ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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始まりの戦い

 

〜???〜

 

『こちら第一小隊。第三小隊と共に目標ポイントに到達。これよりフラッグの制圧に入る!』

 

第一小隊隊長乾カゲトラの声が耳に着けてるイヤホンから聴こえる。

 

「了解。敵はアラビスタだ。各員気を引き締めて行け!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

僕の激動に通信相手の五人は元気よく返す。

視線をブリーフィングルームの床の映像に移すと。

 

「・・・・・・さすがの戦闘指揮だな」

 

「本来は先生がしないといけないんですけど?」

 

僕の隣にいる白衣を着た女性と会話する。

その女性は僕らの担任にしてこの学園の保健医である日暮先生だ。目元にクマをし無表情で日暮先生は。

 

「私は面倒臭いのは嫌いだ」

 

「よくそれで保健医になれましたね!?」

 

「まあ、それは置いといてだ」

 

「スルーッ!?」

 

「明日から副担が来る」

 

「え?ああ、そう言えばそうでしたね。誰なんです副担って?」

 

「君もよく知っている人物だ。それとその人物については外部に口外するな」

 

「えぇ・・・・・・適当だぁ」

 

「何を今更」

 

「開き直らないでくれます!?先生ウチらの担任でしょ!?」

 

「担任だが私は養護教諭だ。現に学園長もあんなんだろう」

 

「学園長・・・・・・!」

 

この学園の学園長を思い出し何も言えなかった。この学園でまともなのって猿田教官だけなんじゃないだろうか。

 

「・・・・・・ゼロ。始まるぞ」

 

僕のコードネームを言い、日暮先生も視線を床の映像に向ける。

 

「はぁ。わかりました」

 

視線を向けると同時に戦闘の声が入る。

 

『増援敵LBX、十二体!フラッグに近づけさせるな!』

 

『分かってますわ!第三小隊、行きますわよ!』

 

『『了解!』』

 

『スズネ、俺たちはこのままここでフラッグを死守する!』

 

『分かったで!』

 

司令室の中からセカンドワールド内で戦闘をするクラスメイトの操るLBXをモニター越しに見つつ、次の作戦パターンを幾つか立てる。

 

『必殺ファンクション!【アタックファンクション!!インパクトカイザー!】』

 

第三小隊の隊長である白小路オトヒメの操作するLBX。[セイレーン]の持つハンマーから必殺ファンクションが放たれ、射線上にいたアラビスタのLBX。[ジラント]三体を戦闘不能。ブレイクオーバーにする。

 

『こっちも!必殺ファンクション!【アタックファンクション!!ブリッツフレイム!】』

 

オトヒメに続いて同じくセイレーンを操る二宮スイが炎を纏わせた剣でジラントを切り裂き、二体同時にブレイクオーバーにする。

 

『ゼロ。敵の殲滅を確認しましたわ!』

 

「よし。第三小隊は第一小隊の援護に回れ!第一小隊、フラッグは後どのくらいで制圧にできる」

 

『フラッグの制圧半分を切っている』

 

「分かった。各員最後まで気を抜くな!」

 

『『『『『了解!!』』』』』

 

僕の指示の数分後。

 

 

 

 

《拠点制圧完了。ニコルド草原の所有権はアラビスタ同盟よりハーネスに移ります。戦闘を直ちに終了し、アラビスタ同盟の登録機体はニコルド草原の敷地内より退去してください》

 

 

 

 

ワールド内のシステムアナウンスが響いた。

 

「ふぅ。終わったぁ」

 

耳に着けていたイヤホンを外す。

 

「お疲れ様だ」

 

「日暮先生、お願いなのでもう少し真面目にお願いします。ていうか、よくこれで保ってましたね」

 

「まあ、領土拡張をしなかったからな。面倒だから」

 

日暮先生にジト目を向けながらクラスメイトが戻ってくるのを待つ。やがて全員戻ってきて。

 

「ニコルド草原の制圧お疲れ様でした」

 

司令席から第一小隊と第三小隊に言う。

 

「さて。シスイ、他の所はどう?」

 

ハーネス第四小隊の隊長、鴻森シスイに問う。第四小隊はハーネスの諜報部隊だ。

 

「特には。ロシウスがグレンシュテイムに攻め入ったということ以外は」

 

「そう。日暮先生、何かありますか?」

 

シスイの返答に頷き、隣の日暮先生に訊ねる。

 

「ないな」

 

日暮先生の返答は即答だった。

 

「いや、明日のことありますよね!?」

 

「ゼロ。―――いや、レイ。君に任せる」

 

コードネームから名前に変わり投げ打ってきた。

 

「僕ただの学生なんですけど!?あなた先生ですよね!?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

「無視!?はぁ、まあ、いいですけど。明日、僕らのクラスに副担が来るみたい」

 

「副担?なぜハーネスに」

 

学級委員長でもあるカゲトラの質問は当然だ。

カゲトラの質問に僕は。

 

「多分日暮先生がこれだからじゃないかな?」

 

日暮先生を見て冗談めいて言う。

 

「おい」

 

「なにか文句ありますか?あるならもう少し先生らしくしてください!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

日暮先生は反論してくるが僕ら全員のジト目に視線を彼方へと向けた。

 

「はぁ。・・・・・・とにかく、副担が来ることを覚えておいて。それと、その副担については口外しないように」

 

「何故ですの?」

 

「・・・・・・来る人が来る人で面倒らしいから」

 

『『『『『『???』』』』』』

 

オトヒメの問いに僕は頭を押さえて答える。

僕の知り合いということは絶対、あの人たちの誰かだ(・・・・・・・・・)

 

「ちなみに全員一度は聞いたことのある人らしい」

 

『『『『『『???』』』』』』

 

「以上で今日のブリーフィングは終わりだ。明日に備えて休んでくれ」

 

クラスメイトが帰ると。

 

「日暮先生、あなたなら知ってますよね。明日来るのが誰か」

 

「・・・・・・ああ」

 

「それでも教えられないと?」

 

「今はまだ、な」

 

「そうですか。それじゃあ僕も帰ります」

 

「ああ。気をつけてな」

 

「ええ」

 

帰り支度をしてブリーフィングルームを後にする。

昇降口に向かって歩いていると。

 

「レイ」

 

「ムラク・・・・・・」

 

グレーの制服を着て紫の手袋を着けた男子生徒。ロシウス第六小隊隊長の法条ムラクが歩いてきた。

 

「少しいいか?」

 

「ああ」

 

ムラクとともに屋上へと向かう。

屋上には誰もいなく夕焼けの日が差していた。

 

「それにしてもセカンドワールドでは相変わらずみたいだね、バイオレットデビル」

 

「レイにまでとはな」

 

「ごめんごめん。どうする?また戦う?」

 

「そうしたいのは山々だがな」

 

「だね。僕も最近は出てないから」

 

「黒衣の剣士」

 

「あはは。久しぶりに聞いたよ、その二つ名」

 

「ハーネスの立役者だからな。メカニックの古城タケルと同じく」

 

「そっちこそ」

 

「ふっ」

 

「・・・・・・目的は変わらないか?」

 

「ああ。俺の目的は変わらない」

 

「そう」

 

「・・・・・・一戦やらないか?」

 

「どこで?人の目がある所だと後々面倒だよ?」

 

「LBX塚だ。そこでなら人は滅多に来ないだろう」

 

「ああ、そうだね。まあ、最悪猿田教官にならバレてもいいか」

 

「決まりだな」

 

「それじゃあ早速行こうか。時間は有限だ」

 

「ああ」

 

ムラクとともにLBX塚へと移動する。

幸いにも時間が遅いため人に見られずにすんだ。

 

「それじゃあさっそく」

 

「ああ」

 

懐からDキューブを取り出し展開。フィールドは城塞だ。

 

「いくぞ。ガウンタ・イゼルファー!」

 

「行け!コスモスオリジン!」

 

ムラクのLBXはブロウラーフレームのロシウスで使われてるガウンタを改造した、ムラクだけのLBX。[ガウンタ・イゼルファー]。

対して僕の使うLBXはハーネスで僕とタケルと僕の小隊のメカニックとともに作り上げた僕だけのワンオフ機。ナイトフレームの[コスモスオリジン]。

色は黒銀。宇宙の創世を彷彿させるような機体だ。

 

「今回はそれを使うのか」

 

「まあね。不満?」

 

「いや、お前の機体だ文句はあるまい」

 

「じゃあ行くよ!」

 

「ふっ。ああ!」

 

僕とムラクのLBXは同時に動きそれぞれの武器をぶつけた。

その戦いは久しぶりに楽しく、清々しい。本当のLBXバトルを彷彿させた。いつまでも戦っていたい。そんな気持ちだった。

恐らくムラクも感じてるだろう遊びの戦いは時を過ぎ。

 

「もらったぁ!!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!バーチカル・スクエア!】

 

「なにっ!?」

 

ガウンタ・イゼルファーの攻撃の隙を突き、片手剣の必殺ファンクションを叩き込んだ。

四連撃の斬撃を叩き込みガウンタ・イゼルファーをブレイクオーバーさせる。ブレイクオーバー特有の青白いエフェクトを発してガウンタ・イゼルファーは動きを止めた。

 

「流石だな。まさかあんな針を縫うような間に必殺ファンクションを叩き込むとはな」

 

「いや。今のは運が良かった。さすがムラクだよ」

 

さすが学園最強と呼ばれるだけはある。

互いのLBXを回収してDキューブを仕舞う。

 

「やっぱり、ムラクとのこれはここに来る前の純粋な気持ちでできるよ」

 

「俺もだ。これこそが、本来LBXバトルのあるべき姿だ」

 

「『互いに敬意を表し、再戦を誓う』だね」

 

「ああ」

 

「この島は異常だ。みんなその狂気に呑まれてる」

 

「そうだ。この島で行われてるのはただのシミュレーションじゃない」

 

「代理戦争・・・・・・。ほんと、何も知らない子供にさせるかよ。そんな、国の運命を決める戦争を」

 

「まったくだ。だから俺は・・・・・・!」

 

「ムラクなら大丈夫さ」

 

「ふっ」

 

「さてと、それじゃあ帰ろうか」

 

「ああ。だがその前に」

 

「あ。そうだね」

 

僕とムラクはLBX塚の真ん中に立つ慰霊碑に並んで立ち黙祷を捧げる。

ほんの数秒の黙祷。けど、これはここにある全てのLBXへの感謝だ。

 

「そう言えば明日の早朝。この子たち、本土に輸送されるみたいだよ。猿田教官から聞いたけど。一緒に見送らない?」

 

「ああ。いいかもな」

 

LBX塚を後にし、途中で慰霊に訪れた猿田教官と出会し軽く会話。明日の早朝のことを伝えると嬉し満足そうに頷いた。

そのまま僕とムラクは互いの寮に戻る。

 

「ただいま」

 

寮であるダック荘に入ると。

 

「遅かったわねレイ」

 

「フラン」

 

同じ小隊の女子、フランが声を掛けてきた。

 

「メアとルナは?」

 

「二人とも居るわよ。ルナの体調も戻ったみたい。メアの看病のお陰ね」

 

「そう。よかった。またルナがああなったら里奈さんに合わせる顔がないよ」

 

「そうね」

 

僕はフランとともにメアとルナのいる部屋へと向かう。

フラン、メア、ルナは女子なのだが、ルナはとある事情で特殊なため僕たち四人は隣同士の部屋となっている。ちなみにここの寮監であるトメさんには許可を貰ってる。まあ、その際耳年増的なことを言われたが。トメさん曰く、『覗きはバレないようにするんだよ』らしい。それでいいのかと思ってしまうが、まあ、僕らに関しては感謝してる。

ルナとメアの部屋の前に着くと。

 

「メア、ルナいる?レイを連れてきたわ」

 

 

『あ、フランちゃん。いいよ〜』

 

 

とドア越しに声が来た。

扉を開けて入ると、二つあるベッドの内片方にルナが。そのすぐ側にメアが椅子に腰掛けていた。

 

「ルナ、体調はどう?」

 

「うん。今日一日寝ていたから大丈夫」

 

「それは良かったぁ。メアもありがとね」

 

「気にしないでレーくん」

 

ここにいる四人が僕の小隊。ハーネス第五小隊だ。

隊長は僕。プレイヤーは石森ルナ、フラン・フルーリア。メカニックは川村メア。

まあ、日暮先生があんなんだから僕が代わりにやってるため最近は出撃してない。というより、全員トップレベルのプレイヤーなので単機出撃しても強いのだ。

 

「ああ、そう言えば明日からウチのクラスに副担が来るみたい」

 

「副担?」

 

「うん」

 

そのまま軽く会話やウォータイムのことを話し―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

 

ハーネス ブリーフィングルーム

 

 

ウォータイム前のブリーフィングルームにはハーネスの一年三組全員が集結していた。

僕は一段上の司令席にいる。

 

「日暮先生、副担が来るって言うてはったけど」

 

「来ませんでしたわね」

 

クラスメイトの金箱スズネとオトヒメが疑問符を浮かべて言う。

 

「おい、レイ」

 

「何ギンジ?」

 

大胆かつ自信家な第二小隊隊長、無敵ギンジロウが僕に問い掛けてくる。

 

「お前も知らねぇのか?」

 

「しらない。というか、いつも日暮先生は言うのが遅いんだよね!よくこれで回ってこれたなほんと!」

 

日暮先生に文句を言いギンジに返す。

そのまましばらくして。

 

「ん?日暮先生から?」

 

僕のCCMに日暮先生から先に進めてくれと連絡が来た。

 

「あ、あの人はまた唐突にぃぃーー!!」

 

全員僕の奇声にビクッとするが、なんとなく察したのか同情の眼差しを向けてきた。

 

「はぁー。日暮先生から先に進めてくれって言われたから進めるよ」

 

諦めついたように言いクラスメイトの立つ床に今日の目標を出す。

 

「今回の標的はアラビスタ同盟南部にあるグランデの港だ。ここを攻め入りアラビスタの海洋戦力と資源を削ぐ」

 

「グランデの港か・・・・・・」

 

「厄介ですわね。水中には機雷。母港には対空砲や機銃など」

 

「今回のミッションには第一小隊、第三小隊。そして第五小隊の三小隊で行う。第二小隊は占有した拠点の哨戒。第四小隊はバックアップだ」

 

「ん?レイ、今回はお前も出るのか?」

 

「出たいけど日暮先生が居ないから出られないんだよね。そんなわけで、フラン、ルナ。二人だけだけど・・・・・・行ける?」

 

「問題ないわよ」

 

「うん。大丈夫!」

 

作戦について話終えると丁度鐘の音がなった。

 

「時間だ。各員、準備に入れ!」

 

『『『『『『了解!!』』』』』』

 

クラスメイトが次々とコントロールポッドへと向かう中、僕はイヤホンを着け指示の準備をする。

そこに。

 

「待たせた」

 

「日暮先生遅いです。それと、連絡はもっとはやくにお願いします」

 

「すまない。連絡については善処しよう」

 

「それ絶対しない返事です。それは置いといて、今回はグランデの港を落とします」

 

「ほう。出撃部隊は?」

 

「第一、第三、僕を除いた第五小隊です」

 

「ふむ。やはり第五を入れたか」

 

「ええ。フランとルナがいれば余程のことがない限り大丈夫ですから」

 

「そうか」

 

「それで、副担の人は?」

 

日暮先生に訪ねると、再びブリーフィングルームの扉が開きそこから一人の男が入ってきた。

 

 

「オープニングブレイク!そのキレはさらに鋭くなったようだな」

 

 

「え?その声って・・・・・・まさか・・・・・・!!?」

 

扉が閉まりその人物の顔が見えた。

その人物の顔はとても見覚えのある顔だった。

 

「え、じ、ジンさん!?」

 

「紹介しようゼロ。彼が我がクラスの副担任としてやってきた海道ジン先生だ」

 

凛々しい顔立ちをして目の前にやって来るジンさん。

 

「久しぶりだな―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          山野レイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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