ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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零、夢、月、花の休日

 

〜レイside〜

 

ダック荘へと帰っている道中、僕らは明日の予定について話していた。

 

「明日はお休みだけど、どうする?」

 

「うーん、明日は一日晴れみたいだから〜」

 

「まずは、洗濯物を干して、その後どこかに出掛けましょう?」

 

「でもどこに行くの?」

 

上からルナ、メア、フラン、僕の順に話す。

 

「明日早朝は僕ちょっと学校行かないと行けないけど」

 

明日の休みに先日拓也さんに頼んでいた、タイニーオービット社製のLBXのアーマーパーツが届くのだ。さすがにこれに関しては僕も行って直接受け取らないといけない。何せ副司令だから。

 

「じゃあ、レーくんの洗濯物も私たちが洗っておくね」

 

「あ、ありがとう」

 

さすがに年頃の男女の洗濯物を一緒に洗うというのは色々抵抗があるけど、さすがに一年くらいも一緒に生活していればもう慣れた。いや、最初はそれぞれ別に洗っていたんだけど、僕がハーネスの司令になってからは忙しくなり、メアたちが手伝ってくれてる。いや、ほんと。日暮先生がもう少しちゃんとしてくれれば・・・・・・!

 

「洗濯物を干すところ、私たちはみんなとは別だしね」

 

「まあ、さすがに年頃の男女が一緒に過ごしてる、なんて他の人に知られたら色々あるからね」

 

「私たちは例外ね」

 

「ルナやフランは他の人と一緒には出来ないからね。それに僕やメアも」

 

「報告もあるし、私たちのLBXもあるからね〜」

 

商店街で必要なものを買いながらダック荘へと帰る。

 

「明日何時ぐらいで戻って来れるの?」

 

「うーん、十時前には戻れると思うよ?手続きとかだけだから」

 

フランの質問に悩みつつ返す。

 

「それじゃあ、それが終わったら島の裏の草原にピクニックにでも行こうよ」

 

「あ、そうだね!それがいいよ!」

 

ルナの提案にメアは乗り気だ。

 

「なら、食材を買わないとね」

 

フランも乗り気らしく、料理の材料を探し始めた。

 

「え、ちょっ!三人とも!?」

 

あっと言う間に散開して食材を吟味し始めた三人に目が点になるが・・・・・・。

 

「ま、これもいいかな」

 

クスッと小さく笑い、目の前の三人の光景を見つつ呟いた。

これが今の僕らの日常だ。

 

「兄さんたちは今頃、何してるのかな・・・・・・」

 

離れた場所にいる兄さんたちを思いながら、本島のある方へ向き思い馳せた。

 

「バン兄なら多分、お姉ちゃんとイチャイチャしてるんじゃないかな?私とレーくんみたいに」

 

思いを馳せているとメアが同じく本島を見ながら言った。

 

「どうかなぁ〜。兄さん、あれでも生真面目だから。父さんの跡を継ぐために頑張ってるからね」

 

「あー、お姉ちゃんも弁護士になるために勉強してるからね」

 

「うん。カズ兄は八神さんたちの所に弟子入りしてるし」

 

僕たちにとっての先輩にして兄たちである三人を思いながら話す。

 

「あー、でも、アミ姉が兄さんに告白した時は驚いたなぁ〜」

 

「あ、それは私も。まさかお姉ちゃんからとは思わなかったよ〜」

 

当時の出来事を思い出し感慨に耽ける。

その時のことはまた今度話そう。

 

「メアは買わなくていいの?」

 

「あ、うん。フランちゃんたちがやってるから」

 

そのフランたちも食材を既に買ったのか、袋に入れてこっちに向かって来ていた。

 

「フラン、ルナ。それ持つよ」

 

男としてそれくらいはしないとね。

 

「あ、ありがとうレイ」

 

「レイありがとう〜」

 

二人から荷物を受け取り。

 

「それじゃあ、帰ろうか」

 

僕らは夕日の射す道を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

神威大門 ハーネスブリーフィングルーム

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

ブリーフィングルーム内にて司令官としての服装(ハーネスの服の上に、黒いコートを着てる)で相手が来るのを待っている。

のだが。

 

「日暮先生、やっぱり来ない・・・・・・!」

 

日暮先生がまったく来ないのだ。本来なら、日暮先生も立ち会わなければならないのだが・・・・・・!あ、ジンさんは別である。

 

「はぁ。仕方ない」

 

もう諦めて待っていると。

 

「失礼するぞ。タイニーオービット社から来た者だ」

 

ブリーフィングルームの扉が開き、そこからひとりの男が入ってきた。

僕は佇まいを直し、司令官としての意識を切り替える。

 

「お待ちしてました。はじめまして、ハーネス副司令の山野レイです」

 

指令席から降り、入ってきた男に挨拶をする。

 

「あ?山野レイだと?」

 

入ってきた男の声にどこか聞き覚えがあるのを思いながら入ってきた男を見る。

白黒の囚人服のようなシャツに黒いジャケット。赤いスボンを履いた二十代の男。ていうか、それに該当する知り合いが一人だけいるのだが・・・・・・。

 

「まさかお前、あの山野レイか?」

 

暗がりでよく見えなかったその人物の顔を見て。

 

「風摩キリト!?」

 

思わず声を上げた。

 

「え?なんでキリトがここにいるの!?」

 

「なんでかって、宇崎拓也に持って行くように言われたからだよ」

 

「えぇぇ・・・・・・」

 

「それより、ほら」

 

二つのアタッシュケースを渡してきたキリト。アタッシュケースを受け取り、中身を確認する。

中には新型のLBXのアーマーフレームが入っていた。

 

「確かに受け取ったよ」

 

「そんじゃ俺は帰るぜ」

 

そう言って帰ろうとするキリト。

 

「って、ちょっ!受取証持って行って!」

 

即帰ろうとするキリトに慌てて受取証を渡す。

 

「ああ。忘れてたぜ」

 

絶対ウソだ!キリトの言葉にツッコミを入れる。

 

「あー。あと、これを渡すように言われてたんだ」

 

「ん?」

 

思い出したように懐から何かを渡してくるキリト。

 

「これは?」

 

渡されたのはUSBメモリだった。

 

「宇崎拓也がいつか必要になるだろうって、あんた達の新型の設計図だ」

 

「っ!?」

 

「必要になったら使え」

 

「分かった」

 

USBメモリを受け取り懐にしまう。

 

「じゃあな。・・・・・・しっかりやれよ」

 

「ああ」

 

相変わらずの、素っ気ないが気遣ってくれるキリトに苦笑しながら返し、キリトを見送る。

扉がロックされるのを確認し、キリトから受け取ったアタッシュケースを開く。

 

「オーダー通りだよ拓也さん」

 

二つのアタッシュケースの中には計五種のアーマーフレームが納められていた。

 

「さて・・・・・・使わせる候補は決まってるし。今度のウォータイムから出撃できるね」

 

アタッシュケースをルーム内の金庫に厳重に格納しロックを掛ける。

 

「あとでこっちのデータをメアにアップしてもらわないと」

 

USBメモリを手に取りながら呟き、ハーネスのブリーフィングルームを後にした。

ちなみに、日暮先生にはCCMからメールにて文句を言っておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神威島裏草原

 

 

キリトから新たなアーマーフレームを受け取ってから二時間後、僕は予定通りフランたちと島の裏側にある草原に来てのんびりとしていた。

 

「んーー。気持ちい〜ね〜」

 

四人で草原に横になってのんびりとする。

周囲には木々や花々が咲き誇り、春の訪れをかんじさせてくれる。

 

「えぇ。風が心地いいわ」

 

「うん。花の香りもいい匂いだよ」

 

「安らぐね〜」

 

メア、フラン、僕、ルナの順に横になる。

四人とも制服ではなく私服だ。

僕は白いシャツに黒のスボン。そして黒のコート(司令官の時に着ているのとは別)と結構落ち着いた色合いだ。

メアは桃色のワンピースに白のジャケット。ルナは紺色のワイシャツの上に水色のカーディガン。下に白いロングスカートに、黒いストッキングを着用。フランは白の長袖Tシャツの上に、半袖のカーディガンの黒のジレ。下にピンクのスカートを着ている

 

「僕ら以外誰もいないからゆっくりできるよ」

 

「ホント。そうだね」

 

「いつも何かと騒がしいからね」

 

落ち着いた空間。当たりを包むのは風に揺れる草木の音だけ。僕らに当たるのはここち良い、海からの春風。

 

「ずっとこうしていたいなー」

 

「メアに同感」

 

「私も同じく」

 

「私も〜」

 

自然と手を繋ぐ僕ら。

 

「なんだろう・・・・・・」

 

「ん?」

 

「ずっと昔から私たちは一緒にいたような気分。この四人でいるのはまだ二年くらいなのに」

 

「そうだねぇ。初めは私とレーくんだけだったけど、今はルナちゃんもフランちゃんもいる」

 

「奇跡や偶然とか、そんなんじゃなく、今僕らがここにいるのは必然だったのかもね」

 

「必然?」

 

僕の呟きにフランが聞いてくる。

 

「うん。そんな気がするんだ」

 

「・・・・・・分かる気がするわ。でも、その必然が出たのはレイのおかげね」

 

「僕の?」

 

「そうだよ。レイが居たから私たちはこうして集まってるんだから」

 

「ってことはレーくんを中心に、私たちが集まったのね」

 

「ふふ。そうかもしれないわね」

 

お昼の日差しが照らす僕らは笑い合う。

仲良く笑い合う声が僕ら以外誰もいない草原に響く。

 

「そう言えば、私は二年半前に来たからイノベーター事件やディテクター事件のこと知らないのよね」

 

「あ、それは私も。ディテクター事件は少しだけ知ってるけど、イノベーター事件のことは全くわからないよ」

 

「そうね。私とレーくんは知ってるけど」

 

「それじゃあ、イノベーター事件のことから話そうか。もっとも、僕が知ったのも兄さんやアミ姉、カズ兄を付けたあの時からなんだけどね」

 

そうして僕はフランとルナに5年前のイノベーター事件の事を追憶しながら語った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから語られるのは僕の記憶。

 

それはすべての始まりにして、今ここにいる原点の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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