〜レイside〜
「・・・・・・・・・・」
「れ、レイくん・・・・・・?」
「ぁあ、ごめんユジンさん」
「いえ・・・・・・」
「(しまった。つい殺気を出してしまった)」
今僕がいるのはアキハバラの中で最も高い建物。アキバタワーのエレベーターの中だ。
隣にはオタレッドことユジンさんが一緒にいる。
何故僕がここにいるのかと言うと―――
「・・・・・・着いた」
エレベーターが最上階に着き扉が開く。
ユジンさんとそのフロアに足を踏み入れる。
中は薄暗く、あちこち物が乱雑に置かれ、唯一エレベーターから直進は歩けるようにスペースがあった。
「オタクロス師匠!レイくんが来ました!!」
「―――待ってたデヨ、レイ!!」
ユジンさんの声より大きく響く年寄りを感じさせない声。
部屋の奥にある階段?祭壇?なんかよくわからないモノの上からその声は響いてきた。
面倒くさそうに視線をそこにやると。
「煩いよ、オタクロス」
アキバの人間なら誰一人として知らぬものはいない、伝説の超ハッカーにしてオタ道の伝道者、第一人者。その名はオタクロス。
その本人が杖を持って立っていた。
「相変わらず冷たいのぉ」
「当たり前でしょうが!出会った当初にされたことを忘れたわけじゃないよ!!」
ギロっと鋭い眼差しでオタクロスを視る。
「そ、それはのぉ・・・・・・」
「それに、多少は片付いているみたいだけど、なんか増えてない?」
「ギクッ・・・・・・!」
「整理整頓するようにって口酸っぱくして言ったよね?聞いてなかったの?」
「い、いやぁ・・・・・・そのぉ・・・・・・」
口を淀ませるオタクロスに僕は兄さんたちと同じくお説教を始める。
「いいからさっさとここに降りてきて正座しなさい!」
「は、はいぃっ!!」
ぴょんぴょんと上から降りてくるオタクロス。
そして目の前で正座をする。
「これから兄さんたちが来るのは知ってるよね!?来客が来るのにこんな部屋で出迎えるわけ!?」
「し、しかしのぉ・・・・・・」
「しかしも、ヘチマもない!!常日頃から、とは言わなくてもいい歳した大人がこんなでどうする!」
「面目次第もありません・・・・・・」
お説教をする僕にユジンさんはオタクロスを特に庇うこと無く、辺りの物を片付けている。
社会人であるユジンさんはその辺のことはわきまえている。
兄さんたちが来るのはお昼頃だと聞いているため後一時間程しかない。なので、手っ取り早く少しでも綺麗にしないとならない。
「ユジンさん、他の皆さんは?」
「あ、そろそろ来るはずです!」
「助かります」
ユジンさんから連絡でオタクロスの部屋の掃除をすることにし、ユジンさん経由で他のオタレンジャーさんに集まってもらうことにした。
オタクロスやユジンさんたちとの出会いは、アルテミスが始まるまでのランクバトルで勝ち続けていた最中だ。
ランクバトル上位で丁度オタレンジャーの一人、オタブラックと当たりその人を探していた時に丁度メンバーのリーダーであるユジンさんと出会い案内してもらったのだ。
で、その場所に着きオタブラックと戦い勝ち、その後師匠であるらしいオタクロスと会ったのだが、オタクロスが僕を女の子だと間違えいきなりフィギュアにしていいのかと言ってきたのだ。
確かによく女の子と間違われるけど。
まぁ、顔立ちが中性だし仕方ないけど。
だからって、いきなりフィギュアにしてもいいかって?聞くか!?
いきなり言われた僕は思考が止まったがすぐに復帰しオタクロスに尋常ならぬ殺気を発したのだ。いや、だってお年寄りだったし。お年寄り相手にアイアンクローとかはダメだしね。
で、僕が男の子だと知ったオタクロスは余計に言ってきたのでO★HA★NA★SHIを実行したのである。
で、何やかんやあり知り合いになったのだ。
ちなみに、紳羅さんのことを紹介してもらったのもオタクロスからだ。オタクロスの裏付けで紳羅さんはイノベーターに与してないって言ってたからね。
で、閑話休題
「―――はい、これはそっち!それはそこ!それは捨てても構わない!オタイエロー、フィギュアをスリスリしないで!」
取り敢えず、少しでも綺麗にしようとオタクロスとオタレンジャーをこき使いオタクロスの部屋を掃除する。
で、ある程度は綺麗になり。
「オタクロス」
「はいデヨ」
「もしこれ以上汚くしたら、どうなるか分かってるよね?」
「は、はいいっ!」
「よろしい!」
オタクロスに注意勧告をした。
これだけ言えばさすがに無いだろう。・・・・・・・・・・・・・たぶん。
「さてと。そんじゃ、始めようかの」
そう言うとオタクロスは超高速でキーボードを叩き。
「おほぉ。見つけた見つけた!」
何かよく分からないがそこからさらに色々し、外との通信を開き兄さんたちに声を掛ける。
兄さんたちに自身がいる場所のヒントを与え通信を切る。
ヒントを与えたのは良かった。だが、
「オタクロス、アミ姉に色目使わないでよ?」
美人美少女可愛いことなれば目を変えるオタクロスに苦言をもらす。
まぁ、アミ姉がお願いしなくても僕からO★HA★NA★SHIで与えさせること出来たけど。
とまあ、それは置いといて。
「それではレイくん、師匠!我々は下のフロアでバンくんたちを待ってます!」
「わかったデヨ」
「了解。お願いねユジンさん」
「はいっ!―――って!オタレッドって言ってくださいよぉ!」
「ごめんごめん!それじゃあお願いね、オタレッド」
「イエス!」
決めポーズを決めながらユジンさんことオタレッド率いるオタレンジャーはエレベーターに乗って降りて行った。
エレベーターが降りたのを確認し、オタクロスと二人きりになった僕はオタクロスに問掛ける。
「それで?僕はなんで呼ばれたわけ?」
まさか部屋の清掃を頼みたかったわけじゃあるまいし。
「簡単じゃ。お主にあヤツらがこれから戦えていけるか見て欲しいんじゃ」
「オタクロスがやればいいでしょ?パーフェクトZX3使えばいいんだし」
「無論ワシもやるつもりじゃ。だが、お主はどうじゃ?」
「・・・・・・何が言いたいの?」
「ワシが視る限りお主、チカラをセーブしておるじゃろ?」
「っ!?」
「別にセーブすること自体に何か言うつもりは無い。じゃが、もしそのチカラが今後必要になっても、お主はそれを満足に振るえるのかのぉ?」
「・・・・・・・・・・」
オタクロスの言葉に僕は何も言えない。
確かに、LBXバトルをしてる中、周囲の音や風景がスローになっている時がある。そしてそれは相手のLBXもで、動きが少し遅く感じられるのだ。まるで【ゾーン】に入ったみたいに。
はじめてこんなのになった時はあの時。
海道邸で海道義光のLBX[月光丸]を相手した時だ。
月光丸の必殺技ファンクション【月華乱舞】がクロノスに迫った時、なんかよく分からなかったが【月華乱舞】の軌道が遅く見えたのだ。だから、あの時その中心点に【デットリー・シンズ】を叩き込み相殺できた。
その後【クロノスタシスモード】が発動したが、発動したあとも同じだった。元に戻ったのは最後の一撃後、クロノスがブレイクオーバーした時だった。
そしてその後もランクバトルのランクを上げている最中でもたまにあった。
「ワシが思うに、お主の潜在能力はお主の兄であるバンより遥かに優れていると思うぞ?」
「・・・・・・はぁー。分かったよ」
肩を竦めて僕はオタクロスの案に乗った。
「まぁ、安心するがよい。お主はワシの後じゃ」
「はいはい」
やれやれと言った風に僕はオタクロスに返す。
さすがここら辺は年の功。勝てないね。
「それで、今兄さんたちはどこ?」
「ふむ・・・・・・」
近くにあったサーバーから飲み物を出してオタクロスに問掛ける。
オタクロスが目の前にある端末を操作しすぐに発見する。
「おほぉー。あヤツら中々やるデヨ。ちょうど目の前にいるの」
「へぇー」
ウインドウを観ると、このアキバタワーの真ん前に兄さんたちがいる。
どうやら、兄さん、アミ姉、カズ兄、郷田さんの4人らしい。メアとキヨカの姿はない。
「ん?」
ふと画面の奥に見知った顔があるのを見つけた。
「ダイキさん?」
どうやら兄さんたちの後をつけてるようだが。
「なるほどね」
ダイキさんの目的は多分ユジンさんだろう。
どうせアルテミスでやられた借りを返すとかそんなできたと思う。
それから20分ぐらいし―――
「―――ここか?」
「みたいね・・・・・・」
「にしても汚い部屋だなぁ」
エレベーターから郷田さんを除いた兄さんたちが出てきた。
「待っとったデヨお前ら。お前らのオタ道、シカと見せてもらったデヨ」
僕の時と同じようにオタクロスが兄さんたちに声を掛ける。
「誰だ!」
「ど、どこから声が・・・・・・」
「あそこ!誰かいるわ!」
アミ姉の声で兄さんとカズ兄はオタクロスを見上げる。
「お前がオタクロスか!?」
「そうでよ。ワシこそが、伝説の超ハッカー、オタクロスデヨっ!!!」
背景がババーンと爆発しそうなぐらい(爆発してないけど)の登場だ。
さすがユジンさんたちの師匠。
「オタクロスさん、約束通り伝説のLBXを持ってきました!」
兄さんが取り出してみせたのは、箱に入った一見人形のようなLBXだ。
「おほぉー!これでよこれデヨぉ!!」
オタクロスが興奮しているが、理由はそのLBXがオタクロス本人がLBXが生まれた当時にフルスクラッチしたものだからである。
発売当時は今よりパーツも少なく、何かをするにしても値段が高かった。もっとも、今でもそうだが。だが、その当時は今よりLBXを売り出しているメーカーが少なくフルスクラッチなんてものは出来るわけなかった。それをオタクロスはあちこち駆け巡り、少ないパーツでフルスクラッチしたのがあのLBX。
名は確か、[さくら☆零号機]だったかな?
その後何やかんやで郷田さんとダイキさんが兄さんたちと合流し、ダイキさんが郷田さんの舎弟(?)になったらしい。えぇーーー!?
で、オタクロスからの試練で兄さんとアミ姉、カズ兄対オタクロスという、三対一の戦いになった。
兄さんは件の新型機。アミ姉も悠介さんから譲り受けたLBXを使っている。対しオタクロスはLBXを3機同時操作というダイキさんをも凌ぐ操作をし、さらにその3機が合体し[パーフェクトZX3]が見参した。オタクロスの脳内設定曰く、合体することによってスピードは合体前の3倍、パワーは30倍にまでパワーアップしているらしい。
だが、その脳内設定ほどではないが、相応しいスピードとパワーで兄さんたちを追い詰めていく。
カズ兄のハンターが兄さんとアミ姉のLBXを庇い、ブレイクオーバーしてしまう。しかし、ハンターの攻撃は決して無駄なんかじゃなかった。
その証拠に、パーフェクトZX3の駆動部にダメージを受けたため、動きが鈍くなっている。
そしてそこに兄さんとアミ姉が掴み、なんとか勝利を収めた。
「やるのぉ。ワシの試練はこれで合格デヨ!」
「よしっ!」
オタクロスの試練合格に喜ぶ兄さんたち。
けれど。
「じゃが、お主らにはもう一人戦ってもらう相手がおるぞ」
「え?」
「も、もう一人!?」
「まだいるのかよ!」
気落ちしたように言う兄さんたち。
まあ、分かるけど。
「その相手とは、あ奴じゃ!」
オタクロスが杖で僕のいる、さっきまでオタクロスがいた場所を指す。
「え?誰もいないよ?」
まぁ、当然だ。だって、隠れてるんだもん。
ゆっくりと姿を見せ。
「やっほー、兄さん」
階下の兄さんたちに手を振る。
「れ、レイっ!?」
「え、なんでレイがいるの!?」
「ってか、なんでそんなところに!?」
「おいおい、どういうことだこりゃあ!?」
「・・・・・・!」
驚く兄さんたちを見ながら降りて行き。
「やっと来たね兄さん」
「れ、レイ。今日は朝からどこかに出かけるって母さんに言ってたけどこの事だったの!?」
「まあね。オタクロスに呼ばれて」
「オタクロスのこと知ってるの!?」
「そりゃ当然」
兄さんたちにオタクロスのこととか話してないから知らないのも無理はないけど。
「そんじゃさっさと始めるデヨ」
「え、レイが相手?」
「そうだよ?僕じゃ不服?」
「そんなことはねぇけど・・・・・・」
「あぁ、言い忘れとったが、お前さんら3人でレイに挑むデヨ」
オタクロスの発言に驚愕する兄さんたち。
まあ、僕はそんな気がしてたからね。
「兄さんたち3人で来てよ。そうじゃないと僕の特訓にもならないから」
「特訓?」
「そう。僕のね。オタクロス」
「ほいデヨ」
オタクロスはDキューブを取り出し展開する。
さっきはコロシアムステージだったが、今度は草原ステージだ。
「いくよ、兄さん!アミ姉!カズ兄!」
言うと同時に僕は懐から新たなる相機[カオス]を取り出して見せる。
「疾くと舞え!―――カオス!!」
フィールドに降り立ち、二本の剣を構えるカオス。
「あ、新しいLBX!?」
「レイ、そのLBXは!?」
カオスを見た兄さんたちが僕に聞いてくる。
「父さんが僕のために新しく創ってくれた僕の新たな相機、名はカオス!昨日タイニーオービットで造ってもらったんだ」
「き、昨日!?」
「うん。あ、プラチナカプセルやリニアのこととか拓也さんと悠介さんから全部聞いてるからね」
口をぱくぱくさせる兄さんたち。
ダイキさんに限っては呆れたようにため息をついている。
「さぁ、始めよ?」
CCМを構え兄さんたちに言う。
「わかった。いくぞ、レイ!―――オーディーン!!」
「パンドラ!!」
「ハンター!!」
上から兄さん、アミ姉、カズ兄の順にLBXを出してくる。
「(兄さんのLBX、[オーディーン]って言うんだ。オーディーン、確か北欧神話の主神の名前だよね。それにあの形状、空気抵抗を受けにくくしているのか?ってことはもしかして飛べる?)」
兄さんの新型。オーディーンを見分しつつアミ姉のパンドラも視る。
「ほんじゃ始めるデヨ!!」
「こっちから行くよ!」
早速全開で兄さんのオーディーンに迫る。
「「「っ!速いっ!?」」」
瞬く間に距離を詰め右手の黒剣『フェンガーリ』で切りつける。
そしてすぐさま左手の白剣『アステール』で追撃する。
慌ててその場から飛び去るオーディーンとパンドラとハンター。
だが、ハンターは動きが鈍り『アステール』の追撃を喰らい吹き飛ばされる。
「ハンター!」
「一撃でハンターを・・・・・・!」
「吹き飛ばすほどなんて、なんてパワーなの!?」
「驚くのはまだ早いよ!」
高速でCCМを操作しカオスを操る。
さすが最新。動きがスムーズだし、反応速度が早い。
「カズ、援護をお願い!」
「おうよ!」
ハンターが高台に移動し、カオスを狙い撃つ。
「くらえっ!」
ハンターから放たれた弾丸がカオスを襲う。
だが、
「ふっ!」
「だ、弾丸を斬った!?」
続け様に迫り来る弾丸を避け、パンドラに接近する。
「くっ!」
カオスの『アステール』の突きを短剣で防ぐパンドラ。
「やるわねレイ!」
「アミ姉もね!」
下がったパンドラが高速でカオスに迫る。
「(なるほど。パンドラは速度重視系か)」
パンドラの速度はクノイチの比じゃない。
しかもアミ姉がカスタムしているから尚更だ。
けど、やりようは幾らでもある。
「・・・・・・・・・・!!」
少しずつCCМの操作速度を上げていく。
「っ!どんどん速くなっていきやがる!」
「海道ジンなみかよ」
郷田さんとダイキさんが呟くが僕には耳に入らない。
「・・・・・・」
オタクロスはジッと僕を視る。
「不味い、これ以上速くなると!」
「連携で行くわよ!」
「おう!」
パンドラとオーディーンが接近し、ハンターがその後ろから援護してくる。
僕はさらに集中力を高め先読みの先読みをする。
「っ!」
時間差で攻撃してくるオーディーンとパンドラ。そして反撃の隙をさせないハンターによる援護射撃。
一旦距離を取り、ハンターから隠れる。
パンドラとオーディーンを誘き寄せ反撃。
「・・・・・・・・・」
同士討ちをさせ、その間にハンターとの距離を遮蔽物を使い詰め。
「必殺ファンクション!【アタックファンクション!カウントレス・スパイク!!】」
四連撃の斬撃を叩き込みブレイクオーバーさせた。
「ハンター!」
「っの!」
跳んで空から攻めてきたオーディーンの槍を受け流し、後ろ回し蹴りで吹き飛ばす。
「オーディーンっ!!」
そこから先はほぼ無心状態だったと思う。
パンドラの速度を見切りカウンターを食らわせ、オーディーンの機動力を読み、兄さんとアミ姉の思考を考えて、読んで、戦った。
意識が戻ったのは―――
「そこまでじゃ!!」
「っ!」
オタクロスの静止の声が入ってからだ。
意識が戻りフィールドを観ると、カオスとオーディーンの一騎討ちでオーディーンを追い詰めていた。
「レイ、お主はまだチカラに振り回されておる。身体や精神がまだ幼いから仕方がないのかもしれん。じゃが、意識さえハッキリすれば少なくともチカラに振り回されることはないじゃろう」
呆然としている僕にオタクロスが言ってきた。
「お前らもわかったじゃろう。まだまだ未熟じゃと。レイ一人にそのザマじゃ」
オタクロスは続けて兄さんたちにも言う。
「ああ。レイの動きが見えなかった」
「そうね。私もまだパンドラを扱いこなせてないってわかったわ」
「俺もだ。正直、ハンターじゃ全く歯が立たなかった」
兄さんたちも自分たちの未熟さを感じたのか言う。
「レイ、ちょっといいかの?」
「ん?」
オタクロスに手招きされてオタクロスに近寄る。
近寄るとオタクロスはチョイチョイと手を振り、耳を近づける。
「レイ、お主今の戦い何をしたか覚えておるか?」
「いや、うろ覚えっていうか・・・・・・なんか意識がここにない感じだった」
「ふむ・・・・・・」
オタクロスはしばらく考えるように黙り込み。
「もしかしたらお主はお主のLBXと一体化していたのかもしれんのぉ」
「一体化?」
「うむ。トランスとでも言うのかの?お主は心身共に未熟故に仕方ないのかもしれん。じゃが、敵は待ってはくれんデヨ?」
「うん」
「そこでじゃ。お主、今のランキング何位デヨ?」
「え?えーと確かこの間オタブラックに勝ったから25位・・・・・・とかだったかな?」
「うむ。なら、お主に課題を課す。期限は後で言うとしよう」
「課題って?」
「そのランキングで1位を取るのじゃ!」
「い、1位!?」
「そうデヨ。そのくらいになれば心身共に鍛えられるかも知れんからのぉ」
「・・・・・・・・・・わかった」
正直まだ1位には届かないと思う。
ランキングバトルの上位はアルテミス出場者並のレベルのプレイヤーがごろごろいるのだ。今の僕の順位は25位。そっから24位も上げるとなるとかなりキツいだろう。
なるほど、確かにこれはいい修行かもしれない。
オタクロスと小声で話し終え、兄さんたちに振り向く。
「うむ。試練はこれで終了デヨ」
その後オタクロスの協力の元、兄さんとカズ兄のLBXをインフィニティネット内にヴァーチャルLBXとして送り込み、インフィニティネットからゴッドゲートを突破しメタナスGXに侵入。
内部にあった解読コードを入手しようとしたが、その前にイノベーターのヴァーチャルLBX[ハーデス]が現れ兄さんたちの行く手を遮った。
死闘の末、父さんがメタナスGX内にデータ化していたヴァーチャルLBX[フェンリル]の助けもありハーデスを撃破。
フェンリルはハンターの後継機らしく、カズ兄がヴァーチャル内で使った。
フェンリルを観たオタクロスはそのデータをすぐさま保管していたけどどうするつもりだろ?
ハーデスを撃破後、これでようやく解読コードが入手出来るかと思いきや、イノベーターはメタナスGX内部のデータを全て破壊。解読コードもインフィニティネット上に無数のデータの破片となって散らばってしまった。
「オタクロス、どうするの?」
ブラックアウトした画面を見ながらオタクロスに問う。
僕はネットワークやデータ関連では全く何も出来ない。
しかも、そのデータご無数の破片となって広大なインフィニティネット内に散らばってしまったのなら尚更だ。
「うぅーーむ・・・・・・」
難しい顔をして画面を視るオタクロス。
「オタクロス、なんとか出来ないの!?」
「したいのはやまやまじゃが、広大なインフィニティネットに散らばってしまったはどうすることもできんデヨ・・・・・・」
兄さんの言葉にオタクロスは歯痒そうに告げる。
「・・・・・・ハッカー軍団」
「っ!?」
「彼らに手伝ってもらうしかないんじゃないオタクロス」
「それはそうじゃが・・・・・・!」
忌々しげに思い出そうとしてるオタクロス。
まあ、ユジンさんからオタクロスと彼。いや、あの子との因縁の事を聞いているからなんとも言えないけど。具体的なことは知らんが。
「しかたないのぉ。おいお前ら、今からちょうど十日後に行われる大会、《アキハバラキングダム》に出場するデヨ!そして優勝するべし!」
オタクロスの頼みで、兄さんたちはこのアキハバラで行われるLBX大会アキハバラキングダムに出場することになった。
あ、僕は参加しないよ?
オタクロスから参加はするなデヨと、いわれた。
逆に、課題の期限がこのアキハバラキングダムまでと言われた。
いや、さすぎに十日でランキング1位にいけるか分からないんだけど・・・・・・。
まぁ、やるだけやってみるか。
そんなこんなで僕らはそれぞれの課題へと取り組み始めたのだった。