ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 ⅩLⅦ 山野レイVSクイーン・シャルバート(前編)

 

〜レイside〜

 

 

「さぁ、戦闘開始です!!」

 

「零から始めて、零で終わらせましょう!!」

 

同時に告げた言葉と同時にそれぞれのLBXが動き出し、バトルフィールドの城壁で互いの武装がぶつかりあう。

立ちはだかるのは、LBX実験部隊ファイアースイーツのクイーン・シャルバート中尉の[プロト・U]。

あんなLBX見たことないし、性能も未知数だ。

兄さんたちの方がどうなっているのか気にはなるが、相手は初代アルテミス優勝者にして同じく初代A国リーグチャンピオン覇者。

正直僕が勝てる確率は半々と言ったところだろう。

武装は互いに双剣。

プロト・Uはコンバットナイフのような片手剣二本。

対する僕の[エレボス]は黒と白の長剣『ノワール』と『ブラン』。

ぶつかり合った感想は、スペックはほぼ互角、と言った感じだろう。

ブリントンで父さんが調整してくれたお陰で互角、って感じだ。

未調整のままだったら恐らく押されてた。

だが、調整済みを加味しても―――

 

「(強いっ!)」

 

プレイヤー自身のスキルやテクニックもあるのだろうが、プロト・Uのパワー、スピードは通常のLBXより高い。

実験部隊ってだけあり。かなり高性能なLBXを使っている。

ギリギリとところで反応してプロト・Uの攻撃を防いでいるが・・・・・・

 

「(これ、相手の動きが先読みしにくい・・・・・・!!)」

 

無茶苦茶にも程がある、と言いたいほどの機動力のプロト・U。

バトルフィールドの城壁の特徴を利用して三次元攻撃を仕掛け、背後の死角から仕掛けるが―――

 

「無駄です!」

 

「っ!?」

 

正面を向いていたプロト・Uの胴体部が、急に回転して真後ろに向き、『ノワール』で突きを放ったエレボスの攻撃を受け止めたのだ。

普通のLBXでは有り得ない駆動だ。

 

「え。な、なに今の!?」

 

瞬時にパターンを変更して距離を取る。

またしても回転・・・・・・いや、変形・・・・・・変形でいいのかな???

有り得ない駆動をして元に戻ったプロト・Uを視る。

決まりはしなくとも、ある程度のダメージぐらいは与えられるはずだと思っていたのだが、その目論見が外された。

有り得ない駆動の動きに困惑していると。

 

「今のは【高次元多関節機構】というものです」

 

とクイーン・シャルバート中尉が告げた。

 

「高次元多関節機構?」

 

「ええ。コアスケルトンに高い可動範囲を持つ、独自の特殊関節を採用しているんです。これによって、従来のLBXとは一線を画す動作。先程のような駆動が可能なのです」

 

自らプロト・Uについて語るクイーン・シャルバート中尉。

 

「それ、僕に話しても良いんですか?」

 

緊張感のない空気になりかけ、思わずジト目で見てしまう。

僕の問いにクイーン・シャルバート中尉は。

 

「ええ。それにこのLBXの機構はジャックの[プロト・I]にも搭載されています」

 

「!?」

 

「お察しの通り、今貴方のお仲間を相手しているファイアースイーツ隊のリーダーのLBXです。ひとつ、ジャックについてお教えしましょう」

 

左手の人差し指を立て、苦笑しながらクイーン・シャルバート中尉は告げる。

 

「彼は僕が今まで戦ってきたプレイヤーの中でも3本の指に入るほどの猛者です。勝てる見込みはほぼほぼ低いですよ」

 

「それはまるで、兄さんたちが勝てない、って言ってるみたいですね」

 

少しムッ、として言い返す。

そんな僕にクイーン・シャルバート中尉は。

 

「ええ」

 

と、さもありなん、と答えた。

 

「LBXバトルに絶対はない、それはLBXプレイヤーなら誰もが知っている事のはずですけど?」

 

絶対に勝てる。絶対に負けない。という"絶対"はLBXバトルにはない。

勝てるとわかっている相手に負ける事もあるし、絶対に負けないと確信している相手に確実に負けることもある。

戦略と策略。

LBXバトルにおいて最も重要且つ、大切なもの。

そして、なにより時の運が重要。

僕が欧州地区(ヨーロッパエリア)チャンピオンになれたのだって運が大半だし。

 

「そうですね。ですが、ジャックに勝つ確率はかなり低いです。それはもちろん、僕にも言えますよ」

 

「へぇ・・・・・・」

 

そう言われると―――

 

「面白くなってきた・・・・・・!!」

 

「っ!?」

 

ニヤッ、と笑みを浮かべる。

勝つ確率の低い相手に勝つ大番狂わせ(ジャイアントキリング)

燃え滾った興奮してくる。

『ブリュンヒルデ』の時もそうだった。

ただ、勝つことだけを目指して登り続けていた。

頂点なんて未だ見えず。

僕にとって、全ての戦いが通過点に過ぎない。

今の一先ずLBXバトルで目指すはLEXと同じ所まで。

予感だけど、LEXの強さはあんなもんじゃないって気がする。

あの戦いの時、LEXは自分で作った必殺技を使ってなかった。

もちろん、[イフリート]の使った【プロミネンスレイド】や【ヴァルゾダーズ】もLEXが作った技なんだろうけど、僕が受け継いた必殺技をひとつも使わなかった。

LEXが作り出し編み出した必殺技は兄さんの【超プラズマバースト】をはじめ、僕の【ヴォーパル・ストライク】、【スターバースト・ストリーム】の他に、数多くある。

その中にはもちろん格闘系の必殺技もあった。

なのに使わなかった。

コレについて僕はずっと考えている。

けど、答えを考えても答案がない。

暗中模索な状態だ。

いつか、分かるかもしれないそんな期待をしている。

けど、もしかしたら"あの人"なら。

そんな仄かな期待もしている。

 

「クイーン・シャルバート中尉。さっき勝つ確率がかなり低い、っていいましたよね」

 

「ええ」

 

「なら、その確率は僕には当てはまらないということを知ってくださいね――!!」

 

言うやCCMを操作してエレボスを一気に加速。

不意打ちに近い感じでプロト・Uに一撃を与える。

 

「!?」

 

「それと、兄さんたちが勝つ見込みは低いとも言ってましたけど、そんなのやってみないと分からないじゃないですか」

 

ヘルメットのバイザー越しに、目を見開くクイーン・シャルバート中尉に不敵な笑みを浮かべて告げる。

確かに苦戦するかもだけど、向こうには兄さんだけじゃなくヒロやランもいる。

なにより、父さんがいるのだ。

何となくだけど、このプロト・Uや、さっき言ってたプロト・Iってやつ、父さんが開発・関与したものじゃないかな。

いや、だってLBXに高次元多関節機構なんていうもの組み込むなんて父さん以外考えられないし。

9割ほど父さんじゃないかと思っている。

残りの1割は・・・・・・・・・・・・わかんない。

ただの"勘"だし。

ただの勘だが、どうしても父さんじゃないか、というのが拭えない。

何より、この世界で父さん以上にLBXについて詳しい人なんていないでしょ。

・・・・・・・・・・・・・・よし。父さんには後でまたO★HA★NA★SHI★しよう。

父さんには常識というものや、限度というものについて頭に・・・・・・いや、身体に叩き込まないとダメらしいから。(当人が一番常識や限度が外れていますBy作者)

 

「?」

 

今なんかとてつもなく失礼なこと言われた気がするけど・・・・・・

まぁ、それは置いといて、今はこのプロト・Uを倒すことに集中しないと。

妙な感覚を微妙に感じつつも、雑念を切り払い目の前の相手に集中する。

 

「・・・・・・」

 

ピッピッピッピッ、とCCMを高速でタップしエレボスを手足のように動かす。

だが、さっきのような一撃は与えられてない。

あの一撃で警戒心を高めたのか、エレボスの斬撃を尽く打ち消していく。

背後に回りこんでも、高次元多関節機構による機構変形で受け止め反撃してくる。

しかも背後のブースターにより機動力の推進が高い。

紙一重、の言葉が正しい現状だ。

先読みが出来ない。

予測不能な攻撃。

けど、それが僕を引き立てる。

 

「(ああ。面白いし楽しい。こんな状況なのに楽しんでいる(・・・・・・)という不謹慎がある)」

 

声出さず、心の中で呟く。

上からの攻撃を滑らすようにして避ける。

けど高次元多関節機構によって、強引に反対側から横薙ぎをしてくる。

その薙ぎによる勢いを利用して背後に回り込むが、またしても腰部が高次元多関節機構によって変形して背後からの一撃を正面で受け止める。

受け止められるのと同時に、エレボスの右脚で蹴り飛ばす。

今度はこの蹴りを食らい、城壁の壁へと吹き飛ぶプロト・U。

壁に当たることなく、その前で体勢を立て直して降り立つ。

 

「さすがです。このプロト・Uにここまで食いつくなんて」

 

「僕は諦めが悪いんで」

 

クイーン・シャルバート中尉の皮肉に肩を竦めて言い返す。

この諦めが悪いのは兄さんもだし。

兄弟揃って諦めが悪い。

ま、諦めたら意味無いしね。

そう思いながらエレボスの武装を双銃に変えてプロト・Uに放つ。

直接プロト・Uを狙うのではなく間接的に。

牽制目的でバラ撒く。

プロト・Uもバラ撒かれた弾丸を自分に当たりそうな弾丸のみを双剣で斬り払い、エレボスに接近してくる。

 

「っ」

 

エレボスをバックステップで下げながら距離を取る。

だが、瞬間加速はプロト・Uの方が高いのか、距離が徐々に縮まる。

一気に肉薄して右の刃を振り下ろしてくるが、双銃で受け止めそのまま弾き飛ばし、死角から銃口を向けるが高次元多関節機構でそれもすぐに反応される。

高次元多関節機構による回転と、同時に振るわれた左の剣がエレボスに迫るが左の銃身で受け止め勢いを殺しながらその場から吹き飛ばされる。

吹き飛ばされながら武装を双銃から双剣に変え、城壁の壁面に足を付け、勢いをそのままにプロト・Uへ飛び掛る。

 

「なっ!?」

 

「はあぁっ!!」

 

一瞬、虚を突かれたようにタイミングがズレるのを見ながら右の黒剣『ノワール』で突きを放つ。

ギチギチ・・・・・っ!!と鍔迫り合う剣と剣の音が響く。

けど、今ので―――

 

視えた(・・・)・・・・・・!!」

 

ズレを視た。

どんなに高性能なLBXといえど、繰者は人間。

予想外な動きをすれば、一瞬動きが止まる。

そこに隙がある。

完全にとはいえないが、動きのパターンは視た。

これならイける。

けど、油断はできない。

心に油断大敵の文字を刻みつつ連撃を仕掛ける。

地に足が着いたら今度は左足て足払いをする。

プロト・Uはそれを小さくジャンプして避ける。

そこに、今度は右脚で回し蹴りをする。

小さくジャンプしたとはいえ、空中で出来る動きは限られている。

しかもそれが至近距離なら尚更。

左足払いを軸に右脚でプロト・Uの胴体部を蹴りつける。

予測出来ない動きなら、次に何をしてくるのか予測すればいい(・・・・・・・)

予測不能を予測する。

兄さんやジン。

海道義光、神谷コウスケ、LEX。

オタクロスにマダム。

ブリュンヒルデにアルテミス等、数々の大会で当たったプレイヤーたち。

その今までの戦闘経験値が今、僕を生かす。

なにより、僕を生かし、予測する大半は"勘"。

直感だ。

五感だけじゃダメだ。第六感も使って予測演算する。

クイーン・シャルバート中尉に比べたら、戦闘経験は少ないかもしれない。それでも世界各国の強豪と戦い、戦い抜いた知識と経験が発揮される。

胴体部を蹴りつけるが、勢いが足りなかったのかそこまで飛ばされず、すぐに体勢を取り直して反撃(カウンター)をしてくる。

バックパックのブースターで加速し、エレボスを乗り越えるやお返しと言わんばかりに右後ろ回し蹴りをする。

瞬時に蹴りの軌道から避け追撃に対処する。

プロト・Uは後ろ回し蹴りから、回転の勢いをさらに加速させ左の剣で切り払ってくる。

避ける間もないため、すぐに左の白剣『ブラン』で掬い上げるように、剣がぶつかるタイミングを合わせて跳ね合わせ、互いに距離を取る。

距離を取るも、次の瞬間には互いの剣をぶつけ合い、高速の近接戦闘に突入していた。

右突きを『ブラン』で逸らし、しゃがんで死角に入って右足払いをする。

右横に倒れるプロト・Uは、倒れながら右の剣を投げつけてくる。

 

「っ!」

 

咄嗟に追撃を避け、『ノワール』の腹で受け止め弾き飛ばす。

その間にプロト・Uは空いた右手をフィールドの草地に付けて右手をバネに剣の間合いから逃れ、弾き飛ばされた自身の剣を取り返す。

取り返すやそのままプロト・Uはブースターを効かせて上から飛び降りてくる。

受け止めるのではなく、射線から避ける事で回避する。

そのままドンッ!という着地音と土煙で視覚が阻害される。

すぐ側の城壁の上に飛び上がり、土煙から出る。

出るや、プロト・Uが真横から一直線にエレボスへと飛び掛ってきた。

それを見て、やられた!と判った。

僕の動きを予測して上からの強攻撃で土煙を発生させたのだろう。

土煙の蔓延する中では上手く動けない。

そのため、逃れるためすぐ側にある城壁の上へと飛び上がる、と。

迫り来る剣先を咄嗟に『ノワール』と『ブラン』でクロスブロックをする。

だが、完全には勢いを殺せなかった用で、後ろの方にかなり後退りさせられる。

けど、その後退りを利用して、宙返りからの城壁の側面に両足を付け、バネのように今度はコッチが一瞬で肉薄し、プロト・Uの胴体部を双剣で薙ぐ。

そのまま背後を取り、回転斬りを仕掛けプロト・Uへ叩き付け―――

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃―――

 

 

 

〜バンside〜

 

「無駄だ!一体いつまで耐えられるかな?!」

 

「っくぅ!」

 

「くっ!」

 

ジャック・ジェラート中尉のLBXプロト・Iの猛攻に俺とヒロのLBX[エルシオン]と[ペルセウス]は防戦一方だった。

ランの[ミネルバ]は右足関節部にダメージを受け、満足に戦えない。

中尉のLBX、プロト・Iによる猛攻は2対1をものともしない。

高次元多関節機構によってどんな体勢からでも攻撃・防御が出来るため背後を取ってもすぐ反応される。

 

「(レイが心配だけど、これじゃあ!!!)」

 

中尉の展開したDエッグのバトルフィールドのエネルギー膜から逃れたレイは今ここにいない。

中尉に勝つか負けるかしないとDエッグは解除されないため、レイの安否が確認出来ない。

 

「バンさん、このままじゃ!!」

 

「わかってる!けど―――!!」

 

「博士。レイと連絡は・・・・・・?!」

 

「ダメだ。全く反応が無い。考えられるとすれば、恐らく戦闘に入っているのだろう。そのため、通信を切っているんだ」

 

「戦闘?!」

 

「一体誰と!?」

 

戦闘時、レイは基本的に他者との通信を切っている。

それは相手が強者なら尚更。

レイ曰く、邪魔されたくないから、らしい。

なので、俺たちも基本的に戦闘時のレイとは通信を取らないようにしている。

まぁ、緊急時とかには通信をONにしているが。

だが、通信を切っているということは、レイにとって油断のならない相手を取っているということだ。

俺たちが疑問に思っていると。

 

「ふっ。どうやら、もう1人の仲間は俺のサブリーダーが相手しているようだな」

 

ジェラート中尉がヘルメット越しにそう告げた。

 

「なに?」

 

「サブリーダー?」

 

サブリーダー、という言葉に困惑する俺たち。

そんな俺たちにジェラート中尉は。

 

「アイツは我がファイアースイーツのサブリーダーにして、ファイアースイーツ隊最強のプレイヤーだ」

 

と言った。

 

「言っておくが、アイツの実力は俺より上だ。何せ第1回アルテミス優勝者にして、初代A国リーグチャンピオンの覇者だからな」

 

「「「なっ!?」」」

 

ジェラート中尉がさらに告げた言葉に俺たちは目を見開いた。

第1回アルテミス優勝者にして、初代A国リーグチャンピオン覇者。

そんなの今や伝説となっている程のプレイヤーだ。

アルテミスは今年で4回。

今年はアスカで、第3回たる去年は俺が優勝した。

第2回についてはある程度の情報があるが、始めてたる第1回アルテミスの情報は中々無い。

第1回は今ほどの規模ではなかったとはいえ、それでも初のLBX世界大会ということもあり、殺伐としていて世界各地から強者が集められた激戦大会だったいう噂だ。

LEXもLEXで、各地に伝説を残した伝説のプレイヤーだが、第1回アルテミス優勝者にして初代A国リーグチャンピオン覇者ともなれば、雲の上の存在。

まさかそんな人物がA国の国防基地にいるなんて・・・・・・!!

 

「ホントは俺より実力が上なのだから、リーダーになるべきなのにアイツは・・・・・・」

 

ん?

なんか愚痴が漏れてるような・・・・・・

 

「サブリーダーで君を補佐した方がイイ、って言って聞かん。絶対面倒事を俺に押し付けたいからだろうがアイツめ・・・・・・」

 

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

 

なんだろう。

俺たちの前に敵として立ちはだかってるけど、苦労人の気配がめちゃくちゃする。

愚痴を垂れるジェラート中尉に俺たちは唖然となる。

というか、背後からの負のオーラが微妙に見えるような・・・・・・。

 

「っと。愚痴を垂れてる場合じゃなかった。とにかく、アイツに勝つのは不可能だ。お前たちの仲間も直に捕まる。諦めて投降しろ」

 

勝つのは不可能・・・・・・

ジェラート中尉のその言葉にヒロとランは悔しげに顔をして顰めているが、俺は―――

 

「勝つのは不可能、か」

 

「ん?」

 

「あまり、俺の弟を舐めない方がいい」

 

「なんだと?」

 

俺の言葉にジェラート中尉は怪訝な声を出す。

 

「俺の弟は俺たちの中で最強だ。なにより、俺は弟を信じてる」

 

そう。

弟を信じるのも兄の。いや、家族としての務め。

それに、アイツの実力は俺たちが知っている。

そして、不可能を可能にすることも。

レイは断として否定するだろうけど、俺たちからしたら最強と言わ占めるほどの強さがある。

 

「だが、信じてるだけでは俺やアイツには勝てん!」

 

そう告げると同時にプロト・Iの一撃がエルシオンを襲った。

咄嗟に『エルシオンシールド』で防ぐも威力が高く、後ろに吹き飛ばされる。

プロト・Iを挟むようにエルシオンとペルセウスが立つが、中々決定打を与えられない。

死角がない。

さすが父さんの造ったLBXなだけある。

いや、それを操作しているプレイヤーの技量も高い。

 

「動きが予測出来ません!」

 

「どうすれば・・・・・・どうすればこのLBXを倒せるんだ・・・・・・!!」

 

正直、このままではジリ貧だ。

何か弱点でもあれば―――

ヒロと連携して攻撃を仕掛けるも、高次元多関節機構による予測出来ない動きで、すぐに防戦になってしまう。

どうすればいいのか、悩みあぐねていると。

 

「・・・・・・そうか・・・・・・。一つだけ方法がある」

 

父さんがそう言った。

 

「「「え?」」」

 

「プロト・Iの開発でネックになっていたのは、高次元多関節機構の複雑な動きをどう処理するかだった。かなり優秀なAIを搭載したようだが、関節の動きを処理するために、CPUには多大な負荷が掛かっているはずだ。このまま戦闘を続けていれば、いずれCPUの負荷が限界を超える。つまりプロト・Iは、長時間の戦闘が出来ない」

 

「「「え!?」」」

 

「そのうち止まるってことですか?」

 

「それじゃあこのまま戦い続ければ・・・・・・」

 

「でも、ミネルバはダメージを負ってるし、これ以上ペルセウスとエルシオンもプロト・Iの攻撃を耐えられるの?」

 

ランの疑問は最もだ。

すでに何度も攻撃を受けてエルシオンのLPは半分近くを切っている。

それは恐らくペルセウスも同様だ。

いくらなんでも、プロト・Iが機能停止するまで持つかどうかと言われたら無理と言わざるを得ない。

ミネルバが万全なら行けたかもしれないが・・・・・・

どうするべきか悩む中、俺は、俺たちにしかないことを思い出し提案する。

 

「よし、合体だ!!」

 

「そうか。[∑オービス]ですね!」

 

「ああ」

 

「待てバン」

 

「「「?」」」

 

合体しようとする俺たちを父さんが静止した。

父さんはそのまま険しい顔つきで。

 

「確かに、合体した∑オービスなら防御力は格段に上がるが、だが限界はある。何時まで耐えられるか・・・・・・」

 

「じゃあどうすれば?」

 

合体しても耐えられるかどうか分からないとなると・・・・・・

どうすればいいのか問うと。

 

「合体する前に、さらにプロト・IのCPUに負荷を掛けておいた方がいい。エルシオンとペルセウスの防御力ギリギリまで戦闘を続けるんだ」

 

「分かった。やってみよう!アイツと我慢比べだ!!」

 

作戦を決め、俺とヒロは連携してプロト・IのCPUにさらに負荷をかけるため動き始めた。

攻めても深くは攻めず、逆に守りに徹する。

なるべく負荷を与えるよう交互に挟み込んで攻勢を仕掛ける。

もしミスをしたらその瞬間終わる。

油断出来ない。

気を引き締めながらエルシオンを操作し、ついにその時が訪れた。

 

「今だ、ヒロ、ラン!!」

 

ドッキングモードを発動させてエルシオン、ペルセウス、ミネルバをひとつにする。

 

「「「【ドッキングシークエンス開始】」」」

 

「【プロセス1】」

 

「【プロセス2】」

 

∑オービスに合体したエルシオン、ペルセウス、ミネルバ。

それを見てジェラート中尉が驚きの声を出す。

 

「合体だと!?」

 

これで後は気を待つだけ。

勝負は一瞬で決まる。

俺たちは倒す手段が見つかった。

だがレイは―――

レイの事を心配しつつも、俺は目の前のプロト・Iの攻撃を∑オービスで耐えるのだった。

 

〜バンside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンたちがプロト・Iを倒す算段が決まったその頃―――

 

 

 

 

〜レイside〜

 

 

「―――っ!!」

 

回転斬りを仕掛け、叩きつけようとしたその時、突然上から来た攻撃に、プロト・Uへの攻撃を中断し大きく距離を取る。

ズサーっ!と飛びずさるも、上からの攻撃は絶え間なく続き、終いには横からも来た。

上から攻撃されて、だ。

 

「(何!?プロト・Uの攻撃?!プロト・Uは目の前にいるのに一体どうやって!?)」

 

ステップで避けプロト・Uとの距離は大きく引き離された。

ようやく見えない攻撃が途絶え、周りを視る。

周りを視ると、プロト・Uの周囲に3つの。小さな砲台のような何かが浮いていた。

砲台のようでもあり、銃のようでもある。

 

「まさか避けられるとは・・・・・・プロト・Uの切り札にして奥の手を出したのですが・・・・・・」

 

「切り札・・・・・・?」

 

「ええ。【子機(ビット)】という物を知っていますか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

クイーン・シャルバート中尉の問いに、無言で首を横に振って返す。

 

「これは自立稼動した砲撃機です。効果は先の通り」

 

自立稼動した砲撃機・・・・・・!!

そんなの初めて聞いたし見た。

プロト・Uの周囲を浮遊する子機(ビット)

つまり、アレのひとつひとつが遠距離武装だという事だ。

僕の背中を冷や汗が流れる。

さっきまで視えていた勝機が一瞬で霧散した。

まさかこんな切り札があるなんて思いもしなかった。

つまり僕とエレボスは、プロト・Uとその周囲の砲撃機たる子機3機を相手にしなければならないという事だ。

さっきまで影も形も無かったから、出たのは恐らくあの土煙の時。

自立稼動砲撃機というが、もしかしたら、ある程度はあの子機を操作できるのかもしれない。

 

「(マズイなぁ・・・・・・)」

 

プロト・Uの高次元多関節機構に、遠距離攻撃出来る自立稼動砲撃機。

ヤバいもヤバすぎる。

でも―――

 

「面白い・・・・・・!」

 

自然と顔がニヤける。

今まで無かった、類を見ない強敵。

なら、僕も本気も本気で相手しないとね!!

 

「さぁ。貴方はコレに勝てますか?」

 

そう宣告すると同時に、プロト・Uの周囲を滞空していた3機の子機が一斉に動き出し、エレボスを囲むや同時に射撃してきた。

それを避け、プロト・Uへ接近する。

『ノワール』と『ブラン』。双剣の間合いに入り込み。

 

「決まってる。勝てるか勝てないかじゃない。勝つんだ(・・・・)!!」

 

宣誓とともに、エレボスはプロト・Uへ双剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

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