ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

113 / 120
回想 W―ディテクター編 ⅩLIV 海上要塞

 

〜レイside〜

 

早朝に近い時間帯にフューチャーホープ号を発見したと長官から連絡を受けた僕らは、オーストラリアのキャンベルンから飛び立ち、ダックシャトルでフューチャーホープ号の航海している座標。太平洋上空へと飛んでいた。

僕が作った朝食を食べながらミーティングをし、レクリエーションルームで高々度から撮ったフューチャーホープ号の映像と、NICSから送られてき設計図のデータを見る。

データを見る限り普通のタンカーと変わりないように思えるが・・・・・・

 

「こんなモノ、アテにならんデヨ。艦内はすでに改装されておるはずデヨ」

 

「恐らくな」

 

データを見るオタクロスと父さんも同じ意見なようだ。

 

「つまり、中に降りてみないとフューチャーホープ号の構造は分からないというわけか」

 

「なら乗り込むだけよ!」

 

「そう簡単には、いかんデヨ」

 

オタクロスが拡大させたフューチャーホープ号には船についているレーダー。

しかも、軍艦などに搭載されているであろう並のレーダーが映し出された。

 

「このタンカーは高性能レーダーを搭載しているデヨ。空からだろうが、海中からだろうが近づくものは全て気づかれてしまうデヨ」

 

「乗り込むのは不可能ってこと?」

 

「いや、方法はある。LBXを使うんだ」

 

ランの疑問に父さんが答える。

 

「LBX?」

 

「いくら高性能レーダーとはいっても、LBXのような小さな物は、ノイズとして捕えられにくい」

 

「その通りデヨ」

 

父さんの言葉を肯定するオタクロス。

けど。

 

「でも、それは相手も同じ事考えているんじゃないの?」

 

そう。

相手もLBXを使って乗り込んでくることは予想しているだろう。

 

「そうじゃろうナ」

 

「どうする拓也さん?」

 

「ふむ・・・・・・・・・・」

 

僕の問いに少し考えた拓也さんは。

 

「よし。LBXで近づき、甲板を制圧。その後、ダックシャトルを着艦させる。各自、降下作戦の準備に入れ!」

 

と告げた。

やはりLBXによる降下作戦が手っ取り早いか。

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

拓也さんの指示に返事をして僕らはそれぞれコントロールポットルームへと向かって、各々準備をする。

兄さん、ヒロ、ランは第一コントロールポットルームに。

ジン、ユウヤ、ジェシカ、アミ姉、カズ兄、アスカは第二コントロールポットルームに。

そして、僕、メア、ルナは第三コントロールポットルームへと向かった。

部屋の大きさの為、設置出来るポットの数に限りがある為、昨日の夜コントロールポットの調整をしていたコブラが疲れた表情をして第二と第三に新たに設置されたコントロールポットの調整を行っていた。

うん。お疲れ様。

ルームに設置されてる3機あるコントロールポットの中央に僕、左右にメアとルナが、それぞれのLBXを発射台にセットしてから乗り込みCCMをセットする。

CCMをセットするとポットが閉まり、内部が稼働前の青からLBXの視ている風景に変わる。

そのまま各自チェックをして準備を整えて数分後―――

 

 

『作戦、開始!』

 

 

という、カイオス長官の開始の合図が通信越しに聞こえる。

 

 

『ゲートオープン!』

 

 

続けて、拓也さんの声も響く。

 

「・・・・・・行くよ、[エレボス]!」

 

先発した兄さんたちに続いて僕も、ライディングソーサに乗ったエレボスを発進させる。

エレボスに続いて、ルナの[アルテミス]がライディングソーサに乗って、双銃を構えて飛び出し、メアの新たな緋色と薄い蒼白のカラーリングされたLBX[ヘスティア]が、ライディングソーサで同じく双銃を構えて飛び出して来る。

メアの新たなLBXヘスティアは父さんが作ったLBXで、アーマーフレームは[アテナ]やアルテミスと同じくストライダーフレーム。そして性能はエレボスに匹敵する程。

まだ実際に戦闘は見てないが、父さんが作ったLBXなら戦力としては十分過ぎるだろう。

自力で浮遊出来るカズ兄の[アキレス・ディード]を除いて、ライディングソーサで高々度上空を飛びながらフューチャーホープ号へと接近する。

数分も飛んだ後、雲の隙間から眼下に航海するフューチャーホープ号を目視する。

 

「対象。フューチャーホープ号を確認」

 

 

『了解。指揮はレイに任せる』

 

 

「わかった」

 

通信でダックシャトルのレクリエーションルームにいる拓也さんと通話する。

 

 

『みんな、敵の迎撃に気をつけろ』

 

 

拓也さんのその言葉と同時に、フューチャーホープ号の甲板から沢山のLBXが現れた。

数は10や20どころじゃない。

1000には届いてないだろうが、100を越すLBXの大群だ。

しかも全部同じLBXで、アキレス・ディードと同じように自力で浮遊している。

 

「やはりLBXをぶつけて来たか。ということは、恐らくもう僕らのことは探知されてるって事かな」

 

エレボスに装備させてる両手銃『シューターSR34C』を構える。

 

「初撃後、各自散開して敵を撃破。甲板に着地後、甲板を制圧する!」

 

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

 

「それじゃあ―――」

 

指示を出し、エレボスを操作し。

 

「必殺ファンクション!!」

 

『シューターSR34C』の砲口をフューチャーホープ号から迫り来る敵LBXに向ける。

 

「【アタックファンクション!ディバインバスター!!】」

 

尖端の砲口に星円型の魔法陣が現れ、そこから白銀の砲光が高密度のレーザーのように敵LBXの一団の一角に放たれる。

放たれた一条の砲光は正面から来る敵LBXの一団に当たり、その周囲も巻き込んで爆発していく。

 

「予定通り散開して各個撃破!」

 

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

 

兄さんたちが散り散りに散開して行き、その後を敵LBXも数個編隊で追いかけて行く。

僕も両手銃の『シューターSR34C』から双銃の『ヘブンブラスター』に切り替えてそれぞれ撃破していく。

切り替えた理由は、一撃で薙ぎ払えるより、速射性の高い双銃が今この場は適してるからだ。

次々と撃破し、フューチャーホープ号周囲を飛び回って戦闘していく。

数の上では圧倒的に不利だが、そこはプレイヤーの腕の見せ所。

敵の陣営が崩れて、甲板上がガラ空きになるのはすぐだった。

 

 

『陣営が崩れてきた。一気にいけ!』

 

 

「ラン!アスカ!ジェシカ!アミ姉は甲板を制圧!!」

 

 

『『『『了解!!』』』』

 

 

「メアとルナも行って!」

 

 

『わかった!』

 

『任せて!』

 

 

「僕らはこのまま上空の敵を一掃する!」

 

 

『『『『了解!!』』』』

 

 

甲板をメアたちに任せて、僕は兄さんたちとともに上空の敵の掃討を始める。

上空の敵LBXの数が少なくなっているため、5人でも対処出来る。

甲板の方はメアたちが何とか押している様子だ。

エレボスを操作し、敵LBXの背後に回り込んで双銃を放つ。

カズ兄のアキレス・ディードみたいに、自由に空を飛び回れるなら縦横無尽に出来るんだけどなぁ。

ライディングソーサの上ではそれが不可能だ。

 

「(いつか絶対飛行能力を持たないLBXでも、自由に空を。ライディングソーサを使わないで飛べる何かを創ろう)」

 

と僕は心に誓った。

だってその方がこういう空戦では便利でしょ!

そんなこんなで上空の敵を一掃し、今度はメアたちとともに甲板に現れるLBXを掃討する。

にしても、一体どれだけ配備していたんだろ?

そう思いつつも掃討して行き数十分後。

 

「オタクロス、他に敵LBXの反応は?」

 

目指できる限り敵LBXの影がない為、ダックシャトルにいるオタクロスに訊ねる。

 

 

『さっきのが最後の敵LBXデヨ。どうやら全て倒し終えたようデヨ』

 

 

「そう」

 

一応警戒を怠らずにダックシャトルが降りてくるのを見る。

 

「っ!」

 

その時、誰かに見られている感覚を感じとった。

すぐに周囲を見渡すが敵LBXの姿などはない。

 

 

『どうしたレイ?』

 

 

「いや、今誰かに見られていたような・・・・・・」

 

兄さんの問いに答える。

 

「気の所為・・・・・・か?」

 

感じ取った気配は何処かで感じたものだったのだが・・・・・・

 

「ありえない・・・・・・よね」

 

気の所為だと判断して、フューチャーホープ号の甲板に着艦したダックシャトルを見て、僕らもコントロールポットから出てフューチャーホープ号甲板へと降り立つ。

潮風に吹かれ気持ちいいと感じるが、さすがにそんな暇はない。

父さんの持つタブレット端末からダックシャトルでサポートする拓也さんの声が響く。

 

 

『オタクロスが艦内を調べたところ、情報系統が集中している箇所が見つかった』

 

 

タブレット端末に映る地図には二箇所赤く塗られた場所があった。

一つはブリッジだが・・・・・・

 

「?ブリッジと・・・・・・もう一箇所ありますね」

 

「なんだろこの部屋は」

 

もう一箇所だけ、よく分からない部屋と言っても差し支えのない、場所が塗られていた。

 

 

『どちらも、前の設計図には無かった施設デヨ。このどちらかが、パラダイスのコントロールセンターに違いないデヨ』

 

 

「どちらかがゴール」

 

二箇所の距離は離れている。

となると、必然的に分かれる必要がある。

 

「二手に分かれよう。マップを持っている私とコブラが先導役になる。バンとレイは私と。それとカズ、ラン、ジェシカ、アミだ」

 

「つう事はことは、ヒロ、ジン、ユウヤ、アスカ、メア、ルナが俺のチームだな。よし!みんな行くぞ!」

 

父さんとコブラがそれぞれ6人ずつ分ける。

すぐ近くにある、フューチャーホープ号内部へと入るためのハッチを開け、父さんが先頭の元フューチャーホープ号の中へと入っていく。

ハッチから階段を降りると中と外を隔てる扉が現れる。

父さんがその扉を慎重に開ける。

 

「っ!これは・・・・・・!」

 

「父さん?」

 

扉を開けた父さんが何か驚いた物を見た声を出す。

父さんが開けた扉から僕らも父さんの後に続いて中に入る。

中に入ると、そこは何かの格納庫なのか、両端に通路があり、部屋のほとんどを何かが。水に覆われた何かがあった。

 

「これって・・・・・・まさか・・・・・・!」

 

「なんですかコレ?」

 

「こいつァミサイルだな」

 

僕の言葉に訊ねるヒロの疑問にコブラが答える。

コブラの声には恐れが入り交じっていた。

全員コブラのミサイル、という発言に驚きを出す。

僕も驚いている。

 

「どうしてミサイルが!?」

 

「この船は、タンカーに偽装した戦闘艦という事か」

 

「恐らくね」

 

ミサイルを収めてる蓋まで水に覆われている。

ホログラフではない、本物の水だ。

僅かに水特有の匂いがする。

 

「っ!」

 

そこに、一発の弾丸がジンとジェシカの間の手摺りに当たった。

弾丸の放たれた場所を見ると、上の細場に甲板上で戦ったLBXと同じタイプのLBXが十数機いた。

 

「敵だ!隠れろ!」

 

父さんの声にすぐに全員扉の奥や柱に身を隠す。

だが―――

 

「ちっ」

 

僕らを通せんぼするように、通路の奥から次々と敵LBXが現れる。

 

「くっ。結構いますよ」

 

「是が非でもコントロールセンターには行かせないつもりだ」

 

ヒロとジンが悪態吐く。

レオンさんから渡された閃光音響弾(フラッシュバン)はまだ幾つかある。

けど、こんな大人数だと使えない。

数に限りがあるし非殺傷武器なためこの場合では意味が無い。

でも、この場を乗り切るにはあのLBXらをどうにかしないといけない。

 

「こんな所でモタモタしてられない!」

 

「ランさん!?」

 

「えっ、ちょっ!?ラン!?」

 

LBXの前に姿を現すラン。

ランはそのまま[ミネルバ]を出し、迫り来る敵LBXに攻撃し始める。

そのランに続いて。

 

「[ヴァンパイアキャット]!!」

 

「[ジャンヌD]!!」

 

アスカとジェシカも交戦に加わる。

 

「ランさん!」

 

「先に行って!」

 

「すぐに片付けて、追いかけるわ!」

 

「でも、マップ無しで迷子にならないか?」

 

「さっき見た時、完璧に記憶したわ」

 

「ホントかよ。スゲェー」

 

いや、うん。

ジェシカの完全記憶ってチートもチートだよね。

こういう迷路とかだと。

 

「大丈夫。あたしたち息あってるから」

 

「行こう、ヒロ」

 

「彼女たちを信じよう」

 

「ここは任せたぜ」

 

ランたちにこの場を任せ、僕らはフューチャーホープ号の奥へと進んで行く。

その道中、ダックシャトルにいる拓也さんとオタクロスに今のミサイルの映像を撮っておくように伝える。

これでオメガダインが不正に、ミサイルを所持していることが証拠となった。

これならクリスさんや長官たちもオメガダインに対しての強制査察を行えるだろう。

フューチャーホープ号の中を進むこと数分。

敵とのエンカウントはなく、ブリッジと謎の部屋へと向かう分かれ道に出た。

 

「ブリッジへはこのエレベーターを使うようだな」

 

「情報系統の集中していたもうひとつの部屋って、この先にあるんですよね」

 

「じゃあ、僕たちはそこへ向かおう」

 

「おいおい。そういうのは先導役の俺がだなァ」

 

「バン君たちはブリッジの方を頼む」

 

「分かった」

 

「・・・・・・メアとルナも一緒にこっちに来て」

 

「レイ?」

 

僕の唐突の発言にジンが訝しげる。

 

「どうしたんだレイ」

 

「どうしたのレーくん?」

 

ジンと同じように兄さんとメアが訊ねてくる。

 

「・・・・・・なにか嫌な予感がする。なんて言うか、変な感じがするんださっきから」

 

僕はブリッジのある上を見て告げる。

視られてる。

間違いなく。

それと同時に殺気めいた感覚も感じるのだ。

 

「レイのこういう時の直感ってバカにならないんだよな」

 

「ええ」

 

カズ兄とアミ姉が呟くように言う。

 

「わかった。メアとルナは博士たちとブリッジの方に行ってくれ」

 

「うん」

 

「わかった」

 

「父さん良いよね」

 

「ああ。お前の直感は無視できないからな」

 

父さんと同意も得られたことだし、ブリッジには僕、兄さん、アミ姉、カズ兄、メア、ルナ、父さんが。

もう一箇所の場所にはジン、ユウヤ、ヒロ、コブラが向かうことになった。

ジンたちと分かれてブリッジに向かうと、行く手を阻むように敵LBXが現れる。

武装を何時もの双剣にして、エレボスたちが敵LBXを殲滅し始める。

 

「ブリッジに向かうほど数が多いな!」

 

「メアとルナが居てくれて助かるわね、これ」

 

カズ兄がアキレス・ディードで上から狙撃し、アミ姉の[パンドラ]が短剣で切り裂く。

確かに、この数は4人では厳しいかもしれない。

 

「ルナ。左の方をお願い!」

 

「うん!」

 

「メアは右の方を!」

 

「任せて!」

 

兄さんたちと場所を区分してそれぞれ殲滅する。

メアのヘスティアが細剣で次々と敵LBXを倒し、ルナのアルテミスの薙刀が敵LBXを薙ぎ払う。

 

「っ!バン!」

 

「兄さん!」

 

カズ兄の声に兄さんの[エルシオン]を見ると右手の槍が弾き飛ばされ敵LBXに囲まれている姿があった。

すぐにカズ兄がアキレス・ディードで囲んでいた敵LBXを倒し、エルシオンがその場から離脱するのと同時に、エレボスの左の白剣『ブラン』をエルシオンに投げ渡す。

 

「サンキューレイ!」

 

エルシオンが正面を。

エレボスがエルシオンの背後から迫り来る敵LBXを切り裂く。

それと同時に、アミ姉とメアたちの方も立ちはだかった敵LBXの掃討をし終えたようだ。

 

「ふぅ」

 

「助かったよレイ」

 

「大丈夫だった兄さん?」

 

「ああ」

 

「バンとレイって、ホント息ピッタリよね」

 

「だな。さすが兄弟だぜ」

 

「そう?」

 

「そうか?」

 

アミ姉とカズ兄の言葉に同時に首を傾げる僕と兄さん。

 

「ほらピッタリ」

 

「レーくんとバン兄。兄弟ならではだね」

 

「そう言うメアとアミ姉も姉妹だし息ピッタリでしょ?」

 

アミ姉とメアにそう言い返す僕。

まぁ、兄さんの事は大抵の事は解るしね。

 

「こん中で、俺だけ兄弟居ないからなぁ」

 

「あははは・・・・・・」

 

何気にこの中でカズ兄だけ兄弟がいない。

僕は兄さん。メアはアミ姉。ルナは里奈さんが兄弟姉妹だし。

 

「いや、でもカズ兄は僕にとって兄さんとは同じで兄さんだからね?」

 

「うんうん。カズ兄は私とレーくんにとってもう一人のお兄ちゃんだよ?」

 

「ありがとな二人とも」

 

僕とメアの言葉にカズ兄は照れ臭そうに頬を掻きながら、苦笑して言う。

 

「・・・・・・私もカズさんのことカズ兄さんって言った方がいいのかな」

 

「いや、さすがにそれは・・・・・・」

 

ボソッと呟くルナに苦笑する僕。

いつの間にか僕とメアの中でカズ兄の事をカズ兄って呼んでたんだよなぁ

アミ姉はメアのお姉ちゃんだからだし。

メアにとって兄さんは僕の兄さんだからだし。

そう思ってると。

 

「あー。そろそろ良いか?」

 

父さんが微妙な表情で言ってきた。

 

「あ、うん」

 

「ブリッジへはこの先真っ直ぐだ。気をつけて行くぞ」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

父さんの先導の元、僕らは敵LBXを排除しながらブリッジへと向かう。

途中通路がオレンジ色の照明に照らされアラートが鳴り響き、通路が扉で封鎖されそうになったが何とか封鎖される前に潜り抜けられ先に進む。

その後拓也さんからパラダイスのコントロールセンターがブリッジにある事を告げられ、ジェシカやジンたちもブリッジに向かっていることを教えられた。

そして、ブリッジへ向かう最後の扉の前。

その前にはまたしても敵LBXが立ちはだかっていた。

 

「あのドアの先がブリッジだ!」

 

「よし。僕と兄さん、メアが突っ込む。カズ兄とアミ姉、ルナは援護をお願い!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

「―――疾く来たれ!エレボス!!」

 

「エルシオン!!」

 

「アキレス・ディード!!」

 

「パンドラ!!」

 

「ヘスティア!!」

 

「アルテミス!!」

 

それぞれLBXを出撃させ立ちはだかる敵LBXを排除していく。

全て倒し終えた後、そのまま僕らはブリッジへと突入する。

ブリッジへの階段を駆け登りブリッジへと到達する。

 

「ここが艦のブリッジ・・・・・・」

 

「パラダイスのコントロールセンター」

 

宙に展開されてる空間ウインドウは真っ赤に染まり、人の気配が全くない。

いや―――

 

「っ。誰かいる!」

 

ブリッジの少し奥。

先の階段を登った先に誰かいた。

 

「・・・・・・来たな」

 

その誰かは掠れたような声で言う。

兄さんたちも気づいたのか、奥の方。声のした方に身体を向ける。

 

「誰だ!」

 

奥の方から誰かが来た。

だが、その誰かは歩いていなく、車椅子らしきものに座って小さな機械音が耳に入る。

その何者かはゆっくりと姿を見せ。

 

「待って・・・・・・いたぞ」

 

と告げた。

 

「え・・・・・・」

 

姿を表した何者かは、身体中包帯だらけで所謂ミイラ男のような風貌だった。

首元には黄色のチョーカーのような首輪を着け、包帯の上から見覚えのあるコートを着ていた。

髪の色は青紫色。

そして何より包帯の隙間から見える顔は、ルナ以外。僕らにとってとても知っている顔。

 

「まさか・・・・・・」

 

「嘘でしょ・・・・・・」

 

「そんな・・・・・・」

 

カズ兄、アミ姉、メアが困惑の声を漏らす。

唯一ルナだけは、誰?と疑問符を浮かべていたが。

 

「ふっふっふっ・・・・・・山野バン。・・・・・・博士。そして・・・・・・」

 

兄さんと父さんの名を呼び。

最後に僕に視線を合わせ。

 

「・・・・・・山野レイ」

 

と僕の名前を呼んだ。

 

「ぁ・・・・・・ぁぁ・・・・・・・ぁああああああああっ!!!!」

 

嘘だ。

ありえない。

そんなハズない。

なんで?

なんでここに??

なんでいるの???

だって彼はあの時!

僕と兄さんの前で!!

僕の前で確かに!!!

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!!」

 

「レイ!!」

 

「レーくん!!」

 

「どうしたのレイ!!」

 

嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!!ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない!!!!!!!!そんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズないそんなハズない!!!!!!!

だって!!だって!!!だって!!!!

 

「しっかりしろレイ!」

 

「レイ!!」

 

「落ち着けレイ!!」

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!」

 

兄さんたちが何か言ってくるが僕の耳に入らない。

頭の中を全部、今目の前で起こってる事を否定しているからだ。

ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない!!!!!!!

これは全部夢だ。そんなわけない。生きてるはずがない!!!!!

だってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだってだって!!!!!!!

目の前にいる包帯だらけの男。

LEXは僕と兄さんの前で。

サターンとともに自爆で亡くなったんだから!!!

 

「ふっふっ・・・・・・ふっ」

 

目の前の現実を否定したい。

息が出来ない。

水に溺れてるように上手く呼吸が出来ない。

視界が暗くなっていく。

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"―――!!!!!!!!」

 

絶叫を上げ、頭を抑える僕をメアやルナ、兄さんたちがなにかしてくるが何も感じないし何も聞こえない。

全てを拒絶していた。

やがて僕は―――

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンside〜

 

「レイ!しっかりしろ、レイ!!」

 

頭を押さえて絶叫を上げ、突然その場に倒れたレイに声を掛ける。

 

「ふっふっふっ・・・・・・」

 

それを見て目の前にいる居るはずのないLEXは満足そうに笑い声を上げる。

 

「レーくん!しっかりしてレーくん!!」

 

「レイ!!」

 

メアとルナがレイに呼び掛けるがレイは目を覚まさない。

 

「LEX・・・・・・生きていたのか・・・・・・!!」

 

俺も信じられない。

だってLEXはあの時、俺とレイの目の前でサターンの自爆で死んだはずだから。

あそこから脱出して生きていたなんて有り得ない。

 

「お前たちに・・・・・・パラダイスは・・・・・・渡さない・・・・・・!!」

 

声は掠れているが間違いなくLEXだ。

LEXがそう言うとLEXの陰から漆黒の機龍が現れた。

それは間違いなくイギリスで遭遇した

 

「キラードロイド!!」

 

キラードロイドが現れたことに俺は察した。

 

「っ!まさか、キラードロイドはLEXが!?」

 

俺の問い掛けにLEXは不敵な笑みを漏らすだけ。

 

「くっ・・・・・・!!」

 

 

『みんな聞こえるか!?』

 

 

「拓也さん!?」

 

 

『パラダイスのコントロールセンターはそのブリッジにある!檜山の事よりも制圧が先だ!』

 

 

通信先にいる拓也さんもLEXが生きていることに平然と要られないのか声が微かに動揺していた。

 

「わかりました!でもレイが」

 

確かに今はLEXよりもブリッジの制圧が先だ。

だが、レイが今は―――

 

 

『レイの状況は?!』

 

 

「気を失っています。恐らく戦闘は・・・・・・!」

 

 

『っく・・・・・・そうか・・・・・・!』

 

 

拓也さんの問いに答える。

拓也さんは、やはり、と小さく洩らして返してきた。

レイがどれだけLEXを慕っていたのか知っているからこそ俺も分かる。

だが、キラードロイドが相手でレイの戦力が欠けるのは大きく痛い!

 

「ここは・・・・・・渡さん・・・・・・!行け・・・・・・!LBXを狩りつくせ・・・・・・!!」

 

そんな俺たちの心情を知らぬようにLEXはキラードロイドを嗾けてきた。

キラードロイドの胸元が開き、そこから眩い光が俺たちを照らす。

次の瞬間には俺たちはキラードロイドの展開した、Dキューブに似たバトルフィールドに閉じ込められていた。

 

「取り込まれた?」

 

「これは・・・・・・!」

 

キラードロイドとの戦闘経験のないアミ、カズ、メア、ルナが動揺したように周囲を見渡す。

 

「檜山君!」

 

「ふっふっふっ・・・・・・」

 

父さんの呼び掛けにもLEXはただ平然と不敵な笑みを浮かべるだけ。

だがそれよりも―――

 

「エレボスも取り込まれた!」

 

そう。

レイが気を失っているため、エレボスは完全な無防備状態だ。

このままではキラードロイドにエレボスが破壊されるのは目に見えてる。

だが、エレボスは[Σオービス]のプロトタイプ。

操作出来るのは現状レイだけと父さんが言っていた。

そのレイが気を失って操作出来ない。

俺たちもキラードロイドが相手では動けないエレボスを守りながら戦うのは難しい。

 

「ど、どうしよう!レーくんのエレボスが!!」

 

「私とメアでエレボスを守るしかないよ!」

 

「でもそれだとお姉ちゃんたち3人でアレを相手しないといけない事になるよ!?」

 

「レイが動けない以上それしかないでしょ!?」

 

「ルナの言う通りだ。キラードロイドの相手は俺とアミ、カズがする。2人はレイのエレボスを守っていてくれ!」

 

「ええ!ここは任せてメア、ルナ!」

 

「おう!ここは俺ら兄貴たちに任せとけ」

 

そう言うが正直厳しいのが現実だ。

ヒロたちが来てくればΣオービスでなんとか出来るのだが・・・・・・!

そう思っていた時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――消えなさい。有象無象」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「ぇ?」」」」」」

 

突然エレボスが動き出し、キラードロイドに向かって攻撃し始めた。

突然動き出したエレボスに俺たち全員気を失っているはずのレイを見る。

気を失っていたはずのレイは、まるで何事も無かったかのように立ち、右手にCCMを手にしていた。

間違いなく姿はレイだ。

でも―――

 

 

「まさか()が出る事になるなんて。まぁ、仕方ないか。この子にとってそれほどの事だし」

 

 

「レ、イ?」

 

 

「さて。この子を傷つけた覚悟。出来てるわよねそこの包帯野郎?」

 

 

それはレイでは無かった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。