ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩLⅡ O★HA★NA★SHI★実行

 

〜レイside〜

 

キャンベルンのブレインジャックを解決した僕らは水中ミュージアムで、連れ去られて長い間行方不明だったメアとカズ兄と再会。

そして、ディテクターの正体も知ることになった。

ディテクターの正体は、僕と兄さんの父さん。山野淳一郎だった。

オメガダインによる世界征服計画の阻止のため、ディテクターとなり世界に混乱を招いた父さん。

世界征服計画を阻止するため、父さんはパラダイスと関係のあるコンピューターを司令コンピューターとして扱い、パラダイスの存在を僕らに気づかせようとしたらしい。

そしてパラダイスはオメガダインによって通信衛星ではなく、宇宙軍事基地にされていることも伝えられた。

さらにミュージアムの地下には恐るべき兵器、超メガトン級爆弾セト50やミサイルが造られていた。

ミサイル工場は、NICSとICPOによってオーストラリア政府が動き出し、すぐに制圧されることとなった。

その後、ミサイル工場を後にし、ダックシャトルに戻った僕らはNICSのカイオス長官に指示を仰ぐことになった。

 

「山野博士。こんな形でお会いするとは思いませんでした・・・・・・」

 

ダックシャトルに戻り、ブリーフィングルームで拓也さんが父さんに悲哀めいた言葉で言う。

元々拓也さんは父さんの部下だったわけだし、尊敬していた人とこんな再開になったのだから当然の結果か。

 

「カイオス長官と繋がったデヨ」

 

手元のコンソールをタップしていたオタクロスが告げる。

オタクロスが告げると同時に、モニターにNICSにいるカイオス長官が映し出される。

 

「長官」

 

 

『ご苦労だったみんな。ミサイル工場は先程、オーストラリア政府の管理下に入った』

 

 

「そうですか・・・・・・」

 

ミサイル工場がオーストラリア政府の管理下に入ったなら、もうオメガダインには手が出せないはずだ。

取り敢えず、ミサイルについては一安心していいだろう。

カイオス長官はそのまま視線を父さんに移し、厳しい顔で告げる。

 

 

『さて、山野博士。貴方はディテクターとして世界を混乱に陥れた。[アキレス・ディード]の工作活動。各地で乗っ取ったコンピューターにより、無数のLBXを操り世界を混乱に陥れた。さらには、多くの人々を非情にもスレイブプレイヤーとして戦わせた。その中にはご子息たちの友達もいたというのに』

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

カイオス長官の言葉に父さんは沈黙を以て返す。

 

「でも!死傷者は1人も出ていません!」

 

「カズ、止すんだ」

 

「でも博士!」

 

父さんを庇うカズ兄。

そして、そのカズ兄を制止する父さん。

制止する父さんにカズ兄は、なんで!?って顔をする。

 

 

『世界征服をするオメガダインの野望を阻止する。いくら正義のためとはいえ、山野博士。やはり貴方のとった行動は、許されることではない』

 

 

「解っている」

 

カイオス長官と父さんの会話を僕らは黙って聞く。

普通なら父さんのした事は即捕縛案件だ。

だが、カイオス長官は。

 

 

『しかし。今、事態は急を要する。貴方の処遇については私の権限で保留にしておく』

 

 

と、一時保留と宣告した。

確かに今事態は急を要する。

父さんの力無くしてはオメガダインの世界征服計画は阻止出来ない。

 

「・・・・・・感謝します。カイオス長官」

 

カイオス長官の告げた父さんの処遇に兄さんたちは安堵したり微妙な顔を浮かべたりと千差様々な感じだった。

かく言う僕は安堵半分、不安半分だった。

 

 

『オメガダインがミサイルを通信衛星パラダイスに運びこもうとしていることまでは判明した。だが、我々NICSが持っている情報(データ)だけではオメガダインが世界征服を企んでいる証拠にはならない。パラダイスを宇宙軍事基地として使おうとしている明確な証拠が必要だ』

 

 

「今までブレインジャックに使用されてきたコンピューターを調べれば判る」

 

カイオス長官の言葉に父さんが答える。

 

「僕たちが戻してきたコンピューター、という事ですか?」

 

「そうだ。そこには、パラダイスが宇宙軍事基地だという証拠が残っているはずだ」

 

ヒロの問いに父さんは頷いて返し。

 

 

『すぐに調査を始めてくれ』

 

『わかりました』

 

 

「シーカー本部にも調べさせよう」

 

NICSと拓也からシーカー本部へとすぐに調査が入ることとなった。

さすがにこれはクリスさんたちICPOには不向きかだろう。

後で知らせるとして。

そこへ、ジェシカが父さんに訊ねた。

 

「あの、山野博士。ひとつ、分からないことがあります。アロハロア島での、大統領暗殺未遂事件。あれは、パラダイスとは関係ないように思えますけど・・・・・・」

 

確かに、あの大統領暗殺未遂事件についてはパラダイスとは全く関連がつかない。

そう思ってると。

 

「その通りだ。指令コンピューターの候補を探していた時、オメガダインのデータの中に、暗殺計画を見つけた」

 

と父さんが告げた。

 

「だが、私は表立って動けない。だから、呼び寄せた。レイをバンたちと合流させ、戦力が十分且つ阻止できるだろう君たちに解決させるために」

 

「そうだったんですか・・・・・・」

 

なるほどね。

父さんの言葉でようやく理解した。

何故僕を直接アルテミスの行われるアロハロア島じゃなくて、兄さんたちと合流させたのか。

けど、それと同時に全てが繋がった。

 

 

『だとすると、事は重大かもしれんな』

 

 

「ぇ?パパどういう事?」

 

 

『実行犯は、あれほどの厳重な警備を掻い潜ってLBXを潜り込ませている。だが、それはオメガダインの権力()だけでは難しい。これはもしかすると・・・・・・!』

 

 

「A国首脳部。つまり・・・・・・大統領府が絡んでいる!」

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

「大統領府の中に!?」

 

カイオス長官と拓也さんの言葉に驚愕する兄さんたち。

父さんだけは違うけど。

そして―――

 

 

『どうやら、君の推測は正しかったようだなレイ君』

 

 

「ええ」

 

僕もやはりという顔をしていた。

 

「レイは初めから大統領府が暗殺に絡んでるって知っていたの!?」

 

「いや、ただ単に推理しただけだよジェシカ」

 

ジェシカの問いに近くの椅子に座って足を組んで答える。

 

「まず、あの時のディテクターの犯行声明。これには矛盾点があった。もし本当にディテクターが大統領の暗殺をしたいのなら、犯行声明は出さずに実行すればいいはずだ。だが、犯行声明を出したお陰で、僕らは次の標的が大統領の暗殺だと判断し、それを阻止するためにアルテミスの行われるアロハロア島に向かった。まぁ、それは父さんによって差し向けられたみたいだけど」

 

肩を竦めて父さんを視る。

 

「僕らによって・・・・・・というより、兄さんとヒロがルーターLBXによるスパークブロード通信以外でのLBX遠距離操作を阻止して、暗殺犯ジャッカルを捕らえた。結果的に看て、まるでディテクターはこの暗殺を阻止して欲しい、って捉えられない?」

 

アルテミス後のNICSで、カイオス長官とクリスさん、紳羅さんと会話したことと同じことをみんなに言う。

 

「そう言われてみれば・・・・・・そうね」

 

「そして、アルテミスの主催はオメガダイン。つまり、オメガダインは自由にアルテミスの開催日を選択できる立場にあり、平和公園での演説は大統領府が決める。これは、オメガダインには知るよしがない。だが、アルテミスと平和演説のある日が重なり、アルテミスから暗殺者がLBXを操作したということは、オメガダインと大統領府は何かしらの接点があるということとなる。それに、そもそも今回のアルテミスは去年の【メタナスGX強奪事件】の件で警備がさらに厳重になった。なのに、暗殺者がアルテミスに潜伏でき、ダミー電波の発生装置が一般人には入れない、関係者しか入れない電気制御室などからも発せられたということはアルテミス主催者たるオメガダインが何かしら絡んでいるのは確実。さらに、犯行声明のお陰でさらに厳重になった平和公園内に、暗殺犯のLBX[アサシン]はどうやって平和公園内に潜められたのか。予め公園内は金属探知機や警察による徹底的調査が行われたはずなのにね。となるとだ。警備が厳重な中、LBXを潜めさせられるなんてA国首脳部たる大統領府しかいないでしょ」

 

僕の推理を聴いた兄さんたちはそれぞれ、なるほど。確かに。などと呟く。

特に、去年のアルテミスの【メタナスGX強奪事件】の渦中にいた拓也さんや兄さん、ジン、アミ姉、カズ兄はヒロたちよりも重い顔つきだ。

 

「カイオス長官、大統領府の調査は如何様に?」

 

 

『正直、あまり進展はない。慎重に進めてはいるが・・・・・・・・・・大統領府は我が国の中枢だからな』

 

 

僕の問いにカイオス長官は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて答える。

 

「ですよね。恐らく、大統領府の中の人も慎重にしているんでしょう」

 

恐らく大統領府の中にいるであろう人物も僕らのこの行動は予測しているはず。

いや。予測していなくても暗躍しているならそう簡単に尻尾は掴ませないだろうね。

敵はかなり頭のキレる人物のようだし。

 

「調査結果はどのくらいで?」

 

 

『30分もあれば大丈夫だろう。それまでは少し休憩していてくれ』

 

 

カイオス長官にそう告げられ、僕らは一旦休憩に入ることになった。

立て続けだらけだったから少し休めるのは嬉しい。

休憩に入るなり、僕らは八神さんからキヨカたちを連れて一旦日本に帰ることをエクリプスから通信で伝えられた。

すでに、ダックシャトルに収容されていたダイキさん、オタシルバー、ヤマネコは真野さんたちによってエクリプスへと移送されている。

キヨカの事が心配だが、今はオメガダインとパラダイスの事が一番のため、この事件が終わったらメアとルナとともに会いに行くことにし、八神さんたちにキヨカの事を任せる。

それからすぐに30分が経ち―――

 

 

『指令コンピューターの、調査結果が出た。そちらにも転送する』

 

 

オタクロスの弄るコンソールの画面にNICSからの調査結果のデータが表示される。

 

「来たデヨ」

 

「シーカーからも送られてきた」

 

端末を手に拓也さんがそう言うと、モニターにシーカー本部にいるルナの姉里奈さんが映し出された。

 

「お姉ちゃん!」

 

「里奈さん!」

 

まさかの里奈さんの登場に驚くルナとアミ姉。

 

「里奈、報告を頼む!」

 

『はい』

 

里奈さんはルナに軽く微笑むと、拓也さんに促されて報告をし始めた。

モニターが二分割され、右側に里奈さんが。左側にデータが表示される。

 

『山野博士も指摘している様に、ブレインジャックされたコンピューターは全て、何らかの形で通信衛星パラダイスと繋がっていました。しかし残念ながら、何れのコンピューターからもパラダイスが宇宙軍事基地だという証拠は見つけられませんでした』

 

 

まぁ、そう簡単に宇宙軍事基地だという証拠は見つけられないよね。

 

 

『ぅぅむ。オメガダインがすでに手を打ったのかもしれんな』

 

 

里奈さんの報告に小さく唸るカイオス長官。

そのカイオス長官に里奈さんが。

 

 

『ただ、NICSから送られてきたパラダイスのデータの中に気になるものが』

 

 

と訝しげな表情で言う。

 

 

『?』

 

『パラダイスは過去に数回。謎の、エネルギー反応を記録しています。それと同時刻に、A国と敵対する国々のエネルギープラントが爆発事故を起こしてるんです』

 

 

「それってどういうことなんだ」

 

宇宙軍事基地パラダイスに謎のエネルギー反応。

そして同時刻にA国に敵対する国々のエネルギープラントが爆発事故。

それも数回。

ということは―――

 

「恐らく、レーザー兵器によるピンポイント攻撃だ」

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

父さんの告げた言葉に全員に緊張が走る。

レーザー兵器によるピンポイント攻撃。

避けることも、防ぐことの出来ない、いつ放たれるかすら分からない最恐の兵器。

いや、宇宙からの一撃か。

 

 

『ぅむ。つまり、パラダイスはすでに宇宙軍事基地として機能しているという事か。防ぐことの出来ない、恐ろしい兵器を要した要塞として』

 

 

「そんな・・・・・・」

 

通信衛星だと思っていたパラダイスが、恐るべき宇宙軍事基地だということに全員に恐怖が襲い来る。

 

 

『となると、次に狙われると考えられるのは恐らくB国だ。つい先日、A国とエネルギー会議で対立していた。すぐにパラダイスを止めなくては!』

 

 

「里奈、パラダイスのコントロール施設はどこにある?」

 

 

『それが、見つからないの』

 

 

「なに?!」

 

拓也さんの問いに申し訳なさそうに返す里奈さん。

 

 

『オメガダインに属する全ての施設に当たってみたけど、コントロール施設のような存在は確認出来なかったわ』

 

『残念ながら、我がNICSも見つけられなかった』

 

 

シーカーだけでなく、NICSでも見つけられないとなると、僕がクリスさんたちICPOにお願いしても同じかもしれない。

そう思ってると父さんが。

 

「すぐに、【フューチャーホープ号】というタンカーを探して欲しい」

 

と告げる。

 

「フューチャーホープ号?」

 

「そうだ。パラダイスのコントロールセンターは恐らくフューチャーホープ号の中にある。世界中のコンピューターを管理するNICSなら突き止められるはずだ」

 

 

『分かった。フューチャーホープ号は我々NICSが必ず突き止める。ダックシャトルは、それまで待機していてくれ』

 

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

カイオス長官の言葉に返事を返す僕らは。

NICSがフューチャーホープ号を見つけるまではどうやらここで待機のようだ。

ということはつまり―――

 

「ここから先は、(わたし)のターン・・・・・・って事でいいよね?」

 

 

『『え?』』

 

 

「「「「っ!?」」」」

 

僕の。いや、(わたし)の一言に画面越しにいる里奈さんとカイオス長官は、え?と疑問声を上げ、兄さんや拓也さん、カズ兄、父さんはビクッと震えた。

 

「それじゃあ―――」

 

(わたし)が微笑みながら告げる中、拓也さんは慌ててカイオス長官と里奈さんに言う。

 

「ま、マズイ!長官、里奈!急いで通信を―――!!」

 

だが、最後まで言い終える前に―――

 

「そこに直れクソ親父」

 

 

ズンっ!!!

 

 

たった一言。

だが、とてつもなく重い一言がその場を支配した。

まるで恐怖が空気どころか全てを支配しているようなプレッシャー。

(わたし)はそのまま眼を鋭くして父さんに告げる。

 

「聞こえなかった?そこに直れ、クソ親父」

 

「ぁ、いや・・・・・・い、今・・・・・・?」

 

(わたし)の発言に滝のような汗を流しながらゆっくりと喋る父さん。いや、クソ親父。

クソ親父の発言に、(わたし)は近くの椅子に腰掛けながら、右脚を左脚の上に組み、腕を組んで左手の甲に右腕肘を乗せ、考える人のようなポーズを取る。

 

「三度も言わせるな。そこに付いている耳はただの飾りか?それとも理解するだけの思考すら無くしたか?そもそも、予めミサイル工場で宣言したはずだ。"あとでO★HA★NA★SHI★する"と。まさかもう忘れたのか?」

 

「い、いえ・・・・・・!」

 

「なら、さっさとしろ。(わたし)が許すのは二度までだ。三度も煩わせるな」

 

「っ!は、はい・・・・・・!!」

 

絶対零度。永久表土を彷彿とさせる発言。

ようやく大人しくその場に正座するクソ親父。

本来なら父さんの事をクソ親父などど言わないのだが、今回のことに限っては理性より怒りの方が勝っている。そのため、口調が冷たくなり、激情時の態度になってる。

その(わたし)に話しかける人なんて普通はいないんだけど。

 

「えーっと・・・・・・レーくん?博士も事情があってした事だから・・・・・・ね?」

 

「そ、そうだぞレイ!?だから、なるべく優しく・・・・・・な?」

 

苦笑しながら言うメアと、あたふたしながら言うカズ兄。

 

「メアとカズ兄の意見も出来れば聞きたいんだけど〜・・・・・・・・・・さすがに今回のことは度し難いし、許し難いレベルだから」

 

「と、ということは・・・・・・?」

 

「ウン。本気(マジ)本気(マジ)の、超本気(マジ)でヤる」

 

「ヒィィィっ・・・・・・!!」

 

悲鳴を上げるカズ兄はそのまま兄さんとアミ姉の影に隠れる。

その兄さんとアミ姉もガタガタブルブルと震えている。

ヒロたちもそれは同じで、ジンなんか顔面蒼白で冷や汗を流してるという珍しい光景が見られる。

拓也さんは自身の身体を両手で抱いて身を守っており、コブラは隅っこで小さく蹲り、オタクロスは猫のように小さく[さくら零号機]を両手に丸まっていた。

そして、モニター越しにいる里奈さんは固まったように動かず、カイオス長官に限っては目を丸くしてガクガク震えて、顔が青白くなっていた。

そんな中たった2人だけ。

 

「あ、あはははは」

 

「あーあ。やっぱりこうなったね」

 

メアとルナだけは苦笑しながら話していた。

 

「ゴメンなさい博士。手加減お願い出来なかった」

 

苦笑しながらクソ親父に言うメア。

まぁ、メアとカズ兄はクソ親父と行動していたからクソ親父の事庇いたいのは分かるけど。

 

「あ、メアとカズ兄には特にないからね?」

 

行動していたとはいえ、元々メアとカズ兄はクソ親父にトキオシアから連れ去られた被害者だ。

元々2人に何か言うつもりは無い。

逆に、無事で本当に良かったと思ってる。

だが、クソ親父に限っては許容量を超えている。

故に―――

 

「さて、クソ親父。まずは、自分が何をしたか全部一から言って並べろ」

 

手加減などしない。本気の。

本気も本気、超本気のO★HA★NA★SHI★実行です♪♪

 

「で、ディテクターとして世界を混乱に陥れました」

 

「うん♪」

 

「え、LBXを使ってブレインジャックした街を、は、破壊したりしました」

 

「うんうん♪♪」

 

「あ、アミたちを連れ去って。す、スレイブプレイヤーに、し、しました」

 

「うんうんうん♪♪♪」

 

告白するように慎重に告げるクソ親父に、目が笑ってない微笑みで頷き返す。

他にも出るわ出るわクソ親父のディテクターとして仕出かした所業の数々。

やがて全て告白したクソ親父に。

 

「ねぇ、父さん」

 

「は、はい!」

 

「自分の仕出かした罪・・・・・・キチンと理解している、よね?」

 

「あ、ああ」

 

と不気味なほど優しい声で訊ねる。

クソ親父の答えに頷いた(わたし)は―――

 

「すぅぅ・・・・・・・・・・まず一言言わせてもらうけど」

 

一拍置き。

 

「巫山戯るなよクソ親父」

 

と優しさなど微塵もない怒気で話す。

 

「そもそも、ディテクターによって世界を混乱に陥れた、の一言で済ませて言い訳ないだろうが。貴様の犯した所業について一から後悔させてやる」

 

 

 

後にジェシカからまるで【魔王】のようだと言われた、その場にいただけでなく、画面越しにいる人も震え上がらせた最恐にして、最凶のO★HA★NA★SHI★が始まった。

 

 

 

「まず、何故誰にも言わずに実行した?(わたし)や拓也、八神はともかく、紳羅辺りにでも言えば何かしら手を貸せただろうが」

 

紳羅に言えなくても、繋がりのある僕や拓也辺りにいえば、何かしらの協力や対策が立てられ、あんな風に混乱が起こることは無かったはずだ。

(わたし)の問いにクソ親父は言葉を選ぶように、慎重に答える。

 

「そ、その・・・・・・公にすれば、お前たちにも危害が加わると思ったからだ」

 

父さんの答えに一応は理解する。

オメガダインが何処まで手を伸ばしてるのかは知らないけど、何かしらのアクションはあった可能性がある。

 

「まぁ、それは良い。貴様の言うことにも一理あるからな。次だ。さっきカズが死傷者は1人もでてないと言っていたが、本当に出てないと思うか?」

 

「っ・・・・・・!」

 

(わたし)の問いにクソ親父はビクッと震える。

 

「ど、どういう意味だレイ?」

 

(わたし)の言葉に兄さんが訊ねる。

 

「確かに死傷者はいないだろうな。だが、巻き込まれて軽傷を負った者。LBXに襲われて心にキズを負った者。大切な自分のLBXが人を襲ったということに心を傷めた者。そして、病患者の者はどうだ?」

 

「「「「「「「っ!!」」」」」」」

 

(わたし)の言葉に理解したのか、兄さんたちはハッ!とする。

 

「カイオス」

 

 

『は、はい!な、なんでしょうかレイ、さん?』

 

 

「A国での被害規模はどのくらいだった?」

 

 

『い、今出します!お、おい!』

 

『は、はいぃ!!』

 

 

ジロっ、とモニター越しにカイオスを見て訊ねる。

すぐにモニターに、A国での被害規模が表示される。

そこには建物や経済。人的被害などなど、が表示されていた。

 

「よく見ろ。こんなのはほんの一旦だぞ?中国は未然に阻止出来た故に被害はないだろうが、日本のトキオシティ。A国。フランスのルテティア。エジプトのカイル。イギリスのブリントン。そして、今回のオーストラリアのキャンベルン・・・・・・一体どれだけの被害が出たんだろうな?」

 

「・・・・・・っ」

 

「それに加え、修繕費や保全費などなど・・・・・・全部合わせて軽く国家予算並みに行くんじゃないか?」

 

(わたし)の言葉にクソ親父は何も言い返せずただ黙るだけだ。

 

「しかもだ。ルテティアなんかは歴史的遺物や芸術品が数多くあった。だが、貴様の起こしたブレインジャックのせいで一体いくつ貴重な芸術品や歴史物がダメになり修繕される必要になったんだろうな」

 

そう。

フランス、ルテティアで引き起こされたブレインジャックにより貴重な芸術品や歴史的が幾つかダメになったり修理が必要になったと調査の結果で知っている。

遺物や芸術品とは、今を生きる人が過去を知るために必要で無くてはならない物だ。

例えば絵画。

絵画も、同じ作品でも構図や色合い、場所、時間、天気などによって全く違う物になる。

同じ作品でも、それは同一作品(・・・・)ではない。

違う作品だ。

それは、工芸品や細工などなど全てに於ける。

ルテティアで数日過ごし、それに触れたからこそ解る。

遺物や芸術品の破壊や破損は、その歴史を知るための機会を失うのと同義なのだ。

 

「他にも聞いてるぞ。エジプトのカイルでのブレインジャック。貴様が指令コンピューターにしたカイルホテル地下のコンピューター。貴様のせいで危うく大爆発が起きる所だったようだな?」

 

「「「ぁっ!!」」」

 

ヒロ、ラン、ジェシカの3人が声を上げる。

丁度休暇でいたゴジョーさんと一緒に止めなければ、今頃ヒロたちは生きているかわからないし、カイルの街がどれだけ被害を被っていたか・・・・・・

 

「まさかこんなことも予測出来ずに指令コンピューターにしたわけではあるまいな?」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「誰が喋っていいと言った?」

 

反論しようとするクソ親父を黙らせる。

 

「クソ親父。貴様はヒロ、ラン、ジェシカ。オタクロスやあの場にいたゴジョーに感謝すべきだろうな。もしコイツらが止めてなければ一体どれだけの被害者が出たのやら」

 

ホント。

聞いた時は九死に一生を得た気分だった。

 

「そしてアミたちにしたスレイブプレイヤー。これは完全な誘拐罪だ。他にも余罪が出るわな」

 

一言一言。

話す度に冷たさが増していく。

そして、身を震わせさせるほどのプレッシャー。

 

「貴様はあの時言っていたよな。『新たなテクノロジーに携わる者ほど、人間の良心を忘れてはならない』と。今の貴様に新たなテクノロジーに携わる資格はあるのか?自分で生み出し、(わたし)らの大切なLBXを否定する貴様に?改めて言おう。誰が、法律が、神が許そうが、(わたし)は貴様を許さないし許そうとしない。貴様の犯した業というのは未来永劫貴様の魂にまで刻みつけられるものだ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「何よりだ」

 

視線クソ親父から兄さんに。

アミ姉、カズ兄に移し、そのままヒロ、ラン、ジェシカ、ジン、ユウヤ、アスカ、拓也、オタクロス、コブラ、画面越しにいるカイオス、里奈へと移し、最後にメアとルナを見て。

 

「貴様は僕らを裏切った」

 

一人称を(わたし)から僕に切り替えて告げた。

そのまま僕は一人称を再度(わたし)に戻してクソ親父へO★HA★NA★SHI★を続けた。

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜メアside〜

 

 

「・・・・・・はぁ〜」

 

いつも以上に冷たい、絶対零度。永久表土を彷彿とさせる氷河の気配を纏い、いるもの全てを震え上がらせるほどのプレッシャーを放って自分の父親。山野博士にお話するレーくんを離れたところからルナちゃんと見てる私は小さくため息が溢れ出る。

 

「メア?」

 

「ぁ、ううん。レーくんがあそこまで怒るのははじめて見たなぁって」

 

小声で心配した声で聞いてきたルナちゃんに、私も小声で返す。

長い付き合いのある私でも、あそこまで激情したレーくんを見るのははじめて。

しかも一人称が何時もの僕から、(わたし)(わたし)に変わってる。

それに、普段の優しい言葉遣いも荒々しくなり呼び捨てにしている。

あんなレーくんを見るのはこれで二度目・・・・・・いや、三度目かな?

一度目は随分前に。二度目は学校で。

けど、今回のこれはその時以上だ。

 

「これ、バン兄たち全員にトラウマ残すんじゃないかな」

 

「あー・・・・・・」

 

学校でもレーくんだけは絶対に怒らせてはならないという不文律があるのだ。

それは、怒らせたら誰も手がつけられないからではなく、本能的に逆らえないからだ。

学校でした時、教師も動けなかったほどで、涙目になっていた大の大人がチラホラいたのだから。

あの時レーくんが怒ったのは、ルナちゃんのため。

理由は、ルナちゃんの大切な薬を盗られ、さらにはお姉さんから貰ったという月のブローチを壊されたからだった。

もちろん私も。キヨカちゃんも手伝った。

友達だったから。

調査した結果、犯人は上級生。

いわゆるガキ大将のような人だった。

正直どういう人だったか覚えてないけど。

でも、レーくんがその人に。

いや、その人と取り巻きの人たちにした時のことはよく覚えてる。

早朝のホームルーム前にクラスに乗り込み、全員を畏怖させたのだから。

下級生が上級生のクラスへのカチコミ。

すぐに注目されたが、全員本気ギレしたレーくんを見て何も言えなくなった。

後にその人たちは学校側から何からしらの処分を受けたようだけど。

いなくなる最後までその人たちはレーくんに怯えていた。

その後から学校でレーくんを怒らせてはならないという暗黙のルールが出来た。

だが、今目の前で行われているのはそれすら生温いと言えるほどのプレッシャーを放つレーくん。

まぁ、博士のした事はした事だし自業自得感があるけど。

もうかれこれ一時間は超えている。

止まることの無いマシンガントークならぬ、ガトリングトーク。

しかもその一発一発ごと。いや、一言一言が鋭利な刃物で貫くように錯覚させるほど。

 

「それにしても、メアが無事で良かった」

 

「あははは。ありがとうルナちゃん」

 

「無事で良かったけど、キヨカをスレイブプレイヤーにしたことはちょっと・・・・・・というかかなり怒ってるけど」

 

「うぐっ・・・・・・ご、ゴメン」

 

ルナちゃんの、私怒ってます、と判る顔に謝罪する私。

キヨカちゃんにも今度謝っておかないと。

スレイブプレイヤーにしたのは博士とはいえ、それを止めなかったのは私なのだから。

 

「ところで、一体何時からスレイブ化が解けてたの?」

 

「えーと・・・・・・エジプトのカイル前からかな?」

 

「そんなに早く?」

 

「うん」

 

私のスレイブが解けたのはカズ兄が解けたのと同時。

どうやら連鎖で解けたらしく、その時にカズ兄と一緒に博士から聞いたのだ。

それ以降はカズ兄とともに博士のサポートをしたりしていた。

まぁ、行方不明ということになっていたからあまり公に動けず基本カズ兄といたけど。

その際に博士からカズ兄とともLBXについて講義を受けたりメンテナンスなどの実技を身につけたりした。

ま、まぁ、空いた時間にカズ兄は何を思ってか筋トレしたりしていたから、あんなワイルドカズ兄になっちゃったんだけど・・・・・・。

私から見ても凄い変化だと思う。いや、ホント、マジで。

 

「一体どれくらいで終わるかなぁ」

 

苦笑まじりに微笑みながらレーくんを見て呟く。

結局レーくんのO★HA★NA★SHI★が終わったのはそれからさらに一時間過ぎ後。

合計二時間を超えるO★HA★NA★SHI★で、その場にいた私とルナちゃんを除く人全員に畏怖を与えることとなったのは言うまでもなかった。

やり終えたあと、やった当の本人たるレーくんは、ふんっ、と息を漏らしてまだ怒っているようだけど取り敢えずは落ち着かせた顔をしていたのを見て、私とルナちゃんは互いに顔を見合わせて苦笑を浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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