ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 イノベーター編 Ⅱ 始動

 

〜レイside〜

 

「戻った・・・・・・か。いや、なんだ、その空気は?」

 

「その、だな・・・・・・」

 

ギンザエリアで兄さんたちと偶然出会い、父さんのことを知っているらしい人。宇崎拓也に連れられて僕とメアは兄さんたちとミソラタウンの商店街にある『ブルーキャッツ』という喫茶にやってきた。店内にはお客さんは一人も居らず、マスターらしき男性が一人いるだけだった。

拓也さんを先頭に中に入る。中に入ると、マスターらしき男性が拓也さんに問う。拓也さんはなんとも言いづらそうに返し。

 

「ん?二人増えてるがそっちの二人は?」

 

「彼らは・・・・・・」

 

拓也さんが言う前に僕がマスターに名乗る。

 

「はじめまして。僕は山野レイ。山野バンの弟です。彼女は川村メア。アミ姉の妹です」

 

「俺はこのブルーキャッツのマスター、檜山蓮だ。よろしくな二人とも。それで、拓也。例の件は終わったんだろう?なんでここにこの二人が?」

 

「あー、実はだな」

 

「総理暗殺のことなら兄さんたちから聞きました」

 

「なに?」

 

僕の言葉に檜山さんは目を少し大きくし兄さんたちを見る。

 

「それと、僕と兄さんの父さん・・・・・・山野淳一郎が生きているということも」

 

「そうか・・・・・・」

 

それだけで状況把握したのか、一言そう言った。

 

「さてと。その話の前に〜・・・・・・!」

 

ゆっくりと笑みを浮かべて兄さんたちを見る。

その笑みを見た兄さんたちはビクッ!と震えた。

 

「兄さんたちには少しお話があるからね?あ、カズ兄とアミ姉も一緒だよ?」

 

笑顔で言う僕にカズ兄が恐る恐る聞いてくる。

 

「れ、レイ?お話って、お話なんだよな?」

 

「うん。O・HA・NA・SHI☆だよ」

 

「いや、待って!お話がO・HA・NA・SHI☆になってない!?」

 

アミ姉が慌て言ってくるがスルーする。

 

「あ、メアはなにか飲んでて」

 

「うん。レーくん、程々にね」

 

「善処するよ」

 

苦笑して姉であるアミ姉を庇わずにメアは言った。

 

「さあて・・・・・・三人とも、そこに正座」

 

「レイ、さすがにここでは・・・・・・」

 

「兄さん?僕は今、そこに正座って言ったの。い・い・か・ら、正座!」

 

「「「は、はいっ!!!」」」

 

僕の冷たい怒気に兄さんたちはすぐさま正座する。

それを唖然とした表情で見る拓也さんに檜山さん。メアはやれやれといった感じだ。

 

「三人とも、自分たちが何をしたのかわかってるよね?」

 

「え、えーと。財前総理の暗殺を阻止しました」

 

「うん。それで?」

 

「危険なことをしました」

 

「うんうん」

 

「・・・・・・反省してる」

 

「うんうんうん」

 

上から兄さん、アミ姉、カズ兄の順に言い僕は冷たい笑顔で頷く。

 

「三人とも?」

 

「「「はい・・・・・・」」」

 

「自分たちが如何に危険なことをしたか、わ・か・る、よね?」

 

「「「はい!!」」」

 

神妙な表情で答える三人。三人には年上の風貌など全くなかった。

そこから僕のマシンガントーク(O・HA・NA・SHI☆ver.)による三人へのお説教が始まった。

 

「まず第一にね、全然隠せてないし!隠すなら表情とかも気をつけなさい!昨日の夜から僕やメアがどれだけ心配したと思うの!?しかも母さんもかなり心配してるんだよ!?兄さんわかるよね!?」

 

「は、はい」

 

「アミ姉とカズ兄も!!今回はたまたま!運良く!出来たのかもしれないけど!もし相手が実銃を持っていたらどうするつもりだったの?!複数いたら!?もしかしたら、今ここに生きていなかったかもしれないんだよ?!」

 

「は、はい」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「アミ姉は後でメアに謝ること!!メアめちゃくちゃ心配してたんだから!!」

 

「はい・・・」

 

「他にもねぇ――――――!!!!」

 

そこから三十分以上ガミガミお説教し。

 

 

「な、なあ」

 

「はい?」

 

「彼は本当にキミと同い年なのか?」

 

「あー、ですよね」

 

「どこからどう見ても、保護者にしか見えないんだが・・・・・・」

 

「というか、素直に正座するのか三人とも」

 

「あははは。レーくん、怒ると超怖いですから」

 

「いや、怖いどころじゃないだろアレは」

 

「小学校でも、レーくんだけは怒らせちゃダメだって不文律があるんですよ」

 

「いや、ホント小学生なのか彼は!?」

 

「ははは。まあ、それはそれとして、お二人も覚悟しといた方がいいかと」

 

「まさか・・・・・・俺たちにも、か?」

 

「ええ。ちなみに、レーくんのお説教は長いですので頑張って下さい」

 

「マジか・・・・・・。拓也、腹を決めた方がいいかもだぞ」

 

「あ、ああ。あれを見たら流石の俺も反論出来ん。というか、大人の俺たちすらあの気迫は怖いんだが・・・・・・!?」

 

「しかし、あの気迫は山野博士と似ているな。気迫の種類は全く別だが」

 

 

途中、メアと拓也さんたちのそんな会話が耳に入ったが、僕は目の前の三人にどれだけ心配させたか分からせ、三十分過ぎ後三人を解放し、今度はその心配させた原因たる人物の二人にお説教した。

そんなこんなで僕によるO・HA・NA・SHI☆をメア以外の全員に済ませ―――。

 

「五人とも、分かったね!!!?」

 

「「「「「はい・・・・・・」」」」」

 

目の前で正座している五人の返事に満足し。

 

「ふぅ。―――あ、拓也さん、さっきの話の続きどうぞ」

 

とメアの横に座って言った。

 

「こ、この状態でか!?」

 

「???」

 

「何故不思議そうに首を傾げる!?」

 

拓也さんのツッコミに首を傾げる。いや、なにかおかしな点あったかな?

とまあ、閑話休題。

拓也さんから五年前の事故の真相を聞き―――。

 

「それじゃあ、あの飛行機事故は・・・・・・」

 

「ヤツらの仕組んだことだ。山野博士は拐われたんだ、"イノベーター"に」

 

「つまり・・・・・・」

 

「バン。レイ。君たちのお父さんは生きている」

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

拓也さんから齎された衝撃の真実に僕と兄さんは言葉を失った。

父さんが生きているのもそうだが、父さんが拐われたことについても。

 

「バンとレイのお父さんが生きている・・・・・・」

 

「しかも拐われたって・・・・・・」

 

アミ姉とメアが僕と兄さんを見て小さく漏らす。

 

「なんだよ、そのイノベーターって?」

 

「勢力を拡大し続ける謎の組織。今回の総理暗殺の計画を立てたのも、イノベーターだ」

 

カズ兄の疑問に拓也さんが答える。

 

「ヤツらの真の狙いはもっと深くて暗い。その為に、君たちのお父さんの頭脳が必要だったんだ」

 

「イノベーターの真の狙いって・・・・・・なに?」

 

「【エターナルサイクラー】の開発」

 

僕の問いに拓也さんは一言そう返した。

 

「えたーなる―――」

 

「さいくらー・・・・・・?聞いたことないよ?」

 

僕とメアはもちろんのこと、兄さんたちも聞いたこと単語だ。

 

「エターナルサイクラーとは、エネルギーを限りなく生み出す、完全な【無限稼働機関】だ。世界中のエネルギー問題を全て解決することが出来る」

 

拓也さんの言っている事が事実なら、そのエターナルサイクラーがあれば今世界が抱えてるエネルギー不足問題とか色んなことが解決出来る、夢のような機関だ。

 

「山野博士はその理想を信じ、一度はヤツらへの協力を承諾した」

 

「それって、父さんがエターナルサイクラーっていうエネルギー機関の理論を創ったってこと?」

 

「ああ。だが、エターナルサイクラーは使い方を誤れば世界を滅ぼす兵器にもなり得るものなんだ」

 

「世界を滅ぼす・・・・・・!?」

 

世界を滅ぼす兵器という単語に驚愕を隠せない。

 

「イノベーターは、エターナルサイクラーの技術を悪用して世界を手中に収めようとしている。そのことに気づいた山野博士は研究所から逃走しようと試みた」

 

「だが、逃走は失敗」

 

「なんとか、データだけでも外へ持ち出せないかと考えだ博士は、エターナルサイクラーのデータが詰まった"プラチナカプセル"を、LBXのコアボックスに隠して助手に持たせた」

 

「LBX・・・・・・まさかそのLBXって・・・・・・!」

 

「そうだ。山野博士は息子であるバン。君に世界の未来を託したんだ」

 

「父さん・・・・・・っ!思い出した。アキレスを受け取った時、女の人が『これは、人類の希望にも絶望にもなる物』だって言ってた」

 

兄さんの言葉に僕らは何も言えなかった。それはまさに、世界の命運が詰まってるLBXだ。

 

「当然イノベーターは、アキレスの中に隠されたプラチナカプセルを奪還しようとするわけだ。だが、カプセルを強引に取り出そうとすると【デスロックシステム】が起動。取り出そうとした者の命を奪い、同時に内部データを消滅させる仕組みになっている」

 

「つまり、プラチナカプセルを回収するためにはそのデスロックシステムがOFFになっている、バトルでアキレスを破壊するしかない」

 

「つまり、これまでのことは全てイノベーターが・・・・・・」

 

アキレスの件は違うとして、兄さんがLBXを受け取った日の夜に起こった、家のリビングがボロボロだったことやカズ兄のことはイノベーターがした事なのだろつ。

 

「ああ。君が狙われたのはそういう理由だ」

 

「俺たち、そんなことに巻き込まれていたのか」

 

カズ兄が驚嘆に目の前にある自身の新たなLBXを見て呟く。

 

「ハンターも、アキレスをサポートするために博士が設計した機体だ」

 

ハンターというのは恐らくカズ兄の目の前にあるワイルドフレーム系のLBXのことだろう。

 

「これからも連中はプラチナカプセルを狙って君にバトルを挑んでくるだろう。だが今後は、俺たちがフォローする。困ったことがあれば、何時でも相談してくれ」

 

相談してくれ、と言われても僕はまだ彼らを少し信じられない。

何故彼らはここまで知っているのか。そして、なんで父さんのことを知っているのか。彼らは何者なのか。

僕が思考の海に潜りかけていると、兄さんが拓也さんに尋ねる。

 

「あの、父さんは今どこに・・・・・・」

 

「え・・・・・・っ」

 

「?」

 

兄さんの質問に虚をつかれたように驚く拓也さんに僕は目を細める。兄さんの質問の答えを拓也さんの代わりに檜山さんが答えた。

 

「すまない、そこまでは分かってないんだ」

 

「そうですか・・・・・・」

 

「ヤツらには、山野博士の"頭脳"が必要だ。脱走を図ったとはいえ、むやみに危害を加えたりはしないだろう」

 

「バン、レイ。必ず俺たちが居場所を突き止めてみせる。くれぐれも軽率な真似はするなよ」

 

「政府や警察だけじゃない。イノベーターの力は、この世界のあらゆるところに及んでいるからな」

 

「・・・・・・・・・・」

 

二人の警告を聴きながら、僕は二人が何かを隠しているのではないかと思った。それはどうやらアミ姉もで、怪訝に二人を見ていた。

 

「ああ、そうだ。レイ」

 

「はい?」

 

突然檜山さんに呼ばれた僕は首を傾げる。

 

「お前に渡すものがある」

 

「?」

 

そう言ってカウンターに行き、そこから黒いボストンバッグを持って戻ってきた。

 

「これは・・・・・・」

 

「開けてみろ」

 

檜山さんに言われてバックのチャックを開ける。

チャックを開け中を確認する。

 

「っ!?これは・・・・・・!」

 

中には一つのLBXがあった。

いや、正確にはLBXのアーマーフレームとコアスケルトン。白と黒が基調のCCMが収められていた。

 

「コアスケルトンとアーマーフレーム!?」

 

中身を取り出しテーブルの上に置く。

中身を見た兄さんたちは慌てふためく。

 

「檜山さん、これは!?」

 

「恐らく、山野博士がお前用に設計した機体だ。俺もある所から受け取ったから詳しくは分からないが」

 

「父さんが、レイに・・・・・・」

 

檜山さんの言葉に僕は収められていた物を見る。

父さんからの贈り物に、嬉しくもあり感慨しくもある。これで、僕も兄さんたちをフォローすることが出来る。

 

「レーくん!早速組み立てみようよ!」

 

「うん!」

 

メアに言われて僕は歳相応に答え、父さんからの贈り物のLBXを組み立てはじめた。

組み立てはじめて三十分が過ぎ、僕のLBXが出来上がった。

 

「これが僕のLBX・・・・・・!」

 

黒を基調とした人型のフォルム。盾無しの片手剣を装備。

アーマーフレームの種系はナイトフレーム。

そして名は―――。

 

「―――[クロノス]・・・・・・!」

 

「クロノス。ギリシャ神話の"時の神"の名前だな」

 

「本当に僕が使っても?」

 

「ああ」

 

檜山さんの返事に僕は歓喜に満ちた。

まさかこんな所でLBXが手に入るのと、父さんからの贈り物が受け取れたから。

 

「これからよろしく、クロノス」

 

相棒に声をやり、僕とメアはイノベーターとの戦いの中へと入っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在 

 

 神威島

 

 

「―――レイの最初の機体はクロノスってLBXだったのね」

 

草原に寝転んでイノベーター事件の事をフランとルナに語る。

 

「うん。今でもクロノスは家の僕の部屋にあるんだ」

 

最初の相棒であるクロノスとの思い出を懐かしみながら空を見上げる。

僕の始まりはすべて、クロノスからだった。クロノスから今に至るまで、色々あった。

 

「私も最初のアマゾネスは家の部屋にあるよ」

 

「あの日にそんなことがあったんだね」

 

メアとルナも同じように思い出に浸ってる。

 

「そこからどうなったの?」

 

「うん。僕とメアや兄さんたちはイノベーターを倒すため色んなことをしたよ。もちろん、ルナを助けるためにも」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ルナを?」

 

「うん。今でも許せないよ!・・・・・・でも、ジンさんにとっては唯一の家族だったんだよね」

 

「うん・・・・・・」

 

そうして僕はフランとルナに続きを語り始めた。

イノベーターとの本格的な戦いを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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