~レイside~
「予選Bブロックの初戦を飾るのはこの2チーム!赤コーナー、地獄の復讐軍団チーム!!」
BCエクストラス、予選Aブロック一回戦が終わり、次は予選Bブロック一回戦が始まる。
そして、その一回戦の初陣たる、第一試合を行うのはユウヤのいる地獄の復讐軍団チームだ。
ステージの右手側の扉が開き、そこから金色の長髪にサンバイザーを着け、全体的に青いセーラー服のようなコスチュームの女性と、ヘルメットに黄銅色のロボットみたいなゴテゴテとしたコスチュームをした男性・・・・・・というか、コスプレしたユウヤが現れた。
「立てば流星、座れば太陽、歩く姿はアンドロメダ。ご存じコズミックプリティレイナ、太陽系第三惑星に只今見参!」
女性が台詞を言うと、観客席から歓声が湧き上がった。
そんなに人気なんだ・・・・・・
てか、コズミックプリティレイナって、確かこの前オタクロスが入手出来なかった限定フィギュアのやつじゃ・・・・・・
視ながらそう思ってると、ユウヤの相方たるコズミックプリティレイナの人が、緊張で固まってるのか、動かないユウヤに何かノートのような物を見せていた。
ノートを見たユウヤは、おどろおどろしつつも台詞を声に出した。
「駆ける銀河の轍見て、プラネットライダーここにあり!月に向かって土下座しろ!」
どうやらユウヤのコスプレ衣装はプラネットライダー、というものらしい。
うーん、ちょっとは勉強した方がいいのかな、こういうの・・・・・・
恐らく、普通の僕と同年代の子供たちなら知っているだろうものなのだが、生憎僕は全くわからない。
家じゃ、読書ばかりだし、メアたちといる時も別のことしてるからなぁ。(主に着せ替え人形などである)
心の中で過去の自分についてそう思ってると、観客席からユウヤへのコスプレについて、歓声が浴びせられる。
なんか今、「チクショー、イケメン爆発しろ!!」って言葉が聞こえたような・・・・・・
・・・・・・ユウヤが変な方向に目覚めなければいいんだけど。
ユウヤに対して不安になってしまうのは、過去のユウヤを知っているからだろう。
にしても―――
「(コズミックプリティレイナの人、ユウヤと相性良いのかもね)」
ユウヤがいつも以上に楽しげに話してるのを見て微笑ましくなった。
なんかジジ臭いか?
「対する青コーナー!黄昏の竜騎士チーム!!」
「どんなものが相手だろうが・・・・・・この竜騎士が、蹴散らしてくれる!」
「おお、ドラゴンよ!我らに勝利を!」
続いて出てきたのは、それぞれ紫と黄銅色の鎧と甲冑のようなコスプレに身を包んだ男性2人だ。
紫の鎧の人は左腰に刀を。
黄銅色の中世ヨーロッパの甲冑の人は左腰に
観客の反応も十分な反応だ。
いや、まあ、ブーイングなんて、さっきのマジカルシスターブラザーズ以外今のところ起きてないんだが・・・・・・
ちなみに、そのマジカルシスターブラザーズの2人だが、あの後ステージを去ってから姿を見ていない。
・・・・・・生きているといいんだけど・・・・・・
いや、日の目を拝めているといいの方が正しいか?
こんな衆目の面前でコスプレを蔑ろにしたのだから、コスプレ集団にリンチに遭ってないか少しだけ不安である。
まぁ、自業自得の言葉が付くけど。
これで、両チームが出てきた。
両チームとも、そのままステージのジオラマで向かい合う。
「Bブロック一回戦、第一試合!レディー?!」
「[カブト]!」
「[ウォーリアー]!」
「[リュウビ]!」
「[グレイメイド]!」
角間さんの合図で、4機のLBXがジオラマ内のフィールドに投下される。
紫の鎧の人が盾無しの片手剣のカブト、黄銅色の甲冑の人が盾ありの片手剣のウォーリアーだ。
ユウヤのリュウビは何時もの片手剣と盾で、相方のプリティレイナの人は、両手銃系のアサルトライフルを構えたグレイメイド。
バランス的にはいい感じだと見える。
「バトル、スタート!!」
それぞれのLBXが降り立ち、角間さんが試合開始の合図を出す。
合図とともに、武器をそれぞれ構えるカブトとウォーリアーに対して、リュウビとグレイメイドはなんの反応もしない。
ユウヤが相方と何か話してるけど・・・・・・・ナニナニ・・・・・・・
「(私には無理です。何時もシャーリーの援護ばっかりだったので・・・・・・?)」
目を凝らして2人の口元を視る。
相方の人が言った言葉を読み取り、え?となる。
援護ばっかり、ということは・・・・・・
動かないリュウビとグレイメイドに、ウォーリアーが仕掛けた。
盾を構えて
だが、その弾丸をウォーリアーは盾で防いで接近する。
接近してそのまま片手剣でグレイメイドを切りつける。
リュウビがフォローに入ろうとするが、背後からカブトがリュウビの背中を切りつける。
「黄昏の竜騎士、連携攻撃!!地獄の復讐軍団チームいきなりのピンチだ!!」
「チームワークが上手くいっていないのでしょう。ウォーリアーとカブトによる連携攻撃に翻弄されていますね」
角間さんの実況に続いて、冷静に解説する。
近接型の黄昏の竜騎士に対して、ユウヤたちは遠近両方を備えたバランスのいいチームのはずなのに、相方が上手く戦えてない。
焦って困惑しているプリティレイナ。
ユウヤはじっと、視線を反対側頭上にあるAブロックチームのいる控え室を見ていた。
その視線の先にはヒロたち、宇宙英雄センシマンチームの2人がいた。
「この勝負の行方はどう見ますか山野さん」
「そうですね。黄昏の竜騎士チームの連携攻撃は近接型ならではでもあり、相性抜群です。どんな攻撃も、当たらなければ意味が無いのと同じで、遠距離攻撃も喰らわなければいいだけですからね。そうなると、遠近とバランスの取れた地獄の復讐軍団チームでは少々不利でしょう。相手の動きを阻害でもしないと、現状の地獄の復讐軍団チームでは勝てる可能性も・・・・・・」
「なるほど・・・・・・」
グレイメイドを庇っているため、満足に動きが取れてないリュウビ。
例えユウヤでも、今のままでは黄昏の竜騎士2人の猛攻は防げまい。
しかも、それが相性バッチリの連携攻撃なら尚更。
グレイメイドによる援護がなければ難しいだろう。
もっとも、少し考えればユウヤならこの状況を一転させることが出来るだろうけどね。
僕がそう思ってると、グレイメイドが自身のアサルトライフルをリュウビに投げ渡したところが入った。
「へぇ」
リュウビはそのまま投げ渡されたアサルトライフルを受け取り、接近してくるカブトとウォーリアーにそれぞれ一発ずつ弾丸を撃ち込んだ。
しかも足の駆動部へ的確にだ。
「おおっと!!優勢だった黄昏の竜騎士チーム、動きをとめられた!!」
「駆動部にダメージを与えられたことで、これで満足に動けなくなりました!!」
弾丸一発で相手の動きを阻害する。
普通に考えたらありえないだろう。
それも、動きを止めてる相手ならいざ知れず、動いている相手に対してなら。
けど、ユウヤならそれが出来る。
何せ、去年のアルテミスでもやっていたからね。
弾丸五発で相手のLBXを動けなくさせたことを。
それぞれ足の駆動部にダメージを食らい、立ち上がれないカブトとウォーリアー。
ヒトでいう、膝関節にダメージを食らったのだ例え立ち上がれたとしても、もう満足には動けない。
そしてその隙をユウヤが逃すはずがない。
アサルトライフルをグレイメイドに投げ返して、自身の剣と盾を持ち、振り抜きざまに一閃。
一撃でカブトとウォーリアーをブレイクオーバーさせた。
「カブトとウォーリアー、ブレイクオーバーです!!」
「なんと勝ったのは地獄の復讐軍団チーム!!不利な状況からの見事な大逆転でした!!」
ブレイクオーバーした事を告げ、角間さんが実況する。
悔しそうに膝をつく黄昏の竜騎士チームに、嬉しそうに話すユウヤとプリティレイナ。
「(危なっかしいチームだなぁ。でも・・・・・・)」
視線を楽しそうに話すユウヤに向け。
「(あんなに楽しそうなユウヤ、初めて見た)」
微笑ましそうに眺めた。
願わくば、ユウヤがこれからも楽しくありますように。
そう願いつつ次の試合を角間さんとともに進めたのだった。
それからしばらく経ち―――
「BCエクストラスも残るところあと3試合!準決勝と決勝のみとなりました!!準決勝に進出したチームはこの4チームです!!Aブロック、宇宙英雄センシマンチームと、地球防衛チーム!!Bブロックは、チームO・T・Aと、地獄の復讐軍団チーム!!さぁ、この4チームの内、どのチームが決勝戦に進むのか!!まもなく、Aブロック準決勝が始まります!!」
試合は順調に進んでいき、ついに準決勝戦となった。
準決勝に進んだチームは、今角間さんが告げた4チーム。
もちろん、ヒロの宇宙英雄センシマンチームとユウヤの地獄の復讐軍団チームは準決勝にまで勝ち進んでる。
そして、決勝戦へ進むのはAブロックだとヒロの宇宙英雄センシマンチームだと確信している。
あの2人のコンビネーションを崩すのはかなりの至難。
即席チームにしては異様にチームワークが良い。
対してBブロックは予想が付かない。
戦えば戦うほど、ユウヤとコズミックプリティレイナのコスプレをした女性との動きが良くなってはいるが、チームO・T・Aの方は正直予測不能だ。
だが、もしチームO・T・Aの2人が僕の予想している2人ならユウヤたちにとってはかなり困難だ。
というより―――
「(何かしそうなんだよなぁ・・・・・・)」
である。
そんな僕の不安が過ぎる中、Aブロック準決勝が始まった。
結果はヒロたち宇宙英雄センシマンチームが勝ち、決勝戦の一枠へと駒を進めた。
そして次はBブロック準決勝。
「―――さぁ、Bブロック3回戦です!地獄の復讐軍団チームはコズミックプリティレイナとスパイジャーマンのコスプレだ!!」
角間さんが言うのと同時に、扉からユウヤとコズミックプリティレイナのコスプレをした女性が登場する。
ユウヤはプラネットライダーのコスプレからスパイジャーマン?、ってのに変えたみたいだ。
なんていうか、ユウヤってコスプレ似合ってるよね。
いや、あのコズミックプリティレイナの人のチョイスが良いのかな?
そう思ってると、ユウヤたちとは反対側の扉から出てきたボイスチェンジャーで声を分からなくして覆面とローブをしたチームO・T・Aの1人が。
「ほぉ。スパイジャーマンかデヨ?」
と告げた。
・・・・・・うん。デヨ、って言う特徴の語尾を付けてるから確実にアイツだ。
眼がスン、となる。
「中々似合うておる。じゃが、そんなコスプレでワシらに挑もうなど・・・・・・」
チームO・T・Aの2人が着ていた覆面とローブを脱ぎ捨てる。
そしてその中から出てきたのは・・・・・・
「片腹痛いデヨ!」
僕らのよ~く知ってるオタクロスだった。
「はぁ・・・・・・」
オタクロスが現れ思わず小さくため息が出る。
「え、ええっ!?!?」
さすがのユウヤも困惑していて驚いている。
そして、オタクロスのパートナーはというと・・・・・・
「そう!こちらにおわす御方こそ、オタ道スピリッツの伝道者にして、コスプレを極めし者。我が師、オタクロス!!そしてその弟子オタレッド!」
オタクロスの弟子、オタレッドことユジンさんだった。
あー・・・・・・いや、まあ、うん。
オタクロスの相方をするならこの人しかいないよね。
「ふっふっふ。ユウヤよ、教えてやるデヨ。お前のコスプレでは、ワシらに決して勝てぬ!!」
ユウヤに向かってそう告げるオタクロス。
予想通り、波乱万丈になりそう~~。
「BCエクストラス、Bブロック3回戦!なんと、謎の覆面コンビチームO・T・Aの正体は、あの、オタクロスとオタレッドだった!!」
角間さんの実況に観客席のあちこちからオタクロスの名が飛び交う。
そして。
『『『『『『オタクロス!オタクロス!オタクロス!オタクロス!オタクロス!オタクロス!!』』』』』』
オタクロスコールが足踏みとともに会場に響き渡った。
「お聞きください、この声を!オタクロスとは、伝説の超ハッカーにして、オタ道の伝道者!!ここA国でもその名を轟かせる存在なのです!!」
角間さんが実況する中、僕は唖然としながらスゲー、と心の中で思った。
いや、日本ならともかく、A国でもこんなにオタクロスが名を轟かせているなんて・・・・・・
正直オタクロスの名を嘗めていたかも・・・・・・
「むっ!オタ道?!!」
『『『『『『スピリッツ!!』』』』』』
「オタ道?!!」
『『『『『『スピリッツ!!!』』』』』』
右手を掲げOの字を作り問うオタクロスに、観客がスピリッツ!とすぐに答える。
まるでアイドルの問いかけに答えるファンのようだ。
というか、凄い・・・・・・
気迫というか、熱というかなんというか・・・・・・
そう思ってる中ステージではユウヤたちが話していた。
「この人が、あのオタクロス・・・・・・」
「どういう意味ですか、僕が勝てないって?」
「ふっ。答えは、バトルの中にあるデヨ。オタレッド!」
「はい、師匠!!」
「それは」
オタクロスに呼ばれたオタレッドの手にはいつの間にか、オタレッドたちオタレンジャーの被るヘルメットと同じ鶏のような形をした色とりどりのヘルメットがあった。
なにあれ?と思う僕に、オタレッドが説明した。
「説明しよう!我が師、オタクロスは本気の戦いに挑む時、0.02秒でオタレンジャーのリーダー、マスターオタクロスに変身するのだ!!」
・・・・・・いや、ただ被るだけだよね?
僕の心のツッコミを他所に、オタレッドが投げ浮かばせたヘルメットを受け取ったオタクロスは、ヘルメットをそのままオタレッドたちと同じように被り。
「変身!マスターオタクロス!!」
と決めポーズを付けて言った。
そして再び湧き上がる観客の歓声。
「オタレッド、LBXの変更デヨ!」
「良いのですか!?あの機体は決勝戦のために・・・・・・」
「構わぬ!」
ヘルメットを被ったオタクロスはオタレッドにLBXの変更を告げた。
オタクロスとオタレッドがさっきまで使っていたLBXは、コズミックプリティレイナと同じグレイメイドだ。
何時もオタレッドらオタレンジャーが使ってる、[ビビンバード]シリーズならすぐに分かったのだが、完全に正体を隠していたため分からなかった。
まぁ、何となく予想していたけど。
だって、あのオタクロスがこんなイベントを逃す訳ないし。
LBXの変更をするようだけど、なんのLBXを使うんだろ。
まさか、[パーフェクトZX]シリーズを使うわけないよね。
「なんとチームO・T・AここでLBXを変更するようです!」
試合直前のLBX変更に角間さんは冷静に実況する。
そしてオタクロスとオタレッドが取り出したLBXは―――
「大地を揺るがす黒鉄のボディ![パーフェクトZX3]!!」
「空が吠え!海が叫び!サクラたんが呼んでいる!絶対王者[パーフェクトZX4]デヨ!!」
「っ!!」
まさかのパーフェクトZX3とZX4だった。
まさかの、パーフェクトZXシリーズに思わず突っ伏す僕。
いや、だってパーフェクトZXシリーズ使うなんて思わないじゃん!?
何せ、パーフェクトZX3とZX4の2機は―――
「えーと。盛り上がってるところ悪いんですけど、チームO・T・A、レギュレーション違反で失格です」
「な、なんじゃと!?」
「な、なにぃ!」
間を指すように告げる僕の言葉にオタクロスとオタレッドがなんで!?って顔でこっちを見る。
ヘルメットで表情は見えないけど。
「な、なんと!山野さんがチームO・T・Aをレギュレーション違反で失格と宣告した!?こ、これは一体どういう事でしょうか!?」
僕の言葉に会場中から困惑の声が漏れ出る。
角間さんの疑問に僕は。
「オタクロスとオタレッドが使用変更したLBX、パーフェクトZX3及びZX4は、それぞれ3体のLBXを合体させたLBXです。そのため、この試合は2対2ではなく、
と若干の呆れ具合を交えて答えた。
そう。
パーフェクトZX3とは、[ZX壱号機]フレームはパンツァーフレーム。[ZX弐号機]フレームはブロウラーフレーム。[ZX参号機]フレームはストライダーフレーム。
アーマーフレームの種類が違う3機のLBXが超電導究極合体することによって完成する、オタクロスによる自作の大型LBXなのである。
ZX4はZX3の強化型なのでもちろん同じく3機のLBXが合体したLBXだ。
つまり、ZX3とZX4それぞれ3機、計6機が2機に纏められているのだ。
これでは有利不利以前に、完全なレギュレーション違反である。
なにせ、6対2という圧倒的に数が多いのだから。
例えフィールドに出るLBXが2機とはいえ、その2機はそれぞれ1機ごとに3機分のポテンシャルが秘められていることになるのだから。
なので―――
「オタクロス、オタレッド。2人共失格」
オタクロスとオタレッドの2人はレギュレーション違反で失格なのだ。
「ちょっ、さすがにそれはないデヨ!?」
「そうですよレイ君!!」
ステージにいるオタクロスとオタレッドが非難めいた声で言ってくる。
ユウヤとコズミックプリティレイナの人は困惑気味で視線を、僕とオタクロスたちを行き来している。
「ルールにはLBXの使用制限はなかったはずデヨ!?」
「そ、そうです!」
「確かにLBXの使用制限は無かったけど、普通は1人1機って解るでしょ?」
オタクロスとオタレッドの会話が会場中に響く。
「もし試合に出すLBXの数に制限がないなら、1機どころか2機、3機投入出来るってことになるじゃん」
まぁ、普通LBXの同時操作なんて言う高難易度操作を出来る人なんて余りいないのだけど。
だから、基本的にLBXの使用制限は無い。
1人1機というのが常識だからだ。
もし1人で何機も操作してしまえば、そんなのその人の独断戦場になってしまう。
故に、バトルで使うLBXは1人1機というのが暗黙のルールなのだ。
「それに、パーフェクトZXシリーズは、通常のLBX3機分のポテンシャルがあるでしょうが!どう考えてもフェアじゃないよ」
ジト目で告げる僕にオタクロスとオタレッドはぐうの音も出ないのか、うぐぐ・・・・・・と唸っていた。
「と、ということは、地獄の復讐軍団チームの不戦勝ということになるのでしょうか?」
「まあ、普通はそうですね」
レギュレーション違反を犯したのだから、無条件の不戦勝でユウヤたちの勝ちだ。
なのだが―――
「・・・・・・」
観客からは不満の声が出ていた。
いや、不満の声出されてもなぁ。
そう思ってると。
「ん?」
「おや?」
耳に付けていたインカムから連絡が来た。
相手は大会運営本部からで・・・・・・。
「え、マジで?」
「え、えっと・・・・・・」
運営本部からの連絡に僕と角間さんは困惑した。
何せ、
「えーと。ただいま大会運営本部から通達がありました。チームO・T・Aの対戦相手である、地獄の復讐軍団チームの御二方がチームO・T・Aの変更後のLBX使用を認めるなら、使用しても構わないだそうです!」
絶対にオタクロスに配慮した通達だからだ。
大会運営本部としても、あの伝説の超ハッカーにしてオタ道の伝道師たるオタクロスを無下には出来ないのだろう。
恐らくこれは特例。
ユウヤたちが認めるならば、パーフェクトZX3とZX4の使用を許可する、とある。
普通なら認めないだろう。
けど、もしここで認めなかったらユウヤたちに後々何かと嫌味やしがらみなどが付く可能性がある。
なら、取れる返答はひとつしかない。
「地獄の復讐軍団チームの御二方、チームO・T・Aの使用変更後のLBXを使用を認めますか?!」
「・・・・・・はい!」
「私も同じです!」
「相手の了承が得られました!よってBブロック準決勝を予定通り行います!!」
ユウヤたちは認めるしかない。
観客席からBブロック準決勝の試合が行われることが放送され歓声が上がる。
オタクロスとオタレッドに有利な状況であり、ユウヤたちにとってはアウェーな状況だ。
「ユウヤ・・・・・・」
大丈夫か不安になる。
まあ、それはともかくとして、オタクロスとオタレッドには後でたっぷりO★HA★NA★SHI★しないとね。
そんな僕の決意を知らずに、オタクロスとオタレッドはパーフェクトZX3とZX4をジオラマに投下し、ユウヤたちもそれぞれのLBXを投下する。
Bブロック準決勝のフィールドは火山ステージ。
朽ちた遺跡のような建造物にマグマを流す火山が特徴のフィールドだ。
遺跡部に降り立ったそれぞれのLBXは試合開始の合図を待ち。
「バトル、スタート!!」
角間さんの試合開始の宣言とともに動き出した。
「夕日に向かって走れオタレッド!」
「はい師匠!」
いや、夕日なんて何処にあるのよ・・・・・・
先に動きだしたのはオタレッドのパーフェクトZX3。
なんか夕日に向かって走り出した。
夕日なんてないのに。
パーフェクトZX3はかつて兄さんたちを苦しめたLBXだ。
[オーディーン]、[パンドラ]、[ハンター]の3機の攻撃をものともせず、ハンターの与えた駆動部への攻撃で逆転した。
そしてZX4はそのZX3の強化型。
正直、ユウヤたちにとっては苦しい展開だ。
2機の攻撃に、リュウビとグレイメイドは距離を取って戦うようだが、ユウヤにオタクロスが。
「距離を取る?笑止!!そんなもの、スパイジャーマンの戦い方ではないデヨ」
と言った。
いや、距離を取って戦うのも立派な戦術だぞ?
スパイジャーマンの戦い方とか言われても・・・・・・
てか、ズルしてるオタクロスが言っても・・・・・・
「ユウヤよ。確かにそのコスプレは似合うておる。じゃが、お主はスパイジャーマンの何を知っておる」
「ぇ・・・・・・」
「スパイジャーマンの本名は?変身時の口上は?愛車の名前は?」
「そ、それは・・・・・・」
オタクロスの問いに口淀むユウヤ。
いや、普通そこまで知っている人少ないでしょ。
オタクロスの問いにそう思う。
ユウヤの口淀みに嘆息したオタクロス。
「はぁ・・・知らんのか。では、教えてやるデヨ!スパイジャーマン、本名『川越マサト』!悪の組織、一文字軍団を倒すため世界中を駆け回り不死身の肉体を持ち、格闘技の世界チャンピオンにして、タケノコ狩りの男なのデヨ!!」
・・・・・・色々ツッコミたい・・・・・・!!
オタクロスの言葉に心の中で言う。
てか、そのタケノコは何処から出した!?
いつの間にかオタクロスの左手に握られていたタケノコにツッコミを入れたい。
「そ、そうだったのか・・・・・・」
「そんな事すら知らぬお主が何故そのコスプレを選んだのデヨ!」
「その通りです!」
いや、別に知らなくてもそのコスプレを選んでもいいでしょ?
オタクロスとオタレッドにジト目で思う。
「・・・・・・」
オタクロスとオタレッドの質問に答えないユウヤ。
そのユウヤに変わって、コズミックプリティレイナの人が答える。
「わ、私は・・・・・・ユウヤさんにはこのコスプレが一番似合うと思います!!」
と。
うん、僕も似合ってると思うんだけど?
そう思ってると。
「ただそれだけの理由かデヨ!?」
何故か激情するオタクロス。
「良いか!コスプレとは好きという思いの結晶!」
ZX4の強力な一撃がリュウビを吹っ飛ばす。
「ユウヤ・・・・・・?」
吹っ飛ばされたリュウビがなんの反応もしなかった事に疑問がでる。
オタクロスはそのまま熱弁しながらリュウビを立て続けに攻撃する。
「なりたいキャラクターと一体化することで、普段の自分にはない強さ!優しさ!気高さを手にする神聖な行為なのデヨ!!しかるにユウヤよ!それは本当にお前の好きなものなのデヨ!?」
「っ・・・・・・!」
「答えられまい。何故なら、今のお前は借り物の衣装を纏ってるだけ。言うなれば、ハリボテの虎猫デヨ!!」
「師匠、張子の虎です!」
「いや、張子の虎でしょ?」
オタクロスの間違えたことわざを僕とオタレッドは同時にそれぞれ訂正する。
訂正した正しいことわざにオタクロスは、ダマラッシャイ!!と言い返してきた。
間違えて恥ずかしいのか慌ててる。
「つまり、お前のコスプレには中身がないのデヨ!!」
「中身が・・・・・・ない・・・・・・」
「コスプレの聖なる魂を侮辱するユウヤ。お前はここで倒れるデヨ!!」
「リュウビ吹っ飛ばされたぁ!!」
ZX4の攻撃をくらい、背後の柱に叩きつけられるリュウビ。
「オタレッド、リュウビを集中攻撃デヨ!」
「了解!」
ZX3とZX4の攻撃を防御もせずに浴び続けるリュウビ。
グレイメイドはどうしようかと、傍観気味だ。
「ユウヤ・・・・・・」
オタクロスのユウヤに向けて言った言葉はユウヤにとって空虚になるものだ。
何故ならユウヤは―――
「(ユウヤの過去を知ってるのにどういうつもりだオタクロス)」
ユウヤは、イノベーターによる実験の日々で普通の幼少期を過ごしてないのだ。
今の僕の眼に映るユウヤには、ユウヤを縛る黒い鎖が映っていた。
ガシャっと、幾重にも重ねられてる鎖状。
それは正しく、何も無い。
空っぽの心を映し出していた。
このまま無抵抗のままだと、何れリュウビはブレイクオーバーとなる。
僕がそう思ってると―――
「こ~ら~!!」
ユウヤとコズミックプリティレイナのいる方の扉からヒロの相方である、センシガールが姿を現しコズミックプリティレイナに向かって怒声を飛ばしていた。