ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩLⅥ 潜入、国防基地

 

〜レイside〜

 

―――水の中を漂っている。

そんな事を初めに思う。

もしくは無重力空間に居るかのような感覚。

 

「・・・・・・・・・・」

 

目を閉じて、脱力して流れに身を任せる。

そのまま思考の海に浸る。

 

「(はぁ・・・・・・みっともないなぁ・・・・・・)」

 

漂いながら一言思う。

 

「(タイミングが最悪。だったとはいえ、ああも発狂しちゃうなんて・・・・・・)」

 

自責をするように自問する。

 

「(あれじゃあ、LEXを信じてないみたいじゃない)」

 

僕のここ1年の行動はLEXの遺志を継いでのこと。

サターンでのあの言葉に、嘘偽りが無いのはあの場にいた僕と兄さんが一番判ってる。

なのに、ああも発狂するなんて・・・・・・

 

「穴があったら入りたい、かなー・・・・・・」

 

苦笑混じりに呟く。

だが、自分を責めるのはいつでも出来る。

今考えるのはこれじゃない。

 

「あの人・・・・・・気配がLEXじゃなかった」

 

そう。

今考えるのは、LEXに扮した何者かについてだ。

 

「声はあらゆる可能性があるから捨てきれないけど、気配だけは偽れないはず」

 

まぁ、武術の達人なら気配を偽ったり消したりすることが出来るのかもしれないけど。

僕が気配を察知できる理由は、なんとなく、の一言が大きい。

五感全てが鋭くなっているからなのか、なんとなく気配で誰なのか察する事が出来るのだ。

この五感が鋭くなり始めたのはここ1年ぐらいからなのだけど。

 

「でも完全に違うって訳じゃなくて、似ていたんだよね。LEXに。となると―――」

 

LEXと似た気配の持ち主。

そんなのどう考えても一人しか考えられない。

 

「・・・・・・あの人がキラードロイドを・・・・・・」

 

なんていうか・・・・・・運命っていうのは、残酷だな、の一言に尽きる。

 

「あの人を止めないと。絶対に」

 

こんなのLEXが望んでる訳ない。

そう決意をしていると、そこに―――

 

 

「そろそろ起きる時間よ」

 

 

と温かい。

優しい声が響き、水中から浮上させるような感覚が来た。

そのまま僕は引き上げられるように意識が浮上し―――

 

「ん・・・・・・」

 

ゆっくりと瞼を開けた。

どうやら椅子に座っているようだ。

瞼を開けると―――

 

「あ、起きたレーくん!」

 

「フミャッ!?」

 

超至近距離にメアの顔があった。

覗き込む感じで、もう数センチ近ければ唇と唇が合わさってキスするほどこ距離だ。

目を覚ましていきなり目の前にメアの顔があり、つい変な声を上げてしまった。

 

「ちょっと〜。いきなり人の顔見るなり変な声上げないでよー」

 

「いや、今のはどう考えても、ああなるような・・・・・・」

 

「私が一体どれだけ心配したと思ってるのよレーくんのバカ」

 

「なんでいきなり罵倒!?いや、心配かけたのは謝るけど僕にも何が何だかさっぱり理解不能。意味不明なんだけど!!?」

 

てか、何故僕は目覚めてそうそうメアにツッコミをしているのだろうか・・・・・・

そう思ってると。

 

「それがレイの仕事だから仕方ない」

 

とメアの隣にいたルナが、肩を竦めて告げた。

 

「ツッコミが仕事なんて嫌すぎるわ!!てか、なんで僕の思ってること分かったの!?」

 

「・・・・・・わかりやすいから」

 

「今の間はなに!?というか、わかりやすいって何!?」

 

「まぁまぁ。起きて早々そんなツッコミしてたらまた倒れるよレーくん」

 

「ツッコミさせてるのは2人だからね!?」

 

ハリセンでもあったらバシンと叩いていたであろうツッコミ。

シリアス展開からなんでこうも180度変わってシリアル展開になるのかな!?

てか、頭痛くなって来た。

右手を額に当て、しかめっ面をして今の状況を確認する。

兄さんや父さんたちは勿論のこと、ジンやジェシカたちもいる。

さらに、キラードロイドの姿はなく、あの人の姿もない。

どうやらキラードロイドを倒したも、あの人を捕らえることは出来なかったようだ。

そんな中、僕はひとり。知らない人がいるのに気づいた。

父さんと同じ白衣を着て、ぐるぐるメガネ?らしきものを着けたヒロに似た気配の女性。

 

「・・・・・・誰?」

 

その女性を見て、僕は一言そう発した。

 

「あ。僕のお母さんです。レイさん」

 

僕の問いにヒロが答える。

 

「ヒロのお母さん?なんでヒロのお母さんがここにいるの?」

 

状況がイマイチ呑み込めない。

一体僕が気を失っている間に何があったのやら。

ていうか、なんで僕は椅子に座ってるんだろ?

兄さんたちが座らせたのかな。

それと同時に疑問も浮かび上がる。

 

「頭痛い・・・・・・」

 

ちょっとクラクラするも椅子から立ち上がり、軽く伸びをして身体をほぐす。

 

「えーと。誰か状況説明。僕が気を失っている間、何があったのか全部」

 

僕が兄さんたちにそう訪ねると。

 

「悪いが、その話はダックシャトルに戻ってからにしてくれ」

 

「どういう事父さん?パラダイスのコントロールセンターはこのフューチャーホープ号で。パラダイスを止めたんじゃないの?」

 

「そうなんだが、事態が急変した。我々はこれから国防基地に向かい、カイオス長官と大統領を救い出し、ガーダインによるパラダイスの再起動を阻止しなければならない」

 

「はい?」

 

国防基地に向かって、カイオス長官と大統領を救いに行く。

で、ガーダインによるパラダイスの再起動を阻止しなければならない・・・・・・・・・・

父さんからのその僅かな情報から、次々と思考推理を繋げて行く。

やがて―――

 

「あー。なるほどね」

 

「レーくん?」

 

「レイ?」

 

「理解した。全ての黒幕は副大統領のアルフェルド・ガーダインだったってわけね。で、そのガーダインを捕えに行った長官が逆に捕まったと。で、そのガーダインは長官と大統領を連れて国防基地に向かった、と。国防基地に向かった理由は知らないけど、パラダイスを再起動出来る何かがあると・・・・・・。こんな所?」

 

「あ、ああ。正解だ。全部当たってる」

 

兄さんも父さんも。

その場にいる全員驚いた表情でコッチを見る。

あ、メアとルナだけは相変わらず思考が速い、って言ってるし。

 

「となると、時間もないわけか。んー・・・・・・フューチャーホープ号の管理はICPOにでも頼むか。長官が不在ならNICSは機能しないだろうし」

 

そう呟くと、すぐに端末を出してクリスさんに連絡する。

 

「あ。もしもしクリスさん?」

 

連絡すると1コールで出た。

 

『はいはーい。どうしたのレイくん?』

 

「クリスさん、今大丈夫ですか?」

 

『ええ。大丈夫よ?』

 

「実はICPOにお願いがありまして・・・・・・」

 

『??』

 

疑問符を浮かべるクリスさんに事情を説明する。

 

「―――と、いう訳でして。フューチャーホープ号をICPOにお願いしたいんです」

 

『なるほどね〜。判ったわ。ちょっと待っててくれる?』

 

「はい」

 

クリスさんはそう言うと、別のところに連絡してるのか通話越しから小さな声が聴こえる。

そのまま少しして。

 

『お待たせ〜』

 

と、クリスさんが戻ってきた。

 

『希望通り、すぐに手配するそうよ』

 

「ありがとうございます」

 

『イイのよ。レイくんは、副大統領が黒幕ならA国の警察機関に任せると証拠隠滅とかの恐れがあるから私らに任せたんでしょ?』

 

「ええ」

 

『それなら私らが適任ね。幾らA国の警察機関とはいえ、私らICPOにはそう簡単に手は出せないはずよ。まぁ、CIAとか出張ってこられたらコチラも対応しないといけないけど』

 

「フューチャーホープ号にはどのくらいで着きます?」

 

『最寄りの支部から派遣するから最低でも1、2時間は掛かるかしら』

 

「分かりました」

 

『ええ。あ、そっちは(から)にしちゃっても大丈夫よ。シリウスが率いてるから』

 

「え、シリウスさんが?」

 

『ええ』

 

なんでシリウスさんが率いているのか気になるが・・・・・・

何故か今シリウスさんの苦笑いが脳裏に浮かんだ。

苦労人が板に付いているからなぁ・・・・・・

 

「あー、分かりました。じゃあ、僕らは国防基地に向かいます」

 

『了解よ。何かあったらすぐに連絡するわね』

 

「お願いします」

 

クリスさんとの通話を切り。

 

「ていう訳で。ここの管理はICPOにお願いしたから。僕らは国防基地に行くよ」

 

「お、おう」

 

何故かコブラを筆頭に視線が唖然としてるが・・・・・・

 

「あ。ダックシャトルで全部聞くから父さんと兄さんは説明よろしく」

 

「あ、ああ」

 

「わかった」

 

そうして僕らとヒロのお母さんはダックシャトルに戻り、国防基地へ飛んでいくこととなった。

国防基地への道中、ダックシャトルからオタクロスとコブラが(コブラは父さんが協力して)国防基地の監視カメラをハッキングして情報収集をすることとなった。

 

「うおおおおぉ!!アタタタタタタタタ!「居たァ!!!」なぬぅぅっ!!?」

 

なんか競走みたいな感じだったけど。

てか、オタクロスのあの掛け声なんか違うような・・・・・・なんて言うか、使うところが。

 

「いひひ!俺の勝ちだ!バッチリ見つけたぜ!」

 

「ふぅん。伝説の超ハッカーオタクロスにコブラがハッキングで勝っちゃったのね?」

 

「アミたん、そんな目で見ないで欲しいデヨ!そもそも、山野博士が協力していれば早いのは当たり前デヨ!!」

 

「う、うるせぇな!?」

 

「・・・・・・負け惜しみ」

 

「グハッ!」

 

メアがトドメ刺しちゃった。

アミ姉の言葉に加えてメアからの一撃。

くの字に曲がるオタクロスに冷ややかな視線を向ける僕ら。

だって別に同情とか無いし。

 

「ぉぉ・・・・・・とにかく。コレが国防基地の監視カメラの映像だ」

 

頬をピクピクと引き攣りながら、コブラがモニターに入手した国防基地の監視カメラの映像を映し出す。

映像にはガーダインに連れられて大統領と長官が国防基地内の通路を歩いている姿があった。

大統領と長官の両脇をスーツを着た男2人が挟み込むようにし、さらに後ろにもう1人―――

 

「大統領・・・カイオス長官・・・・・・」

 

「やっぱりガーダインは、ここでパラダイスを再起動させる気なんですね」

 

「なんてヤツなの。私たち国民・・・・・・いえ、世界に対する裏切りだわ!」

 

「一番後ろの男・・・・・・オメガダイン総帥アラン・ウォーゼンの右腕ビショップだ。何故ヤツがここに?」

 

そう。

後ろの男はオメガダイン総帥アラン・ウォーゼンの右腕ビショップだった。

 

「・・・・・・アラン・ウォーゼンの姿がない?」

 

拓也さんと僕はビショップがいる事に疑問を持った。

そんな僕と拓也さんに。

 

「ん?」

 

「?」

 

同時に端末に連絡が入った。

拓也さんは部屋の後ろの方に、僕は端の方に移動して端末を取り出し通話する。

 

「もしもし?」

 

『もしもしレイさんですか?』

 

「レアさん?」

 

電話を掛けてきたのはクリスさんの部下のアストレアさんことレアさんだった。

 

「どうしたんですレアさん?」

 

レアさんから直接電話が来るなんて何気に初めてな気がするが。

そう思いながら訊ねると。

 

『レイさん、大変な事が起こりました』

 

「大変な事?」

 

『ええ。オメガダイン総帥のアラン・ウォーゼンが何者かに襲撃されて意識不明の重体です』

 

「なんですって!?」

 

「なに!?アラン・ウォーゼンが!?」

 

レアさんから告げられた事態に驚く僕と、離れたところで通話している拓也さんの声が響くのは同時だった。

どうやら拓也さんの方にも誰かからアラン・ウォーゼンの事が伝えられたようだ。

恐らく八神さんからだろう。

 

「それで、アラン・ウォーゼンの容態は?」

 

『緊急手術をしていますわ。幸いにも何者かの通報のお陰で、発見が早かったようで、救命措置のお陰で命を繋いでいる様子ですね』

 

「犯人は?」

 

『それについては・・・・・・・・・・リズなにか分かりましたか?』

 

『恐らく外部犯じゃなくて、内部による犯行だろうな。セキュリティがハッキングされた形跡とかはねぇようだ』

 

『だそうですわ』

 

「リズさんも一緒にいたんですね」

 

どうやらレアさんはリズさんこと、リーズリットさんと一緒に行動していたようだ。

 

『レイ。現在のオメガダインの状況を伝えるぞ。現在、オメガダインは警察によって立ち入りを封鎖していて、一般人は全員退去。オメガダインの職員は全員警察による事情聴取を受けている。もちろん、オメガダイン所属のテストプレイヤーも、だ。だが、2人だけ連絡のつかない人物がいる』

 

「2人?」

 

『ああ。1人はアラン・ウォーゼンの右腕ビショップ。そしてもう1人は、テストプレイヤーの風摩キリトだ』

 

「なに?」

 

ビショップは今国防基地に居ることが分かってるが、風摩キリトまで連絡つかないとは・・・・・・

それに、ビショップがガーダインといる事を踏まえると・・・・・・

 

『コッチからは以上だ。』

 

「わかりました」

 

『何か分かったら伝える。そっちも気をつけろな』

 

「ええ」

 

『レイさん。ご武運をお祈りしておりますわ』

 

「ありがとうございます」

 

リズさんとレアさんに激励されて通話を切る。

 

「レイ、そっちの連絡はなんだったんだ?」

 

「多分、拓也さんと同じだと思うよ」

 

「ってことはアラン・ウォーゼンについてか・・・・・・」

 

どうやら拓也さんに掛かってきた電話の内容もアラン・ウォーゼンについてで合ってたようだ。

 

「どうしたんだレイ?拓也さんも」

 

「八神から連絡があった。アラン・ウォーゼンが意識不明の重体だそうだ」

 

『『『『っ!!?』』』』

 

拓也さんの言葉に目を見開いて驚愕する兄さんたち。

 

「どういう事だよ!?親玉が意識不明の重体で、その右腕がガーダインと一緒に居るって」

 

「分からんが、ビショップはガーダインのスパイだったということだろう」

 

「今のオメガダインは警察によって立ち入りを封鎖して、職員とテストプレイヤーに事情聴取をしているらしい。ただ2人を除いて」

 

「2人?」

 

ジェシカの疑問に頷いて

 

「1人はビショップ。そしてもう1人は・・・・・・風摩キリト」

 

と答える。

 

「風摩キリト!?」

 

「ちなみに、アラン・ウォーゼンは今緊急手術してるらしい」

 

伝え聞いたことを話す。

その後、情報収集と一旦休憩のため解散となりヒロは大空博士と別室で話すそうでレクリエーションルームから出た。

で、その間に聞けなかったフューチャーホープ号で僕が気を失ったあとのことをブリーフィングルームで父さんと兄さん、メアやルナから聞いた。

 

「守護霊?」

 

「ああ。お前が気を失っている間、お前の身体を動かしていたのは、その守護霊というのだ」

 

「いや、守護霊とか言われても・・・・・・」

 

兄さんにいきなりそんな事言われても、どんな反応したらいいのか困る。

それに守護霊とか言われても・・・・・・

守護霊について反応に困りながらも話を聞いていき―――

 

「・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・」

 

全てを聞き終えた後、僕は呆れたように深い溜め息をした。

 

「ねぇ。この世界の大人。ていうか、特に研究者は僕らにどれだけ迷惑をかければ気が済むわけ?」

 

「っぅぐ・・・・・・!」

 

頬杖をしてその研究者の一人たる父さんをチラッと見て言う。

父さんに槍が刺さったような幻影が見えたけど、自業自得だし。

 

「・・・・・・大空博士にもO★HA★NA★SHI★するか」

 

今この場にいない大空博士に対して、そう呟く。

ていうか、一年以上たった一人の自分の子供を放置するって、それ親として。

いや、母親としてどうなのよ。

そう思ったのは絶対に間違いない。

放置されてよくヒロがあんな子に育ったなぁ、としみじみに思ったが・・・・・・なんか年寄り臭いな。

 

「よし。有限実行しよう」

 

すぐに端末を取り出し悪いと思うがヒロに連絡を取る。

 

「あ、ヒロ。お母さんと久しぶりの会話中悪いんだけど、今すぐこっちに来てくれる?」

 

『あ、はい。分かりました!』

 

「ゴメンね。ああ、お母さんも連れてね。てか、連れてきて」

 

『あ、あのレイさん?まさかと思いますけどお母さんにも・・・・・・?』

 

「さぁ、ね」

 

『レイさん!?』

 

「じゃあ、よろしく」

 

ヒロとの通話を切り、ヒロと大空博士が来るのを待つ。

 

「えっと、レイ?まさかと思うが・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

ランの問いかけに、僕はニコリと微笑んで返す。

 

「・・・・・・ご愁傷様ヒロ」

 

「いや、ヒロじゃなくて、ヒロのお母さんだから」

 

合掌するアスカにツッコむジェシカ。

メアとルナは苦笑していて、兄さんたちはヒロに同情するような表情をしている。

で、少ししてヒロと大空博士がやって来る。

 

「ゴメンねヒロ」

 

「いえ・・・・・・その、出来れば温情を・・・・・・」

 

「んーー・・・・・・無理♪」

 

「レイさぁん!!」

 

やってくるなりヒロに軽く謝る僕。

そしてその僕に涙目で泣き付いて返してくるヒロ。

 

「えーと?」

 

そんなヒロに困惑する大空博士。

そんな大空博士に、同じく研究者である父さんが。

 

「大空博士。どうか、気を確かに持ってくれ」

 

と、助言した。

 

「え、山野博士?それはどう言う・・・・・・?」

 

困惑する大空博士。

そんな大空博士に。

 

「さて、大空博士」

 

と、椅子に座ったまま大空博士に声を掛ける。

 

「いきなりで悪いんだけど・・・・・・」

 

「えと。レイ、君?」

 

困惑したままの大空博士。

巻き込まれないように距離を取る兄さんたちを尻目に僕はニコやかに微笑みながら。

 

「そこに、正座。してくれますか?」

 

と告げた。

 

「え。せ、正座???」

 

「はい。正座、です♪」

 

「え。ぇぇ?」

 

「お母さん、レイさんの言う通りにして。お願いだから」

 

「ヒロ?」

 

「あと、覚悟した方がいいから」

 

「は、はい??」

 

ヒロに言われて困惑しながら正座する大空博士。

その大空博士に。

 

「さて。それじゃあ、O★HA★NA★SHI★実行します♪」

 

と微笑みながら言った。

 

「うわぁ。レーくんいい笑顔だぁ」

 

「あははは。新たなトラウマ被害者出たね」

 

離れたところでメアとルナがそんな事を言っていたが。

スルーして僕は大空博士にO★HA★NA★SHI★をする。

O★HA★NA★SHI★した内容は省略するけど、約30分後―――

 

「ヒロ・・・・・・本当にゴメンなさい・・・・・・!!」

 

ヒロに大泣きしながら謝罪している大空博士の姿があった。

 

「レイさんやり過ぎですよ!!?」

 

「いやこれでも手加減してる。・・・・・・父さんの時よりは・・・・・・」

 

「基準値が違いすぎませんか!?」

 

「それに、ヒロも正直に言いたい事。ひとつやふたつ、あるでしょ?」

 

「それは・・・・・・・無いといえば嘘になりますけど・・・・・・」

 

親の威厳など微塵もない大空博士(母親)にヒロは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。

 

「さて、全員揃ったし情報整理と行こう。―――父さん」

 

そんな大空博士を無視して父さんに視線を向ける。

 

「あ、ああ。いや、この状況で、でか・・・・・・?」

 

引き攣り笑いをしている父さん。

 

「あー。宇崎君」

 

「―――全ての黒幕がガーダインだと判明したことで、様々な謎がひとつに繋がってきた」

 

開始の合図を切るように拓也さんが言う。

 

「私がディテクターとして起こた全ての事件は、パラダイスのことを君たちに伝えるためだった。その過程で、アルテミスでの大統領暗殺計画にも気づくことが出来た。私一人では阻止できなかった。バンとヒロのお陰だ」

 

「?!もしかして・・・・・・水中の敵が突然爆発したのって父さんが?」

 

「・・・・・・そうだ」

 

兄さんが思い出したように言う。

そう言えば兄さんが、二つ目のアンテナを護衛していた[ナズー]が突然爆発したって言ってたっけ?

 

「あの事件のずっと前から、オメガダインとガーダインは接点があったと考えるしかないな」

 

「そうか・・・だからあの時・・・・・・!」

 

「あそこで気付けていれば・・・・・・。まさか今朝レイが言った通りだとはな」

 

「ホントにね」

 

僕もまさか当たってるとは思わなかった。

拓也さんが僕を見て告げる。

 

「・・・・・・しかし。檜山君が生きていたとはな・・・・・・」

 

「LEX・・・・・・」

 

父さんと兄さんが悲観そうに呟く。

 

「アレが本当にLEXかどうかはまだ分からないよ」

 

「え?」

 

「なに?」

 

2人に向かって言うと、兄さんたちの視線が僕に集まる。

 

「もし僕の考えている人物なら・・・・・・・・・・・・。いや、なんでもない」

 

今話しても余計混乱させるだけだ。

それに確かな確証があるって訳じゃない。

けど、僕自身、ほぼほぼあの人物の正体について確信していた。

 

「ゴメン。続けて父さん」

 

「あ、ああ。ガーダインは、檜山君がこの世界に抱く憎悪さえ、利用しているんだろう。その最たるものが、キラードロイド。あの怪物は、憎悪そのものだ」

 

確かに、キラードロイドは憎悪の塊。

いや、負の結晶とも言うべき物。

 

「私は、ブリントンで初めてキラードロイドを見た時、恐れを感じた。その憎悪に。だから、一人での戦いに限界を感じ、キャンベルンで仮面を脱いだのだ」

 

「博士。バンたちとずっと一緒だったにも関わらず、ディテクターが変わらずブレインジャック宣言をしていましたが、あの時の仮面の男は?」

 

「もちろん録画だ」

 

拓也さんの問いにカズ兄が答えた。

 

「録画?」

 

「俺が流した」

 

「つまり、カズはその時点ですでに協力者だったんだな?」

 

「ああ」

 

「ということは、メアも?」

 

「まあね」

 

拓也さんの言葉を肯定するカズ兄に、アミ姉の疑問に頷くメア。

 

「さっきのも正確には、アルテミスでバン兄とヒロさんの援護をしたのはカズ兄なんだけどね」

 

「え!?」

 

「そうだったのか!?」

 

メアの衝撃発言に驚く兄さんとヒロ。

なんなら僕も驚いている。

だって、昨日そんなの聞いてないもん!

 

「ああ。博士に言われてお前たちのサポートをな。万が一の時のために追随したが、何とかなったようだ」

 

安堵してるカズ兄の様子からかなりギリギリだったのが伝わる。

 

「じゃあ、カズ兄とメアもアルテミス会場に居たってこと?」

 

「ううん。アルテミス会場に居たのはカズ兄だけ。私はホテルでカズ兄のサポートだよ。アルテミスに行ったらレーくんに見つかっちゃうし」

 

「そ、それはまぁ・・・・・・」

 

確かに。

こう言っちゃなんだが、メアを僕が見間違うなんて絶対に有り得ない。

幼い頃からずっと一緒だったからか、例えメアが変装していたとしてもすぐに分かると自信がある。

ちなみにだが、今のカズ兄と僕の記憶にあるカズ兄は容姿(筋肉)が違いすぎるので、判るは分かるが、本当にカズ兄本人かどうか半信半疑になる可能性が大である。

いや、だって。今のカズ兄、筋肉ムキムキのワイルド系なんだもん!!

 

「そうなると、カズ兄はどこに居たの?気づかなかったよ」

 

「ん?まあ、髪型変えて変装してたからな。お前たち。特にレイには気づかれないようにするのに苦労したぜ」

 

「なんで僕?」

 

「だってお前。視線とかに敏感だろ?しかも、直感高いし」

 

「いや、さすがに今のカズ兄を判別出来るかどうかは・・・・・・」

 

カズ兄の言葉に僕は微妙な表情で返す。

そこにランがカズ兄に。

 

「ブレインジャック宣言が録画なのは分かったけど、なんであんな沢山のLBXで襲撃してきたわけ?」

 

と訊いた。

 

「いや、アレは俺じゃない」

 

「言っとくけど、私や博士でも無いよ?」

 

「オメガダインの仕業だ。ディテクターを揺さぶるのが目的だったんだろう」

 

「ということは、オメガダインはブレインジャックと同じ事が出来る、ということだよね」

 

「ああ」

 

今の父さんの言葉で、オメガダインによって全てのLBXに搭載されてるMチップ。それは下手をしたらオメガダインによって、オメガダインの手足となることに成りうるということが証明出来た。

 

「とにかく、ガーダインは追い詰められて必死だ。何をするか分からないぞ」

 

コブラの言う通りだ。

だが、本当に追い詰めてるのかどうかは解らない。

ガーダインが国防基地に向かったのは、本当に宇宙衛生管理センターでパラダイスの再起動をするためなのか。

そんな僕の疑問を浮かべてるとヒロが。

 

「大丈夫です!こうしてみんなが集まったんです。どんなことがあっても、僕たちは負けません!!ジェシカさん!」

 

「っ!」

 

「長官も大統領も絶対に助け出しましょう!」

 

「・・・・・・!」

 

ヒロの言葉に力強く頷くジェシカ。

 

 

『まもなく国防基地レーダー圏内に接近するモ』

 

 

そこにダックシャトルを操縦しているメタモRの声が響き渡った。

 

「オタクロス」

 

「ほぉーい。来たデヨ」

 

オタクロスが端末を操作すると、モニターに国防基地とその周辺の地図が表示される。

 

「ちゃーんと、レーダーに掴まらないルートを探しておいたデヨ」

 

国防基地をまるで迷路のような渓谷が囲み、その内のひとつの道を赤い矢印が示していた。

 

「なるほど、渓谷か・・・・・・この間を通っていくわけだな?」

 

「デヨ!」

 

「よし。作戦開始だ!」

 

拓也さんの号令で僕らは国防基地に潜入し、長官と大統領の救出及びガーダインの野望を阻止するために動き出した。

渓谷の間を通っていき、レーダー圏内ギリギリまで接近。

そこからはダックシャトルではなく徒歩で移動することになった。

チームを3チームに分け、僕、兄さん、ヒロ、ラン、父さんのチームに、メア、ジン、アミ姉、カズ兄、コブラのチーム。ルナ、ジェシカ、ユウヤ、アスカ、拓也さんのチームだ。

別れる際、万が一何があった時のため、レオンさんから渡されていた閃光音響弾(フラッシュバン)を渡した。

使うことがないのが一番だけど、万が一のためだ。

ちなみにオタクロスと大空博士はダックシャトルでバックアップだ。

僕らが国防基地に潜入するためのメインダクトに到着するまでに、宇宙衛生管理センターまでへのルートを解明してくれてるらしい。

まぁ、正直にオタクロスについては不安だが・・・・・・

大空博士がいるし大丈夫だろう。・・・・・・多分。

メアやルナたちと分かれて端末に表示されるルート通りに進んで行く。

渓谷の道は舗装されてはいないが、歩きにくい道というわけではなかった。

僅かな草木と渓谷を流れる水で涼しい空気だ。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「随分と警戒してますねレイさん」

 

周囲を警戒しているとヒロが訊ねてきた。

 

「多分、兄さんたちが倒した警戒用LBXはすでに向こうも知ってると思う」

 

ダックシャトルが着陸した際、不意打ち気味に警戒LBXが3機編成で飛んできたのだ。

それの対処は兄さんとヒロ、ランがしたのだが、何時また飛んでくるかわからないため油断出来ない。

そのまま警戒を怠らずに進んで行きしばらくして、オタクロスからメインダクトから宇宙衛生管理センターへの侵入経路が割り出せたと連絡があった。

オタクロスから侵入経路を聞き、通信が切れる際、やったのは私だけど、という大空博士の声が小さく聞こえたのだが・・・・・・

通信が切れると、兄さんの端末先から

 

『LBX?!』

 

とユウヤの声が響いた。

それとコブラのなに?!と言うと、すごい数よと言うアミ姉の声も。

どうやらLBXと邂逅(エンカウント)したようだ。

 

「っ!兄さん、父さん、ヒロ、ラン隠れて」

 

小さな機械音が耳に入り、兄さんたちに言いすぐに隠れる。

機械音のした方には3機のLBXが銃を持って辺りを見渡していた。

 

「僕たちを探しているんですかね」

 

「だろうね」

 

兄さんたちがあのLBXを倒したことで警戒レベルを上げたのかもしれない。

このまま真っ直ぐ行くと確実に見つかる。

どうするか―――

 

「っ。彼処から行こう」

 

父さんがすぐ傍にあった裂け目の道を指差し、僕らはそこから行くことにする。

メアやルナたちのことを心配しつつ、慎重に進んで行きついに僕らは国防基地へ侵入するためのメインダクトの前へと辿り着いた。

メインダクトはファンが回っていたが、兄さんの[エルシオン]が内側に潜り込んでファンを止め、止まったプロペラの隙間から国防基地へと侵入した。

宇宙衛生管理センターへの侵入経路は正直危ない道のりだが、施設が大きいため、自然とダクトなども通常より大きいので僕らでもなんとか潜入出来た。

配管の上からダクトに侵入。

ダクトも這い蹲るのではなく、普通に立って走れるほど。

横は僕らが4、5人は優に並べる程で、高さは3M近くまである。

正直、ここまで大きいダクトとか見たことない。

這い蹲って行くのかと思っていたから少し驚いている。

僕らはそのまま兄さんの先導の元、次の目的地格納庫へとダクトの中を走っていく。

ダクトの出口の金網を開け格納庫の様子を見る。

どうやら気付かれてはいないようだが、見るだけでも軽く数十人の人がいる。

 

「オタクロスの言っていた通り、すごい警備の数だな」

 

「どうやって行きますか?こんなに人が多いんじゃ、どこを通ったってすぐに見つかっちゃいますよ」

 

「・・・・・・」

 

事実そうだ。

隠れられるところも余りないし・・・・・・

悩んでいるとランが。

 

「アレしかないね」

 

すぐ下にある航空機の翼を指さした。

 

「なるほどね。アレの上を通っていくってことね」

 

確かに人の視野角は両目で水平約150度~200度。垂直約120度~130度ほどで、全体は広くても、文字などをはっきり認識できる中心視はわずか1〜2度の狭い範囲だ。

周辺視野では物の存在や動きは分かるが、形や色はぼやけて見え、視線の中心。中心視が最も鮮明に見える部分となってる。

つまり、余程のことで上を見なければ僕らが居ることは気づかれない。

あの航空機は水平200度以上。

それに全員あのヘルメットを被っているから視野角はさらに低いはずで、首を上げなければ上は見えないし、這い蹲って動けば見つかる確率は低い。

 

「降りたらすぐに這い蹲って。僕が先に行くから後からついてきて」

 

「ああ」

 

「わかった」

 

「はい」

 

「気をつけるんだぞ」

 

「うん」

 

周囲を見渡して大丈夫なのを確認して小さく。

物音を立てないように降りてすぐに這い蹲る。

下から兄さんたちにジェスチャーで降りてくるよう指示して、兄さんたちが降りてくるのを確認して這い蹲って航空機の上を進む。

 

「これなら見つかりませんね」

 

「でしょ?」

 

「2人共静かに」

 

ヒロとランが小声で喋るのを注意する。

辺りに音が響いているとはいえ、聞かれてる可能性もある。

ゆっくりと慎重に進み、最後の航空機の上から見渡し、誰もいないのを確認して小さく立ち上がり上からタラップを伝って降りて行き、目的の航空機がある場所の近くにまで行き。

 

「アレ?」

 

「ああ」

 

兄さんに確認して再度周囲を確認して一気に航空機へと掛けていく。

だが―――

 

「ぅわっ・・・・・・!」

 

ヒロが足元にあった何かの装置につまづいて転んでしまった。

 

「っ!」

 

「侵入者だ!!」

 

しかも最悪なことにその音で警備の人に気づかれてしまった。

 

「ちっ!」

 

あと少しのところで見つかり思わず小さく舌打ちが出る。

 

「侵入者発見!!」

 

「見つかった!」

 

「急げヒロ!」

 

見つかったことに驚くヒロに急かしながら、鞄から閃光音響弾を取り出そうとする。

だがその前に―――

 

「「「「「うわぁぁっ!!!」」」」」

 

こっちに向かってくる警備の人の前に上から大きなコンテナが落ちてきた。

 

「え!?」

 

いきなりコンテナが落ちてきたことに驚き、視線を上に向けるとコンテナを掴んでいたであろうアームに見慣れたLBXが佇んでいた。

 

「[トリトーン]!?」

 

「ってことは!!」

 

繰主たるジンを探すとジンだけでなく、ルナやジェシカたちも僕たちが通った航空機の上にいた。

 

「バンくん、ここは引き受けた!」

 

「早く行って!」

 

「先は任せたよレーくん!」

 

「パパは頼んだわ!」

 

「私たちなら大丈夫だから先に行ってレイ!」

 

「ああ!!」

 

「みんな気をつけて!!」

 

ジンやジェシカたちに激励されて僕らは格納庫から宇宙衛生管理センターへとプラットフォームに乗って移動していく。

移動してる最中、国防基地全体に響き渡るほどのアラートが鳴り響いた。

どうやら完全に僕らの侵入が認知されたようだ。

 

「ったくもう。ドジなんだから」

 

「すみません・・・・・・」

 

「全く。ジンたちのおかげで何とかなったけど危なかったわ」

 

「ホントすみません・・・・・・」

 

ジーっとした目線でヒロに言う。

ジンがあと少しコンテナを落とすのが遅かったら閃光音響弾を使うつもりだった。

使っても閃光によってしばらくは目を眩ませることは出来るたはずだし。

少ししてプラットフォームが目的地に着き、僕らは壁面沿いの非常階段を登って宇宙衛生管理センターへと向かった。

だが、宇宙衛生管理センターと思わしきドームの前で僕らの前にアーマースーツを着た人物が立ちはだかった

 

「侵入者ども、ここで終わりだ!!しかし、お前たちのような子供だとは・・・・・・。俺はLBX実験部隊【ファイアースイーツ】のリーダー、ジャック・ジェラート中尉。なんのつもりか知らんが拘束させてもらう!!」

 

「っ!」

 

ジャック・ジェラートと名乗った人物がDエッグを取り出したのを見てすぐさま距離を取る。

 

「っく!」

 

幸いにも父さんの近くにいた為、Dエッグのエネルギーフィールド膜に取り込まれる前に距離をとることが出来た。

だが、兄さんとヒロ、ラン、父さんはジャック・ジェラート中尉のDエッグのエネルギーフィールドに取り込まれてしまった。

 

「兄さん!」

 

つい咄嗟に身体が反応して距離を取ったが・・・・・・

これで兄さんたちはジャック・ジェラート中尉とのバトルに戦って勝たないと出られなくなった。

 

「時間が無い。僕一人でも・・・・・・」

 

Dエッグによるエネルギーフィールドを通り抜けて宇宙衛生管理センターへ向かおうとする。

しかし―――

 

「そこから先は行かせませんよ」

 

「っ!?」

 

僕たちが駆け上がってきた階段から僕を制止する声が響いてきた。

視線を向けると、そこにはジャック・ジェラート中尉と同じアーマースーツを着た人が立っていた。

 

「ジャックと挟み撃ちの予定でしたが、いやはや危機を察知してDエッグのエネルギーフィールド展開範囲外に逃れるとは・・・・・・流石の反応速度ですね」

 

「・・・・・・!」

 

階段を登りながら喋る人物に僕は目が離せなかった。

油断出来ない気配を纏っていたから。

その人物は階段を登り終え、僕の横を通り過ぎると前に立ちはだかった。

 

「まさかこんな所で貴方に会うとは思いもしませんでした」

 

「僕を知っているの?」

 

「ええ。欧州地区(ヨーロッパエリア)チャンピオンにしてアルテミス準優勝の山野レイを知らない人なんていませんよ」

 

苦笑しながら言うその人物。

その人物は胸に手を当てお辞儀をした。

 

「はじめまして。僕はLBX実験部隊ファイアースイーツの副リーダー、クイーン・シャルバート中尉。貴方がなんのつもりでここまで来たのか知りませんが、国防のため貴方を拘束させていただきます」

 

「っく!」

 

どうやら逃げることは出来ないようだ。

クイーン・シャルバート中尉と名乗った人物に僕は自分のDエッグを投げつけて、エネルギーフィールドを展開する。

 

「ほう」

 

これで僕も兄さんたちと同じ状況になった。

違うのは自分から展開したということだけど。

バトルフィールドを挟んで立つ僕とクイーン・シャルバート中尉。

 

「クイーン・シャルバート。その名前、聞いた事あります」

 

クイーン・シャルバート中尉を見て僕は以前見た記録データを思い出す。

 

「クイーン・シャルバート。第1回アルテミスの優勝者と同じ名前。そしてA国リーグチャンピオンの初代チャンピオン」

 

そう。

僕の記憶が正しければ、クイーン・シャルバートはアルテミスでの初代優勝者にして、A国リーグチャンピオンの初代覇者だ。

 

「まさかこんな所で有名人に出会えるなんて・・・・・・」

 

こんな状況でもなかったらサインのひとつぐらい貰いたいところだ。

何せ第1回アルテミスの情報はあんまりないのだ。

まぁ、元々アルテミス参加者情報自体アレだし。(去年の父さん)

 

「懐かしいですね。覚えている人がいるなんて光栄です」

 

「それは僕の台詞です。まさかこんな所で会えるなんて思いませんでした」

 

「ええ。ですが、今は敵同士。自分は国防基地の防衛のため、貴方の前に立ちはだらかせてもらいます。行きなさい[プロト・U]!!」

 

クイーン・シャルバート中尉が出撃()したLBXは白いカラーリングに塗装された航空機というより、ロケットを思わせるような外観をしたLBXだった。

頭部の右眼部分にモノクル上センサーやインカム。

背面に大型ブースターがあり、ブースターには印字されたファイヤースウィーツ隊のロゴらしきものが描かれている。

武装はナイフのような片手剣が二刀の二刀流。

 

「なにこのLBX・・・・・・」

 

はじめて見たLBXだ。

 

「さぁ、どうしますか?大人しく捕まります?」

 

「そうはいかない!大統領と長官を助けガーダインの野望を止めるために、貴方を倒す!!疾く来たれ―――[エレボス]!!」

 

自分に気合を入れるように声を上げて相機たるエレボスを出撃させる。

バトルフィールドたる城壁にて互いのLBXを向かい合わせる。

 

「さぁ、戦闘開始です!!」

 

「零から始めて、零で終わらせましょう!!」

 

同時に告げた言葉と同時にそれぞれのLBXが動き出し、バトルフィールドの城壁で互いの武装がぶつかりあった。

 

 

 

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