ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 イノベーター編 Ⅵ 潜入

 

〜レイside〜

 

 

「―――今日の夜、ね・・・・・・」

 

「うん」

 

「そうね」

 

アングラビシダスの次の日。僕とメア、キヨカは昼休み、小学校の屋上で話をしていた。

里奈と呼ばれた女性が現れたあの後、僕らは拓也さんとLEXに連れられてトキオシアデパートへ向かい、そこの地下に隠されていた秘密組織『シーカー』の存在を知った。イノベーターに対抗するために拓也さんが設立した組織らしいが。そしてさらに、そこで同年代のメンバーを紹介された。と言ってもほとんどが兄さんの友達みたいだけど。

 

「にしても、キヨカまで加入してるなんてね」

 

「アングラビシダスのあと、拓也さんに勧誘されたのよ。本当はお兄ちゃんも誘いたかったけど」

 

「あははは・・・・・・ダイキさんは、ね」

 

さすがにダイキさんは無理があるだろう。

だってあの人、誰かに命令されたくないって何時も言ってるし。

 

「そう言えばキヨカ。昨日、あの後ダイキさんにお説教したの?」

 

ふと、そんなことを言っていたと思い出し、キヨカに尋ねる。

 

「ええ、したわ。たっぷりと」

 

「お、oh......」

 

キヨカの澄んだ顔に僕は思わず引いてしまう。

 

「キヨカちゃんはブラコンだからね」

 

キヨカがダイキさんが好きなのは僕らの中では周知の事実。そしてその逆もまた然り。あんなふうだが、ダイキさんもシスコンだ。かなり重度の。他人に命令されたくないダイキさんだが、唯一キヨカにだけは頭が上がらないのだ。

 

「ところで」

 

「ん?」

 

「レイ。貴方、夜。どうやっていえ抜け出すの?」

 

「え?」

 

「うん。私とキヨカちゃん、お姉ちゃんは大丈夫だけど、レーくんは大丈夫なの?」

 

「え?」

 

「家、どうやって抜け出すの?」

 

突然の二人の問いに僕はほんの少し思考が止まった。

確かに。どうやって抜け出そう・・・・・・。

 

「あー・・・・・・・・・・・・・・・メアのところに、泊まるから?」

 

「それは無理がないかなぁ〜・・・・・・」

 

「それは既に私がやってるわ」

 

「えぇー・・・・・・」

 

メアの引き攣り笑いとキヨカの返しに僕は愛想笑いを浮かべるしかなかった。

うん。どうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は進み夜

 

 

海道邸に侵入するメンバーは全員、侵入場所であるグレースヒルズに来ていた。

メンバーは僕、兄さん、アミ姉、メア、カズ兄、キヨカ、郷田さん、三影さん、大口寺さん、拓也さん、LEX、石森里奈さんの12人だ。

夜遅い時間帯もあり、昼間は賑わっているであろうこの場所も今は僕ら以外誰もいなく、閑散としてる。

 

「ここがセレブ街グレースヒルズか・・・・・・」

 

グレースヒルズはセレブ街として有名で、周囲にあるお店も僕らが利用する普段のお店よりワンランク上だ。

 

「こんな所に海道邸への隠し通路があるの?」

 

「ええ」

 

キヨカの疑問に里奈さんが自身の目の前にある噴水を検分して返し、右手の手袋を取り右手を水の中へと入れた。数秒後。

 

「これが・・・・・・!」

 

噴水を囲む床の一部が開閉し、そこから人一人が通れる階段が姿を現した。

 

「ここから入れるわ」

 

「よし。行くぞ」

 

拓也さんと里奈さんを先頭に、僕らはその階段を降りて行った。

地下は暗く、予め掛けていたバイザーの暗視装置が無ければ歩けないほどだ。

 

「地下水路・・・・・・」

 

この辺り一帯の地下に張り巡らされているのか、下水道内は広く広大だった。

 

「まるで迷路だ・・・・・・」

 

正直、地図がなければ迷っていたと思う。

周囲を警戒しながら呟き、歩みを進める。

地図の端末を見ながら進む里奈さんを先頭にして歩きしばらくして。

 

「ん?」

 

何か物音がし歩を止めた。

 

「どうしたの?」

 

キヨカがこっちを向いて聞く。

 

「なんだ・・・・・・?」

 

大口寺さんも同様に視線を真っ暗な通路の先に向ける。

目を凝らして視ると―――。

 

「ひっ」

 

「ん?」

 

暗がりから鋭い小さな目が輝きを放った。

小さな悲鳴を上げてキヨカが後ろに隠れる。

 

「ぎゃあああ!!」

 

「ちょっと!静かに!」

 

郷田さんの背中に抱きつく大口寺さん。その大口寺さんを叱責する三影さん。

 

「どうした、リュウ」

 

「ひ、光った!」

 

「なんのこと」

 

「・・・・・・あの通路。なにかいる」

 

怯える大口寺さんに代わり、僕が答える。

アミ姉たちもこっちに来て警戒心を高める。

それと同時に、怪しい瞳のような輝きがたくさん現れた。

 

「なんだ!?」

 

「まさか、LBX!」

 

「え、見つかったの!?」

 

身構えるカズ兄たち。

LEXたちもこっちに来て―――。

 

「―――いや、違う。LBXじゃない」

 

「え?」

 

「兄さん、よく見て」

 

じっくりと見分して返した。

バイザーを操作して視界をクリアにすると、そのモノの正体が顕になった。

 

「あれは・・・・・・」

 

「ネズミ?」

 

「ああ。ここに住み着いているんだろう」

 

「あ、あれ全部ネズミ・・・・・・」

 

「いやぁ。私ネズミ苦手」

 

「わ、私も!」

 

「同じく」

 

さすがに女子はネズミが苦手かもしれない。いや、僕も好きではないけど。

 

「この先ね」

 

「え」

 

端末を持ちつつ言う里奈さんに困惑の声を出す。

 

「ってことは、あのネズミを何とかしないとならないのか」

 

「ああ。カズ」

 

「わかった」

 

LEXに言われ、カズ兄はハンターを取り出しハンターのライフルで威嚇射撃をしてネズミを追い払う。

ネズミが四方に散り、ネズミが居なくなった通路を僕らはまた進み出す。

その後、特に慌てるようなことは無く順調に海道邸へとたどり着き、敷地内へと侵入した。

 

「ここからは打ち合わせ通り。私たちはセキュリティルームへ向かうから、バン君たちは居住区の入口に向かって」

 

「「「「「「はい」」」」」」

 

LEXたちと分かれた僕らは、兄さんを先頭に居住区の入口へと駆け出した。

父さんが囚われていると思われる部屋は厳重にセキュリティが掛けられており、セキュリティを解除しなければ行けない。

だが、この屋敷にはセキュリティだけではなく、人による警戒もある。故に、細心の注意を払って行かないとならない。

居住区の入口へ向かう道中。途中途中、警備の人に見つからないように隠れたり、やり過ごしたりして向かい。

目的地の居住区の入口にたどり着いた。

目の前には高さ4、5メートルほどある扉がある。

 

「里奈さん、扉の前にたどり着きました」

 

『―――待って、もう少しよ・・・・・・セキュリティシステム、解除』

 

里奈さんがセキュリティを解除した途端、目の前の扉が重い音を小さく立てて開いた。

 

『そこからは手はず通り、三手に分かれて目的の部屋を目指してちょうだい。私たちも後で向かうわ』

 

「分かりました」

 

「おう」

 

「了解」

 

それぞれリーダー格の兄さん、郷田さん、僕が里奈さんにCCM越しに返事をする。

 

「兄さんは右から。郷田さんは左から。僕たちは真っ直ぐ行く」

 

「わかった」

 

「おう」

 

「気を付けてね三人とも」

 

「うん。お姉ちゃんたちも」

 

「よし、散開!」

 

扉を通り、僕らは三手に分かれて目的の部屋を目指す。

屋敷内部へと侵入した僕らは注意深く、辺りを見渡す。

 

「広い・・・・・・」

 

「さすが、豪邸・・・・・・」

 

「車が一台軽く通れるほどね」

 

内部は広く、僕らが今いる場所も小学校のクラスがいくつも入りそうな程の広さだ。

CCMを取り出し、ルートマップを展開する。

 

「・・・・・・向こうだ」

 

途中途中、柱に身を隠したり遮蔽物にしゃがんだりして警備の人に見つからないようにして奥へと進む。

分かれ道ではメアのコンパクトで誰もいないか確認して進む。

そのまま先を進んでいると、突然慌ただしく掛けていく警備の人があちこちで現れた。

 

「なんだ?」

 

身を隠しつつその様子に警戒を高める。

 

「慌ただしいわね・・・・・・」

 

「もしかして、お姉ちゃんたちが・・・・・・!」

 

「見つかった・・・・・・!?―――っ!しゃがんで!」

 

階段の影に隠れて警備の人をやり過ごす。

 

「どうするのレイ」

 

「どうあれ、僕たちは目的の部屋を目指す」

 

「わかったわ」

 

「うん」

 

誰もいないのを確認して、僕らはその場から駆け出す。

誰かが見つかったってことは、恐らくそう時間のかからないうちに警備が厳重になる。そうなると僕らだけでは厄介だ。だから、誰かと合流する。

 

「次は右。その次は二つ目の通路を左だ」

 

走りながらも警戒を怠らず、曲がり角では人がいないか確認して、手で合図を出して進む。

しかし。

 

「っ!警備してるLBX!」

 

道中、グレーの一つ目のブロウラーフレームタイプのLBXが現れ道を塞いだ。

 

「強行突破で行く!二人とも!」

 

「うん!」

 

「ええ!」

 

素早く指示を出し、メアのアマゾネスとキヨカのジョーカーが敵LBXを排除した。

 

「あと少しで目的の部屋だ!」

 

幸いにも警備の人には出くわさなく、LBXだけだったので対処できた。そのまま奥の部屋へと進んで行き、通路の終わりに広い空間と、その先に華美な装飾の扉が現れた。

 

「ここだ・・・・・・」

 

CCMのマップに印されている目的地の赤いマークはこの部屋をさしている。

 

「誰もいない?」

 

「もしかしてお姉ちゃんたちまだなのかな」

 

キヨカとメアが周囲を見渡して言う。

その時。

 

 

『―――アキレス!!』

 

 

「っ!?兄さん!?」

 

部屋の中から兄さんの声が聞こえてきた。

僕たちは素早く目配せをして扉を押して中に入る。

中に入ると、部屋の中央に鎮座するテーブルの上に左足を切断されたクノイチと、左腕を切断されたハンター。そして武士のようなLBXに鷲塚みにされてるアキレスの姿があった。

その光景を見た僕はすぐに―――

 

「疾く在れ!!クロノス!!」

 

自身のLBXを出撃させ、

 

「【アタックファンクション!ソニックリープ!!】」

 

そのまま必殺ファンクションを発動させる。

 

「なにっ!?」

 

不意打ちの攻撃に、操縦者であろう白髪の老人が声を上げる。ていうか、ソイツは!

 

「海道義光!?何故アイツがここに!!」

 

今日は政府の会合とかで不在のはずのこの家の主にして、イノベーターの首魁。海道義光がいた。

離されたアキレスを護るように海道義光のLBXと対峙する。

 

「兄さん!アミ姉とカズ兄も、無事!?」

 

「レイ」

 

「メアとキヨカちゃんも無事のようね」

 

アミ姉たちの方にはメアとキヨカが向かい、

 

「兄さん、海道義光がなんでここに居るの」

 

油断しないまま兄さんに事情を訪ねる。

 

「分からない。けど、・・・・・・・」

 

兄さんたちの様子から何となく事情を察し、僕は海道義光を射抜くような鋭い目つきで視る。

 

「弟の山野レイか」

 

「海道義光!僕たちの父さんは何処だ!!」

 

父さんを誘拐し、兄さんたちを危険な目に合わせた首謀者に僕は詰問する。

 

「ふっ。返して欲しければ、私の月光丸に勝つのだな」

 

「月光丸・・・・・・このLBXのことか」

 

目の前のLBX。月光丸はその名の通り、武士のような鎧に三日月を模した頭飾りが映え、色は白銀だ。背中には、特徴的な日輪を模したようなブースターみたいなのがある。

 

「レイ、気をつけろ!コイツ、結構強い!」

 

先に戦った兄さんが忠告してくる。

 

「ああ、分かってる」

 

それはさっきのアミ姉とカズ兄のLBXの損壊から見てわかる。目の前の敵は、今までの誰よりも強い。

 

「勝負だ!海道義光!!」

 

「ふっ。兄共々、返り討ちにしてやろう」

 

「行け!クロノス!!」

 

先制をしかけたのは僕からだ。

何も無い突進による刺突。それを月光丸は素早く躱す。

 

「っ!速い・・・・・・」

 

スムーズに滑らかに動く月光丸。恐らく、イノベーターの技術が注ぎ込まれているLBXだ。

 

「なら!」

 

月光丸の動きを先読みして攻撃するしかない。

だが―――。

 

「その程度か?」

 

クロノスの攻撃は月光丸に掠りもしない。

 

「(くっ!どうする?このままじゃ父さんを助けられない!)」

 

焦りが生まれる。

その隙を。

 

「【アタックファンクション!月華乱舞!!】」

 

「っ!!?」

 

月光丸の必殺技がクロノスを襲った。

僕は咄嗟にアキレスの盾。《アキレスシールド》を持って構える。

連続で放たれた斬撃がクロノスを襲う。恐らくこれに兄さんたちはやられた。なら―――

 

「――――――!!」

 

集中力を高め、神経を研ぎ澄ます。

そして―――

 

「勝負アリだな」

 

「―――いや・・・・・・」

 

「ん?」

 

「まだ、勝負は終わってない!!!」

 

勝負が決まったように言う海道義光に僕は反論し、CCMを高速で操作する。

 

「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!デッドリー・シンズ!!】」

 

月光丸から放たれた月華乱舞の一撃目を《アキレスシールド》で受け流し、続けてくる二撃目を必殺ファンクションで迎え撃つ。

 

「かわすことが出来ないなら、迎え撃てばいい!!」

 

クリアブルーのライトエフェクトを纏った片手剣の《クロノスソード》を持ち、クロノスが月華乱舞の斬撃の中心点に斬撃を与え相殺していく。

 

「なにっ!?」

 

やがて、デットリー・シンズの七連撃がすべての月華乱舞の斬撃を相殺し。

 

「いけぇぇっ!!」

 

クロノスは僕の声に応えるように月光丸に接近する。

それと同時に。

 

「えっ!?」

 

「なっ!」

 

「ウソ・・・・・・!」

 

「レイのCCMが・・・・・・!」

 

「バン兄のと同じ・・・・・・!」

 

「変形した・・・・・・!?」

 

僕のCCMが、兄さんのVモード発動時と同じく変形しクロノスを黒銀のエフェクトが覆った。

 

Chronostasis(クロノスタシス)モード!?」

 

変形したCCMは両端が広がり兄さんのと同じく羽のような感じになり、CCM頭頂部から丸い時計を模したホロウインドウが現れ、その両脇に同じく小さな時計のようなウインドウが展開される。

 

「なんだと!?」

 

海道義光もこの展開は想定外なのか驚いている。

 

「ありがとう、クロノス」

 

僕の想いと願いに応えてくれたクロノスに感謝する。

 

「僕は、絶対に父さんを助け出す!!世界をお前らの手に渡すか!!」

 

海道義光に向けて声を上げて言い、CCMを超高速で操作する。

 

「バカな。月光丸の速度に追い付いてるだと?」

 

少しずつだが、クロノスの攻撃は月光丸に当たっている。

それはクリティカルヒットでは無い、掠りキズ程度だけど今の僕にはダメージを与えているという事実だけで十分だ。

 

「すげぇ・・・・・・俺たちが手も足も出なかった月光丸と互角に戦ってるぜ」

 

「ええ。バンと同じく特殊モードが発動したこともそうだけど、あそこまで本気のレイは初めて見るわ」

 

「私も・・・・・・」

 

「うん・・・・・・まるでレーくんとクロノスが一体化してるみたい」

 

「レイ・・・・・・」

 

僕と海道義光の戦闘を観てる兄さんたちがそんなことを言う。

 

「小癪な」

 

月光丸が機体性能で相手するなら、こっちは操作とクロノスとの想いで勝負だ。

クロノスと月光丸の片手剣がぶつかり鍔迫り合いになる。CPUがいい月光丸は高速で動き、僕はそれを特殊モードで上がった性能と操作速度で埋める。

 

「これで終わりだ【アタックファンクション!月華乱舞!!】」

 

海道義光のCCMからシステム音声が響く。

 

「僕は、絶対に!!お前らに負けないっ!!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ノヴァ・アセンション!!】」

 

こちらも同じく現状で最強クラスの必殺ファンクションを発動させる。

互いの必殺ファンクションは同時に発動し、月華乱舞の斬撃とノヴァ・アセンションの斬撃がぶつかり合う。

パワーと速度。互いとも高い攻撃がぶつかる。

拮抗していた攻撃がやがて―――。

 

「っ!クロノス!!」

 

「ぬっ!!月光丸!」

 

相打ちとなり、クロノスと月光丸は同時に吹き飛ばされた。

それと同時に僕の特殊モード、【クロノスタシスモード】が切れクロノスとCCMが元に戻った。時間切れ、というより今のでクロノスのLPが無くなりブレイクオーバーしたのだ。

 

「っ!!」

 

「勝負あったな」

 

海道義光がそういうや否や、入ってきた扉から黒服の警備の人が複数入り、僕らを拘束した。

 

「くっ!海道義光・・・・・・!!」

 

黒服に兄さんともどもCCMが取り上げられ、一箇所に集められた。

 

「やっぱり無理だったんだ、こんなヤツらを相手にするなんて」

 

「諦めるのはまだ早いわ。きっと、里奈さん達が助けに・・・・・・」

 

カズ兄とアミ姉の発言に海道義光は不敵な笑みを浮かべる。

それと同時に、開いていた扉から黒服に連れられて郷田さん、大口寺さん、三影さんたちが。そして、LEXや里奈さん、拓也さんまでもが連れられて来た。

 

「全員捕まったの・・・・・・!!」

 

全員悔しそうな表情で歩いてくる。

 

「海道、キサマ!」

 

「久しぶりだね檜山くん。一年ぶりか。まさかこんな所で君に会えるとは」

 

「どういうことだ。キサマは政府の会合に行っているはずじゃ・・・・・!」

 

「裏を欠かれたというわけか。だが、どうして俺たちの計画を!!?」

 

拓也さんの言う通り、確かにそうだ。

何故僕らの計画を海道義光らが知っている。

父さんがこの場所にいると言う情報は、海道ジンが兄さんに言った事とはいえ、今日このタイミングで計画を実行するなんて知るよしがない。

 

「(いや、待って・・・・・・。僕らが計画を実行したのは里奈さんが持ってきた海道邸のデータがあったから。そして、海道義光が不在だという情報を伝えたのも里奈さんだ。これがあれば何故海道義光らが僕らの計画を予測できたのか推測出来る・・・・・・!!けど、なんでだ!?いや、そんなハズない。だが、偶然にしてはでき過ぎてる!)」

 

僕は頭の中でとある仮説を推論する。

そんなハズない。けど、それなら僕らのことが分かったのも偶然ではなく、必然になる。

そう思考していると。

 

「連れてこい」

 

「はっ!」

 

海道義光が近くの黒服に告げた。

 

「入れ」

 

扉近くの黒服が扉外にそう言う。

すると、外から一人の男が入ってきた。

白いシャツに茶色のスボン。焦げ茶色の髪に知的風に眼鏡をかけてる。

 

「!」

 

「え・・・・・・!」

 

その人を見て僕と兄さんは息を呑んだ。

昔の記憶が呼び起こされる。

その人は―――

 

「山野博士!」

 

「博士!」

 

「山野博士!?ってことは、あの人がバンとレイのお父さん」

 

衝撃の再開に僕は声が出なかった。

LEXと拓也さんが山野博士って言うことは、間違いない。

あの人は――――――

 

「大きくなったな、バン。レイ」

 

「父さん・・・・・・!」

 

「父・・・さん・・・・・・!!」

 

五年ぶりに聞いた父さんの声。

容姿も僕の幼い記憶と遜色なく変わらず、目の前の人は僕たちが探していた、僕と兄さんの父さん。

 

 

 

 

 

 

 

      山野淳一郎その人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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