ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 XLⅨ 宇宙へ

 

~レイside~

 

国防基地でパラダイスへとガーダインたちに逃げられた僕らは、NICSのマスドライバー施設でダックシャトルに改装を施していた。

ダックシャトルが大気圏離脱ブースターを装着させてる間、僕らはNICSの用意したアーマースーツのような宇宙服を服の上から着ていた。

 

「・・・・・・なんか変な感じかも」

 

動きにくい、って訳じゃないんだけど、まさかこの歳で宇宙服を。

しかも、宇宙に行けるなんて思ってもみなかったのだ。

兄さんたちも宇宙に行く、ということにあまり実感がないのか、少しだけ驚いているような声だ。

宇宙服に着替えた後、僕らは宇宙へ向けてのミーティングを行うため、ブリーフィングルームにいた。

上座にいる父さんが話す。

 

「宇宙でのLBXバトルでは、ダックシャトルのコントロールポットを使用する。君たち自身が宇宙空間に出ることは無い」

 

まぁ、そもそも宇宙空間でCCMを操作できるのか?と思っていたところだ。

コントロールポットを使っての戦闘なら問題ないね。

 

「だが、実際に宇宙で活動するLBXは、無重力の影響を受けることになる。そこで気をつけて欲しいのが【慣性】だ」

 

父さんの告げる注告に、ああ。確かに、と思った。

 

「慣性?」

 

ランが疑問符を浮かべ、後ろにいたコブラが解りやすく説明する。

 

「解りやすく言うなら、勢い(・・)ってヤツだ」

 

そのままコブラは、アスカのトマト缶ジュースを横にしてテーブルの上を転がす。

転がるトマト缶ジュースは止まることなく、反対側のジンたちの方へと行き、そのままテーブルから落ちた。

 

「こうやって、押したらしばらく動き続ける。このチカラの継続が慣性だ」

 

「それと無重力って、どういう関係があるんだ?」

 

「【慣性の法則】って聞いたことないアスカ?」

 

「慣性の法則?」

 

「なんか理科の授業とかで聞いたことあるような・・・・・・」

 

確か、ランはヒロと同い年のはずだし、アスカも恐らくそうだろうなので、中学の授業で習っているはずだ。

あ、ちなみになんで僕が慣性の法則とかいうのを知っているのかと言うと、自分で勉強・・・・・・というか調べたからだ。

昔から気になることは調べる質だからね僕(苦笑)

内心、苦笑しながらランとアスカに説明する。

 

「慣性の法則ってのは、『一度動いた物体は、新たに力を加えない限り、その方向と速度を維持し、永続的に直線的に等速運動を続ける』ことだよ。宇宙空間は空気抵抗や摩擦がないから、重力の影響が非常に少ないんだ。そのため、アイザック・ニュートンの提唱した、その慣性の法則が極めて純粋な形で成り立つ環境なんだよ」

 

「ええっと・・・・・・ゴメン。もっと解りやすく言うと?」

 

「解りやすく言うなら。宇宙空間だと、その慣性が永久に止まらない。つまりLBXに飛行能力。[アキレス・ディード]のように自力で空を飛ぶ能力が無ければ、姿勢を保つことが出来なくて、一度離れたら何かにぶつかるか、誰かに何とかしてもらう以外何も出来ないってこと」

 

「な、なるほど?」

 

「ホントに解ってる?」

 

「な、なんとか」

 

「う、うん」

 

理解しているか疑問のランとアスカだが・・・・・・

 

「でも、博士。そうなると宇宙では満足にLBXを動かせない、という事になりますけど・・・・・・」

 

「そうだよね。それじゃあどうやって・・・・・・?」

 

苦笑して父さんに訊ねるメア。

ルナもメアの疑問に頷きながら首を傾げる。

僕らの疑問に父さんは。

 

「宇宙用のLBXを用意する」

 

と、言った。

え?宇宙用??

 

「宇宙用?」

 

「いや、宇宙用のLBXを用意するって・・・・・・」

 

我が父さんながら、ホントLBXに関してはナンデモアリだと常々思う。

そう思いながら、遠い目をして父さんを見る。

 

「その為に必要な改修パーツを、現在手配中だ。それを使い、バンとヒロ専用のLBXを製作。[ミネルバ]も高機動型に改修する」

 

「新しい・・・・・・」

 

「LBX・・・・・・」

 

「ミネルバも改修?」

 

「そうだ」

 

頷いて返す父さんは、そのまま何処からか銀のアタッシュケースを机の上に置き、アタッシュケースの中身を見せる。

アタッシュケースの中には2機のLBXが収められていた。

しかもそのLBXは―――

 

「これは、[プロト・I]?」

 

そう。

僕が国防基地で戦ったクイーン・シャルバート中尉の使ったLBX[プロト・U]と似ている、ジャック・ジェラート中尉の使う父さんの開発したプロト・Iだった。

 

「ジャック・ジェラート中尉から託された、プロト・Iの予備機だ。これに、新しいCPUを高次元多関節機構専用にチューニングして、換装する。そして、その性能を[エルシオン]と[ペルセウス]を操作してきたお前たちの経験で引き出すんだ。改修パーツが届き次第作業に入る。プロト・IのCPUのチューニングと換装に2時間。同時に、ミネルバの改修も行う」

 

「やったぁ!」

 

・・・・・・・・・・。

お気づきだろうか。今の発言に色々ツッコミを入れるべきだということに。

CPUのチューニングに換装に2時間。同時にミネルバの改修も行う。という発言に何故か誰もツッコまない。

父さんのナンデモアリにみんな毒されているのかもしれない。

普通の人は2時間でCPUのチューニング。しかも2機と、同時に別のLBXの改修をするという同時並行(マルチタスク)は行えない。

いや、オタクロスとかなら出来るかも、しれないが、2時間で出来るわけない。

そんな僕の心の中のツッコミに誰も答える訳もなく、話は進んでいき。

 

「アキレス・ディードは、さっきレイも言ったように、元々宇宙空間での飛行能力を持っているから問題は無いだろう」

 

「山野博士。僕たちのLBXはどうすれば?」

 

「ふっ。ライディングソーサを使えばいい」

 

「え!ライディングソーサは宇宙空間でも使えるんですね!」

 

「接近戦には不利だが、移動や銃撃戦でなら問題無いだろう」

 

「これで私たちも戦えるわ!」

 

「良かったな!」

 

宇宙用LBXとアキレス・ディード以外はライディングソーサを使っての戦闘か・・・・・・

恐らく地上と宇宙では空気抵抗の差で、慣性以前に戦闘感覚が違うだろうかは気をつけないと。

宇宙での戦闘について気を引き締めていると。

 

「山野博士!お待たせしました」

 

扉から父さんの助手にしてコブラと同じエージェントのマングースが両腕に黒い箱らしきものを抱えてやって来た。

どうやらマングースにさっき言ってた改装パーツを頼んでいたようだ。

 

「マングース!!テメェおせぇぞ!!」

 

「色々忙しかったんだよ」

 

「ホントかぁ?」

 

「お前と違ってやることが沢山あるんだって!」

 

「俺が暇だって言いたいのか?!」

 

「そういう事だ!」

 

「なんだとオラァ!」

 

「相変わらずねぇ・・・・・・」

 

「あはははは・・・・・・」

 

コブラとマングースのお約束と言うべきか、犬猿の仲の喧嘩に呆れるジェシカ。

ていうかコブラもコブラで、なんでマングースに突っかかるのやら。

ジェシカに苦笑しながら二人の背後に立ち。

 

パシンっ!!パシンっ!!

 

「「痛ァァ!!」」

 

思いっきり二人の頭にハリセンを一閃した。

 

「うっさい二人とも。そんなに騒ぎたいなら存分に騒がせてあげるけど?」

 

ジト目で腕を組みながら頭を押さえて蹲るコブラとマングースに訊ねる。

僕の問いに二人は―――

 

「「す、すいませんでしたレイ様!!」」

 

と、何故か様付けで正座をしていた。

いや、何故様付け??

 

 

「毎度の如く、あのハリセンは一体どこから出してるのかしら」

 

「さ、さぁ・・・・・・」

 

 

ジェシカとユウヤが何か言ってるけどスルーしておこう。

ちなみに、騒がせるの意味とは・・・・・・・・・・・・・・・秘密だ。

正座して様付け呼びする二人にえぇー。と若干引きつつ思っていると父さんが。

 

「ちなみだがレイ。お前にも宇宙用LBXを用意する」

 

と告げた。

 

「はい?」

 

唐突に告げた父さんの一言で変な顔と声が出てしまった。

呆然とする僕を他所に父さんは。

 

「ジェラート中尉同様、クイーン・シャルバート中尉から渡されたこの機体を使って、お前専用の機体を用意する」

 

そう言って新たに銀色のアタッシュケースを取り出して開ける父さん。

開いたアタッシュケースの中にはシャルバート中尉の機体プロト・Uが1機収められていた。

 

「この機体プロト・Uは、プロト・Iの兄弟機だ」

 

「・・・・・・まさかと思うけど、プロト・Uも父さんが開発したLBX、だなんて言わないよね?」

 

ジーっ、と父さんを視る僕に、父さんは視線を僕に合わせないよう泳がせる。

それだけで答えを言っているようなものだ。

無言で貫く父さんに。

 

「父さん」

 

「は、はい」

 

「正座」

 

「はい・・・・・・」

 

有無を言わさぬ圧力で正座させる。

 

「はぁー・・・・・・。父さんにはやっぱり首輪を着けとかないとダメなようだねホント。物理的に着けといた方がいいのかなやっぱり」

 

腕を組みながら、ハリセンを未だ右手に持ちながら父さんに言う。

父さんの動きを制限するには物理的に首輪を着けて、誰かにリードを渡しとかないとダメなのかもしれない。

 

「今は時間が無いからO★HA★NA★SHI★したりしないけど、コレが終わったら母さんも混じえて、ホントっ!!O★HA★NA★SHI★するからね?!」

 

「いや、真理絵にだけは・・・・・・」

 

「何か言った?」

 

「いえ・・・・・・ナンデモアリマセン・・・・・・」

 

ガックリ、と項垂れる父さんだが知らん!!

母さんにたっぷりとO★HA★NA★SHI★でもされればいいよ!!

てか、母さんと一緒に僕もやるわ!!

 

 

「助けなくてもいいのバン?」

 

「ぁー・・・・・・俺も、母さんとレイ同時のは勘弁して欲しいから。というか巻き込まれたくない」

 

「本音がダダ漏れだぞバン」

 

 

なんか兄さんたちが言ってるがこれもスルーしよう。

 

「言っておくけど、父さんのやらかした所業のすべては、一つ残らず母さんに報告済みだから」

 

「っ!!?」

 

ウソダロ!?って顔してる父さん。

けどそんなの知っちゃっこっちゃない僕だ。

存分に母さんに絞られると良い!!

そんなこんなで話が進んで行き、後はパラダイスに向けて飛び立つだけになった時。

 

 

『我々は、ディテクター』

 

 

突然レクリエーションルームのモニターに仮面の男が映し出された。

 

「ディテクターってどういうことだ!?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

突然映し出された仮面の男。ディテクターに驚愕する兄さんたち。

ディテクターの正体は父さんであることは僕ら全員が知っている。

そして険しい顔をしている父さんの様子からしてコレは父さんじゃない。

そもそも、もうディテクターとしての活動をする理由のない父さんが今更ディテクターを語る必要はない。

となるとこの偽物のディテクターは・・・・・・・

 

「ガーダイン・・・・・・!」

 

ガーダインがディテクターを騙っているのだろう。

 

 

『全人類に告ぐ。直ちにディテクターに跪き従え』

 

 

偽ディテクターの告げる言葉に警戒を高める。

 

 

『これより、我々の力を示す』

 

 

そう宣告するや、画面が偽ディテクターから移り変わり、何処かの島の高高度映像が映し出された。

 

「何をするつもりだ・・・・・・?」

 

何をするのかわからない事に固唾を飲んで映像を観る。

 

「?」

 

その時、何かピリッとした感覚が上から来た。

そしてそれと同時に。

 

 

『発射』

 

 

偽ディテクターがたった一言、発した。

次の瞬間、映像に映し出された島が、空から何かに貫かれたように爆発し、映像をノイズの嵐が襲う。

少しして収まりノイズから元に戻った映像には―――

 

「「「「「「「「「っ!!?」」」」」」」」」

 

「島が・・・・・・消えた・・・・・・!?」

 

「そんな・・・・・・!!」

 

つい先程まであった島が跡形もなく消え去っていた映像が映し出されていた。

そう島が消えた(・・・・・)のだ。

映されていた島は大きさはそれほどなかった感じだが、小島とは呼べないちゃんとした島だった。

その島が、まるでそんなの初めからなかった、とでも言うかのように消え去った。

もしあんなのが首都圏などに放たれたら被害は尋常じゃ済まない。

確実に国家が機能停止になること間違いない。

消え去った島の映像に驚嘆と畏怖を持っていると。

 

 

『今、A国の領土がひとつ消えた』

 

 

再び偽ディテクターの映像に切り替わり、偽ディテクターがそう告げた。

 

 

『全人類よ。お前たちに抗う術はない』

 

 

「父さん・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

さっきよりもいっそう父さんの表情が険しくなる。

それは僕らもで、あんなのを観せつけられて険しくならないはずがない。

何時何処で放たれるか判らない、宇宙()からの一撃。

回避出来るか不明以前に範囲が解らない。

抗う術はないない、正しくその通りだ。

今まさに全人類の首元に処刑鎌を突き付けられているようだ。

 

 

『猶予は6時間。その間に、我々への服従を表明するのだ』

 

 

「6時間・・・・・・」

 

偽ディテクターの言葉通りなら、6時間後にまたあの死の砲撃が放たれる。

 

「・・・・・・大空博士。今のは・・・・・・」

 

「ええ。パラダイスの主砲による攻撃よ」

 

この中でパラダイスについて詳しく知っている大空博士の返答に、僕らに沈黙が走る。

そこに。

 

「ん?」

 

僕の端末に着信を知らせるバイブレーションが鳴る。

父さんたちから少し離れて端末を見る。

 

「クリスさん?」

 

相手はクリスさんだった。

 

「もしもしクリスさん?」

 

通信を繋げクリスさんに訊ねる。

 

『あ、レイ君大丈夫?!』

 

開口一番に来た心配する声。

 

「大丈夫って・・・・・・どうしたんです?」

 

『もしかして今NICSに本部の中に居ないの?』

 

「ええ。今宇宙に行くためにダックシャトルでマスドライバー施設に」

 

『そう・・・・・・実は今、NICS本部前に居るのだけど、突然本部の入口のシャッターが閉まっちゃって中に入れないのよ。だから何かあったのかしらって』

 

「NICS本部の入口が閉まった?」

 

クリスさんの言葉の意味が解らず首を傾げてると。

 

「長官、何かありましたか?」

 

後ろで拓也さんが本部にいるカイオス長官と話していた。

僕も観るが、映っているカイオス長官と大統領の様子がおかしいのが気になった。

 

 

『本部の非常警戒システムがパラダイスに制圧されてしまった』

 

 

「なんですって!?」

 

「!?」

 

カイオス長官の言葉に衝撃が走る。

驚愕する僕らにカイオス長官は

 

 

『この体制に移行すると、建物は24時間、人の出入りが完全に出来なくなり、通信が完全に遮断される。ガーダインはパラダイスを使って、NICS本部を檻に変えたのだ!』

 

 

と説明した。

24時間。しかも人の出入りが完全に出来なくなって通信が遮断される・・・・・・

まさかガーダインの次の標的って・・・・・・!!

 

「長官。大空遥です。これから私の話すことを落ち着いて聞いてください。この状況を考えるに、メインレーザーの次の標的はNICS本部だと思われます」

 

拓也さんに変わって、今度は大空博士がカイオス長官と大統領に告げる。

その言葉は、死への通達とも等しいものだ。

 

 

『『っ!!』』

 

 

「NICS本部が!?」

 

「っ!パパっ!!」

 

 

『っ・・・・・・・猶予は?』

 

 

動揺しながら訊ねるカイオス長官。

 

「メインレーザーの再充電には、6時間掛かります」

 

カイオス長官の問いに大空博士は即答する。

6時間・・・・・・

だから猶予が6時間って事か・・・・・・

けど、NICS本部を檻に変えたということはガーダインは間違いなく・・・・・・!!

 

 

『全世界の皆さん』

 

 

そこへモニターに今度は新たにガーダインの顔が映し出された。

全世界の皆さん、と言ってることから恐らく全世界へ中継されてるのだろう。

 

 

『私は、A国副大統領アルフェルド・ガーダインです。ディテクターは、我が国の大統領であるクラウディア・レネトンを拉致し、全世界に絶対服従を要求してきました。私は、ディテクターの卑劣な行為に対し報復を宣言致します!これは、我が国だけの問題ではありません。世界の存亡を掛けた正義の戦いなのです!!』

 

 

「ガーダイン・・・・・・!」

 

「いけしゃあしゃあと・・・・・・!」

 

ガーダインの嘘に真実を知る僕らは怒りを覚える。

 

 

『先手を打たれたか・・・・・・』

 

『最早、皆さんに全てを託すしかないようですね』

 

「大統領・・・・・・」

 

「パパ!」

 

『ジェシカ。必ずまた会える。頑張るんだ』

 

「はい」

 

怒りを覚えながらも冷静になりながら、カイオス長官と大統領の前に出る。

 

「長官、レイです。現在、NICS本部前にICPOのクリスさんがいます。外は完全にシャッターが降ろされ中に入ることは不可能だそうです」

 

 

『そうか・・・・・・!』

 

 

外の状況について説明すると、カイオス長官は予想通りと言うべき表情を浮かべる。

そこに端末から。

 

『レイ君。カイオス長官に外からアプローチしてみるって伝えてくれる?コチラからじゃ中に連絡かけられないみたいなの』

 

とクリスさんの声が聞こえた。

 

「わかりました。―――長官、クリスさんが外からアプローチしてみるらしいです」

 

 

『わかった。外はミス クリスに任せる。外にいる職員へ指示を頼む』

 

 

「ということらしいですクリスさん」

 

『ええ。了解よ。そちらも気を付けて』

 

クリスさんとの通信を切ると、ダックシャトルが動いた感覚が来た。

どうやらダックシャトルの換装が終わったようだ。

 

 

『NICS長官のカイオスだ。全職員に命じる。パラダイスを、6時間以内に制圧せよ!繰り返す!パラダイスを6時間以内に制圧せよ!!』

 

 

「行くぞ!」

 

「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」

 

 

カイオス長官の放送による指令でそれぞれが配置に着く。

あと10分で宇宙へ打ち上がる。

 

「ぅぅ。緊張してきたよ」

 

「大丈夫メア?」

 

「うん。ルナちゃんは?」

 

「私も同じ」

 

「まぁ、まさか宇宙で戦うなんて思ってもみなかったしね」

 

「うんうん」

 

「そうだよね」

 

かく言う僕も緊張感が走る

このまま何事も無く行けるといいんだが・・・・・・。

 

 

『緊急事態だ!8時の方向にLBXの大群!!』

 

 

「そう簡単には行かせてくれないよね」

 

行けると思った途端にこれだ。

まぁ、予想はしていたから予想通りではあるんだが。

父さんにミネルバを改修されているランを除いた全員が、コントロールポットに乗ってそれぞれのLBXをライディングソーサに乗せて出撃させる。

 

「拓也さん。僕が指揮とっても構わないよね?!」

 

 

『任せる!』

 

 

「了解!」

 

 

『みんなよく聞くんだ。打ち上げの90秒前にはダックシャトルに戻って来るんだ』

 

 

指揮権を貰い、通信で拓也さんが僕らに忠告する。

 

「『『『『『了解!』』』』』」

 

ライディングソーサで出撃させるや。

 

「8時方向には兄さん、ヒロ、ユウヤ、アスカ、メアで行って!」

 

と兄さんたち全員に通信で指示する。

 

『分かった!行くぞ!!』

 

『はい!』

 

『うん!』

 

「おう!』

 

『任せて!』

 

「残ったジンたちは、第二陣に備えて!」

 

兄さんたちのエルシオンが飛んで行くのを見つつ、ジンたちにも指示を出す。

 

『レイ。バンたちだけ行かせた理由は?』

 

「全員で行ったらダックシャトルの防衛が無防備になる。それに恐らく、絶対二の手、三の手がある。僕らはそれに備えて待機。次が来たらすぐに対応する!」

 

『なるほどね。了解よ!!』

 

ジェシカの問いに答え、次に備える。

兄さんたちが8時方向のLBXと戦闘に入るや、すぐにレーダーに反応が出た。

しかも今度は二箇所。

 

「2時方向と4時方向に反応アリ!ジンとジェシカ、ルナは2時方向に、僕とアミ姉、カズ兄は4時方向の敵を掃討する!!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

すぐさまその場からそれぞれの目的地に向かう。

今ダックシャトルのあるマスドライバー施設の発射台は、11時から1時方向は湖に面しているため、敵の上陸は低い。

だが、それ以外はほぼ全ての森に囲まれている。

防護フェンスが幾多にあるが、破壊されて突破されるのは時間の問題だ。

出発まで後9分。

それまで防衛出来ればいいのだが・・・・・・。

 

「アミ姉とカズ兄は左右から挟み込むように砲撃!」

 

『『了解!』』

 

2人の姉と兄に指示を出し、僕も正面頭上から両手銃の『シューターSR34C』でLBXの大群を薙ぎ払う。

薙ぎ払っていると、また新たにレーザーの探知音が鳴り響く。

今度は7時と9時の方向だ。

 

「くっ!7時と9時方向に新たに敵LBXを探知!7時方向を兄さんとヒロ!9時方向をユウヤとアスカが!メアは残ったLBXを掃討しつつ増援を警戒!!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

新たに同じ場所に増援が来る可能性も考慮して、メアだけを残らして、残りの二箇所を兄さんたちに二手に分かれて対処させる。

掃討する中、敵の動きについて考えていた。

このブレインジャックは無作為にではなく、組織的。

まるで軍隊のように統制が取れている。

終わったと思ったらすぐに次の場所に現われる。

息付く暇も無い。

しかも破壊した敵LBXの残骸の近くには、アイテムのスタングレネード弾に似た、グレネード弾が沢山転がっていた。

いくらLBXバトルのアイテムでも、数も多けりゃ発射装置の破壊なんて容易いものだろう。

 

「っ!新たに3時と5時方向にも!?ジンとジェシカは3時方向!僕とカズ兄は5時方向を対処!!ルナとアミ姉はその場をお願い!!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

ジンとジェシカの[トリトーン]と[ジャンヌD]は3時に。

僕とカズ兄のエレボスとアキレス・ディードは5時方向に飛んでいく。

 

「敵の数が多すぎていずれ対処出来なくなるよこのままじゃ・・・・・!!』

 

発射まで後3分ほどだが、このままでは持ち堪えられない。

圧倒的に数が足りない。

敵の物量作戦対して、僕らは12人。

いくらなんでも戦力差がアリ過ぎる。

5時方向にいた敵LBXを薙ぎ払いつつ思ってると。

 

『みんな大変!!マスドライバーが攻撃されてる!!』

 

「何っ!?」

 

『えっ!?』

 

突然来たダックシャトルにいるランの声が響いた。

 

「いつの間にマスドライバーに!!」

 

何処から漏れたの分からない。

すぐに行きたくても、目の前の敵を排除しないとさらにマスドライバーが危ない。

そう簡単には壊れないだろうけど、何時まで持つか・・・・・・。

 

「メア、マスドライバーに行ける!?」

 

『ゴメン!こっちレーくんの予想通り増援が来て手が離せない!!』

 

「くっ!」

 

メアに訪ねるも手が離せないと返事が来た。

僕らの動きを把握している。

悪態吐きながら敵LBXを薙ぎ払う。

そこに。

 

 

『各自戦闘を止めて、ダックシャトルに戻るんだ!』

 

 

拓也さんの帰還命令が来た。

発射カウントダウンは既に、残り90秒を切っていた。

 

「戻ろうカズ兄!」

 

『ああ・・・・・・っ!』

 

カズ兄と共にその場を離脱してダックシャトルへと帰還する。

その道中、7時方向にいた兄さんとヒロがダックシャトルではなく、マスドライバーの脚部に向かって飛んで行くのを見た。

 

「兄さんとヒロはなにを・・・・・・・・・・・まさか!!」

 

兄さんとヒロが何をするのか予感してすぐにカズ兄たちに指示を送る。

 

「ジン、ユウヤ!兄さんとヒロの援護をお願い!僕とカズ兄は殿をする!!」

 

『『『了解!』』』

 

指示を送るや、兄さんとヒロのLBXを乗せたライディングソーサは、一直線にマスドライバーへ飛んで行き、そこにいる敵LBXらを体当たりで吹き飛ばした。

吹き飛ばすや、敵LBXは爆発。

立ち上る爆煙の中をジンとユウヤのトリトーンと[リュウビ]が突っ込み、エルシオンとペルセウスを回収した。

 

『ジン!』

 

『ユウヤさん!?』

 

『無茶をする』

 

『ホントに!』

 

『急げ!』

 

「ホント何してるのよ兄さん、ヒロ!!」

 

お陰で何幾かのLBXは排除できたようだけど、危うくエルシオンとペルセウスが置き去りになる所だった。

カウントダウンが迫る中急いでダックシャトルにエレボスたちを格納し、発射に備える。

カウントダウンが0になった瞬間、ダックシャトルに取り付けられた加速装置によってとんでもないGがコントロールポットにいる僕らを襲う。

歯を食いしばってGに耐える。

正直何かに掴まって握ってないと耐えられないほどだ。

 

「うぐぐぐぐぐ!!」

 

小さく呻き声を上げつつ、宇宙への発進に耐える。

僕らの戦いは、ついに宇宙へと移った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラダイスメインレーザー発射まで、後5時間強

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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