〜レイside〜
「さあ。これが本当の、ラストバトルよ!!」
「望むところだ!!」
暴走したアダムとイブの操る[ゼウス]が騎乗する【キラードロイド・ペガサス】に閉じ込められ、キラードロイド・ペガサスの展開したバトルフィールドには、キラードロイド・ペガサスに、僕の[ウラノス]、兄さんとヒロの[イカロス・ゼロ]、[イカロス・フォース]の4つが降り立っていた。
キラードロイド・ペガサスの展開したバトルフィールドは白に統一されていて荘厳なフィールドだった。
黒い機龍のキラードロイドが展開していた荒廃した都市をイメージしたバトルフィールドに対して、コッチは
まるで神の座す空間を彷彿とさせる。
まさに――――――《神の頂》
「行くよ、兄さん!ヒロ!」
「ああ!!」
「はい!!」
先行して兄さんとヒロのイカロス・ゼロとイカロス・フォースが反対側に対面するキラードロイド・ペガサス目掛けて走り、攻撃を仕掛ける。
だが、飛び上がって攻撃しようとした2機にキラードロイド・ペガサスは両手の銃の銃口を向け、2機目掛けて水色の光弾を放った。
「(反応速度が漆黒の機龍より速い?!)」
まるで予知していたようにイカロス・ゼロとイカロス・フォース目掛けて光弾を放ったキラードロイド・ペガサス。
「(なら・・・・・・!!)」
合体させていた
だが―――
「っ!?」
すぐさま追撃ではなく距離を取らせる。
そこへ。
『外部データ、転送。転送元、パーフェクトブレイン』
『承認』
突然アダムとイブの声が響き渡り、それと同時に小型の赤い空間ウインドウが沢山現れた。
赤い空間ウインドウが現るや、キラードロイド・ペガサスに騎乗するゼウスのカメラアイが点滅しだす。
まるで何かのデータを受信しているかのように。
「なんだ?」
「これは・・・・・・」
「ふっ」
動揺する兄さんたちに対して、檜山真実はふっ、と不敵な笑みを浮かべる。
「・・・・・・・・・・」
檜山真実のあそこまでの余裕な表情。
それにアダムとイブがゼウスに搭載されているパーフェクトブレインに何らかのデータを送っている。
嫌な予感がする。
そんな僕の予感を裏切らずにキラードロイド・ペガサスが動き出した。
翼の剣を合わせて回転しながら突進してくるキラードロイド・ペガサス。
ウラノスたちは瞬時に避け、反撃を仕掛ける。
だが、イカロス・フォースは頭部のツノで上へ、イカロス・フォースはそのままツノで下へと弾かれる。
弾き飛ばされる2機を追うように、ウラノスの双剣がキラードロイド・ペガサスの胸の閉じられているコア目がけて振るわれるが、右手の銃の砲身で真横に吹き飛ばされた。
そのまま、キラードロイド・ペガサスはウラノスら3機の中で一番近くに弾かれたイカロス・ゼロへ目掛けて、右の銃身を勢いよく振り下ろし、押し潰さんばかりと攻撃する。
しかし、イカロス・ゼロはギリギリ辛うじて、右に避けて直撃を避ける。
「イカロス・ゼロ!」
だが、キラードロイド・ペガサスの攻撃は終わらず、飛び上がるや、今度は右の翼剣を避けたイカロス・ゼロへ振り下ろした。
これもイカロス・ゼロはギリギリのところで避け、イカロス・フォースとともに上に飛び上がる。
追撃をさせない為、
「兄さん!ヒロ!」
「ああ!ヒロ、必殺ファンクションだ!」
「はい!イカロス・フォース、リミッター解除!ウェポンフォーム!!」
この隙を逃さず、イカロス・フォースがリミッター解除のウェポンフォームに変形し、イカロス・ゼロが必殺ファンクションを放とうとする。
だが―――
「そんな!」
「どうして?!」
「っ!?」
まるで意味無い、とでも告げるかのように
武器化が強制キャンセルされたことで、イカロス・フォースは元のLBXの姿に戻り、イカロス・ゼロ共々キラードロイド・ペガサスによって吹き飛ばされ、フィールドの柱らしき建造物にぶつかる。
まさかの必殺ファンクションの不発に全員が驚愕する。
ただ一人・・・・・・
「もうお前たちのどんな攻撃も通用しない」
檜山真実を除いて。
「なに?」
檜山真実の言葉の意味が解らず怪訝な表情を浮かべる。
僕らの疑問に檜山真実は。
「アダムとイブは、パーフェクトブレインから過去全ての戦いの情報を受け取っているのだから」
と勝ち誇ったような歓喜な声で告げた。
「僕たちの戦い方が・・・」
「全部知られている?」
過去全ての戦いが把握されてることに驚愕する兄さんとヒロ。
対して僕は。
「・・・・なるほどね・・・・・・そう来たか」
理解した。
どうりでウラノスらの動きが把握出来たわけだ。
だが、過去全ての戦いが把握されてるということは―――
『3人とも諦めるな!』
難しい顔を浮かべていると、フィールド外にいるジンが兄さんのCCM越しに叱咤激励してきた。
「ジン」
『もうキミたちしかいないんだ!』
『お前たちが諦めちまったら・・・・・・』
『この世界は破滅してしまう!』
『世界を救ってくれ!』
『お願い!』
『バン!ヒロ!レイ!』
『レーくん!』
『レイ、お願い!』
フィールドの外を見ると、メアやルナ。
ランやジンたちの懇願しつつも、諦めるなという意志を感じ取れた。
「ああ!」
「絶対に負けません!」
ジンたちの激励に押されて、兄さんとヒロのイカロス・ゼロとイカロス・フォースが再度キラードロイド・ペガサス目掛けて飛んでいく。
僕もウラノスを操作しながら対策を思考していた。
「(檜山真実は、『アダムとイブは、パーフェクトブレインによって過去全ての戦闘データを受け取っている』、と言った。つまり、過去の戦略や戦術は全て対策されているということ・・・・・・)」
キラードロイド・ペガサスの攻撃を飛びながら避けて、
だが、そのどれも対策されていて、決定打にはならない。
さっきのイカロス・フォースの
アダムとイブは世界最高峰のAI。
過去の戦闘データ。
特に僕、兄さん、ヒロの戦ったデータは完全に把握していると過程した方がいい。
となると対策は―――
「確かに、過去の戦闘データを知られているのは圧倒的不利だ。だが、それでも勝機はある」
僕が思考しているとフィールドの横で戦いを観ている父さんが大空博士に話す。
「どういう事です?」
「まだパーフェクトブレインが情報を持っていない攻撃方法があります。その鍵を握っているのは・・・・・・レイとヒロだ」
父さんがそう言い終えるのと同時に、僕は至極単純な事を思い出した。
「はは・・・・・・あはは・・・・・・あははははは!!」
「レイ?」
「れ、レイさん?」
突然笑いだす僕に戸惑う兄さんとヒロ。
父さんと大空博士も、え?と戸惑り、フィールドの外にいるジンやアミ姉たちは怪訝ながらも困惑していた。
だだ、メアとルナの二人は互いの顔を見合わせて、何かを悟ったのか苦笑していたけど。
「突然笑いだすなんて。ついに勝ち目がないと分かったのかしら?」
呆れたように問い掛けてくる檜山真実。
まぁ、普通ここで笑うのって、気が狂ったのか?って思うよね。
「まさか」
肩を竦めて返答し。
「檜山真実。貴方が相手なら勝率は分からなかった。でも、相手がアダムとイブなら、
「「「「っ!?!?」」」」
「なんですって?」
檜山真実は何を言っているの?って顔をし、兄さんたちは驚いた顔をしている。
「父さん。アダムとイブはパーフェクトブレインから過去全ての戦闘データを受け取っている。つまり、過去の戦闘をアダムとイブは分かっている・・・・・・という理解でいいよね?」
「ああ。檜山真実の言葉通りならそうだ」
「ありがとう」
父さんの応えに満足しながら口角を上げる。
「なら・・・・・・・・・・これならどう?」
イカロス・ゼロとイカロス・フォースよりも速く、ブースターを掛けて一気にキラードロイド・ペガサスへと接近。
けど、これを予見していたキラードロイド・ペガサスは両手の銃で接近を阻止しようとする。
その攻撃を、ブースターを解除し、上空から低空飛行にして死角範囲を飛んで避け、キラードロイド・ペガサスの両脚部のコードを攻撃する。
避けられた銃撃は飛んでいたウラノスの軌道上を飛び、低空飛行しているウラノスには当たらない。
「な・・・・・・っ!?」
「ウラノスの攻撃が」
「当たった・・・・・・!!」
両脚部のコードを攻撃されたキラードロイド・ペガサスは甲高い奇声のような雄叫びを上げる。
攻撃が当たった事に驚く檜山真実に兄さんたち。
「い、一体何をしたの山野レイ!?」
「僕がした事は単純に『加速・ゼロ・加速』によって銃撃の当たるタイミングをズラしただけ」
「・・・・・・は?」
「加速」
「ゼロ」
「加速?」
「・・・・・・」
何を言っているの?と疑問符を浮かべている兄さんたちの中、父さんは、なるほど、と呟いていた。
「そもそも考えれば簡単なことだよ」
「いくら過去全ての戦闘データを受け取っているとはいえ、それは
「「「「っ!!」」」」
そう。
いくら過去全ての戦闘を知っているとはいえ、
そして、
もっとも、これは一度だけの戦術。
次同じ戦術をしてもアダムとイブには必ず対処される。
ならどうするか?
そんなの決まってる。
「人間同士なら相手の思考を読むだろうけど、AIでは人間の。僕の思考は読めないでしょ?」
違う戦術をすればいいだけの事。
立て続けにキラードロイド・ペガサスにダメージを与える。
アダムとイブに
もしこれが兄さんやヒロ、ジンたちならある程度予測して対処してくる。
そして長い間一緒にいたメアやルナ、キヨカなら僕の思考を読んで先の展開を繰り出してくる。
「アダムとイブの・・・・・・AIの先を行くとか、そんなの人間業じゃない・・・・・・」
大空博士がそんなのありえないと呟く。
「誰が人間はAIに勝てないと言った?例え勝つ可能性が低くとも、勝つ可能性がある限り人間はその可能性を掴み取るために努力し、目指していくんだ。諦めたらそこで全てが無に帰す」
こうして言っている間にも次々と攻撃をキラードロイド・ペガサスへと当てている。
「ヒロ。キミも出来るはずだ」
「え?僕がですか?」
ヒロの問いに頷いて答える。
ヒロが本気を出した際の潜在能力は、兄さんを優に超える。
もしかしたら僕を超えるほどかもしれない。
ディテクターとの戦い。
アングラテキサス、アルテミス、BCエクストラス、国防基地でといった強敵たちと戦い、ヒロ自身は気づいていないかもしれないが、ヒロの潜在能力は僕らの中でも断トツ。
「思い出せ、これまで戦ってきた一つ一つの経験を。アダムとイブは知っているだけで、
「経験値・・・・・・」
「兄さんも。出来るでしょ?」
「っ・・・・・・ああ!」
僕の問いに火がついたのか、兄さんは諦めないという強い灯火を目に宿しイカロス・ゼロを動かす。
ヒロも判ったのか、兄さんと同じ諦めないという強い灯火を宿してイカロス・フォースを操作する。
「絶対に諦めない!」
「この世界のため・・・・・・みんなのために!」
ウラノスだけでなく、少しだがイカロス・ゼロの攻撃が当たり出した。
そして、イカロス・フォースは、先読みしているようにキラードロイド・ペガサスの攻撃を避けイカロス・ゼロよりも多く攻撃を与えていく。
しかもスピードも上がっている。
「これは・・・・・・」
「ヒロは、集中力を極限にまで高める事によって通常では不可能なチカラをだせる。バンもこれまでの経験から。そしてレイは元々の才能に加えて、類まれなる天才的なセンスによって・・・・・・。レイの言った通り、過去の戦闘データに、
限界を超える。
それが、ヒトとAIの最大と違い。
ウラノスらの攻撃に檜山真実は不敵な笑みを浮かべながら。
「ふっ。そんな攻撃ではビクともしないわ」
と、勝ちは揺るがないと返す。
だが―――
「っ!?」
『エラー。外敵の脅威度の再認識を提案』
『承認。脅威度の再認識を開始』
徐々に押されているキラードロイド・ペガサスを見て檜山真実は目を見開き、アダムとイブは感情のない機械音声で言い放つ。
『脅威度の序列を確認』
『承認。山野レイの脅威度を最大レベルと断定』
「はい?」
何故か僕一人だけ脅威度が最大レベルだと指定されたことに唖然となる。
兄さんたちも思わず動きを止めるほどだ。
その間にもアダムとイブは次々と話す。
『脅威度最大。デストロイモードからカタストロフモードに移行を提案』
『承認。脅威度最大。カタストロフモードに移行します』
そう告げると、アダムとイブからレーザーのようなものが放たれ、放たれたレーザーはキラードロイド・ペガサスの展開したフィールド膜を突き破り、一直線にキラードロイド・ペガサスに騎乗するゼウスへと降り注いだ。
「「「っ!」」」
『デストロイモードからカタストロフモードへの移行完了』
『《ゼウス・カタストロフモード》発動。それにより、キラードロイド・ペガサスの操作権を
『承認。続けて、キラードロイド・ペガサスのシステムを
『承認。キラードロイド・ペガサス、【
立て続けに流れるアダムとイブの音声。
アダムとイブの音声が響く中、キラードロイド・ペガサスが動き出した。
「―――――――――!!!」
一際甲高い、耳をつく奇声。
そのまま騎乗していたゼウスがキラードロイド・ペガサスから離れるように浮上し、白だったカラーリングが黒へと変色し出す。
それと同時にその周囲を黒い雷のようなものが現れ、黒く染っていくゼウスを包み込んでいく。
「これは・・・・・・っ!!」
「まさか、アダムとイブはたった少しの戦闘でさらに進化したというの?!」
先程まで勝てる見込みがあると判断していた父さんと、突然さらに自己進化しだしたアダムとイブに驚愕する大空博士。
「これが、生きたいと判断して、人間を排除しようとする・・・・・・」
「人類最高の人工知能の本領・・・・・・」
さらなる進化に動揺する兄さんとヒロ。
僕も少し驚いている。
まさかここまでとは・・・・・・
『殲滅対象、山野レイを指定』
『承認』
「っ!」
どうやら本格的に僕をこの戦いから排除しようと決めたらしい。
アダムとイブの言葉に身構え、LEXのCCMを握る手が自然と強くなる。
『『殲滅開始』』
そうアダムとイブが同時に言うや、黒く変色していったゼウスを包み込んでいた黒雷がバッ!と晴れ、新たな姿をしたゼウスが姿を現した。
全体的に白だったカラーリングが、漆黒を彷彿とさせる黒一色となり、その背後にオーラで出来たような一対の翼が権限する。
そのオーラはそれぞれ水色と橙色で、アダムとイブを象徴している。
そしてその手には黒銀に変色したゼウスの武器が握られていた。
武器の刀身は伸び、ウラノスやイカロス・フォースの剣と同じ長さにまで変化していた。
黒銀の武器を構えるその姿はまるで―――
『死神』
いや、あるいは。
『死の天使』
の方が正しいのかもしれない。
「―――っ!」
息を呑んだ瞬間、ゼウスが一瞬の内にウラノスに接近し漆黒の剣を振りかざしてきた。
「レイ!!」
「レイさん!!」
「っく!!」
振り下ろしウラノスに当たるのと同時に、直感で反応した僕の指が動き、CCMを操作してウラノスを避けさせる。
避けた場所には振り下ろされた傷痕。
斬撃の痕がくっきりと残されていた。
「――――――!!」
斬撃の跡を見て口角が獰猛な獣のように上がる。
「上等!ウラノス!!」
双剣の『アステラ』と『ネビュラ』を振り払い、ゼウスと斬り合う。
「兄さん!ヒロ!2人はキラードロイド・ペガサスを相手しろ!出来るよね?!」
「ああ!!」
「任せてくださいレイさん!!」
それぞれ、槍と双剣を構えるイカロス・ゼロとイカロス・フォース。
繰者たるゼウスが分離したことで、ある程度は機動力が落ちたはずだ。
それなら兄さんとヒロでも十分に対処出来る。
「(にしても、まさか今度はアダムとイブの操るゼウスと戦うことになるとはね)」
一振りするたびに黒雷が迸るゼウスの剣と斬り合いながらそう思う。
キラードロイド・ペガサスを自動運転にして、ゼウスを操作することにリソースを割いているからかゼウスの強さが半端ない。
けど、それだけアダムとイブにとって僕が脅威だと判断したということ。
「どうして、アダムとイブは山野レイ君を危険視して・・・・・・」
「レイの戦闘センスは自分たちの命を脅かす。アダムとイブはそう判断したんだ。実際、彼らは過去の戦闘データを看たのに加え、たった今の戦闘で、それはそうすべきだと。自分たちが生き残るためにはレイをどうにかしなければ意味が無い・・・・・・それが今のゼウスなのだろう。事実、今のゼウスはレイでなければ、対処できない」
「なっ!?」
父さんもこの状況がかなり不味いことになっていると分かったのか険しい表情を浮かべてる。
「アダムとイブをどうにかするには、キラードロイド・ペガサスだけではなく、レイがゼウスを倒さなければどうにもならない」
父さんがそういう中、僕はアダムとイブの操るゼウスと戦っていた。
ガーダイン、檜山真実が操作していたゼウスと違って、アダムとイブが直接操作しているからか、反応速度や反射速度が非常に高い。
スペック自体も上がっているように感じられる。
キラードロイド・ペガサスはゼウスによるコントロールが外れたからか、兄さんとヒロが対処している。
「はああっ!!」
次々と攻撃を仕掛ける。
しかし、アダムとイブの操るゼウスはその悉くを捌いて反撃してくる。
紙一重のところで対処するも、今のアダムとイブに勝てる確率は五分五分。
さっきのデストロイモードでの状態なら確実に勝てたが、完全に僕対策をしている今では確率が下がった。
もっとも、確率が下がっても諦める理由にはならないけど。
ゼウスが剣を薙ぐだけで黒雷が波状攻撃してくる。
6翼の
それに加えて、一度見せた攻撃は次には対処される。
攻撃をする度に戦術が減らせれていく。
例え一度見せても、様々な技や連撃を組み合わせてはいるが。
でも、後一歩。
確実に決められる決め手が見つからない。
いくら父さんが換装・改造したウラノスとはいえ、ここまでの連戦で何時やられても可笑しくない状態。
それに加えて時間もない。
表示されている時間は、あと【350】秒。
つまり約5分半。
色々やるとして最大でも後1、2分程度。
だが、焦るとその分ミスる可能性もある。
アダムとイブの操るゼウスは強敵。
それは今戦っている僕だけでなく、兄さんや父さんたちにも分かる。
もし兄さんとヒロなら勝ち筋は低かったかもしれない。
けど、アダムとイブはひとつだけ、僕に対して致命的なミスを犯した。
それは―――
「さあ。もう終わりよ。アダムとイブによって地上は全て浄化される。私と兄さんの願いがついに!ついに叶う時が来たのよ!!」
「しつこい!!浄化なんてさせないし、今のLEXの願いを知らない貴女が
薙ぎ払われたゼウスの剣を受け止めるも、威力が高くフィールドの柱へと吹き飛ばされ、勢いよく柱にぶつかる。
「レイ!」
「レイさん!」
土煙が上がり兄さんとヒロがキラードロイド・ペガサスの猛攻を避けながらこっちを見る。
『対象の沈黙を確認。よって障害の排除完了』
『承認。残存戦力の排除を開始』
アダムとイブが感情のない無機質な声で告げる。
「そ、そんな・・・・・・レイがやられた・・・・・・?!」
兄さんの動揺を隠せない声が響く。
それと同時に。
『嘘だろ、オイ!!』
『レイくんがやられるなんて・・・・・・』
『もう打つ手はないの・・・・・・!?』
『そんな・・・・・・』
アスカ、ユウヤ、ラン、ジェシカの途方に暮れた声が響いた。
『『レイ・・・・・・』』
『・・・・・・・・・・』
アミ姉、カズ兄、ジンも不安そうな表情を浮べるも、これで終わりじゃないはず、と呟いていた。
そしてそれは
『レーくん』
『レイ』
『『まだ、終わってないよね!!』』
メアとルナもで、二人とも光を失っていなかった。
それはもちろん、僕も。
「当然!!」
ウラノスもだ。
土煙を『ネビュラ』で切り払い、視界を開ける。
すでにウラノスは満身創痍。
ここまでの連戦でのダメージ蓄積量が大きいく、長時間の稼働は不可能に近い。
『『エラー。エラー。エラー』』
ウラノスを視たアダムとイブは壊れた機械のようにエラーの一言を繰り返す。
『理解不能。対象、沈黙を否定』
『理解不能。稼働不可能なはずです』
「人類最高のAIとは言っても、所詮僕にとってはただスゴイだけのAIだ。アダム、イブ。お前たちに一つ教えてやる」
顔を上げ、アダムとイブを看て告げた。
「人類舐めんな」
と。
それと同時に―――
『【Divine・Prominence Mode】!!』
新たな炎が顕現した