〜レイside〜
とある日の朝。珍しく僕は一人で神威大門に向かっている。
何時もはメア、フラン、ルナと一緒なのだが、何故か今日に限って先に行ってしまった。
「うーん、今日何かあったかなぁ〜?」
首をかしげつつ通学路を歩く。
通学路を歩いてると。
「おはよう!レイ!」
「ユノ。おはよう~」
同学年の一年五組。ジェノック所属の鹿島ユノが挨拶してきた。
「あれ、今日は珍しく一人?」
「うん。メアたち先に学校行っちゃったんだよね。何かあったっけ今日?」
「え・・・・・・」
僕の問いにユノは目を大きく開いて驚いた表情を浮かべた。
「え、いや・・・・・・レイ、今日何月何日か分かる?」
「え?2月14日でしょ?」
何を言ってるのと僕は首をかしげてユノに答える。
「あ、うん。たぶん、メアたちから話があると思うから。それじゃあ!」
「へ?」
嘘でしょ?とでも言いたげに言い慌てて駆けていくユノ。
「何かあったっけ今日・・・・・」
特にめぼしい予定は無かったはずだが・・・・・・。
そんな疑問とともに、僕は学校へと向かった。
学校に着き、昇降口に入るなり僕はただならない気配をあちこちから感じた。
「え?なにこの気配」
驚く程に怖い気配。ただし敵意はない。
というより、気迫に近い。
ある人は目の前の下駄箱を凝視し。ある人は何度も下駄箱を開け閉めしていて。またある人は怪しげに周囲を見渡したり。またまたある人はカッコつけるようにしていたり。またまたまたある人はなにかブツブツと言っていたり。
「え、みんな何してるの・・・・・・」
そんな普段では考えられない行動をしているのは全員
「ってか怖い」
うん。恐怖を体感してる。
さすがに僕もビクつくほど怖いので足早に行こうと、自身の下駄箱を開ける。開けると―――。
「うわっ!?へっ!?」
中から大量のラッピングされた何かが落ちてきた。
それはどれも小さく、大きくて片手に収まるほどの物だ。
「え、何これ?贈り物?」
眼をぱちくりして現状を見る。
まだ下駄箱の中にもあり、合計20近い贈り物らしきものが存在した。
ていうか、よくそんなに入ったな。
「え、これどうしよ―――!?」
困惑していると、突然周囲から怨嗟の篭ったような視線が僕に向けられた。
「ひっ・・・・・・!」
もう阿修羅のような形相に僕はたまらず小さな悲鳴を上げ、素早くその場の物をすべて回収して鞄に突っ込み自クラスへと避難するように向かった。
教室に向かっている最中にも、他クラスの生徒から視線を浴びた。
ようやくクラスにたどり着き、教室の扉を開け溜め息を吐く。
教室に入ると―――。
「――――――」
教室内の空気に僕はフリーズした。
そこに後ろから。
「おはようレイ。どうかしたか?」
「おはようレイ」
我が一年三組の学級委員にして、ハーネス第一小隊隊長のカゲトラとメカニックのタケルがやって来た。
「あ、二人ともおはよう。いや、クラスの男子の様子が・・・・・・」
「「?」」
教室内の様子を指さして見せる。
何時も冷静にして静かなシスイまで、どこか落ち着きがない。というか、男子全員全く落ち着きがない。
「ああ。なるほど」
「あははは。なるほどね」
理由を察したのか、カゲトラとタケルは苦笑を浮かべた。
「???」
事情が分からない僕は首をかしげつつも、自分の席へと向かう。
窓際の一番後ろの席で鞄を下ろし、中を開くと。
「あ・・・・・・」
中からさっき慌てて入れた物が幾つかこぼれ落ちた。
その落ちた物音に気づいたギンジが。
「れ、レイ。まさかそれって・・・・・・!?」
「?」
驚嘆するギンジに、それにつられてテッペイたちと視線をこっちに向ける。
「うぇっ!?え。なに!?」
なんでそんなに視線を向けてくるのかわからない僕。
そこに。
「おはようございますわ」
「おはようーみんな〜!」
「おはようございます」
「おはよう〜」
「うふふふ。おはようございます」
「おはようやで!」
オトヒメをはじめとする、一年三組の女子が前の扉からやってきた。
「お、おはようみんな。・・・・・・あれ?オトヒメ、メアたちは知らない?」
入ってきた女子の中にメア、フラン、ルナの姿が無いのが気になりオトヒメに訪ねる。
「彼女たちならもうそろそろ来るはずですわ」
「そう?」
「ええ」
「?」
なんだろう。オトヒメをはじめとする女子の視線。なんか、和やかな微笑ましそうに視てる。え。なんで?
「ところで、レイの机の上に転がっているラッピングされた物は・・・・・・」
「あ、これ?学校来た時に下駄箱の中に入ってたんだよ」
どうしたものか悩んでいると。
「レ〜イッ!」
「うわっ!?」
後ろから聞きなれた声と、重みがのしかかってきた。
驚きながら背中を見ると。
「る、ルナ!?」
ルナが後ろから抱き着いていた。
そしてそのすぐ近くにはため息を吐くメアと苦笑するフランがいた。いや、止めてくれてもよかったんじゃない?
いきなりのこれはさすがに心臓に悪い。
「相変わらずの量だねレーくん」
「へ?」
メアの言葉にポカンとする。
「・・・・・・まさかレイ。今日が何の日か忘れた・・・・・・わけじゃないわよね?」
「え?えーと・・・・・・今日は2月14日でしょ?2月14日。えーと・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
そこまで行きようやく僕は今日が何の日か思い出した。
「あ、今日、バレンタインか」
『『『『『ようやく(かよ)(ですか)(ですの)!!!!??』』』』』
思い出したように言う僕に、クラスメイト全員からツッコミが来た。
「いやー、最近ウォータイムとかで忙しかったからさぁ」
あはは、と愛想笑いを浮かべてみんなに言う。
すると。
「・・・・・・レイ以外全員集合!!!」
「へっ!?」
カゲトラが能面のような顔付きで教卓から言い、瞬時に僕以外の全員がカゲトラの元へと集まった。
「おいおい。レイのヤツ日付感覚がバグってないか!?」
「ええ。最近ボーッとしてることも多いですし」
「無理もないだろう。担任の日暮先生があんなんだし」
「ジンさんも副担としてやってくれてるけど、ほとんどレイが担当してるからね」
「そこの所はどうなんだい三人とも」
「あー・・・・・・確かに最近遅くまで起きてるねレーくん」
「そうね。次の日のウォータイムでの戦術とか組み立ててるわ」
「うん。今日も少し起きるの遅かったし」
「いや。ちょっと待ち!なんでそんなにレイのこと詳しいん!?まさか一緒に住んどるわけやないやろね!?」
「えーと。その辺は、ほら。ね?」
「・・・・・・誤魔化した」
「言われてみればレイを寮の部屋の近くで見たことないな」
「メアたちもそうだね」
「ってことはもしかして・・・・・・!」
「いやいや!トメさんから許可は貰ってるからね!?」
「やっぱり!一緒に生活してるのですね!」
「・・・・・・私たちはちょっと特殊だから、入学する際の特例条件として私たちを一緒に過ごさせるようにしたのよ」
「部屋はもちろん別だからね!?」
「特例って・・・・・・」
「私やルナはちょっと事情があるのよ。他人と一緒の生活は厳しいから」
「そうなんですかメア?」
「あーー、うん。そうだねぇ〜・・・・・・何かあった時のために私とレーくんが一緒にいる訳だし。他の人には話せない事情があるし・・・・・・」
「まあ、その事は時期を見てみんなに話すわレイが・・・・・・ね」
「ふむ。まあ、そう言うならこの話は置いておこう。話は戻すが・・・・・・」
「レーくんを休ませないとってこと?」
「ああ」
「確かに・・・・・・!」
「今日がバレンタインってこと自体忘れてましたし」
「提案なのだが、この事をジンさんに伝えたらどうだろうか」
「なるほど。ジンさんならレイを抑制出来るな」
「でしたら、メアたちも一緒にしたらどうでしょう」
「そうだね。さすがのレイもメアたちからお願いされたら断れないだろうし」
「よし。それじゃあ今日はレイのやること全てを俺たちでやるぞ!」
『『『『『『異議なし!!!』』』』』』
コソコソと顔がくっつくほどの至近距離で話すみんな。
微妙に途切れ途切れに聞こえては来るが、何を言っているのか内容はさっぱり分からない。
疑問符かたくさん浮かぶ中。
「・・・・・・おはよう。さっそく出席をとるぞ」
今日は担任の日暮先生が来た。
「ん?お前たちそこで集まって何してるんだ?」
日暮先生を見るなり僕以外の全員が日暮先生に詰め寄り。
「日暮先生お話があります」
「どうしたカゲトラ?それにお前たちも」
「日暮先生、お願いですので担任の仕事をレイに回さないでくださいまし!!」
「レイの日付感覚がバグりはじめてます!」
「今日が何の日かも忘れてたんです!」
こっちにまで聞こえる声で日暮先生に言っていた。
その問答はホームルームを丸々使い───。
「―――授業を始める・・・・・・ぞ・・・・・・?」
授業の担当教師がやって来てもそれに気づかず。
「真尋ちゃん!いくらなんでも適当や!」
「そうですわ!レイのことを考えてくださいまし!」
「いや、そうは言ってもな」
「俺らの担任は日暮先生だろ!?」
「そうです。これではレイが担任になります!」
「ていうか、すでにレイが担任みたいになっているんです!!」
ホームルームを丸々使ってもまだやっていた。
僕を放って。
「―――レイ、あれは一体・・・・・・」
「あ、猿田教官。おはようございます」
「う、うむ。おはよう」
何時もの猿田教官ではなく、教卓にいるみんなに唖然とした表情でいる猿田教官。まあ、分からなくもないが。
「実は、カクカクシカジカ───」
「───マルマルウマウマ・・・・・・という訳か」
「です」
事情を聞いた猿田教官はなんとも言えない表情で僕を見た。
「その、なんだ。体調には気をつけるんだぞレイ。いや、ホントに」
「はい・・・・・・」
苦笑して返す。
「ところでだが・・・・・・」
「?あー、はい」
猿田教官の視線の先でまだ問答しているクラスメイトに僕は愛想笑いをしながら。
「あー。ごほん!」
『『『『『???』』』』』
大きな声で視線を集める。
「みんな、もう授業始まってるよ?」
隣にいる猿田教官を横目にみんなに言う、
そこでようやくみんな気づいたのか、あ!とした表情で慌てて席に着いた。
「日暮先生は後でO・HA・NA・SI☆ですからね」
「「っ!?」」
メアとルナがビクッ!と体を震わせた。
「お話?まあ、構わないが・・・・・・」
そう言うと日暮先生は保健室へと戻って行った。
日暮先生が出るなり。
「おい、レイ」
「はい?」
「いや、今のお話って、気のせいじゃなければニュアンスが違わなかったか?」
猿田教官が恐る恐る尋ねる。
「あはは。そんなことありませんよ~(O・HA・NA・SI☆だしね)」
「・・・・・・レーくん、手加減してね」
「場合によるかな」
メアからの苦言に僕は片目を瞑って答え。
「それでは授業を始めるぞ」
今日最初の授業が始まった。
放課後
「・・・・・・・・・・」
「それでレーくん」
「これは一体」
「なんなのかしら?」
朝の出来事から数時間後の今。僕は今、メア、ルナ、フランから問い詰められていた。
理由は───。
「なんでこんなに増えてるのかな~!!」
「まさか朝だけじゃなく、休み時間、昼休みまでとはね」
「この辺りはこの学校も普通の学校なのね」
「まぁ、学園長がアレだし」
「「なるほど」」
「いや、それで納得しちゃダメじゃない?」
「「「レーくん(レイ)は黙ってて!!」」」
「は、はいっ!!」
「それより、なんで私たちより先に受け取ってるのよ~!」
「はい・・・・・・面目ありません」
「先に渡さなかった私たちも悪いけど」
「レイの魅力を見誤っていたわ」
「「「まさかバレンタインのチョコをこんなに受け取るなんて!!」」」
である。
今僕らがいるのはハーネスのブリーフィングルーム内なのだが、僕は今メアたちに怒られていた。てか、これ僕が怒られるの間違ってない!?
ちなみに、それを少し離れたところで見てるクラスメイトがいるが。
視線でカゲトラたちに助けを乞うが。
「すまんレイ」
「あの中に入るのは無理やわ」
「あははは・・・・・・」
「流石の俺様もビビるわ」
「お、同じく」
「あらあら、うふふふ」
「シズカのその微笑もすこし怖いデース」
「やれやれですわね」
「ホントだねー」
「ヤンデレ?」
「言い得て妙だね」
「・・・・・・・・・・頑張りたまえレイ」
「・・・・・・怖い」
「お、おう」
「ふふふふふ」
全員助けてくれなかった。
最後の頼みの綱としてジンさんに向けるが。
「・・・・・・すまない。諦めてくれレイ」
視線を合わせようともしなかった。薄情者ーーー!!
「レーくんと一緒に居るからって私たちに渡されても困るよ」
そう。ウォータイム終了後、メアたちは僕宛てのチョコを持ってきたのだ。しかも全員他学年他クラスの。
幾らその辺は寛容とはいえここまでとは。
ちなみに昼休みとかでも渡されたので数は50近くにまで膨れ上がっていた。
「おーい。痴話喧嘩はあたし達のいない所でやってくれないか?」
「日暮先生!少しは空気を・・・・・・!!」
ジンさんが非難めいた顔で日暮先生を見る。
日暮先生の声にメアたちは。
「それもそうね」
「うん。このあとは特に何も無いし」
「レーくんへのオハナシは後でじっくりやろうか」
と言った。
うん。僕、明日元気に来られるかな・・・・・・。
遠い眼差しで天井を見上げる。
「それじゃあ私たちはお先に!」
「失礼するわね」
「それじゃあまた明日ね!」
ガシッと両脇を捕まれ、逃げられない僕。
「いや、待って!!?さすがにこの司令官の時の服では出られないんだけど!?」
今の僕の格好はハーネスの紫の制服の上に黒のコートを羽織ってる。司令官の時はこのコートを羽織っているのだ。ちなみに用意してくれたのはメアたちである。
「あ。そっか」
忘れていたように言い、メアは素早く僕からコートを脱がし、ルーム内のクローゼットにハンガーを掛けて仕舞う。
「よし、行こう」
「え、ちょっ!?ま、待って三人とも!?ジンさん!カゲトラ!タケル!ギンジ!シスイ!メアたちを止めてくれない!!??」
『『『『ムリっ!!諦めろ!!』』』』
「そ、そんなぁ!!」
メアたちの珍しい激怒に僕はもうビクビクする。
ルーム内から出ていく前、オトヒメからクラス女子からのバレンタインチョコを貰い、僕は連行されるようにメアたちとダック荘に帰った。(実際連行されている)
ダック荘への帰り道、両腕。右腕をフランが。左腕をルナがガッチリと掴みメアが僕たちの鞄を持ち歩く中、僕は学校の生徒から好奇な視線を浴びせられていた。まあ、そりゃ、メアもフランもルナも一級品に可愛いし、美人だし。数ヶ月前にあったミス神威大門でもランキング上位に入ってたし?注目を集めるのは当然だけど!
ダック荘に着くなり、トメさんが。
「おやおや。今日は珍しくレイを引っ捕まえてるねぇ」
と言った。
「ただいまトメさん!」
「ただいま戻りましたトメさん」
「ただいまですトメさん」
「うん。おかえりメア、フラン、ルナ」
トメさんは正しく寮母と言った感じで答える。
「ああ、三人とも。例のアレ、出来上がってるからね」
「「「!!」」」
「冷蔵庫の右側にあるから、誰かに持っていかれる前に持っていきな」
「ありがとうトメさん!」
トメの言葉を聞くなり、メアたちは慌ただしくトメさんの寮監室の奥にある通路を通って自室に向かった。
放っておかれた僕にトメさんがニヤッとした表情で。
「安心しな。お前さん達の部屋はあたしと同じ、他の子たちの部屋より丈夫だから、ちょっとやそっとじゃ聞こえないよ」
「はい?え、トメさん?」
「あたしから言えることは、レイ。ちゃ〜んと、あの子たちの気持ちを受け取るんだよ」
「・・・・・・はい」
「それと、ヤる時は必ず、避妊はするようにね」
「は、はい?」
「あっははははは!!」
なんか今とんでもない言葉を言われた気がするが・・・・・・。
豪快に笑いながら去っていくトメさんを茫然としながら見る。
「・・・・・・僕も部屋に戻るか」
一人になった僕は、さっきメアたちが通った道を通り自室へと向かう。
自室に戻り荷物を整理していると。
「レーくん入るよ〜」
「ん?どうぞー」
扉越しのメアの声に返事を返す。
扉を開けて部屋に入ってくるメア。
入ってきたのはメアだけじゃなく、フランとルナも一緒だった。入ってきた三人を見た僕はギョッ!?とした。
「っ!?さ、三人ともその格好はなに!?」
何せ三人とも他の人には見せたくない服装だったから。
「え!?なんでエプロン姿なの!?」
「んー。似合ってない?このエプロン」
「似合ってるよ!?似合ってるけど!!」
メアのエプロンは黒と桃色を基調としたもので、フランは花をモチーフにした水色と白を基調としたもの。ルナは月をモチーフにした紺と白を基調としたものだ。
「はい。レーくん!」
「え、えーと・・・・・・」
メアから渡された物に僕は戸惑う。
その様子の僕に苦笑しながらメアと同じくラッピングされた箱を持つフランが言う。
「私たちが作ったチョコよ。もちろん、レイだけのね」
「うん!あ、作り方はお姉ちゃんとアミさんから教わってるから大丈夫だよ!」
「トメさんも手伝ってくれたから安心して」
ルナとフランの説明に、さっきトメさんが言った言葉の意味が理解出来た。
「あ、ありがとう三人とも。とっても嬉しいよ////」
三人から渡されたバレンタインチョコを受け取る。やや・・・・・・というより、結構気恥しいが、嬉しくもあり、赤面して受け取った。
三人から受け取ったチョコは、去年も受け取ったが今年は少し違うような感じがした。
たぶん、兄さんたちから離れて僕たちだけで暮らしているからだと思う。僕たちのことを古くから知っているのはジンさん以外だと、ジェノックにいるキヨカだけだから。
「あ、レーくん。これはキヨカちゃんからだよ」
「ああ。ありがとうメア。あ、三人のチョコ、食べてみてもいい?」
「もちろんだよ!」
「ええ」
「うん!」
三人から許可も貰えたことだし、さっそく三人から貰ったチョコを包むラッピングを丁寧に解く。
ラッピングを解き中を見る。メアは王道のトリュフチョコ。フランはバラを催したチョコ。ルナは月の形のミルクチョコだ。
「それにしてもフランちゃんのバラチョコ・・・・・・凄いね」
「うん。私たちじゃ出来ないよ・・・・・・」
「そ、そんなことないわ。トメさんが手伝ってくれたから・・・・・・」
「バラチョコって確か、とっても大切な人にあげると良いっていわれてるよね」
「め、メアァ!」
「うんうん。それだけフランのレイへの愛が深いってことだよね!」
「る、ルナまでぇ!!」
「あははは・・・・・・」
深紅の薔薇のように顔を真っ赤にして僕の部屋のベッドに顔を埋める。
その光景に僕は苦笑をする。
やっぱり、フランを助けられて良かった。あの時、偶然が重なり繋がった異なる世界の住人。天馬たちと協力して、世界と一人の少女を絶望から救った。
あの奇跡はたぶん、もう二度と起こらないだろう。現に僕もあの時だけしか奇跡は起こらなかったから。
そのことを思い出していると。
「レーくん?どうかしたの?」
フランをいじっていたメアが不思議そうに訊いてきた。
「ううん。なんでもないよ。―――メア。ルナ。フラン」
「「「???」」」
「ありがとう。僕は三人のことが大好きだよ!」
これは瀬名アラタたちがやってくるほんの少し前の物語。
そして、僕たちの大切な、神威島でのバレンタイン