに訊く。
「ああ。俺が言おうと思っていたことを言われて何ともむず痒いが・・・・・・」
「あはは。ゴメン」
「良いってことよ。んじゃ、俺は長官に言ってくるから。ということでお前ら、今日は一日休め。良いな。特にレイはな」
「なんで僕?」
何故か名指しで言われた僕。
首を傾げる僕にコブラが。
「あのなぁ。お前、コッチに帰ってきてからも動きっぱなしだろうが。ちったァ休め。お前俺らの中でも一番の歳下なんだぞ?」
いや、そう言われてもなぁ。
コブラの言葉にそう思ってると。
「お前、今そう言われてもなぁ、と思ったろ」
「なんで分かる!?」
「いや、今のは顔に出てたぞ」
コブラのさらなる一言にまたしてと微妙な表情を浮かべるしかない。
「んじゃあな。とにかく休めよ」
そう言うとコブラは部屋から出ていった。
「てなワケで、はい、解さ~ん!それぞれ自由に過ごしてね~」
そう告げ、僕はコートの裾を靡かせて部屋から出ていった。
とは言っても・・・・・・
「んー、どうしよっかな~」
自由に過ごしてね、と言ったはものの、どう過ごすか悩ましい。
・・・・・・・・・・・・・・特訓するか。
「よし、オタクロスに手伝ってもらおう」
オタクロスに手伝ってもらうことに決め、オタクロスの部屋へと向かう。
オタクロスの部屋へと向かったが・・・・・・
「・・・・・・・・・・」
部屋の前の扉に張り紙が貼られていて、張り紙には『いないデヨ さがさないで くれデヨ』と書かれていて、端にはオタクロス自身の署名と小さく字余りと書かれていた。
それを見てなんとも言えない微妙な表情を再び浮かべることになった。
「最後の文、くれデヨじゃなくて、ほしいデヨ、なら丁度五七五でしょうがぁぁ!!」
そしてそれと同時にツッコミも発生した。
カバンからペンを取り出し、くれデヨの横に、ほしいデヨと小さく書き足す。
オタクロスって頭がいいのか悪いのかわかんないなぁ。
いや、あんな高度な技術があるんだから悪いわけじゃないんだろうけど・・・・・・。
そう思っていると、張り紙のすぐ近くにもう一つ別の張り紙が貼ってあったのに気づいた。
しかもその宛先は僕で、紙を二つ折りにして閉じられていた。
「ん?」
張り紙を剥がして、その紙を開く。
開いて中を確認すると、そこにはオタクロスの字で『休むことも大事な特訓デヨ。折角だし、買い物にでも行ってリフレッシュしてくると良いデヨ~』と書かれていた。
いや、なんで休むこと分かってんのさ。
オタクロスの思考ってたまに僕の先を行くんだよね。
さすが年の功と言うべき、なのかな?
「買い物か~・・・・・・」
せっかくだからオタクロスに協力してもらって自身の反射神経とか鍛えようかなぁ、って思ってたんだけど。
「んー。折角だし、母さんや店長とかにA国のお土産買って配達してもらうかな。よし!」
やる事を決め、部屋に戻ってすぐに準備を整えNICSの職員にお土産を売ってる店やオススメなどを少し聞いたりしてNICSを後にした。
「あ、兄さんの事、ジンにお願いしとかないと」
ジンの事だし、NICSにいるだろうと想定し、兄さんの事を任せる。
あの時も塞ぎ込んでいた兄さんに発破を掛けたのはジンみたいだし。
こういうのは僕よりジンに任せるとしよう。
少々人任せな気もするけど、僕が言うよりはジンの方が良いだろう。
そう思い、ジンにメッセージを送り、僕は市街地へと繰り出していった。
~レイside out~
~バンside~
レイによって半ば強引に特訓を中止させられ、俺はNICSの通路を歩いていた。
ヒロはユウヤと、ランはジェシカとすでに出掛けていてNICSにはいない。
オタクロスに特訓をつけてもらおうと思っていたが、そのオタクロスも出掛けているようで部屋の前に張り紙があるだけだった。
レイも一人で街へと出掛けているようだし、正直手持ち無沙汰だ。
「はぁ・・・・・・」
休めと言われても、休めるような感じじゃないし。
今はディテクターに対抗するために少しでも強くならないといけないのに・・・・・・
そう思いながら歩いていると
「ジン・・・・・・」
通路の先にジンが佇んで待っていた。
「キミに話がある」
「・・・・・・」
ジンに話があると言われ、俺とジンは特訓を行っていた部屋に向かった。
「話って?」
「バンくん。さっきのバトルで、キミたちが負けたのは何故だと思う?」
部屋に着き、ジンに訊ねるとジンがそう質問してきた。
「ぇ・・・・・・。解ってる。ヒロと息が合ってないってことは。これまで一緒に戦ってきたのに、∑オービスだと上手くいかないんだ」
ジンに言われなくても俺自身が解ってる。
ヒロと息が合ってないってことは。
ここまで一緒に、息を合わせて戦ってきたのに∑オービスでだと、上手く合わせられないのだ。
「∑オービスにはキラードロイドを一撃で破壊できる凄いパワーがある。それが生かせるかどうかはプレイヤー次第。山野博士はそう言っていたはずだ」
別れる際、父さんはジンが言ったことを俺たちに言った。
生かすも殺すも、プレイヤー次第。
つまり、俺たちによって∑オービスは最高にも最低にもなる。
けど、∑オービスはこれまでのLBX操作とは違って―――
「これまでと違って、ひとつのLBXを3人で一緒に操らなければならない。戦い方そのものが違う」
3人でひとつを操作せねばならない。
故に戦い方がまるっきり違う。
「そんなこと解ってるよ!」
ジンにそれを指摘され思わず口調が強くなる。
「バンくん、キミは解って―――」
俺の返しにジンが反論しようとした時。
「どうなってるどうなってる~?!!」
慌てたようにコブラが部屋に入ってきて、室内に取り付けられた巨大なスクリーンに近寄り、画面を起動させる。
スクリーンには何処かのサッカーの試合が映っていて、赤いユニフォームのチームと、白いユニフォームのチームが戦っていた。
しかも丁度、白いユニフォームのチームが赤いユニフォームのチームに攻め入り、巧みな連携でゴールを決めたところだった。
「あ"あ"ぁ~~!何決められてるんだよ~!!後半、巻き返してくれよ~・・・・・・これじゃあ優勝が・・・・・・」
どうやらコブラは赤いユニフォームのチームを応援していたようで、ゴールを決められあからさまに落胆している。
「ぁ?」
「コブラってサッカー好きだったんだ」
俺とジンがいる事に気づいたコブラが、少し驚いた顔で見てくる。
コブラがサッカーが好きな事を初めて知り、ちょっと驚いてる。
「まあな。応援しているチームの優勝が掛かった試合なんだよ。それより、なんだお前ら?結局出掛けなかったのか?」
「午前中のバトルの話をしていた」
「???どういうことだ?話してみろ」
コブラに促され、俺とジンはさっきのバトルについて話していた。
話を聞いていたコブラは終始難しい顔を浮かべていた。
まあ、サングラスを掛けているから分かりにくいけど。
俺たちの話を聞いたコブラは。
「なるほどな。そいつァ不味いな」
と告げた。
「折角父さんが改造してくれたのに、こんなんじゃ・・・・・・」
これじゃあ∑オービスを完全に生かせない。
どうすればいいのか悩んでいるとコブラが。
「ふっ。お前、サッカー分かるか?」
と訊いてきた。
「え、まぁ。なんとなく」
一応少しは解る。
俺がそう答えるとコブラは訊ねてきた。
「さっきのゴール、観てたよな?」
「うん」
「なんで決まったと思う?」
「えっと・・・・・・」
コブラの問いに考える。
決まったと思う、と聞かれてもどう答えればいいのか解らない。
自問していると。
「解らないか?」
と言った。
「おっ。丁度リプレイが始まったな」
スクリーンにはさっきのシュートが決まったところのリプレイが流されていて、さっきの場面がより分かりやすく、ゆっくりと流れていた。
ゴール前に背番号10番の選手が走り込み、ボールをキープしてドリブルしていた9番の選手がパスをする。
「あの選手のパスが良かったから?」
俺はリプレイの映像からコブラにそう答える。
俺の答えにコブラは頷きながら言う。
「当然、それはある。だが、正解じゃないな。観ろ」
コブラに再び促され、もう一度スクリーンを観る。
スクリーンに映るリプレイ映像は、スローモーションで再生されており、9番の選手がボールを逆サイドから走ってきた11番の選手にパスした映像が映っていた。
けど、正解じゃないってどういう意味だろ。
俺がそう思ってるとジンが。
「ゴールを決められたのは、司令塔であるこのミッドフィールダーがいたからだ」
と言った。
「え?」
司令塔であるミッドフィールダーが?
首を傾げているとコブラが俺の疑問に答えた。
「ゴール前でパスした奴。シュートを打った奴はたしかに凄い。だが、ミッドフィールダーがこの位置に走り込んで来なかったらゴールは決まらなかった」
「どういうこと?」
「コイツが走り込んだからこそ、敵が動いたんだ。キーパーもコイツを警戒して動いてる。観ろ。シュートコースが出来てるだろ」
リプレイ映像に映る映像には、ゴール前にいる10番の選手にキーパーもその前にいるディフェンダーも警戒していて、11番の選手には全くのノーマーク状態だ。
しかも、その選手の部分だけぽっかりと穴が空いたように、空間が出来ている。
10番の選手を警戒していたため、11番の選手への反応が遅れてる。
「ホントだ」
「チャンスを生み出したのは、ミッドフィールダーという司令塔だ。敵味方全体の動きを見て、フィールドをコントロールしたんだ」
「コントロール・・・・・・」
確かに・・・・・・
ジンの言う通り、敵味方全体の動きを見てないと今のシュートは決まらなかったのかもしれない。
「複数の人間をひとつに向けてコントロールする。∑オービスと同じだ」
「・・・・・・」
「プレイヤーにはそれぞれの個性がある。ヒロの攻撃に対する集中力。ランの反射神経を生かした守備力。それらをコントロールして、∑オービスを完全なものにするのが、実戦経験豊富なキミの役割なんだ」
「俺の役割・・・・・・」
「そうだ」
ジンとコブラに言われようやく分かった気がする。
俺の成すべきことが。
でも、それと同時に疑問も浮かんだ。
「コブラ」
「なんだ?」
「コントロールするなら、俺じゃなくてもレイでも良かったんじゃないかなって思うんだけど」
そう。
コントロールするなら俺よりもレイの方が向いていると思う。
実戦経験もたぶん、俺よりも多いと思うし。
「あー・・・・・・」
俺の疑問にコブラは唸り声を上げる。
「いや、確かにアイツもコントロール出来るだろうけどさ?」
そこまで言うと、コブラはキョロキョロ見渡し、まるで誰もいないよな?とでも言うような感じをする。
「・・・・・・レイって、かなりの天然だろ?」
「え?」
「・・・・・・・・・・」
いや、レイが超が幾つも付くほどの天然なのは周知の事実だけど。
「それに、アイツの本当の実力って、ヒロとランの2人を足してもアイツには到底足らん程だろ?」
「あー・・・・・・」
「理解した」
コブラの言いたいことがよくわかった。
「コントロールするのだって、レイに追い付けるかどうかだぞ?絶対アイツの反応速度に追いつけないって」
「確かに」
レイの反応速度が幾つかは知らないけど、普通の子供と比べたら遥かに速い。
しかも、反応速度だけでなく、反射速度。空間把握認識能力。動体視力なども基準値を大きく超えてると思う。
何より、レイにはよくわからないがあの、LBXを超人的な速度で操作するスキルがある。
普通に考えたらヒロやランはレイにとっては足でまといになる可能性が高い。
「なにより、アイツひとりでお前ら3人分のLBXを操作してんだからな」
「エレボスのことか?」
コブラの言葉にジンが訊ねる。
「ああ。レイのLBXエレボスは、∑オービスをひとつに凝縮させたLBXだ。それに、先日山野博士直々に調整もされたからな。∑オービスに匹敵するとまでは言わないが、現状近い程のスペックは有してるぞ」
「聞けば聞くほど相変わらずだな。山野博士もだが、なによりレイが」
同感。
ホントに俺の弟は凄い。
少し嫉妬してしまうほどに。
「ホントだぜ。しかも知ってるか?アイツ昨日の夜ひとりで身体能力鍛えてたぜ」
「え!?」
コブラのさらなる言葉に驚く俺とジン。
「なにやってんのかと思うけどな。まぁ、オタクロスが一緒にいたから無茶だけはしてねぇと思うんだけどな」
オタクロスが一緒にいたなら大丈夫だと思うけど・・・・・・
それにしても・・・・・・
「レイってどこ目指してるんだろう」
「「・・・・・・・・・・」」
俺の呟きにジンとコブラは微妙な表情を浮かべる。
「まあ、レイだしな」
「レイだからな」
そんな諦めたような言葉も付け加えて。
その頃レイはというと―――
「クシュン!・・・・・・うーん、風邪かなぁ~・・・・・・帰るまでに兄さんが自分の役割を理解してくれてると良いんだけど。ジンだけじゃ物足りなかったかなぁ。兄さんって頭固いし」
漆黒のコートの裾を吹かせてNシティの街を歩いていた。
「ハックシュン!!」
「あ?どうした風邪か?」
「大丈夫かバンくん」
「ああ。大丈夫」
なんか急にクシャミが出た。
「んー。熱は無いんだけど・・・・・・」
「もしかしたら、誰か噂でもしてるんじゃないか?」
「ぇーー・・・・・・」
噂をされるとクシャミが出るって言うけど・・・・・・
それから数時間後、俺たちは再び俺、ヒロ、ランのチームと、ジン、ユウヤ、ジェシカのチームに分かれてまだバトルの特訓を行なった。
どうしてもバトルがしたくなったのだ。
ランとジェシカからは少し文句を言われたが。
まあ、休みだって言っておいてまた急にバトルだ、なんて言われたらそりゃ文句の一つも言いたくなるよな。
バトルが始まる前、俺とヒロはそれぞれ午前中のバトルでの事を謝り、俺はヒロに、∑オービスの攻撃のタイミングを指示してくれるようお願いした。
ランの防御、ヒロの攻撃のバランスを俺が執るために。
そして行われたバトル。
俺たちは最初から∑オービスの状態で始めた。
ジェシカが後衛、ジンとユウヤが前衛とバランスの取れた戦術で攻撃してくる。
ジェシカの[ジャンヌD]の射撃をランが気弾で防ぎ、両サイドから攻撃してきたジンの[トリトーン]とユウヤの[リュウビ]の攻撃を躱す。
トリトーンとリュウビの攻撃を躱しつつ、ジャンヌDの弾丸を防ぐ。
かなり厳しいが、防御はランがしてくれてる。
そして機体制御を俺が行い、なんとかバランスを取る。
連携を崩すのは難しい。
何より、そう易々と連携を崩させはしないだろう。
ヒロにどうするか訊ねると、ヒロはジャンヌDを先に倒すと言った。
俺はすぐにランに防御を任せ、∑オービスを操作してトリトーンとリュウビへ向けて右手のレーザーライフル『∑ツインブラスター』を放ち距離取らせる。
頭上からのジャンヌDによる攻撃はランが気弾で防いでくれてる。
ジャンヌDに接近すると、ジャンヌDは逆に距離を取る。
トリトーンによる攻撃を防いで、ジャンヌDを攻撃。
宙に飛び上がったところを『∑ツインブラスター』で狙い撃ちジャンヌDを倒した。
そのまま続けて背後から仕掛けてきたトリトーンとリュウビに対しても、それぞれ一発のレーザーでブレイクオーバーさせる。
午前中のバトルとは打って変わった戦いだった。
「見事だ、3人とも」
バトルを観ていたコブラが俺たちを褒める。
「ジンとコブラのお陰さ」
「へへっ。感謝しろよ」
「ギークストリートに行ってよかったね」
「はい!この調子でBCエクストラスも優勝です!」
「BCエクストラス?」
聞いた事のない言葉だけど、優勝ということは何かの大会なのだろうか?
「ええ」
ヒロが後ろポッケから一枚のチラシを広げてみせた。
「正式名称、【ビックシティエクストラス】。LBXの大会ですよ。僕これに出ようと思ってるんです」
「へぇ」
「実践トレーニングに丁度いいかもな」
LBXの大会なら、俺たちの実践トレーニングにいいかもしれない。
ジェシカがそのチラシを覗き込む。
「出たら、私が優勝ね。大会規定は・・・・・・"LBXを持ち込むこと"。"二人一組であること"。そして、"コスプレをしていること"?!」
「「ええっ!?」」
ジェシカの最後の言葉。
まさかのコスプレという単語に驚嘆する。
「コスプレか~・・・?俺はいいかな」
さすがにコスプレは恥ずかしい・・・・・・
というか、黒歴史が掘り起こさせられそうで・・・・・・
「今回は見合わせよう」
ジンは即答で断り、ランとジェシカも。
「あたしも・・・・・・」
「パス。こんなの誰が出るって言うのよ?」
と少し引いた感じで言う。
対するヒロはというと。
「僕はセンシマンで出ます!」
と言った。
そしてさらに。
「目標は優勝!師匠、よろしくお願いします!!」
「「「えええっ!!?」」」
「ユウヤ!?」
まさかのユウヤが参加することにヒロ以外の全員驚きを隠せずにいた。
ジンなんか珍しいぐらいに驚いているし。
「真っ赤な拳に勇気を込めて・・・・・・」
「「起こせ爆熱ビックバン!!」」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
「「宇宙英雄センシマン!銀河を超えて、ただいま参上!!」」
満足そうにセンシマンの台詞らしき言葉を言うヒロとユウヤ。
ヒロはともかくユウヤまで・・・・・・・
この数時間で一体何があったのか、驚きで口が隠せない。
そこへ―――
「ゆ、ユウ、ヤ??」
帰ってきたばかりのレイが目を丸くしてポカンとした表情で扉のところに立っていた。
「あ、おかえりなさいレイさん」
「おかえりレイ君」
「う、うん。ただい、ま??」
レイの言葉の途切れが変なところで途切れてる。
「じゃなくて!!ど、どどど、どうしたのユウヤ!?え、熱!?なにか悪いものでも食べたの!?びょ、病院に行く!?」
かなりテンパってるようでアタフタとして、ユウヤのおでこに手を当てて熱を測ったりしていた。
「お、落ち着いてレイ君。僕は平常だよ」
「いやいやいやいや!!一体何があったの!?この数時間でなんでユウヤがこんなふうになったの!?」
バッ!と俺たちの方に視線をむけるが、俺たちに聞かれても分からないとしか・・・・・・
「ヒロ君に色々なことを教えて貰ったんだ」
「そ、そう、なんだ・・・・・・」
アタフタしているレイにユウヤがそう答える。
そこへヒロが。
「あ、レイさん!レイさんもBCエクストラスに出ませんか?」
と勧誘した。
「BCエクストラス?それって確かコスプレしながらLBXバトルをする大会だよね?」
レイの方はようやく落ち着きを取り戻したのか、チラシを看てそう言う。
「はい!僕はユウヤさんはこの大会に出ようと思うんです!」
「え、マジですか?マジでユウヤ出るの?」
信じられない物を見たような目でユウヤを見るレイ。
うん、失礼かもしれないけど、それ分かる!!
「うん!もしかしたら新しい自分が見つけられるかもしれないからね!」
「っ・・・・・・そっか」
ユウヤの言葉を聞いて、レイは面食らったような表情を浮かべるもすぐに戻り、ふふっ、と微笑んで返した。
「頑張ってねユウヤ。ヒロも」
「うん!」
「はい!」
「あ、ちなみに僕は出ないから」
「そうなんですか」
「うん。丁度別件を頼まれちゃってね」
「・・・・・・」
レイの表情を見て俺はなんかデジャブを感じた。
「なあジン。レイのあの表情、なんかデジャブを感じるんだけど・・・・・・」
「大丈夫だバンくん。僕も同感だ」
ふふっ、微笑みながらヒロとユウヤを話すレイを見て俺とジンは頭が痛くなったのだった。