〜レイside〜
ホワイトデーを間近に控えたある日。
「――――――」
僕は学園のとある部屋で殺気全開でいた。
そして目の前には一人の男と秘書のロボ。
無言の沈黙と鋭い睨みで男を見る。
「あ、あの〜・・・・・・そのー・・・・・・」
「なにメタ沢?今、このとんでもないやらかしをしてくれた
「ヒィっ!!」
アンドロイドなのに、悲鳴を上げ部屋から逃げ出すメタ沢。
部屋に残ったのは、学園長の椅子に座ってる学園長こと、大門ジョセフィーヌ。
「め、メタちゃん!行かないで!!」
「学園長、O☆HA☆NA☆SHIがまだ終わってませんよ?いいからそこに黙って正座してください。それとも、体育館で公衆の面前でやりましょうか?・・・・・・さっさと黙って正座しろ」
「は、はぃ・・・・・・」
椅子から降りて大人しく目の前で正座するジョセフィーヌ学園長。
その姿を他の人が見たら唖然呆然とすること間違いなしだろう。
「さて学園長」
「な、なにかしら?」
「なに・・・・・・かしら・・・・・・?」
「―――いぃ、いえっ!!な、なんでしょうか!!」
「学園長、そろそろホワイトデーの季節なのは知ってますよね?」
「は、はい!」
「先月のバレンタイン、中々盛況でしたからね。まぁ、その辺は普通の学校とかわらないんでいいですけど」
「え、ええ。いくらこの学校でも、外のイベントは規制とかしないわ。息が詰まっちゃうもの」
「そうですね。ええ、それはご尤もです」
「そ、そうよね?」
「ええぇ。で・す・が!この事とは別です!」
そう言って僕が取り出したのは一枚の紙。
その紙には―――
「何故、僕が!学校の男子に料理教室を開かないといけないんですかねぇ!!!!?」
そう。その紙には男子のみの料理教室開催の案内がされているのだ。しかも、その講師の欄には認可した覚えのない僕の名前があるのだ!!
今日学校に来た際クラスで、カゲトラからこの貼り紙について言われ、直接見た僕は表情を消し、その場にいた全員が逃げ出すほどの殺気全開でここに来たのだ。ちなみにメアたちも引いていた。
学園長へのアポ?そんなの知るか!!
「開催するのは別に構いませんよ?えぇ。ですが、何故僕が講師をしないといけないんですかねぇ!?学園長なら知ってますよね!これでも僕は忙しいんです!!」
クラスではあまり担任をしない日暮先生に代わりジンさんとともにクラスを纏め、ウォータイムでは司令をジンさんに譲ったとはいえ権限は変わらず、副司令として作戦指揮や事後処理等など。普通の学生に較べて僕は目まぐるしいほど忙しいのだ。(主に担任をしない日暮先生のせい!)
ちなみに、この日暮先生の被害はジェノックの司令である美都先生にまで広がっており、度々自分の仕事を美都先生にやらせてたりするのだ。そんなわけで、僕、ジンさん、美都先生は報告会がてら偶に日暮先生への愚痴兼慰労会をしていたりするが、まあそれは別の話。
学園長の威厳すらない、神妙に正座する学園長に憤怒の如く言う。
「だ、だって、レイたん。お料理上手でしょう?」
「ええ、まあ」
ちなみに僕はそれなりに料理はできる。兄さんと父さんはからきしだが。
母さんはもちろんの事、アミ姉とジェシカさんの料理が上手い二人から直伝の料理技術を教わっている。あの頃は世界中を飛び回っていたから結構料理したしね。人数も多かったし。
「幼馴染みの姉や知り合いに教えて貰いましたから」
そんな懐かしいこと思い返す。
そう言えばあの二人は料理できなかったなぁ〜。今できるのかなあの二人?
ほんの少し感傷に浸る。
「ですが、それとこれとは話が別です!!なぜ講師が僕なんです!いますよね他に!!」
「え、えーと、実はね・・・・・・」
そう言って学園長は話した。
本来なら別の教師が担当する予定だったのだが、その教師が病気で倒れてここでは設備も足りないため本島の方へと行ってしまい、どうしようかと手をこまねいた時、日暮先生の一言で僕に当てられたそうだ。
「はぁ・・・・・・日暮先生っ・・・・・・!!!また、ですか!!!?」
ホント、日暮先生には一度本気でO☆HA☆NA☆SHIした方がいいのかもしれない。
「ね、ねっ?もう告知しちゃったし、お、お願いできないかしら?」
正座しながら懇願してくる学園長。その姿は僕より二回りぐらい歳上なのにその威厳が全くない学園長。
「はぁー・・・・・・」
開催日はせっかくの休みだからメアたちと何処かに出掛けようかと思っていたのだが・・・・・・。
「わかりました」
「っ!」
「但し一回きりですからね?食材費は学園側が持つこと。何をするとかは僕が決めます」
「ええ!ありがとう!助かるわぁ!!」
「ちなみに、報酬はちゃんと貰います。当然ですけど。あぁ、あと、これは貸しですからね学園長?」
「わ、わかったわ」
その後僕は改めて教室について聞き、時間が進み授業時間中も打ち合わせなどをし、ようやく終わったのがお昼に入る前の三時限目終了間近だった。
ちなみに、これは学園長が原因なのでキチンと公欠扱いにしてもらった。これで欠席とか理不尽だからね?
そして、三日後の料理教室開催日当日
「―――えー。本来の講師が本島に入院してしまったので、今回はハーネス所属の僕。山野レイが代理講師を務めさせていただきます。何かある人は学園長に直々に言ってください。―――ていうか学園長に直接言え」
最後の方の語尾を強めて教室にいる数十人の男子生徒に言う。
ちなみに今回の料理教室はホワイトデーに因んだもので、ホワイトデーへの贈り物を題材としている。
今この教室―――調理室には様々な仮装国の生徒がいる。今この場に限っては他仮装国へのしがらみ等はなしとしてる。
にしても―――
「(結構集まったなぁ〜。ケンタロウやムサシもいるし。って、ムラクとミハイルもいるのか)」
一番前の講師台から参加者を見る。何気に女子からモテてそうな男子が多い。
ちなみに、ハーネスからは誰もいない。
というのも、実は先日ハーネスの男子にはホワイトデーへのお返しの件についてやったのだ。トメさんの協力のもと、ダック荘で料理教室を開催したのである。(全員強制参加させた)
その際、色々疲れたがそれはまた別として。
「えーと。今回は、『クッキー』、『マドレーヌ』、『マカロン』の中から一つ選んで作ってもらいます。もちろん、一つだけじゃなくて二つ。全部作ってもらってもいいです。作り方の書かれた用紙はここにあるのでそれぞれ好きな作りたいものを持っていってください。材料はそれぞれの台にあります。わからない所は遠慮なく聞いてください。それと、作り方は必ずレシピ通りに、ですよ?」
今回の料理教室について話し終えた僕は、そう言って僕は手元のクリアファイル三つからそれぞれのレシピが書かれた紙を取り出し広げた。
お菓子作りにおいて、もっとも重要なのは【分量を計り、レシピ通りに作ること】である。お菓子作りは料理の中でシビアなのだから。特に、素人が作ろうとなるとその難易度は上がる。
もしここでアレンジを加えようなんてした場合、とんでもないものができることまず間違いない。
「(そう言えば、あの二人。あの時アミ姉たちと作った時、御するのが大変だったなぁ。勝手にアレンジ加えようとするわ、トマトジュースを加えようとするわ、摘み食いしようとするわ、適当に作るわ)」
今は知らないが、当時女子力の高い二人より圧倒的に下位の二人を思い出して窓の外を見る。
まぁ、その内の一人は今は昔とは結構変わってたし。特に容姿が。
LBXプレイヤーとしてもプロになってるし、サイバーランス社でキャンペーンガールをしていたり、写真集を出したりしているし。
もう一人の方は、確か実家の花咲道場の花咲流真拳空手の看板を継いだらしい。毎日忙しいけど充実してると前に雑誌のインタビューで書いてあったっけ。それに色んな空手の大会でも上位入賞してるらしいし、LBXプレイヤーとしてもたまに大会に出てるみたいだし。
ま、まあ、料理の腕が上がったかどうかについては疑問だけど・・・・・・・。今度あの二人に料理の腕どうなったか聞いてみるか。不安だけど。
そんな風に思いはせていると、それぞれ取り終わったようで。
「それじゃあ、各自材料は台に置かれてるやつを使ってください。それと、衛生管理は徹底して作る前には手洗いを入念に。歩きながら、サポートに入るのでその都度、手を挙げたり声を掛けてください。それでは、始めてください!」
僕が言うと同時に各自手洗いや準備を始めた。
現在の時刻は10時。一応時間としては4時間を貰ってる。もちろん、伸ばしても構わないって言われてるけど。(学園長から許可をもらった)
一番時間のかかるマカロンを作ってる人は10人も居なく、僅か6人。クッキーやマドレーヌはそれなりに均等に分けられてる。
「(今回は無事に終わるといいんだけど)」
過去に色々あったためそんな願いを思わずにはいられない。
そんなこんなで始まった料理教室。今回に限っては仮装国の壁は無くしてるため、普通の男子生徒として作っている。そのため、あちこちで協力して作っている姿が観られる。
「(オーブンとかの準備しておかないと)」
一応LBX専門校とはいえ学校なので、それなりにいい家電がある。まあ、業務用とかはないけど。オーブンレンジは6台もある。なのでそれぞれ二つずつ使う予定だ。
他にもマカロンのクリームとかも既に冷蔵庫に入っている。こういう時間のかかるやつについては予め準備をしてある。
そのまま準備をし、それぞれの台の周りを周りサポートに入ったりする。
そんなこんなで手順とかは省き(説明が面倒なため)―――オイ Byレイ
数時間後
「―――そういうわけで、本日の料理教室は無事終わりました」
学園長室で学園長に直接報告する。
時刻はすでに午後18時近く。外はもう暗い。
今この場には学園長とその秘書のメタ沢と僕だけだ。
「ありがとう〜レイたん」
「ありがとう・・・・・・?」
学園長のいつもの口調に僕は眉をピクっと上げる。
「っ!!い、いえ。ありがとうございましたレイたん!」
「いえ」
言い直した学園長に僕はメタ沢が出した紅茶を飲む。
学園長の表情はどこか怯えているような、恐れているような感じだ。なんか失礼だなぁ〜。僕普通なのに。
「ん。メタ沢、紅茶を入れる時は予めポットやカップを温めておくこと。そうじゃないと熱が逃げる」
「わ、分かったモ」
「今度、紅茶の美味しい入れ方を書いたレシピ渡すからそれを実践してみて。コーヒーとかでも使えるから」
「了解ダモ」
メタ沢に紅茶についてのダメ出しを言いながらも飲む。だって出されたものを残したら悪いし。
そして僕は料理に関しては妥協しない。下手にやって不味くなったら嫌だから。
ちなみに、料理に関してはアミ姉やジェシカさんも煩かったりする。いやー、懐かしいなぁ。あの頃は楽しかったし。
「それで、報酬は?」
「い、今送るわ」
学園長が端末から僕宛てに今回の料理教室の報酬を送ってきた。
キチンと報酬は貰う。だってボランティアでやってるわけじゃないし。今回は学園長からの依頼なんだから当然だ。
報酬を自身の端末で確認し。
「確かに」
受け取ったのを確認する。
「それじゃあ僕は帰ります」
そう告げて部屋から出ようとし―――
「あぁ、忘れてた。これ、作り過ぎたのでどうぞ」
そう言い学園長の机にカバンから取り出したクッキーの入った袋を置き、そのまま一言言って出る。
〜レイside out〜
〜三人称side〜
レイが出て言ってから一分が過ぎ、学園長とメタ沢はその場にへたり込むような重々しい息を吐いた。
「はぁ〜・・・・・・息が詰まったわ」
「同感ダモ」
「あそこまでレイたんの殺気が凄いとは知らなかったわ」
「ホントダモ」
「これは他の人たちにも伝えておいた方が・・・・・・というより、告知した方がいいのかしら」
「止めておいた方がいいモ。またあの殺気を浴びるのは嫌ダモ!」
「それは私もよ!なによ、あの冷たい眼差しに息を詰まらせるような殺気は!!どれだけの修羅場を潜って来たというのあの子は!?」
「さすが英雄の一人ダモ」
「メタちゃん、それを彼の前で言わない方がいいわよ。あの子は自分が英雄と呼ばれるの好きじゃないみたいだし」
「わかったモ」
メタ沢がお茶を入れるために席を外す。
その間学園長は思考の海に入った。
「彼らは【―――】から来た子たち。それに【―――】もいる。しかも、【―――】直々の指令を受けている。不味いわね、彼らがこの世界の秘密に気づかれでもしたら・・・・・・。幾ら国連主導とはいえ無視はできない・・・・・・!でも、監視なんかしようものなら私自身が危ない・・・・・・」
親指の爪を思わず噛み呟く学園長。
学園長は何度も問答したことを、何度目かわからない考えをする。
「学園長、お茶の準備ができたモ」
「ありがとうメタちゃん」
メタ沢にお礼を言い、学園長はメタ沢の入れた紅茶を飲んだ。
だが彼らは知らなかった。レイが本気も本気で怒った時の怖さと恐ろしさを。そして、それを経験してる人がすでに二人いるということを。
〜三人称side out〜
〜レイside〜
料理教室から二日後の3月14日。
この日はホワイトデー。
そのためか、校舎内は甘い香りがあちこちでしていた。
そして僕も。
「はい、ユノ。バレンタインのお返し」
「あ!ありがとうレイ!」
敵国のジェノックとはいえ、バレンタインにチョコをユノからもらったので、そのお返しにクッキーを渡していた。ちなみに手作りである。
「んー!!美味しい!!」
「さっそく食べるのね・・・・・・」
苦笑いを浮かべ渡されたクッキーを頬張るユノを見る。
「もしかしてこれ山野レイの手作り?」
「まあね」
「うそ!?ホントなの!?」
まさかの事実に驚くユノ。その声に他のジェノックの女子も集まってきた。
「え!これレイの手作り!?」
「わ、わたしも食べてもいい・・・・・・?」
「あ。うん。一応まだあるから」
カバンから二つほど袋に入ったクッキーを聞いてきたジェノックの女子。園山ハナコに渡す。
近くにいる親友のキヨカには目配せをして後で渡すことを伝える。
昔に何度もしたやり取りな為、キヨカも小さく頷き返す。
「もしかしてこれってこの間の料理教室の時に作ったやつ?」
小柄な女子。キャサリン・ルースが食べながら聞いてくる。
「まあね」
クスッと笑みを浮かべ意味深に返す。
作ったのは料理教室の行われた日だが、時間帯は料理教室が終わってからだ。その際に手際よく作った。
「っく!女子として負けた気分・・・・・・!!」
「同じく・・・・・・!」
「わ、わたしも・・・・・・」
「えぇぇ・・・・・・」
突然その場に膝を着いたユノたちの行動に僕は困惑する。
唯一、キヨカだけはやれやれと言った感じだけど。
「そ、それじゃあ、僕他も行かないといけないから」
「あ、うん。ありがとうねレイ〜!」
未だにうなだれるキャサリン・ルースと園山ハナコの光景を見ながら、僕は次の場所に向かった。
その後、僕は貰った相手や知り合い。親しい人たちに渡しに行った。あ、一応男子にも渡しておいたりする。と言っても、ケンタロウやムサシ、ムラクといった人たちにだけど。
そんなこんなで時間が過ぎ―――
「レーくんからのホワイトデー楽しみだなぁ〜」
「そうね。クラスからはもらったけど、レイ個人からは貰ってないし」
「うん!今年も楽しみ!」
「私も・・・・・・」
放課後。メア、フラン、ルナにキヨカが僕の部屋にいた。
「ところで私も居ていいの?私はレイのハーレムメンバーじゃないけど?」
「ぶホッ!」
突然そんなことを言い出しキヨカに思わず吹き出してしまった。口に飲み物が入ってなくて良かった。
てか―――
「ハーレムメンバーってなにキヨカ!?」
小学生からの付き合いだけど、たまぁーにキヨカの事が分からなくなることがある。
「だって、この場にいるの全員女子だし」
「いや、そうだけどね!?」
「レイ、男子の友達余りいないから」
「いるよ!?いるからね!!?」
女子と男子、どっちが友達多いかと言われるとどっちも半々のはずなのだが。
「けど、レーくん昔からモテるし・・・・・・」
「確かに・・・・・・女装しても似合ってるし」
「グハッ・・・・・・!」
ルナの女装という単語に僕は胸を抑えた。
黒歴史に近い思い出だ。何があったのかはまた今度話そう。
「ちょっ、ちょっと待ってて。ホワイトデーの持ってくるから」
胸を押さえたまま僕は部屋から出て、寮の冷蔵庫に置いてあるメアたちようのホワイトデーの贈り物を持ってくる。
途中トメさんからまたしてもからかわれたが―――
部屋に戻ってくるなり、部屋からメアたちの話し声が聞こえてきた。てか、その話の内容が内容なだけツッコミづらい。一体なんの話をしてるのさ!
「お待たせ」
扉を開け中に入る。
中に入ると―――。
「――――――」
「「「「あ・・・・・・」」」」
何故かどこかで見たような光景が繰り広げられていた。一人追加されてるけど。
「・・・・・・また?」
僕は半眼で目の前の四人に言う。
ちなみに今目の前の状況は、キヨカが上の服をはだけ紫のブラが見えている状態にメアがキヨカの胸を揉みしだいていて、メアも同じく服がはだけている。フランとルナも服がはだけてはいるがメアとキヨカ程ではない。まぁ、僕の目には毒?なのかな・・・・・・?
「で、なんでそうなってるわけ?しかもキヨカまで」
「えーと、メアの暴走?・・・・・・かな」
「かくかくしかじかで・・・・・・・」
「なにも僕の部屋でやることないじゃん」
「でも、嬉しいでしょ?私たちの肌や下着が見れて」
「キヨカまで何を言ってるのかな・・・・・・」
なんだろう。昔からメアとキヨカを同時に相手していると頭が痛くなる。
なんていうか、こう・・・・・・天然を相手にしてるみたいだ。
「まぁ、それは置いといて、はい」
「え、この状態で?」
フランがえ?と言ってくるが。
「もう、慣れた」
と返し、持ってきたホワイトデーの贈り物を渡す。
「えーと、クッキーにマカロン、マドレーヌ。あとはチーズケーキだね」
「「「「・・・・・・・・・・」」」」
持ってきたものを見た四人は目を点にする。
え、なんで?
「いや、あの・・・・・・レーくん?」
「レイ、いくら何でも」
「この量は・・・・・・」
「作り過ぎ、じゃないかしら?」
「そう?」
お返しは三倍返しが相場だって聞いてるからそのくらい作ったんだけどなぁ。
「普通じゃない?」
「「「「いやいやいや!!作り過ぎ(よ)!!」」」」
四人同時のツッコミという新鮮な返しに僕はギョッとする。
「はぁ・・・・・・メア。レイをキチンと制御しなさいよ?」
「してるよキヨカちゃん」
「これのどこがよ」
「いや、あの時よりは良いでしょ?」
「・・・・・・確かにそうね」
なんだろう。とてつもなく変な会話がされてる気がする。
「はぁ。とりあえずどうぞ」
「それじゃあ、さっそく」
パクッとマカロンを食べるルナ。
「・・・・・・」
「え!?なんで!?」
食べ終えたルナは、ガクッと何故か膝を着いた。
え、なんで?
「ま、また負けてる・・・・・・!」
意味がわからない僕。しかしメアたちは何故か『分かる』とでも言いたげに頷いてる。
「レーくんの料理の腕はお姉ちゃんたちから教わってるからねぇ〜。しかも元々なのか腕もいいし」
「毎年恒例のやつね」
「去年食べた時私もなったけど、ルナの様子を見る限り今年もなりそう」
「さすが【女子泣かせ】の異名を持つレイ」
「小学校でもいろんな人泣かせてたもんね。・・・・・・美味しすぎて」
「どこまで腕を伸ばすのかしら・・・・・・」
なんかよくわからないけど、とてつもなく失礼なこと言われてる気がする!
そんな光景にあたふたしながらもルナの介抱をする僕。メアたちもクッキーとかを食べるが、食べる度に肩を落としていた。
これは瀬名アラタたちがやってくるほんの数日前の物語。
そして、僕たちの大切な、神威島でのホワイトデーの