ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩLⅤ 過去の対峙

 

〜バンside〜

 

 

「まさか()が出る事になるなんて。まぁ、仕方ないか。この子にとってそれほどの事だし」

 

 

「レ、イ?」

 

 

「さて。この子を傷つけた覚悟。出来てるわよねそこの包帯野郎?」

 

 

そう宣告するや超高速。

ヒロの[ペルセウス]の特殊モード【ストライクモード】を発動しているのかと見間違えるほどのスピードで[エレボス]がキラードロイドを双剣で攻撃していく。

超高速による戦闘。

レイの戦術と全く違う。

 

 

「なに止まってるの?この子を守るんじゃなかったのかしら?」

 

 

そんな俺たちにレイが。

いや、レイじゃない誰かがそう言う。

 

「だ、誰だお前は?!」

 

困惑しながら詰問する俺。

その俺に。

 

 

「状況を見なさい。今それを私に訊く場合かしら?気を抜いたら殺られるわよ?」

 

 

と、視線を合わせることなく答えた。

 

「っ・・・・・・!みんな、行くぞ!」

 

「ええ!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

一体誰なのか問い詰めたいが今はキラードロイドを対処することが第一と判断して、アミたちとともにキラードロイドとの戦闘を始める。

 

「俺とメアが前に出る。アミたちは援護を頼む!」

 

「わかったわ!」

 

「おう!」

 

「はい!」

 

「行くよバン兄!」

 

「ああ!」

 

先行したエレボスを追って俺の[エルシオン]とメアの[ヘスティア]がそれぞれ槍盾と細剣を構えて接近する。

だが、その前にキラードロイドが回転しながら突っ込んで来た。

すぐにそれぞれ散開して避ける。

キラードロイドはそのまま着地するや両手の銃から紫の光弾を乱発してくる。

乱発し終えた瞬間を狙って、アミの[パンドラ]とルナの[アルテミス]が銃で集中砲火するが、やはり大してダメージは与えられてない感じだ。

その隙にもエレボスが、ガンッガンッ!と双剣でキラードロイドを攻撃していく。

 

 

「硬いわねやっぱり・・・・・・」

 

 

レイの姿でレイの声じゃない誰かが呟くのが耳に入る。

だが、その通りだ。

硬いし―――

 

「大きさのワリに速い!」

 

「[アキレス・ディード]!!」

 

カズのアキレス・ディードがキラードロイドのヘッドパーツ部分に光弾を食らわせるがやはりこれもダメージが通ってるようには見えない。

唯一通ってるとすれば―――

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

俺たちとの連携など意味無いと言わんばかりの猛攻でキラードロイドを攻撃するエレボスの攻撃のみ。

超高速で動くためキラードロイドも捉えることが出来ないのか、キラードロイドも無作為に攻撃するだけ。

普段のレイならこんな事しない。

それだけでも、今のレイはレイでは無いのが解る。

 

「どうするバン!」

 

「[Σオービス]なら勝てる。なんとか、ヒロとランが来るまで時間を稼ぐんだ!」

 

「わかった!」

 

「そっか。俺たち3人揃ってるんだったな。メアとルナもいるし、何処までやれるか試してみるか!」

 

「ああ!」

 

「行くよルナちゃん!」

 

「ええメア!」

 

ヒロたちが車での時間稼ぎ。

どれだけ出来るか分からないが、今俺たちが出来ることをやるしかない。

エルシオンの槍『エルシオンハルバード』がキラードロイドの背部を切りつけるが、かすり傷すら無い。

それはメアの[ヘスティア]の細剣もで。

 

「っく・・・・・・!」

 

「硬い上に速い。それに攻撃力も高いとか・・・・・・」

 

苦笑しながらも[アルテミス]を動かすルナ。

エルシオンを操作しながらLEXに問う。

 

「LEX、なんでこんな物を!?」

 

「ふっふっふっ・・・・・・」

 

だが、俺の問いにLEXは笑みを浮かべるだけ。

そんなLEXに今度は父さんが訊ねた。

 

「何故キミは、オメガダインに手を貸しているのだ」

 

「新たな世界を・・・・・・作るため・・・・・・」

 

「なんだって・・・・・・?」

 

「宇宙軍事基地・・・・・・パラダイス・・・・・・。これが・・・・・・あれば・・・・・・俺の思い描く、世界が創れる・・・・・・!」

 

「LEXの思い描く世界・・・・・・」

 

父さんの問いに答えたLEXの言葉を聞いて、俺はサターンでレイとともに聞いたLEXの言葉を思い出した。

でも、それと同時になんでLEXがまたこんなことを。

オメガダインに手を貸しているのか分からなかった。

 

「パラダイスで本当に思い描く世界が創れると思ってるの!?」

 

「ふっふっふっ・・・・・・ああ・・・・・・」

 

「っ・・・・・・!」

 

俺の問いに返したLEXの瞳は憎悪に満ちて暗かった。

恐怖を感じる程で、吸い込まれそうになると錯覚するほど。

 

「バン兄、キラードロイドの弱点は何かないの!?」

 

「弱点・・・・・・ハッ!」

 

メアに聞かれて思い出し。

ブリニッジ天文台でキラードロイドが襲ってきた時にレイが言っていたことに。

 

「脚のコードだ!そこを攻めれば動きが鈍くなる!!」

 

「わかったわ!」

 

「了解!」

 

「よしっ!」

 

遠距離武器を構えるパンドラ、アルテミス、アキレス・ディードが銃でキラードロイドを集中砲火し、動きが止まったところをヘスティアの細剣が右脚のコードを攻撃した。

 

「はぁっ!!」

 

「今だ!!」

 

「――――――っ!!」

 

ヘスティアがコードを攻撃し、動きが鈍ったキラードロイドの中央部。胸元を『エルシオンハルバード』で切りつける。

胸元を切り付けられたキラードロイドは今まであげたことの無い、甲高い悲鳴のような奇声を上げた。

それと同時に、俺たちを取り囲むエネルギーフィールド膜が僅かにブレたのを見た。

 

「なに・・・・・・」

 

「これは・・・・・・」

 

エネルギーフィールドが僅かにブレただけで、俺たちを外に出したりすることは無かったが、今のは確実にキラードロイドに。

 

「おい。今アイツビビってたよな」

 

「そうかも」

 

「ってことはキラードロイドの弱点って・・・・・・!」

 

「あの胸元・・・・・・いや、そこに収められたコア!?」

 

「油断は出来ない。コンビネーションで攻撃だ!」

 

「俺が前に出るぜ!」

 

「私も行くよ!」

 

「援護するわ!」

 

今度はアキレス・ディードとアルテミスが前に出てキラードロイドの注意を引き受け、パンドラが2機の援護射撃をする。

注意がアキレス・ディードたちに向いた瞬間に、死角からエルシオンとヘスティアが攻撃する。

それと同時にエレボスも両翼部分を切り裂く。

 

「そうだ・・・・・・キラードロイド・・・・・・!希望を・・・・・・絶望に・・・・・・塗り変えてやれ・・・・・・!!」

 

LEXのその言葉を実行するかのように、飛び上がったキラードロイドが回転しながら紫の光弾を乱発して来た。

 

「檜山君!いくらこの世界を憎んでも何も変わらないぞ!!」

 

「大切な物を・・・・・・失った事ないの貴方には・・・・・・分からない・・・・・・!!」

 

LEXのその言葉に父さんは何も言い返せない。

そこへ。

 

「バンさん!!」

 

ヒロやランたちがやって来た。

 

「遅くなってすみません!」

 

「っ!?LEX!」

 

ヒロたちの中で唯一LEXを知っているジンが驚いた声を出す。

 

「なんだよアレ!?」

 

「キラードロイドよ」

 

「アイツが!?」

 

キラードロイドを始めて見て驚くアスカに説明するジェシカ。

俺たちも初めて見た時はなんだ!?って感じだったし当然だ。

 

「って・・・・・・なんでレイが起きてるの!?気を失っていたんじゃ?!」

 

視線を合わせる所か、ヒロたちを見向きもしないレイ。

そのレイを見てランがなんで!?と声を上げる。

どうやらかなり急いで来てくれたようだ。

 

「それについては俺たちも分かんないんだ。ただ一つ言えることは、今のレイはレイじゃない!」

 

「レイ君じゃ・・・・・ない?」

 

「それってどういう意味?!」

 

ユウヤとジェシカが訊いてこようとしたその瞬間。

 

「――――――!!」

 

飛び上がって光弾を乱発していたキラードロイドが降り立ち、ヒロたちのLBXペルセウスらを視認するや、雄叫びのような奇声を上げ、ヒロたち全員をキラードロイドのフィールドの内に取り込んだ。

 

「キラードロイドのフィールドに捕獲された!」

 

「LBXを認識したら、捕獲して破壊しようとするのよ」

 

「こんなヤツと戦うのか!?」

 

「やるしかありません!」

 

「ヒロ!ラン!すぐにΣオービスに合体するぞ!!」

 

「「うん!」」

 

すぐにΣオービスに合体しようとするが、キラードロイドはエルシオンとペルセウス、[ミネルバ]を近寄らせないように光弾を放ち散開させてくる。

 

「合体させないつもりですか!」

 

「前のバトルで学習したのかも」

 

「私たちで援護しましょう!」

 

「ああ!」

 

ジェシカとジンがそう言う。

だが、それを実行する前に―――

 

「――――――!!!」

 

 

「遅い・・・・・・」

 

 

神速かと見紛うほどの速度でエレボスがキラードロイドを攻撃していく。

攻撃していくのと同時に、レイの口から出たレイの声じゃない発声。

その声音は冷たさと呆れさを含んでいた。

 

 

「『未知を既知に』って言われなかったのかしら?反応が遅い」

 

 

視線を俺たちに一切向けずに発し、CCMを操作する音だけが断続的に響く。

 

 

「やるなら早くしなさい」

 

 

キラードロイドに反撃させる暇すら与えない攻撃をするエレボス。

そして俺たちに全く期待すらしてない、という意思表示が取れる声。

まるで、レイが怒っている時と同じ感覚を感じる。

 

「ルナちゃん、行くよ!レーくんだろうと、レーくんじゃなかろうと―――!」

 

「うん!レイを助ける!!」

 

俺たちが止まってる間、メアとルナの2人は速攻で動いてエレボスの支援をしていた。

メアも武装を銃系に切り替えて、エレボスに攻撃しようとするキラードロイドの注意を引き付け、その隙にエレボスがダダダダンッ!!と一瞬で何撃も叩き込んだ。

 

「僕らも続くぞ!」

 

「ええ!」

 

ジンたちもメアとルナに続くようにエレボスを援護し始める。

俺とヒロ、ランは下がってチャンスを伺う。

ジンたちもキラードロイドに攻撃をしていくが―――

 

「これ、レイひとりで十分なんじゃ・・・・・・」

 

「は、はい。なんかキラードロイドにかなりダメージ与えてません?」

 

ランとヒロがボソリと呟くがまさしくその通りだと思ったりする。

さっきまでキラードロイドが押していたのに、今はキラードロイドをエレボスが押してる。

メアやジンたちの援護があるってのもだろうが、エレボスによる神速の斬撃がキラードロイドを押してる。

現にキラードロイドの動きが鈍くなっている。

やがてジンたちよりキラードロイドの脚部のコードが破壊され、その場に倒れるように膝を付く。

 

「今だ!Σオービス!!」

 

そのチャンスを逃さず、すぐさまΣオービスへと合体させる。

 

「「「【ドッキングシークエンス開始】」」」

 

「【プロセス1】」

 

「【プロセス2】」

 

「やったぜ!!」

 

「ヒロ!」

 

「任せてください!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!∑ドライブソード!!】」

 

合体するや、瞬時に必殺ファンクションを発動させる。

∑オービスの右手のビームライフルの銃身から、緑に耀く燐光の巨大なエネルギー刃が発生し一つの巨大な剣となり、バックパックのブースターで、一瞬の内にキラードロイドに肉薄。

巨体を緑のエネルギー刃で一閃する。

巨体を一閃されたキラードロイドは断末魔の叫びを上げる間もなく爆散。

キラードロイドが破壊されると、俺たちを閉じ込めていたエネルギーフィールドが消え自由になった。

エネルギーフィールドが消えるや、階段の上で見下ろしてくるLEXを見る。

 

「LEX、お前の負けだ!」

 

「ふっ・・・・・・また会おう」

 

そう言うと、LEXは車椅子を操作して後ろに下がった。

 

 

「逃がすわけないでしょう?」

 

 

「っ・・・・・・!?」

 

下がると同時にいつの間にか近くにいたレイがそう告げる。

だが、レイの手がLEXに届いたと思いた瞬間。

 

 

「っ・・・・・・バリア」

 

 

LEXとレイを隔てるようにバリアらしき赤いエネルギーフィールドが展開され、レイの手を弾いた。

 

「お前・・・・・・一体何者・・・・・・だ・・・・・・?」

 

 

「教える必要あるかしら?」

 

 

「ちっ・・・・・・」

 

レイの言葉に舌打ちしたLEXはそのまま車椅子を動かす。

 

「ま、待てっ!!」

 

慌てて追いかけるも間に合わずLEXは床下の何処かと降りて行った。

LEXが消えると同時に、レイを隔てていたバリアがスゥ、と消えていった。

 

「LEX!!」

 

「バン!今はパラダイスを止めることが先だ!」

 

「・・・わかった」

 

消えていったLEXを追いかけようとするも、父さんに言われて俺はコントロールセンターの端末にエルシオンを置き、ダックシャトルと繋げようとする。

そこに。

 

「待って!」

 

と静止する声が響いた。

 

「フューチャーホープ号のコントロールセンターは、外部からの強制を受けると、ロックモードになってしまうの」

 

「お母さん!!」

 

階下から上がってきた白衣の女の人をヒロはお母さんと呼んだ。

つまり―――

 

「大空遥と言います。オメガダインに要請されて、パラダイスに搭載された人工知能。『アダム』と『イブ』を開発しました」

 

「貴女が、世界的な人工知能の権威。大空博士ですか」

 

「あれが、ヒロのお母さん」

 

ヒロのお母さんを見て、何処と無く似てると思った。

初めて会った時、ヒロが伊達メガネしていたのはもしかしたらお母さんの真似をしていたのかもしれない。

父さんは大空博士の事知っているみたいだけど・・・・・・

何故か父さんと大空博士が同種の研究者(タイプ)だと、ふと思ってしまったのだが・・・・・・

それと同時に、レイが大空博士にもOHANASHIしそうだと、なんでか感じてしまった。

大空博士を一瞥したあと、コントロールセンターにある窓から外を観ているレイをチラッと見て思う。

 

「山野博士。私は先程、アダムとイブの機能を凍結させました。あとはここからパラダイスの機能を奪えば、宇宙軍事基地としての機能を完全に停止出来るはずです」

 

「何故大切な開発成果を?」

 

「ヒロに言われて気づいたんです。私のしてきた事の間違いに。開発が思う存分出来るからと、あの男を信用した私が、浅はかでした」

 

「?あの男?」

 

「はい。男の名は―――」

 

そうして、大空博士から真の黒幕の名が語られた。

それはまさかの人物で、俺たちは衝撃に包まれた。

 

 

「へぇ・・・・・・」

 

 

大空博士から真の黒幕の名前を言われ、レイは一言小さく洩らす。

 

「ずっと気になっていた・・・・・・お前は一体誰なんだ?」

 

レイが小さく洩らしたのと同時に、俺はずっと気になっていた事をレイじゃないレイに訊ねる。

俺の問いに、階下にいたジンたちも上がって離れたところにいるレイを見る。

全員の視線を浴びたレイは近くの椅子を引き、そこに腰掛け足を組む。

その仕草はレイと酷似していたが、佇まいはレイと違い【女王】、【女皇】を彷彿とさせる。

 

 

「私?私は・・・・・・そうね。なんて言ったらいいのかしらね」

 

 

足を組んで妙に様になりながらそれは言う。

しばし悩んだ後。

 

 

「守護霊。とでも思ってくれればいいわ」

 

 

と告げた。

 

「守護霊・・・・・・だと?」

 

 

「ええ」

 

 

守護霊、などと言うオカルト地味た言葉に俺たちは困惑する。

その守護霊?が今表に出ているってことはレイは一体・・・・・・

 

「守護霊なら、今レイの意識はどこにいるんだ?」

 

父さんが俺たちの疑問について訊ねる。

 

 

「彼は今深い眠りについてるわ。というより、私が強制的に眠らせた、の方が正しいわね」

 

 

「何?」

 

強制的に眠らせた?

どういう意味か解らず互いに顔を見合わせる。

そんな俺たちの様子など興味無いなどばかり。

 

 

「そうでもしないと壊れてたもの」

 

 

「壊れてた?」

 

 

「ええ。心が、ね」

 

 

「心が・・・・・・」

 

「壊れる・・・・・・?」

 

 

メアとルナが戸惑ったように呟く。

 

 

「この子にとってのトラウマ。忘れてるかもだけど、レイはまだ10歳よ?そんな彼の前で二度もあんな事が起こったのだからトラウマとして刻まれるのは当然でしょ?」

 

 

その言葉に俺たち。

あの時いた俺、父さん、ジン、アミ、カズがッ!と息を呑む。

ただ一人、メアだけは判ってた顔をしていた。

 

 

「目の前で亡くなったと思ってた人が生きていて、しかも憎悪をさらに膨らませてキラードロイドなどというものを作って立ちはだかったのだから。・・・・・・・・・・もっとも、こうなった原因はそれだけじゃないのだけど・・・・・・」

 

 

最後に言った言葉の意味が分からず首を傾げる。

 

「そ、それでレーくんはいつ戻るの?」

 

 

「そろそろ戻ると思うわよ?眠りについて落ち着いたようだし」

 

 

「そ、そっか。良かったぁ〜」

 

「うん」

 

その一言に安堵するメアとルナ。

俺たちも安堵する。

一先ずレイが無事なのが良かった。

だが。

 

 

「安心するのはまだ早いんじゃないかしら?」

 

 

安堵した俺たちに釘を刺すように告げる声。

 

 

「黒幕は見つけたようだし、貴方達がこれからどう対処していくのか・・・・・・見物だわ」

 

 

そう告げるとレイの守護霊と名乗った人物は目を閉じ、そのまま一言も話さなくなった。

 

「お、おい?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

話さない人物に戸惑いつつ、レイに近寄って確かめる。

息はしているし、脈はある。

どうやら眠っているだけのようだ。

 

「バン兄。レーくんは・・・・・・」

 

「大丈夫。眠ってるだけみたい」

 

「そ、そっかぁ・・・・・・」

 

しばらくしたら、と言っていたが具体的に何時に目覚めるのか分からないから正直不安だ。

 

「レイの守護霊・・・・・・」

 

正直、守護霊などというオカルト系は全くわからない。

なんでその守護霊が今出てきたのか。

何故俺たちを助けたのか。

そして、一体何時から居るのか。

だが、ひとつだけ。

ひとつだけ分かっていることはあの守護霊というのが、レイを大切に思っているということだけは伝わってきた。

 

「レイ・・・・・・」

 

安らかな表情で眠りについている(レイ)を見て、俺は兄として弟の事を全く知らなかったんだな、と実感する。

 

「ヒロ。来たばかりだからか、私にはまだ事情がよく分からないのだけど・・・・・・」

 

「それは僕もだよお母さん。レイさんの守護霊とか・・・・・・急にオカルトな事言われても」

 

大空博士はもちろんの事、ヒロも。

いや、俺も含めて全員が今起こったことに困惑していた。

 

「って。それよりも博士。早くパラダイスを止めないと」

 

「あ、ああ。そうだな」

 

メアの言葉で父さんが返す。

 

「メア。それとルナはレイを頼む。大空博士、お願いします」

 

「わかりました」

 

パラダイスの停止を大空博士に任せ、俺たちはレイが目覚めるのを待つことになった。

 

〜バンside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜???side〜

 

 

「はぁ・・・・・・」

 

意識を奥に引っ込めた私は、自分の領域で溜め息を吐いた。

 

「本当は手を出すつもりなんてなかったのだけど」

 

私の領域なため、ここでは私の好きに出来る。

魔法(・・)・・・・・・みたいだけど、別に魔法って訳じゃなくて、夢みたいな場所だから出来るってだけだしね。

 

「にしても・・・・・・守護霊か・・・・・・」

 

彼らに私は守護霊だと、言ったが厳密には違う。

別に私は守護霊、って訳じゃない。

ただ共存・・・・・・でいいのかしら?

私は・・・・・・・・・・今話すような事じゃないわね。

 

「・・・・・・だいぶ落ち着いて来たわね」

 

私の目の前には彼が。

レイが眠っていた。

周囲には安らぎを与え鎮静作用のある花々を。

正確にはこの領域全体が私の心象心理で写し出した花畑なのだけど。

発狂して危なかったところを強引に引っ張りこみ、なんとか精神崩壊だけは避けさせた。

普段の彼なら動揺したりしただけだろうが、今日は最悪過ぎた。

何故なら―――

 

「あの夢を見た後に、出会ったからね・・・・・・」

 

そう。

あの人が目の前で亡くなり、最後の言葉を聞いた夢を見たからだ。

そんな夢を見て数時間後に、死んだと思っていた人が生きていて、立ちはだかった。

さらにキラードロイドなどという憎悪の結晶のような物を作り出しとなれば発狂するのは当然だ。

何より、ここ1年のレイの動きは全て、あの人の意思を受け継いだから。

まぁ、私は視ていただけだけど。

今回も、本当なら手を出すつもりなんてなかった。

だが、彼らが傷付くのをレイ自身が許しはしない。

その為、私は入れ替わるように表に出た。

もっとも―――

 

「判断が遅すぎるわね」

 

呆れた言葉が口から出る。

レイならあの状況を予測していたはずだ。

敵も情報を更新しているのだから、同じパターンなんてあるはずないんだから。

まあ、彼らにレイを真似しろ、だなんて酷なこと求める必要なんてする必要もないけど。

 

「無茶も程々に。って言ったのだけどね」

 

(なか)からレイに話し掛けて言ったことあるけど、この子自身目標に向かって一直線だし。

 

「それにしても・・・・・・」

 

ふと、さっきの事を思い出す。

 

「さっきの包帯野郎・・・・・・体格があの人と違ったわね。それに気配も。似てはいたけど」

 

私が気づいたのだ。

感覚の鋭いレイなら、落ち着いた今なら気づいているはず。

もし、あの包帯人間がレイの追っている人なら・・・・・・・・・・

 

「はぁ・・・・・・運命っていうのは、何でこうも残酷なのかしらね」

 

椅子とテーブルを近くにイメージして作り出し、座って同じくイメージして作り出した紅茶と茶菓子を飲む。

 

「まぁ、それを私が言う資格なんてないか。だって―――」

 

もうそろそろで意識が覚醒するであろうレイを見つつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      私はひとつの世界を破滅させたんだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、儚げに呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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