ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 W―ディテクター編 L 宇宙()翔け舞う()

 

〜レイside〜

 

LBXの大群による、マスドライバー施設破壊と僕らのパラダイスへの進行阻止を何とか。ギリギリのところで脱し、パラダイスに向けて僕らを乗せたダックシャトルは宇宙を飛んでいた。

施設から宇宙へ行く際に、コントロールポット内でとんでもないGが来たがなんとか耐え、ダックシャトルは成層圏を脱出し、衛星速度に。

衛星軌道に乗ったことを伝えられ、コントロールポットから出る。

10分後にブリーフィングルームで潜入作戦について説明があるらしいが、今は束の間の休息でダックシャトルの窓から見える宇宙と地球を眺めていた。

 

「見て見てルナちゃん、レーくん!!地球だよ!!綺麗だね〜」

 

窓の一つから外を視るメアが興奮したように言ってくる。

 

「ホントね。綺麗〜」

 

ルナもメアの隣から外を眺める。

 

「うん」

 

2人の斜め上から窓の外を見る。

こんな光景、一生に一度拝めるかどうか、という程だろう。

写真などで知ってはいるけど、やはり自分の眼で視る景色は格別だ。

地球は水の惑星と言われてるけど、ホントだ。

地表のほとんどが海の青で覆われている。

 

「キヨカちゃんにも見せてあげたかったなぁ」

 

「いや、僕ら旅行に来た訳じゃないからねメア?」

 

あーあ、と言いながら言うメアに苦笑しながら返す。

 

「そうだけど〜」

 

「まぁ、こんな光景普通じゃ観れないからね」

 

同意しつつも苦笑するルナ。

確かにそうだ。

普通じゃ観れない。

 

「んー。じゃあ写真撮る?」

 

「あ、それがいいかも!」

 

ナイスアイディア!と笑みを浮かべるメア。

 

「えーと。じゃあ・・・・・」

 

手っ取り早く、端末で幾つか写真を撮る。

写真を撮りながら、

 

「(これ、キヨカに嫉妬されそうな気がする)」

 

と思ってしまった。

そんな事を思ってると。

 

「ほらほらレーくん!早く早く!」

 

「ちょっ、メア!?」

 

「メア、一人だけはズルい」

 

「ルナ!?」

 

左右からメアとルナが挟み込んで来て。

 

「ハイ、チーズ♪」

 

自分の端末で写真を撮った。

画面には驚いている僕と、笑顔のメア、少しむくれてるルナが写っていた。

 

「ほらほらもう一枚♪あ、お姉ちゃん写真撮って〜!」

 

「あははは。はいはい」

 

今度はアミ姉に頼んで写真を撮ってもらう。

 

「ありがと〜!」

 

アミ姉に撮ってもらった写真にはクスッと苦笑する僕に、さっきと同じように笑顔のメアと、今度は笑ってるルナが写っていた。

 

「全くもぉ。緊張感がないわよメア」

 

「だってこんな光景一生に一度、って感じだもん。楽しまなきゃ損でしょ?」

 

「相変わらずねぇ貴女は」

 

「"一度きりの人生、楽しまなきゃ損"。ってね」

 

「やれやれ」

 

肩を竦めるアミ姉にメアはうふふ、と笑っていた。

 

「相変わらずだよねメアは。そう思わないレイ?」

 

「あははは。でも、そこが彼女の良いところだから」

 

「それもそうだね」

 

幼馴染みのうふふ、と笑う姿に僕とルナはクスッと笑みが漏れる。

そんなこんなで、束の間の休息は終わり、僕らはブリーフィングルームでパラダイス潜入への作戦会議を行っていた。

正面モニターの画面にはNICSにいるカイオス長官と大統領が映っていた。

 

「パパ!」

 

「大統領!」

 

 

『良かった。無事なようですね』

 

 

「NICSとの通信が回復したのか・・・・・・」

 

こうして通信が出来るということは、通信が回復したのかと思ったけど・・・・・・

 

 

『直接交信出来る回線を強引に開いたのだ。だが現在も、NICS本部は封鎖状態が続いている。私たちは、脱出することが出来ていない』

 

 

やはりパラダイスをなんとかしない限り、長官や大統領たちが脱出することは出来ないようだ。

クリスさんからもメッセージで、外から色々な重火器などで扉を開けようとしているが、やはり一筋縄では行かないようで、正面エントランスのシャッターすら未だに何とかできていないらしい。

その事を伝えると、カイオス長官はそうか・・・・・・と難しい顔を浮かべた。

 

 

『A国の軍と政府機関をガーダインによって支配されている現状では、この地球の命運はキミたちに託すしかない』

 

 

「パラダイスの攻撃はあたしたちの手で必ず止めてみます!」

 

カイオス長官の言葉に気合を入れて答えるラン。

 

「大丈夫だって。ここに集まっているのは最高のLBXプレイヤーなんだぜ。な、ジェシカ?」

 

「うん。パパたちも地球も、私たちが必ず助けるから!」

 

 

『頼むぞ、ジェシカ』

 

『みなさん、作戦の成功を祈っています』

 

 

大統領の言葉を最後に通信は切れた。

どうやら長時間の通信は今はまだ無理なようだ。

強引にとはいえ、やはり限度があるらしい。

NICSとの通信が切れ、モニターに今度はパラダイスの映像が映し出される。

 

「エネルギーの再充電が終わるまで5時間あまり。我々には時間が無い。リミットまでにパラダイスに乗り込み、メインコンピューターである【アダム】と【イブ】を制圧する。それが、我々の成すべきミッションだ」

 

「でも、問題はどうやってパラダイスに近づくかね」

 

「どういうことですか?」

 

拓也さんの言葉に大空博士の一言が僕らに疑問符を浮かばせた。

どうやって、ってどういう意味だろ?

 

「パラダイスの迎撃システムは鉄壁よ。外装に40機の対空砲があって、近づく物を全方位自動で攻撃するようになっているの」

 

「そんな物まであんのかよ・・・・・・」

 

「ええ。その上、敵の動きを予測して攻撃してくる。これを攻略しないと、着艦どころかパラダイスに近でことすら出来ない」

 

「そんな・・・・・・」

 

大空博士の告げたパラダイスの迎撃システムに僕らは唖然となる。宇宙軍事基地の名は伊達じゃないってことか。

というか普通、衛星に対空砲とかそんなの付けていたら、あれ。衛星に兵器とかおかしくない?と怪しまれるんじゃ・・・・・・

仮にも世間には宇宙軍事基地ではなく、通信衛星として銘打っているんだし。

あーいや、でも、防衛のため。とか建前を付ければ出来るの・・・・・・か??

いや、普通に無理だろ。

色々規制に引っかかりそうな気がする。

声に出さず、遠い目を若干浮かべて思う。

生憎、というか、その辺の法律とかは全く。さっぱり分からないためなんとも言えないけど。

それにしても―――

 

「("予測して攻撃してくる"か・・・・・・。うーん)」

 

正直、それに対する対処法があるにはあるけど、僕には無理だしなぁ。

そんな僕の心情を察したのか知らないが、オタクロスが。

 

「予測して攻撃してくるなら、その裏をかけばいいでよ」

 

と。

みんなに言う。

 

「どういう事それ?」

 

「迎撃システムを上回る飛行プログラムを、ダックシャトルのパイロットシステムに組み込むデヨ」

 

ランの疑問に答えるオタクロス。

僕の考えたこととオタクロスの言葉は一致していた。

けど、僕にはオタクロスみたいな高度なコンピューター技術は無いから無理だし。

予測するにも限度がある。

だから相手の予測を上回る予測をすれば迎撃システムを躱せる。ということだ。

けど―――

 

「そんなプログラムがあるの!?」

 

そんなプログラム聴いたことないのが実情なのだが・・・・・・

大空博士の問いにオタクロスは。

 

「これから造ればいいデヨ」

 

とあっけらかんに答えた。

 

「無理よ。時間が足りなすぎる」

 

「そりゃ、わし一人じゃ無理デヨ」

 

・・・・・・なんか時間があったらオタクロス一人で造っちゃいそうだなぁ。

いや、父さんも造るかも・・・・・・

頭が痛くなりそうな案件なのだが、顔には出さすに心の中で空笑いする。

 

「遥たんはアダムとイブを一人で開発していたデヨ?察するに、ゲームも一人で遊ぶシューティング系がお得意とみた」

 

「ああ。言われてみればそうかも」

 

「しかし、ゲームにはパーティープレイというのがあるデヨ」

 

「パーティープレイ?」

 

「ロールプレイングゲームで仲間と組んで戦うヤツですよね?」

 

「僕らでいうならチームプレイって事だよね」

 

「うむ!特性の異なるプレイヤーが力を合わせることで、一人では不可能なことも可能になるデヨ。ダックシャトルの、攻撃回避プログラムも、わし一人じゃ無理でも、遥たんが協力してくれれば短時間で完成出来るはずデヨ」

 

「そういうことか・・・・・・」

 

んー・・・・・・・・・・・オタクロスがこう言うと、本当に大空博士と協力して短時間で完成させられるからなぁ。

普段はアレだけど、こういう所では頼りになるよねオタクロス。

 

「レイ。今失礼なこと思わなかったデヨ?」

 

「気の所為だよオタクロス」

 

ジーッと見てくるオタクロスに、何のこと?と顔に浮かべて返す。

勘が鋭いね。

僕とオタクロスがそんなやり取りをしていると。

 

「わかったわ。協力してプログラムを造りましょう」

 

と大空博士が告げた。

そこへ。

 

 

『エマージェンシー!エマージェンシーダモ!!』

 

 

艦内にメタモアールの緊急放送が響き、モニターに映像が映し出された。

 

 

『ダックシャトルの航行線上に多数のLBXが接近中ダモ!』

 

 

モニターには国防基地やフューチャーホープ号で戦ったLBXと同型のLBXが多数の映り、ダックシャトルへと向かって来ていた。

 

「敵の迎撃部隊だ!」

 

「物凄い数だぞ!?」

 

敵の数が一体いくつなのか分からないけど、確実に500以上かそれ近くはいる。

モニターに映るLBXを観て、ヒロとアスカが立ち上がる。

 

「迎撃に出ます!」

 

「全部蹴散らしてやるぜ!」

 

「待て!忘れたのか。山野博士が言っていた通り、宇宙空間ではほとんどのLBXが動きを制限される。一度ライディングソーサから離れたら、永遠に宇宙を漂うことになるぞ。落ち着いて行動するんだ」

 

拓也さんがヒロとアスカに忠告し終えると。

 

 

『ラン、来てくれ』

 

 

モニターの一画に父さんが映し出された。

ランを呼んでいるみたいだけど、もしかしてもう[ミネルバ]の改修が終わったのかな?

ランの後に付いて父さんのところに行く兄さんとヒロ。

僕らはコントロールポットルームでそれぞれLBXをセットして、コントロールポットで出撃準備をする。

ポット内で出撃準備をしてると。

 

 

『今回もレイが指揮を執ってくれ』

 

 

と拓也さんから通信で指示が来た。

 

「了解。ラン、改修したミネルバについてざっとわかる範囲で教えて」

 

『わかった!』

 

ランから簡単に、改修されたミネルバ。[ミネルバ改]について訊く。

ミネルバ改について訊き、戦略と戦術を建てる。

 

「(宇宙での初戦闘ということもあり、恐らく満足に戦える訳じゃない。現状、要となるのは宇宙でも自由に飛び回れるミネルバ改とカズ兄の[アキレス・ディード]か・・・・・・・・・・・・・)よし」

 

戦術を建て、

 

「アキレス・ディードとミネルバ改を中心に敵LBXを殲滅する!!」

 

と通信で指示を送る。

 

「カズ兄は僕らが打ち漏らした敵を。ランは臨機応変に対応してくれ!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

 

『ハッチオープン!!LBX出撃せよ!!』

 

 

拓也さんの通信により、僕らのLBXはそれぞれライディングソーサに乗って宇宙空間へと出撃する。

近接戦闘は難しい為、それぞれ遠距離の銃系武器がメインだ。

 

「行くよ[エレボス]!」

 

操縦管操作し迫り来る敵LBXの大群へと向かう。

が―――

 

『え!?』

 

『トラブル!?』

 

兄さんとヒロの[エルシオン]と[ペルセウス]だけダックシャトルから発進していなかった。

 

「兄さん!?ヒロ!?どうしたの!?」

 

敵LBXへ向かう中兄さんとヒロに通信で訊ねる。

 

『トラブルで発進がキャンセルされた!』

 

「トラブル・・・・・・まさか・・・・・・!!」

 

兄さんの返しに僕は、マスドライバーでの戦いの際、最後の最後で兄さんとヒロが敵LBXに突っ込んだのを思い出した。

恐らくあの時のダメージで出撃不可になったんだろう。

 

「くっ・・・・・・わかった!各自散開して敵LBXを殲滅せよ!!」

 

エレボスの武装、双銃の『ヘブンブラスター』の弾丸を放ちながら指示する。

ジンたちのLBXもそれぞれ敵LBXを殲滅するが、やはり殲滅速度は地上とは違って遅い。

 

『やはり地上とは挙動が違うな』

 

『思った以上に操作出来ないわ』

 

宇宙空間での初めての戦闘。というのもあるだろうが、空気抵抗やLBXの挙動が地上とは違うためジンやアミ姉の言うように上手くLBXを操作出来ない。

それに、ライディングソーサから離れたら永久的に宇宙空間を漂う事になってしまう為、それに対しても慎重になる。

ライディングソーサから離れてしまったら移動手段の無い僕らのLBXは蜂の巣にされること間違いない。

対して敵のLBXは宇宙空間でも十分なタイプなようで、地上で戦った時の動きと大差変わらない動きを見せている。

完全にアドバンテージは向こうにある。

数もそうだが、戦力差を上手く覆せない。

必殺ファンクションを使おうにも、反動でライディングソーサから離れてしまう可能性もあるため使えない。

カズ兄のアキレス・ディードと、高機動型に改修したミネルバ改が何とかしてくれているが、このままでは持ちそうにない。

 

「カズ兄は前に出てアスカとユウヤの援護!ルナ、メアは弾幕を張って!!」

 

撃破しながら指示を出すも焼け石に水。

押され始めていた。

終いには―――

 

『っ!シャトルの方に敵が向かったぞ!!』

 

ついに、包囲網を抜けてダックシャトルの方に向かう敵LBXが現れた。

 

「ラン追って!」

 

『了解!!』

 

ランに任せ、ミネルバ改の背後からミネルバ改に向けて攻撃しようとする敵LBXを撃破する。

 

「(ランに任せるしかないけど、実際はランだけじゃダックシャトルの防衛は難しい!)」

 

全体を見渡して、抜けそうになるやつだけ撃破しようとするも敵の攻勢が激しい。

解れた穴から抜け出そうとするみたいに、抜け出そうとしてくる敵LBX。

ダックシャトルは僕らにとって最重要と言っても過言ではない。

ダックシャトルに何かあったら、地上ならまだしもこの宇宙空間では手助けの仕様もない。

外装にダメージを負えば、再度地球に戻る際が困難になるだろうし。

もし万が一のことがあれば、僕らはこの宇宙空間に放り出される。

それは即ち"死"だ。

そしてNICSも消え、地上はパラダイスの恐怖に怯えることになる。

思考を速くし、すぐに良案を模索する。

 

「(僕がこの場を離れる訳にはいかないし・・・・・・!・・・・・・・・・・仕方ない!)」

 

苦虫を噛み潰したような表情をして。

 

「メア、ルナ!2人はランの援護に向かって!」

 

と、メアとルナに通信する。

 

『わかった!』

 

『了解よ!』

 

2人のLBX、[ヘスティア]と[アルテミス]がその場から離れ、ダックシャトルを防衛しているランの方に向かう。

そして2人の抜けた穴を補給するように僕が抜け出そうする敵LBXを狙い撃つ。

 

「カズ兄!一発必殺ファンクション放って!!カズ兄の近くにいるジェシカとアスカは後退!!」

 

『っ!わかったぜ!!』

 

『ええ!』

 

『おう!』

 

宇宙空間でも自由自在に飛べるアキレス・ディードなら、必殺ファンクションを撃っても問題ないと判断し、カズ兄に必殺ファンクションを放つよう指示する。

巻き込まれないよう、近くにいたジェシカとアスカに後退する指示を送り、ある程度離れたところでカズ兄のアキレス・ディードが必殺ファンクションを放つ。

 

『必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ブラックストーム!!】』

 

アキレス・ディードの右手の銃。『ダークシューター』の銃口に黒い漆黒の嵐のようなエネルギーが集まり、放たれたエネルギー弾は竜巻状に広がり、周囲にいた敵LBXを軒並み引き寄せ、内部のエネルギー波の嵐で破壊していった。

今の一撃でほんの少し、という程の敵総数だが、ある程度は倒せた。

しかし―――

 

「数が・・・・・・多い・・・・・・・・・・!!」

 

尚それでも敵の数は多い。

そしてそれは―――

 

『っ!囲まれた!?』

 

対処出来なく、抜け出てランたちの方に行った数も多いことを現していた。

メアとルナも居るから何とか対処しているが、徐々に範囲を狭まれ動きにくくなっている。

 

「ランそっちはまだ大丈夫?!」

 

『ギリギリ!!ルナとメアのお陰で何とかなってるけど、このままじゃ・・・・・・!!』

 

「っく・・・・・・!」

 

ランからの返事に舌打ちしたくなる。

アレはライディングソーサに乗ってる今は使えない。

ライディングソーサが速度に耐えられないからだ。

そもそもライディングソーサ自体がそれに耐えられる用設計されてない。

この場面をもしひっくり返せるとすれば―――

 

「(まだなの父さん?!)」

 

父さんが今換装している宇宙用のLBXだけだ。

可能な範囲の速度で操作して敵LBXを殲滅する。

そこに―――

 

『しまった!!』

 

『ランさん!』

 

『ルナ、こっちもヤバい!!』

 

ランたちの危機を報せる声が通信で聞こえてきた。

けど、これ以上戦力は回せない。

どうするべきか悩みあぐねていた時。

 

『な、なに!?』

 

『今のは?!』

 

ルナとメアが驚く声と、小さな爆発音のような音が聴こえた。

チラッと視線をダックシャトルの方に向けると、次々と敵LBXが爆発している光景が見えた。

 

「大丈夫、メア、ルナ?」

 

『う、うん。バン兄とヒロさんが助けてくれた』

 

「兄さんとヒロ?」

 

メアの返事にえ?となる。

もしかしてついに完成したのか?

そう思っていると。

 

『レイさん!ここは僕とバンさんに任せてください!!』

 

「ヒロ!?」

 

いきなりヒロから通信が来た。

それと同時に、まるで閃光のような速度で飛来してきた2機のLBXが、次々と一閃の下に敵LBXを破壊していった。

片方は青というよりは、紺や瑠璃色に近い、瑠璃紺(るりこん)色のカラーリングで武装は槍と盾。背部に片刃の剣のようなものが付けられている。

もう片方は水色というより、空色に近いカラーリングで武装は双剣。背部に翼のようなものが付けられている。

 

『なんだよアレ?』

 

『今までのLBXとは次元が違う!?』

 

兄さんとヒロの操る2機の新型LBXに驚嘆するアスカとユウヤ。

それは僕もで、速度やパワーはエルシオンやペルセウスとは違い、機動力に至っては改修したミネルバ改よりも遥かに郡を抜いている。

そのまま敵LBXをある程度倒したと思いきや。

 

『みんな、この戦闘中域から離脱するんだ!』

 

と兄さんから全員に警告が来た。

わざわざ警告するという事は、何かとてつもない事を仕出かすつもりだ。

 

「『『『『『了解!!』』』』』」

 

すぐさま兄さんの警告通り、その場から離脱しダックシャトルの方へと避難する。

兄さんとヒロを除いた全員が戦闘中域から離脱し、メアたちと合流する。

メアたちと合流して、戦闘中域にいる兄さんとヒロを見る。

僕たちが離れたのを確認するや、次の瞬間兄さんの新型LBXと思わしき槍と盾を装備した瑠璃紺色のLBXが変形し、二本の大剣へと姿を変え、その大剣の持ち手をヒロの新型LBXと思わしき双剣を装備した空色のLBXが掴む。

空色のLBXはそのまま勢いよく回転し、全方位に無数の斬撃を繰り出した。

放たれた無数の斬撃は周囲どころか、戦闘中域にいた敵LBX全てを一閃のもとに切り裂き、全てを破壊する。

 

『スゴい・・・・・・』

 

『ケタ違いのパワーだ・・・・・・』

 

『あれが、[プロト・I]の高機動改修型LBX・・・・・・』

 

「またトンデモナイLBXを・・・・・・」

 

今の僕らにとっては有難い戦力なのだが、目の前に起きた光景に唖然とする。

あんなに苦労した敵LBXの大群が、たった一発の必殺ファンクションによって全滅。

超広範囲殲滅技と言っても過言ではない必殺ファンクション。

そんなものをこの短時間で、プロト・Iを改修したとはいえ造り上げるとは・・・・・・

相変わらず父さんは、と思うが。

そう思っていると。

 

『レイ。聞こえるか?』

 

「父さん?」

 

父さんが通信して来た。

 

「またトンデモナイLBXを造り出したね父さん?それで、どうしたの?」

 

僅かばかりの皮肉と苦笑を込めた訊ねる。

僕の問いに父さんは。

 

 

『お前のLBXも完成した。一度戻って来てくれ』

 

 

と告げた。

 

「良いけど。もう全部片付けたんじゃ・・・・・・」

 

さっきの兄さんとヒロの一撃で全ての敵LBXを殲滅したはずだ。

そう思ってると。

 

 

『っ!気をつけろみんな!敵の第二陣が来るぞ!!』

 

 

と拓也さんの声が響いた。

 

「っ!」

 

慌てて確認すると、まだ遠いが確かに敵LBXの増援が確認出来た。

 

「父さんすぐに戻る。拓也さん、指示をお願い」

 

 

『了解した』

 

 

拓也さんに言い、すぐにダックシャトルへと帰還する。

帰還しコントロールポットのハッチが開くと、すぐ近くに父さんがトレーを持って立っていた。

 

「レイ。コレがお前の新たなLBX[―――]だ」

 

「コレが・・・・・・・・・・」

 

父さんから渡された新たなLBXを手に、すぐにCCMの同期をエレボスから新たなLBXに変更する。

ありがとう。お疲れ様。と畏敬の念を込めて、エレボスから新たなLBXをセットして再びコントロールポットに乗り込み準備する。

 

「さぁ。初陣だ。疾く、宇宙()を翔けろ。―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          [ウラノス]!!!」

 

 

 

 

〜レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンside〜

 

 

『各機、迎撃用意!!』

 

 

通信から拓也さんの指示により、全員迎撃用意する。

つい先程、敵LBXを殲滅したのに、また新たに敵LBXが飛んで来た。

余程これ以上先に進ませたくないのだろう。

宇宙空間では大半のLBXが満足に戦えない。

戦えるのは宇宙空間でも飛べたり出来るLBXだ。

そして、俺とヒロが父さんから受け取ったLBX[イカロス・ゼロ]と[イカロス・フォース]なら満足に戦える。

なら―――

 

「ヒロ、行くぞ!」

 

『はい!バンさん!!』

 

俺とヒロが先陣を突き進むしかない。

イカロス・ゼロを動かし、増援としてやって来た敵LBXに突撃しようとした時。

 

『―――ここは僕がやるよ兄さん』

 

と通信が来た。

通信と同時に、ダックシャトルから一筋の光条が放たれ、イカロス・ゼロとイカロス・フォースの前に降り立つ。

降り立った"それは"両手に白と言うよりは雪のように青みを見せた光源を放つ剣と、黒と言うよりは、夜を想像させる明るい黒の光源を放つ剣の二本を携え、背中にはイカロス・フォースの翼に少し似た小さな光翼が3対6翼が付けられていた。

機体のカラーリングは純白に淡い緋色が交じったような白金色。

所々にイカロス・ゼロやイカロス・フォースの特徴があるのは、ベースとなっている[プロト・U]がプロト・Iと兄弟機だからだろう。

今までレイのLBXが黒系統だったのに対して、今回は白系統と反対のカラーリングだ。

武装の双剣の色が白と黒なのは、エレボスの双剣の色を引き継いでいるからだろうか。

通信と同時に降り立ったレイの新たなLBXを視てそう思う。

 

「レイ、それが新しいLBXなのか?」

 

『うん。僕の新しいLBXウラノスだよ』

 

俺の問いにレイは頷かきながら答える。

 

『さて。ここからは僕に任せて。少し・・・・・・暴れ足りないんだよ』

 

「え?」

 

レイの言葉に少し引く。

暴れ足りないって・・・・・・。

頬が少しピクつくのを感じながら思っていると。

 

『さぁ。―――舞いなさい!!』

 

レイのその言葉とともに、レイの新型LBX、ウラノスの光翼が光ったかと思うと、ウラノスから分離しウラノスの周囲を舞うように浮遊した。

 

「え!?」

 

『つ、翼が分離した!?』

 

驚く俺とヒロ。

ジンたちも驚嘆している中。

 

『――― 一斉掃射!』

 

レイはただ一言。

そう告げた。

レイの一言に反応するように、分離した光翼の先端に純白のライトエフェクトが集まったかと思うと、並列並びした光翼から眩いほどの光線(レーザー)が放たれた。

 

「は?」

 

『え?』

 

『マジ?』

 

『えっ?』

 

目の前の光景に依然として唖然となる俺たち。

何せ放たれた光線は、迫り来る敵LBXの前列部を一撃で薙ぎ払ったのだから。

しかも必殺ファンクションを使っていない。

まるで両手銃のレーザー掃射みたいな感じだ。

それも6本。

今まであんな武装見たことない。

浮遊しているし、何よりLBX自身が手に持ってない。

独立しているように見える。

それに今の光線は、一本一本が光弾系両手銃と同等の威力だ。

俺とヒロのイカロス・ゼロとイカロス・フォースとはまた違う新型LBX。

驚いている俺たちを他所に、レイは分離した光翼を携えて、単独敵LBXの郡へと飛んで行った。

数はさっきより少ない。100機も居ないだろう。

だが、それでも一人で相手するのは難しいはずだ。

難しい、はず・・・・・・・・・・なのだが・・・・・・・・・・・・。

 

『一人でもう半数以上倒してる・・・・・・』

 

『うそ・・・・・・』

 

『次元が違うにも程があるだろ

 

ユウヤ、ジェシカ、アスカが驚嘆を隠せずに言う。

縦横無尽に飛び回り、全包囲から逃げまなく光翼による掃射。

それだけに飽き足らず、ウラノス自身。双剣で一撃で斬り裂いて敵LBXを殲滅していく。

さらには、光翼の二つが右手の黒い剣と合体し、剣幅が一回り大きくなったかと思いきや、そのまま薙ぎ払うと同時に、イカロス・フォースの合体必殺ファンクション【00(ダブルゼロ)ソード】のような斬撃を飛ばした。

【00ソード】のように超広範囲殲滅という訳では無いが、斬撃の射程内にいた敵は全てが破壊された。

他にも、攻撃してきた敵LBXの攻撃を光翼が集まって防いだりして、もはや無双状態に均しい感じだった。

ちなみにだが、ここまで一度も必殺ファンクションを使っていない。

宇宙を自由自在に飛び回り、敵を圧倒。制圧していく。

しかも時間が経つにつれて動きもより速く。滑らかになっていっている。

俺やヒロですら、イカロス・ゼロとイカロス・フォースの機体性能が良すぎて、操作が難しいのにもうレイは自分の手足のように扱っている。

"天性の才能"の一言で済ませていいレベルではない。

それから瞬く間に、たった一人。たった一機で第二陣の敵LBXを掃討したレイは何事も無かったかのように、ふふーん、と口すさんでいたのだった。

そしてその姿は正しく"天使"にも見える。

誰が呟いたのか分からないが、俺たちの間にこんな言葉が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         【殲滅天使】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜バンside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜レイside〜

 

「ここは僕がやるよ兄さん」

 

父さんから新型LBXウラノスを受け取った僕はそのままダックシャトルから出撃し、迎撃に出ようとする兄さんとヒロのLBXの前に降り立ち、通信で兄さんにそう告げる。

 

『レイ、それが新しいLBXなのか?』

 

「うん。僕の新しいLBXウラノスだよ」

 

新たなLBXウラノスのカラーリングは純白に淡い緋色が交じったような白金色。

今までのLBXが黒系統だったのに対して、今回は真反対の純白。

武装は変わらず双剣で、刃が右手に黒。左手に白の光源を放つのが特徴の細身の片手剣。

それぞれの名は、右手の夜のように照らす剣が【ネビュラ】。

左手の雪のように明るい光を放つ剣が【アステラ】。

エレボスの双剣【ノワール】と【ブラン】の特色を受け継いだ双剣だ。

そしてウラノスの背中には3対6翼の光翼が取り付けられていた。

ヒロの新型LBXの翼みたいに大きくはないが、それでも少し似た小さな光翼だ。

 

「さて。ここからは僕に任せて。少し・・・・・・暴れ足りないんだよ」

 

『え?』

 

不敵な笑みを浮かべて迫り来る敵LBXを見る。

 

「それに、ウラノスの性能を試したいしね」

 

小声で呟き、ふふっ、と微笑する。

兄さんたちが呆然となってる中、僕はウラノスを操作し。

 

「さぁ。―――舞いなさい!!」

 

ウラノスの背中の光翼を分離(パージ)させる。

ウラノスから分離した6翼はウラノスの周囲を舞うように浮遊して対空する。

やがてウラノスを中心に並列並びでそれぞれ3翼ずつ並び、先端を敵LBXの方へと向ける。

そして―――

 

「――― 一斉掃射!」

 

ただ一言発した。

言葉を発すると、先端に純白のライトエフェクトが集まり、6翼全部が同時に発射。

純白の光線が敵LBXの一団へと放たれた。

そう。この6翼は翼ではなく―――

 

「出力はシャルバード中尉のプロト・Uの子機(ビット)より高いのか」

 

プロト・Uにも付いていた自動小型砲撃機、子機(ビット)なのだ。

光翼に見せた子機(ビット)

しかもプロト・Uの二倍たる6機。

父さんから聞いた限り、性能はプロト・Uより上げ、攻防一体型になったらしい。

自分でも操作出来る上に出力調整も出来るとか。

6翼から放たれた光線で、前列部の敵LBXは掃討出来た。

次は―――

 

「行くよ!」

 

ウラノス単独で、敵LBXの中心へと飛んで行く。

ウラノスに追随するように6翼が舞って着いてくる。

敵LBXに接近するや、右の『ネビュラ』で一閃する。

 

「レスポンスが良いな。しかも動きや速度がエレボスとは段違いだ」

 

ベースとなっているプロト・Uの性能が高いのに加えて、父さん直々による換装。

当然といえば当然か。

けど。

 

「慣れてきた」

 

少しずつウラノスについて分かってきた。

分かると言うより、伝わってくるのだ。

子機(ビット)を手早く操作して3翼を三方向から砲撃。

残りの3翼の内、放たれた敵LBXの攻撃を2翼の守翼(シールド)形態にして防ぐ。

残った1翼で攻撃して来た敵LBXを薙ぎ払う。

そのまま何機かの敵LBXを破壊していると。

 

 

『レイ。【アームドウェポン】を使うんだ』

 

 

と。ダックシャトルにいる父さんから通信が来た。

 

「了解!」

 

光翼を操作して、6翼ある子機(ビット)の内、2機を右手の『ネビュラ』と合体させる。

合体させた『ネビュラ』は刀身や幅が元の2倍程にまで広がり、白と黒のエフェクトを放つ。

 

星刃(シュナイデン)!」

 

横薙ぎに斬り、刀身から白黒の斬撃刃が放たれる。

放たれた刃は、さっきの兄さんとヒロの必殺ファンクションには及ばなくとも、一直線に飛び射線上にいた敵LBXを全て両断する。

 

「うわぁ・・・・・・。よくこんな短時間で、トンデモ機体を3機も改装して造り上げたなぁ父さん」

 

呆れ半分感心半分というなんとも言い難い感情で呟く。

 

「残り少しか・・・・・・一気に殲滅する!!」

 

もう片方の『アステラ』にも、『ネビュラ』と同じように子機(ビット)と合体させ、二本の大剣が完成する。

そのまま双剣から斬撃を飛ばし、まとめて両断。殲滅する。

一機斬る度に、その後ろに居た機体も斬る。

そして残った2翼の子機(ビット)も操作して光線を放ち、敵LBXを穿つ。

最後に―――

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!サウザンド・レイン!!】」

 

ウラノスの背後の空間に幾物の魔法陣が展開され、そこから蒼白い燐光のエフェクトを纏った剣が魔法陣を通って空間の狭間より現れる。

その数はサウザンドの名の通り、千近いほどだ。

そのまま無慈悲に右手の『ネビュラ』の剣先を残った敵LBXらへと向け、蒼白い燐光を纏った剣を射出する。

射出された無数の剣は雨のように敵LBXらへと射出され、剣を突き立てていく。

その一撃で残った敵LBXは全て殲滅され、ババババババッ!と連鎖反応を引き起こすようにして爆散した。

 

「ふぅ・・・・・・」

 

広範囲殲滅必殺ファンクション。それがこの【サウザンド・レイン】だ。

異空間に存在する剣を弾丸のように射出する。

ただそれだけだが、威力は十分に高い。

まぁ、さっき見た兄さんとヒロの新型LBXの合体必殺ファンクションには及ばないかもだけど。

同じ範囲技の【ライトニング・フォール】と違い、全ての空間で放てる空間技な為かなり幅広い技となっている。

ちなみにこれ、今まで使ってない奥の手の1つだったりする。

増援としてきた第二陣の敵LBXを全て殲滅し終えた僕はそのままダックシャトルへと帰投し、兄さんたちと合流した後それぞれLBXを回収。

コントロールポットから出た後、メアやルナをはじめとしたみんなから色々聞かれたけど、あれ以降特に妨害はなく、僕らはパラダイスへと航行する。

それからしばらくした後、ダックシャトルはパラダイスに接近。

オタクロスと大空博士の造った、迎撃回避プログラムにより、かなり強引にパラダイスからの迎撃レーザーを避け、パラダイスの懐へと到達。

その後、僕、兄さん、ヒロ、ランのリミッター解除したLBXによってパラダイス外壁を破壊してダックシャトルごと突入という強行手段でパラダイスへと着艦した。

戦いの舞台は、ついにパラダイスへと。

最終局面へとなった。

 

 

 

 

 

 

 









―――Final Trailer―――



戦いの舞台はパラダイスになり、ついに最終局面へ




「レーザー発射まであと1時間だ」


迫り来る終末時計(タイムリミット)
その行く手を阻む


「さぁ、フィナーレだ」



願いを叶えるため


「あと1%。エイミー、君を蘇らせる・・・・・・!!」



理想のため


「パーフェクトブレインは我が理想のために使わせてもらう」





分断される仲間


「ここはいいからみんなは先に行って!!」



最終局面へと到達


「ようこそ。我が革命の象徴。パラダイス心臓部へ」




「先に言っておく。投降する気はある?」



追想


「私は決意したのだ。強大な力を持った政治家になると!」



未知のLBX


「貴方の相手は私が努めます。山野レイ」



絶望を告げる音


『メインレーザー充填完了』



そして


「・・・・・・断る」





「そろそろ正体を見せろLEX。いや・・・・・・偽物(フェイカー)!!」




現れる衝撃の人物


「私は―――の意志を継いで、世界を浄化する!!」



「僕はあの時からずっと。貴女を探していた」



ついに明かされるレイのあの事件以降の行動の数々



「それが―――の願い!!」



「過去しか知らない貴女が今の何を知っている!」



「お前たちは絶望するの!」



「いいや。勝つのは僕らだ。受け継いだ炎の意志は、消えることは無い!!」



「貴女を止める!そうでなければ、この一年の動きが。いや、僕が貴女を探していた意味が。あの人の思いが無くなる!!」





「これで終わりよ!!!」




「終わりにはさせない!!未来を、この手に掴むために!!!」


























『脅威度最大。カタストロフモードに移行します』





















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