〜レイside〜
「さて、レイ。お前の兄たちはこのアングラビシダスに勝てるかな?」
アングラビシダスの行われる会場。喫茶店『ブルーキャッツ』地下の空間に今僕らはいる。
僕は拓也さんに呼ばれたためここにいる。特等席らしい場所には僕と拓也さん、檜山さんの三人しかいない。
「さあ、どうでしょうね。誰も彼も強そうの無法者。それにこれは"ルールが無いのがルール"という試合だから」
檜山さんの質問に、今回のアングラビシダス参加者。兄さんたちを含めて総勢16名をタブレット端末で見る。どれもレベルが高そうなプレイヤーだ。
「ふむ・・・・・・。バンとは違い、キミは随分落ち着いてるな」
「まさか。落ち着きを取り繕ってるだけです」
拓也さん言葉に苦笑して返す。
外面は平気だが、内面では超心配だ。兄さんがこの空気に呑まれないか。
「まあ、兄さんたちも特訓してきたみたいですしね」
「そうか。だが、それが無駄にならないといいがな」
「ええ」
檜山さんの返しに不敵な笑みを浮かべる。
やがて時間になり。
「それじゃあ俺は行くか」
「へ?」
そう言って去って行く檜山さん。僕はポカンとしてその後ろ姿を見る。
「え、拓也さん?檜山さんどこかに行っちゃいましたけど・・・・・・」
え?え??と混乱して言う。
「落ち着け。すぐに分かる」
対する拓也さんは普段通り、落ち着いたまま階下を見る。
「???」
首を傾げてそのまま拓也さんの視線を追う。追うと同時に照明が消え、四つあるDキューブのバトルフィールドの中央。一段高いところにスポットライトがあたる。スポットライトに包まれそこには一人の男性が顔を下に向けて立っていた。
「(え!?さっきまで誰もいなかったのに!?)」
あまりの早業登場に驚く僕。
驚きながらその男性を見る。
青紫色の髪に長いコート。そして見てもわかるほどの圧倒的強者の風貌と佇まい。おそらくあの人物が主催者のLEXなのだろう。
「諸君。アングラビシダスにようこそ」
辺りが静かになるとその人物が喋り出す。
「俺は
「(!?あの人がLEX!伝説の強さを持つLBXプレイヤー!)」
目の前にいる伝説の強さを持つLBXプレイヤー、LEXに僕は興奮した。だが同時にどこかで。というかついさっき聞いたような声だなと思った。
僕の予感はすぐに答え合わせとなった。
バッ!と両手を大きく広げロングコートを羽ばたかせ、顔を上げた人物に僕は思わず手摺に前のめりになった。何故ならその人物は―――
「え!?ひ、檜山さん!?え、拓也さん、LEXの正体って檜山さんだったんですか!?」
「ああ」
このブルーキャッツのマスターである檜山蓮だったのだから。
まさかの身近に超有名人がいるなど誰が予想できるものか!だが、それは別として・・・・・・
「アングラビシダスは破壊の祭典。"ルールが無いのがルール"!バトルはアンリミテッドレギュレーションのみで行われる。尚且つ、今回特別に、ここで優勝した者にLBX世界大会【アルテミス】への出場権を与えてやる!!最強のLBXプレイヤーを目指し、存分に腕を振るい。ぶっ壊してやれ!!」
「「「「「「うおおおおおおおおぉぉぉっ!!!!!」」」」」」
檜山さん。いや、LEXの開催挨拶にあちらこちらから歓声が沸き立つ。一体何時からこのアングラビシダスが行われるのか分からないが、こんなに歓声が上がるということはそれだけ激しい。スリリングな大会なのだろう。
けど・・・・・・。
「兄さん、この歓声に呑まれないといいけど・・・・・・」
兄さんたちのいる場所を見て心配する。
イノベーターからの刺客があるとはいえ、まずは目先のことに集中して欲しい。
「では、発表する。運命の対戦カードは―――これだぁ!!!」
LEXの言葉が終わると同時に、上空中央に空間スクリーンで対戦カードが表記された。
「(兄さんは第二試合。アミ姉は第七試合。カズ兄は第五試合か・・・・・・って、ん!?あれ、第三試合キヨカのお兄さんのダイキさん!?)」
もう一人、見知った顔に僕は二度見する。
よく見たら兄さんたちから離れたところに、メアと一緒にキヨカがいる。
キヨカの兄たる仙道ダイキさんとはつい先日、キヨカに連れられてメアと一緒にダイキさんにLBXのカスタマイズについてレクチャーしてもらったのだ。まあ、その際ちょっとした事があったけどそれは置いておこう。
「えーと。一回戦、兄さんの対戦相手は"首狩りガトー"。カズ兄は"太一"。アミ姉は、え、ぴ"ピンキー"?」
アミ姉の対戦相手の名前が、男性なのに女性のような名前に少し戸惑う。
顔写真から出場選手のデータをタブレット端末に表記して見る。
「兄さん、初戦から結構な強敵に当たったなぁ・・・・・・」
兄さんの対戦相手である首狩りガトーのデータに僕は不安げになる。データには『対戦相手のヘッドパーツを切り落として勝利する事から首狩りの異名が付いた男。大会ではそれなりの人気がある』と表示されていた。
僕はそれの他にももう一人、注目兼注意している選手がいた。
「海道ジン・・・・・・。データは少ないけど、今まで行われたバトルを全て一分以内に終わらせてる」
多分彼が一番の強敵だろう。
試合準備をする兄さんたちに視線を送る。
「(首狩りガトーのLBXは[ブルド改]。武器はランチャー。兄さんのアキレスだと、武装は槍より、ブルド改の装甲に有効な剣だろう。片手銃はマガジン交換に隙ができる。けど、盾もアキレスシールドだとランチャーの弾はそう何度も防げない。となると―――)」
思考の海に浅く潜り兄さんの戦術作戦を考える。深く潜ると、周りに目がいかないから基本考える時は深くしないようにしてる。
やがて、Aブロックの試合が始まる。兄さんと首狩りガトーの対戦が行われるバトルフィールドは【地中海遺跡】。隠れる場所が少なく、遺跡の名の通り、神殿跡のような遺跡のフィールドだ。
「さあ、誰が勝つかな」
元いた二階の特別席に戻ってきたLEXこと檜山さん。LEX姿に僕はあたふたした。いや、だってどう接したら良いかわかんないじゃん!?
「どうしたレイ?」
「あ、いや・・・・・・なんでもないですよ、LEXさん?」
口調が変になった僕を見て小さく笑う檜山さん。
「LEXでいい。さんもいらないからな」
「あ、うん。LEX」
「それでいい」
満足そうに頷く檜山さんことLEX。
「レイ。メアもここに来るように言ったらどうだ?さすがにこの中じゃ危ないからな」
拓也さんの提案に一理あると言える。
さすがに小学生の女の子二人だけでこの場所は危険だろう。
「じゃあお言葉に甘えて。二人でも大丈夫ですか?」
「二人?メアの他にもいるのか?」
「ええ。同じ小学校のクラスメイトが。その子のお兄さんが参加してるみたいなので」
「まあ、構わないが」
拓也さんから許可も得て、僕はメアとキヨカを呼びに行く。
少しして二人と共に戻ってきて。
「ありがとうございます拓也さん。周りの人ちょっと怖くて・・・・・・」
「うん。小学生にとっては怖い」
「だろうな。なに、ここなら安心して観れる。キミも安心してお兄さんを応援するがいい」
「はい。ありがとうございます」
意外と優しい拓也さんに暖かい眼差しをほんの少し向けて、兄さんの試合を観る。
「兄さん、武装はやはり剣と盾。《ライトソード》と《スクエアガード》を装備してきたね」
僕の予想と同じことに小さくほくそ笑む。
システムアナウンスによるバトルスタートの合図とともに、首狩りガトーのブルド改が得物のランチャーを放つ。
兄さんのアキレスはギリギリ左に避け、そのまま立て続けに放たれるランチャー弾から逃げる。そしてそのアキレスを追いかける首狩りガトーのブルド改。
「凄い・・・・・・ブルド改をあそこまでスペックを上げるなんて・・・・・・」
アキレスを追尾するブルド改。その速度はアキレスと並ぶほどだ。
「・・・・・・押されているな・・・・・・」
「はい・・・・・・」
「うん・・・・・・」
拓也さんの呟きに僕とメアも小さく返す。
現状有利なのは首狩りガトーだ。ランチャーの破壊力も当然だが、機動力も並のブルド改とは違う。
「どうする兄さん。逃げ回っていても勝てないよ・・・・・・!!」
「バン兄・・・・・・」
僕とメアの言葉と同じことを、兄さんの後ろのステージ外からカズ兄が言う。その声を聞き、兄さんの動きが変わった。
「動きが変わった・・・・・・!」
逃げ回っていたことから一転、攻撃に移った。ブルド改から放たれるランチャー弾を上手く避けて《ライトソード》で切りつける。
「よし!
僕らが喜ぶと同時に少し離れたところからも喜びの声が上がった。どうやら兄さんたちの友達も来ているみたいだ。まあ、その友達らしき人はすぐ後ろのいかにもヤンキーって感じの人たちに威圧されてたけど。
そのままアキレスはブルド改に二撃目もあびせる。
このままいけるかと思ったその矢先―――。
「「っ!!!?」」
「アキレスっ!!」
ブルド改が至近距離から放ったモノを喰らったアキレスが動きを止めた。
「まさかアレはスタングレネード!?」
「そんなのもアリなんだ・・・・・・!」
被弾したら一定時間行動不能になるアイテムの一種、スタングレネードは本来なら大会では反則。使用禁止だ。だが、このアングラビシダスは"ルールが無いのがルール"。つまり、スタングレネードなどのアイテムを使っても構わないという事だ。反則なんてないから
アミ姉たちもそれに気づいたのか、歯痒そうに兄さんの後ろ姿を見る。
「よくも、舐めた真似してくれやがったなぁ。俺様を怒らせたらどうなるか、教えてやるぜぇ!!」
苛立つことを隠さずに言う首狩りガトー。ブルド改は得物のランチャーを放り投げ、新たな得物。斧、《グレートアックス》を構えた。
「あれは《グレートアックス》・・・・・・!けど、あれならアキレスの《スクエアガード》は簡単には突破出来ないよ!」
「スタングレネードのスタンが切れるまで後20秒・・・・・・それなら大丈夫か・・・・・・?」
けど、ここアングラビシダスは『どんな攻撃手段もあり』がルールの一つだ。つまり、アイテムだけではなく、武器にも細工を仕掛けることができるというわけで・・・・・・。
「防御だ、アキレス!!」
「なっ!?」
「なにっ!?」
アキレスが左手に持つ《スクエアガード》でブルド改の振り下ろす《グレートアックス》を受け止めた瞬間、アキレスとブルド改の間に爆発が起き、アキレスが後ろの遺跡柱に吹き飛んだ。
「なんで爆発したの!?」
「まさか、あの《グレートアックス》に火薬を仕込んでたのか!?幾ら反則なんて無いとはいえ反則過ぎるだろ・・・・・・!」
まさかの攻撃手段に思わず悪態つく。
ブルド改はそのまま吹き飛ばされたアキレスに近づき、下部をパンツァーフレームのタイヤで踏み、動きが取れないようにした。
「ぶった斬ってやる!」
そのままブルド改は《グレートアックス》を両手で持ち、スタンで身動き出来ないアキレスの右腕を何度も攻撃する。
「まさか、アキレスの右腕を斬り落とす気か!?」
「そんなっ!バン兄!」
ブルド改の執拗な部分攻撃に僕とメアは口を押さえる。アキレスはスタンが効いていて逃げることが出来ず、ブルド改の攻撃に耐えるしかない。けど、このままじゃアキレスの腕は切断される!
「スタン切れまであと5秒・・・・・・それまでもってよ・・・・・・!」
CCMの時間表示を見て祈る。
だが―――
「もらったぁ!!」
「っ!!」
「「なっ!!」
「っ!」
「間に合わなかったか・・・・・・!」
スタンが切れ、アキレスが動けるようになるのと同時に、アキレスの右腕がブルド改の《グレートアックス》によって斬り落とされた。
「どうだぁ!!もぎ取ったぞぉ!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおっ!!!!!」」」」」
アキレスの落とされた右腕を持ち上げ、戦利品のように観衆に見せるブルド改。首狩りガトーの声もあり、あちこちから歓声が上がる。
「これが・・・・・・アングラビシダス・・・・・・」
破壊の祭典と呼ばれる闇のLBX大会に僕は呆然とする。今この場で行われてるのはまさに、生きるか死ぬかの死闘。
「今度はその脚をもぎ取ってやらぁ!!」
「っ!兄さん!」
首狩りガトーの宣言と同時に投げられる《グレートアックス》をジャンプして避けるアキレス。
けど、右腕を失ったことにより攻撃手段が減り一気に窮地に陥る。ランチャーを回収し、再び連続で放つ弾頭。そしてその弾頭をアキレスは避ける。
やがて、さっきの斧と盾が接触した時に起こった爆発の際に吹き飛ばされた《ライトソード》の下にたどり着いたアキレスは、迫り来る弾頭を《スクエアガード》で自身を守った。
「どうする兄さん・・・・・・!」
「レーくんだったらどうするのああいう場合」
メアのおずおずと言った質問に僕はもし僕の場合だったらを仮定する。もし、僕が兄さんと同じ状況。同じ立場なら―――。
「賭けにでる」
「賭け?」
「うん。多分兄さんも同じことを考えてるはず」
首狩りガトーの性格は猪突猛進。それは見ていればわかる。
そして今のアキレスは右腕を欠損。左手には銃弾などの遠距離系に強い《スクエアガード》。近くには《ライトソード》。なら、取れる手段は―――。
「まずは接近する」
僕の戦術予想と同時に兄さんのアキレスが動き、ブルド改へと接近する。
「自分から突っ込んできやがったか!バカめ!」
「―――そして、次の弾頭が放たれる前にブルド改に近づき」
「くぅらぁえっ!!」
「今だ!」
「―――弾頭が放たれる瞬間、左手の《スクエアガード》でランチャーの射出口を塞ぐ」
僕の戦術予想と同じことを兄さんはし、ランチャーは弾頭が射出出来ず暴発し後ろに吹き飛ばされ、ブルド改は大ダメージを負った。逆にアキレスは《スクエアガード》のおかげでダメージは軽微だ。
「―――これでブルド改の武器はない。この隙に落ちた《ライトソード》で止めを・・・」
「バン!ファイナルブレイクを使うのよ!」
「ああ!!―――ファイナルゥー・・・ブレイクっ!!【アタックファンクション!ソードサイクロン!!】」
「ふざけやがってぇ!!」
「―――刺す」
アキレスの放った必殺ファンクション、ソードサイクロンに猪突猛進で突っ込んだブルド改は為す術なく攻撃を喰らい、上空に打ち上げられブレイクオーバーの青い光と共に落ちてきた。
『Bジオラマ、バトル終了。WINNER、山野バン』
アナウンスによって勝者が放送される。
兄さんの逆転勝利だ。
「やった!バン兄勝った!」
「うん!」
兄さんの勝利にメアとはしゃぐ。正直、危ない試合だった。これがあと二回も行われるとなると、ハラハラドキドキしかない。
一回戦Aジオラマの結果は引き分け。同時破壊で勝者なしのため、自動的に兄さんの三回戦進出が決まった。
けど、アキレスの右腕は三回戦までに直るとは思えない。
「っ」
「レーくん?」
「レイ?」
意を決して、その場から兄さんの元へと向かう。後ろからメアとキヨカが追い掛けてくる。
兄さんたちの元に向かうと、困ったようにアキレスを見る姿があった。
「―――今からキタジマに行って直してもらう時間はないし・・・・・・どうすりゃいいんだ」
困惑するカズ兄。僕は自分のLBX、クロノスを取り出し。
「兄さん」
兄さんに声をかけようとした。しかし、それを遮るように。
「―――ハカイオーの腕を使え」
僕らの後ろからそんな声が響いた。
「郷田・・・・・・」
後ろを向くと、半裸に学ランという出で立ちの少年がいた。その後ろには複数人付いてきて、その中にはさっき兄さんを応援していた人もいる。
「パーツを交換しろ。腕全体を取り替えるんだ」
「え・・・でも、どうして」
「パーツ交換はLBXバトルの醍醐味じゃねぇか」
「郷田・・・・・・」
確かにパーツ交換はLBXバトルの醍醐味だ。けど。
郷田と呼ばれた少年からハカイオーと呼ばれるLBXのパーツを受け取ろうとする兄さんに、待ったをかける。
「待って兄さん!」
「レイ?」
「あ?兄さんだ?」
今更ながらに僕に気づいた兄さんは首を傾げる。
僕のことを知らない郷田さんたちは頭上にハテナを浮かべる。
「バン。コイツ、お前の弟なのか?」
「ああ。4歳年下の弟なんだ」
「はじめまして郷田さん。僕の名前は山野レイ。兄さん・・・・・・山野バンがお世話になってます」
「おう。はじめましてだな。俺は郷田ハンゾウだ。よろしくな」
「はい。兄さん、腕を使うならクロノスのを使って」
「え」
「クロノスのアーマーフレームはアキレスと同じナイトフレーム。相性はいいはず」
ハカイオーは見た感じブロウラーフレーム。ナイトフレームであるアキレスにブロウラーフレームのハカイオーの腕を装備するとなると、動きが結構アンバランスになるはずだ。なら、同じナイトフレームであるクロノスの方がいいんだけど。
「ありがとうレイ。けど、俺はハカイオーの腕を使うよ」
兄さんの眼差しは意思表明をハッキリと表していた。
「そう。兄さんがそう選択するなら僕は止めないよ」
「ああ。郷田、ありがとう、ハカイオーの腕、使わせてもらうよ」
「おいコラ!分かってんだろうね!リーダーのパーツ使って負けたら承知しないよ!」
郷田さんの仲間なのか、レディースヤンキーのような少女が兄さんに向かって言う。郷田さんは兄さんの言葉を聞いて去り、その少女も他の仲間たちと一緒にその場をあとにした。
「次はお姉ちゃんたちだね。頑張ってねお姉ちゃん!」
「ええ!任せなさい!」
「おう!」
メアと一緒に、観ていた場所に戻る。ダイキさんの下に向かったと思うキヨカも戻ってきた。
やがてBブロックが始まった。―――んだけど・・・・・・
「「・・・・・・・・・・」」
「ふ、二人とも?」
両サイドにいるメアとキヨカの圧が凄く、息苦しい。
理由はアミ姉の対戦相手であるピンキーというネームのプレイヤーだ。その人はなんと言うか、その・・・・・・。
「お姉ちゃんと同じ、[クノイチ]で武器も《クナイ》。だけど・・・・・・」
「なんかああいう人が使ってると無性に腹が立つ」
「お、おう・・・・・・」
思わず後退りしてしまうほどの圧に僕はピンキーを見る。
ピンキーという人物は、性別は男性なのだが。
「ボクのカトリーナって、超ビューティフル」
な、なんというか、その・・・・・・Theオネエなのだ。
現にアミ姉も頬をピクピク引き攣らせている。まあ、誰がどのLBXを使うかは個人の自由だけど、ね?
対してカズ兄の方はというと・・・・・・。
「LBXは[グラディエーター]だけど、対戦相手・・・・・・」
まさに、はなたれ小僧という感じの少年なのだ。
カズ兄もアミ姉と同じ表情を見せている。
まあ、二人ともやりにくい相手?なのかな。(主に外見で)
で、始まったBブロックだが二人とも無事に二回戦に進出した。アミ姉はクノイチのスピード力を見事に生かして。カズ兄は相手の卑怯な手を怒りの攻撃に変えて。うん、アレはカズ兄が怒るのも無理はない。ていうか、ムカつく。
「それにしても・・・・・・海道ジン、強い・・・・・・」
海道ジンはほんの数秒で戦闘を終わらせた。
データ通りの秒殺だ。
「秒殺の皇帝」
「秒殺の皇帝?」
タロットカードを取り出して言うキヨカ。
そのタロットカードに記載されてる絵はエンペラー。つまり皇帝。
「
「だから秒殺の皇帝」
「確かに言えてるかもしれない・・・・・・」
あの速さに強さはまさに秒殺の皇帝の名に当て嵌るだろう。
続けて行われた二回戦。
兄さんは不戦勝で三回戦進出が決まっているため、Aブロック第二試合とBブロック第一試合が行われる。
勝者はそれぞれ、ダイキさんとカズ兄となった。
「お兄ちゃん、頑張って・・・!」
小さな声で応援するキヨカ。
これで兄さんの三回戦の相手はダイキさんになった。
ダイキさんの異名は【箱の中の魔術師】。兄さんがダイキさんに勝てるか分からない。
「お姉ちゃん、勝てるかな・・・・・・」
次の試合はアミ姉VS海道ジン。
アミ姉には勝ってほしいけど、海道ジン相手となると勝率は低い。
勝てる要素があるとしたら、
やがてバトルスタートとなり。
「っ!アミ姉それはダメ!」
バトルスタートと同時に、一直線にフルスピードで海道ジンのLBX[ジ・エンペラー]に接近する。
けど、それは海道ジン相手には愚策だ。
一直線のフルスピードだと振り切った後、ほんの僅かに隙ができる。そしてそれを見逃す海道ジンじゃない。
現にフィールドではクノイチのスピードを横に避けて、クノイチの背後を取り、得物であるハンマーで突き、クノイチを一撃でブレイクオーバーさせた。
「クノイチが一撃で・・・・・・!?」
「いくら、防御力が低いとはいえまさか一撃でなんて・・・・・・!」
ハンマーは近接武器の中で一番攻撃力の高い武器だ。だがその分、機動力が遅くなり重量もあるという欠点もあるが、あのジ・エンペラーはそれをものともしない速度で避けカウンターをクノイチにくらわせた。ジ・エンペラー自体のスペックも然る事乍ら、プレイヤーである海道ジンの操作テクニックも高い。
「3秒02」
「っ!?」
海道ジンの声に僕は目を見開く。
まさに瞬殺。
「強すぎでしょ・・・・・・」
僕でもやってみないと分からないけど、勝てるかどうか分からない。
準決勝第一試合が始まる。
兄さんVS仙道ダイキ。
勝利するのはどちらか、ハラハラドキドキする。