〜レイside〜
突如鳴り響いたアラートに驚く僕ら。
すると目の前のスクリーンに通信が映し出され、通信相手のオタクロスが映った。
『宇崎氏よ。ハッカー軍団から緊急連絡が入ったデヨ』
「緊急連絡?」
オタクロスの言葉に警戒する僕ら。
ハッカー軍団からの緊急連絡でオタクロスが直々に連絡してくるということは、余程のことだ。
『謎のLBXの大群が、すでにタイニーオービット社の近くまで迫っておる』
「なっ!?」
「LBXの大群!?イノベーターか・・・・・・!」
「オタクロス、一体どうやってタイニーオービット社に!?」
僕らの驚きは相当だ。
紳羅さんの疑問にオタクロスは。
『タイニーオービット社の地下に、巨大な坑道があるじゃロ?ヤツらはそれを使っておるデヨ』
「っ!?地下の坑道だと・・・・・・?」
「まさか、リニア開通前に使われていた、地下鉄の廃線のことか!」
悠介さんと紳羅さんはオタクロスの言葉の意味が分かったようだ。
オタクロスの言葉を聞き、結城さんがタイニーオービット社のオペレーターに通信をする。
「何故、警戒ラインが突破される前にセキュリティが反応しなかったんだ!?」
『それが・・・・・・どうやらシステムがダウンしていたようです』
「なんだって・・・・・・!?」
オペレーターの言葉に言葉を失う。
「結城さん、ちょっとゴメンなさい!オペレーターさん!ダウンしたシステムはなんです!?」
結城さんに割り込んでオペレーターに問い掛ける。
『タイニーオービット社の非常警戒システム及び社内セキュリティ全てです!!』
社内のセキュリティシステムが全てダウンしたということは―――
「悠介さん、タイニーオービット社のセキュリティシステムを切れるのって・・・・・・!」
「ああ、セキュリティシステムを切れるのは内部からのみだ・・・・・・」
「っ!イノベーターの内通者がいるってことか・・・・・・!」
僕の言葉を理解した紳羅さんが声を上げる。
「悠介、不味いぞこれは!」
「ああ・・・・・・!」
「っく!メア!」
CCMを開きメアと通信を開く。
『もしもしレーくん!?』
すぐに通信が繋がり、そっちの様子を聞く。
「メア、敵の総数は!?」
『ちょっと待って!今計測してる!』
『敵の総数、2万5000機!』
通信先からシーカーのオペレーターの声が聞こえてきた。
「に、2万5000機・・・・・・!?」
予想を遥かに超える大群に言葉が震える。
「2万5000だと・・・・・・!?」
「っく!海道ぅ・・・・・・!結城君!エターナルサイクラーのサンプル完成を急いでくれ」
「こ、この状況でですか!?」
「時間が無い!今ここで作業を止める訳にはいかん!」
「わ、わかりました!」
悠介さんも焦りが出ている。
当然だ。
2万5000機のLBX襲撃なんて焦り以外何ものでもない。
「拓也、作戦を伝える。全員社長室に集合してくれ」
『分かった』
悠介さんが通信越しに拓也さんに言う。
「どうするつもりだ悠介」
通信が切れ、CCMを仕舞う。
「迎え撃つ。それしかない」
「ええ。やるしかない・・・・・・っ!」
エターナルサイクラーのサンプルを造っている結城さんを《レベル4》研究室に残し、僕、悠介さん、紳羅さんは社長室へ向かった。
「オタクロス、聞こえる?!」
社長室に向かいながらオタクロスに連絡を取る。
『聞こえるデヨ、レイ!』
「今すぐハッカー軍団のLBXをタイニーオービット社地下の坑道まで来させること出来る!?」
僕らやタイニーオービット社にいるプレイヤーだけでは対処出来ない。だから、ハッカー軍団の協力を仰ぐ。
『問題ないデヨ!すでに手配済みじゃ!』
「了解。悠介さん、LBXをインフィニティネットからの遠距離操作出来ますよね!?」
「っ!社内無線ポートを開放する!」
「オタクロス!」
『了解デヨ!』
これで予め準備が出来、猶予が持てる。
「相変わらずレイ君は頭の回転が速いな」
「ああ。大人顔負けだな。さすが山野博士の息子だ」
「あははは」
あんまり父さんと比べられても困るのだけどなぁ。
しばらくして社長室に着き、拓也さんとともに兄さんたちもやってきた。
全員集合し、悠介さんから作戦を伝えれれる。
地下坑道に僕と郷田さん、ハッカー軍団が。兄さん、アミ姉、カズ兄はコントロールポットからLBXを操作して地下道の入口に向かうLBXを撃破。
八神さんたちとメア、キヨカはレベル4研究室へ向かうLBXの排除だ。
ちなみに、メアの新型機は、機動力と速度を重視したLBX。名前は[アテナ]。
キヨカの新型機は、メアと同じく機動力、そしてバランスを重視したLBX。名前は[メティス]。
両機ともフレームはストライダーフレームだ。
そうして僕らはそれぞれ移動し、僕は郷田さんとともに地下坑道にいた。
「こうしてお前と肩を並べるのは初めてだなレイ」
「ええ。そうですね郷田さん」
「前から言おうと思ってたが郷田でいい。それに敬語もいらん」
やれやれとでも言いたげな郷田さん。
「えーと、じゃあ・・・・・・郷田で」
「おう」
ニカッと笑って返す郷田さん・・・・・・いや、郷田。
なんて言うか、懐が広いというかなんていうか・・・・・・漢としてカッコイイ。背中で語るタイプなのかな、といつも思ってしまう程だ。
「それにしても・・・・・・」
郷田の目線の先にはハッカー軍団のLBXに加え、タイニーオービット社にいる全プレイヤーのLBXが所狭しと、それぞれの武器を持ち佇んでいる。
「こんなにもイノベーターと戦う人がいるなんて・・・・・・」
ここにいる全員。イノベーターと戦うために集まった人たちだ。
そしてそれはここにいない人も。僕らを後ろから支えるオペレーターたち。その全てがイノベーターに立ち向かおうとしている。
『レイ君、郷田君』
「悠介さん」
『エターナルサイクラー完成まであと一時間との事だ。なんとしても、死守してくれ!』
「おう!」
「了解!」
あと一時間。
これは僕でも見通せない。
けど、負けるというビジョンは微塵も見えない。
なにせここにいるのは確固たる、勝利を掲げる人が沢山いるから。
それからしばらくして―――
『―――敵、まもなく迎撃ラインに到達します!』
シーカー本部のオペレーターの声が通信で入った。
『各員、配置に着いたか?』
『『『はい!!』』』
「こっちはいつでもいいぜ!」
『ハッカー軍団も準備OKだ!!』
『私たちの方も準備完了です!』
『こちらも準備完了だ』
拓也さんの声に兄さんたち、郷田、ヤマネコ、メア、八神さんが返事をする。
『郷田君、レイ君!前線の指揮をまかせる!』
「おう!」
「了解!」
悠介さんに言われ返事を返す。
―――のだが。
『おっと』
「あ?」
『俺たちはキングの命令しか聞かないぜ?』
「なっ!?なにっ!?」
「えー・・・・・・」
割り込んできたヤマネコがそう言ってきた。
ヤマネコの言葉にえー、とげんなりする。
『そういう決まりだからな』
『ハッカー軍団、俺たちと一緒に戦ってくれ!』
『はっ。キングの命令じゃあしょうがねぇ。言うことを聞くぜ』
どうやら兄さん、キングの命令には従うようだ。
「けっ。めんどくせぇヤツらだな。しっかり頼むぜ!」
郷田の言葉には同意である。ホントめんどう。
『ハッカー軍団の実力、見せてやるぜ!!』
『ああ!』
やれやれと肩を竦めながら兄さんとヤマネコのやり取りを観て。
『レイ君、合図を頼む』
悠介さんが僕にそう言ってきた。
「えっ!?」
いきなりで驚く。
「気合いの入る言葉を期待するぜ!」
『レイ、頼む!』
『レーくん!』
『レイ!』
『オタクロスのヤツを戒めたアンタの言葉、期待してるぜ?』
何故か各員から期待されてしまった。
えー、ど、どないしょ・・・・・・。
つい関西弁になってしまうほどだが、コホンと咳をし。
「・・・・・・今この場にいる全ての人に感謝を。世界を支配しようとしているイノベーターは絶対に許すべきではない敵だ」
『『『『『・・・・・・・・・・』』』』』
「今ここに、君たちに勇気を問おう!!敗北は許されない!この戦いは、イノベーターの野望を打ち砕く戦いだ!!死力を尽せ!!気合を込めろ!!全力で行け!!僕が、君たちを勝利に導く一筋の光となろう!!持てる全てのチカラを振るい、眼前の敵を討滅せよ!!!」
『『『『『うおおおおおおおおおっ!!!!!!』』』』』
あちこちから声が上がる。
みんなを奮い立たせる勇気の言葉。
僕の柄じゃないけど、出来たかな?
歓声が上がり。
『来るぞ!!』
シーカー本部にいる拓也さんが告げる。
「各員、迎撃用意!」
拓也さんの言葉に指示を出す。
やがて、イノベーターのLBX。総勢2万5000機のLBXが視界に入った。
やがて射程距離に入り。
「迎撃開始!!!」
迎撃開始の指示を出す。
指示とともに、遠距離武装を持つLBXが砲撃を開始する。
「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!】」
遠距離武装を持つ機体とともに[カオス]が必殺ファンクションを放つ準備を取る。
「【ヴォーパル・ストライク!!!】」
僕の声とともに一筋の深紅の光槍が、突き放たれた右の剣『フェンガーリ』から放たれた。
弾幕の煙が晴れイノベーターのLBXも接近して攻撃を始める。
「必殺ファンクション!!【アタックファンクション!超我王砲!!】」
郷田のハカイオー絶斗から放たれる必殺ファンクションが一面を薙ぎ払い、イノベーターのLBXを破壊する。
イノベーターのLBXも反撃し、こちらも幾つかのLBXがブレイクオーバーになる。
「いくよ!―――必殺ファンクション!!【アタックファンクション!ライトニングフォール!!】」
イノベーターのLBXの内部に飛び込み、右の剣『フェンガーリ』を逆手に持ち地面に突き刺す。
突き刺すと稲妻が走り、周囲のイノベーターのLBXを破壊した。
他のこちらのLBXもそれぞれ得意武器の必殺ファンクションを放つが、イノベーターのLBXは一向に減らない。
これでもまだイノベーターのLBXは2万3000機近くいる。
とにかく数が多すぎるのだ。質より量で攻めてくる、物量作戦なのだろう。
「っく!」
僕らを通り抜けて兄さんたちの方に行くLBXも何機出てきた。
そっちは兄さんたちが対処してくれてるけど・・・・・・。
『みんな聞いて!』
「アミ姉?どうしたの?」
突然のアミ姉の連絡に首を傾げる。
『あのLBX郡、数は多いけど全て自動制御だと思う』
「自動制御?」
アミ姉の言葉を聞き、イノベーターのLBXを視る。
「―――確かに、動きが単調すぎるぜ」
「確かに・・・・・・数は多いけど、全部同じだ」
敵が全て自動制御なら、数は多くても僕らが優勢だ。
「人間様のチカラ見せてやるぜ!」
『ふん!ワンパターンのヤツらなんかに負けんなよ』
「俺が負けるはずないだろ!行くぜェ!」
郷田もヤマネコも威勢よく飛び出してイノベーターのLBX郡の中に飛び込んでいく。
僕も負ける訳には行かない。
悠介さんから新たなCPU『カオスレインW:EX』を貰った[カオス]のチカラ見せてやる!
「合わせろ、ヤマネコ!郷田!」
「おう!」
『わぁったよ!』
「「『必殺ファンクション!!』」」
「【アタックファンクション!ライトニングフォール!!】」
「【アタックファンクション!超我王砲!!】」
『【アタックファンクション!大真空斬!!】』
同時に三方向に放たれた必殺ファンクションは多数のイノベーターのLBXを破壊する。
「メア!八神さん!そっちはどう?」
『まだ大丈夫!』
『こちらにも結構な数が来ているが対処可能だ』
「了解」
どうやら予測通り、通風口とかを利用して侵入してきてるLBXもあるみたいだ。
「残り約1万8000機弱か」
すでにこちらは最初の頃に比べ、三割ほど損壊を受けてる。
長時間の戦闘はプレイヤーに大きな負担を強いるし、集中力も低下する。
なるべく短時間でカタをつけないと。
「郷田、あとは頼む」
「んあ?」
「いくよ、カオス!!」
郷田に言うと同時にカオスを超高速で操作する。
CCMを高速で操作し、絶え間なく二刀の斬撃を放つカオス。
「すげぇ」
『これが噂の・・・・・・《
郷田とヤマネコの声が聞こえるが、目の前のことに集中する。
CCMを操作し続けていると、周りの音が遠くなり、全てがスローモーションになって見えてきた。
それから約30分も過ぎた頃―――
『敵残存勢力、残り4000を切りました!』
2万5000機から4000機まで減らせたようだ。
だが、味方の数はもう残り三割もない。
なるべく味方に被害が行かないように、奥地の方で大立ち回りをする。
必殺ファンクションを何度も放ち、次々と迫り来るイノベーターのLBXの動きを予測して回避し反撃を叩き込む。一機、二機と、次々にLBXの屍が築き上がる。
そこから総数2万5000機だったはずの敵残存勢力は、残り一割を切っていた。
それと同時に拓也さんからレベル4研究室へ応援に回るよう告げられた。
『行きな』
「ヤマネコ?」
「いいのかよ俺らがいなくて」
『あとは俺っちたちがやるさ』
「・・・・・・わかった。あとは任せたよヤマネコ」
『ああ』
郷田とともに、それぞれのLBX。僕のカオスと郷田のハカイオー絶斗を回収し、レベル4研究室へ向かおうとする。
その瞬間。
「っ!郷田!待った!」
LBXではない、妙な重低音のローター音が響き渡った。
視線をバッと音のした方。坑道の奥へ向けるとなんとそこに。
『な、なにっ!?』
「なんだありゃ!?」
「な、なななななななっ!!?」
奥から来たソレに僕らは声を失った。
ソレはLBXではなかったからだ。しかもどう考えてもこの場にふさわしくない物。
それは―――
「ご、郷田、あれってま、まさか・・・・・・!」
「あ、ああ。戦車・・・・・・なのかあれは!?」
そう。戦車だったのだ。
しかもただの戦車ではない、銃器をいくつも搭載した要塞戦車だ。
まさかそんなものが出てくるなど、思ってもみなかった。
『おもしれぇじゃねぇか。俺っちたちに任せろ!撃ちまくれぇ!!』
ヤマネコの合図で残ってるハッカー軍団が遠距離武装で攻撃を仕掛ける。
攻撃を受けた要塞戦車は痛くも痒くもないとでも言うのか、全くの無傷だ。ダメージが入っているようには思えない。
そもそもLBXと要塞戦車では差があり過ぎる。
象とアリくらいの差がある。
ハッカー軍団の攻撃による弾幕が途切れ、要塞戦車の頭頂部にあるカメラアイにボワンと真っ赤な光が輝いた。
それと同時に、要塞戦車の砲が動いたのが見えた。
「まずいっ!ヤマネコ、今すぐ全員を回避させろ!郷田は伏せて!」
『お、おうっ!』
「ああっ!」
二人が返事したのと同時に、要塞戦車から一発の砲弾が発射された。
着弾と同時に凄まじい風が起こる。
着弾した場所はさっきまでハッカー軍団がいた場所だった。地面は放射状に窪んでる。
あんなのをLBXが受けたら一溜りもない。
「ヤマネコぉ!!」
『騒ぐんじゃねぇよ。まぁ、ギリギリだったがな』
探すと、ヤマネコのレッドリボンは上の配管に剣を突き刺していた。
他にも、グンソウのグリーンリボンや他のグレイメイドたちも無事だ。
「どうする・・・・・・!さすがに要塞戦車には手が出せない!」
恐らくあの要塞戦車も自動制御だと思うが・・・・・・。
近づくだけで難しい上に、一発でも食らったらアウト。手が出しようがない。動きを止めることは可能だろう。だが、要塞戦車を止めることは出来ない。
僕らがどうするか手篭めいていると。
『ここは僕が引き受ける』
CCMに海道ジンが写り僕らに告げた。
「海道ジン!?」
驚く僕ら。
そこに、エレベーターから海道ジンが肩に見たことないLBXを乗せてやって来た。
「僕も戦おう」
『ジン。相手は戦車だ!』
「完成したこの[ゼノン]ならやれるさ」
[ゼノン]というのは肩に乗ってるあのLBXのことだろう。
「[プロトゼノン]の戦闘データを元に、サイバーランス社が造り上げた次世代型LBX。そして、僕だけの究極の専用機。それがこのゼノンだ。コイツなら大丈夫だ」
『ジン・・・・・・』
自信満々に告げる海道ジンはそのままこちらに来る。
「こんな場所に、生身で来るバカは俺やレイだけだと思ってたぜ」
「ちょっ!それは無いでしょ郷田!?」
郷田のバカ発言にツッコミを入れる。
『ここはジンに任せてバンたちはレベル4研究室に向かってくれ』
『バン、そうしましょ。エターナルサイクラーを守らなくちゃ』
『ああ。行こうぜ』
『・・・・・・いや、俺は残る』
「に、兄さん!?」
兄さんの残る発言にギョッとする。
『俺はジンと一緒に、あの戦車を食い止める』
『『えっ!?』』
『アイツを止めなければ、このビルは破壊される。そうしたらエターナルサイクラーも守れない!!』
「それはそうだけど!」
兄さんの言い分は尤もだ。
このビル。タイニーオービット社が破壊されれば今作ってるエターナルサイクラーも無に帰す。
歯痒く、クッと歯を食いしばる中、兄さんの[オーディーン]がジンの左腕に乗っかる。
『ジン、俺もやる!』
「兄さん、本気なの!?」
『ああ!』
僕の問いにも兄さんは即答で覚悟が決まっていた。
「海道ジン・・・・・・」
海道ジンは兄さんをCCM越しに見ながら、軽く笑って頷いた。
「っ!任したぜ!」
海道ジンの返事を見た郷田はすぐさま上に駆け上がる。
「・・・・・・分かった。海道ジン・・・。いや、ジン。アイツを頼む」
「ああ。任された」
ジンに戦車を任せ、僕も郷田の後を追い階段を駆け上がる。
そのままエレベーターに乗り込み、レベル4研究室へと向かう。
「郷田は八神さんたちの方に。僕はメアとキヨカの方に向かう」
「わかった!」
エレベーター内で話し合い、到達する同時にそれぞれの場所へと駆ける。
八神さんたちの方とは反対側の方にいる二人。二人の姿を確認しすぐさまカオスを出撃させる。
「お待たせメア!キヨカ!」
「レーくん!」
「レイ!助かったわ」
二人の目の前には100はないが、数十のLBXが屯していた。
「地下では兄さんたちが。向こうでは八神さんやアミ姉たちがやってる。ここで僕らが退くわけにはいかないよね二人とも!」
「もちろん!」
「ええ!」
「さぁ、ゼロからはじめて―――」
「「―――ゼロで終わらせましょう!」」
僕の口癖を引き継いで言う二人に微笑みながら、
「行くよ!」
「うん!」
「ええ!!」
僕はメアとキヨカとともに目の前のLBXを殲滅し始めた。
数がそんなにいなかったのもあり、特に苦戦することなく僕らはイノベーターの侵入してきたLBXを殲滅出来た。
メアとキヨカの新型LBXは二機とも、アミ姉のパンドラやダイキさんのナイトメアと同等クラスのポテンシャルを秘めていた。
動きが滑らかで、二人の操作にあっていた。
「拓也さん、こちらは片付きました。兄さんたちの方は?」
CCMからシーカー本部にいる拓也さんに連絡を取る。
『今ジンがやってくれた』
拓也さんがそう返す。
それと同時に。
『こっちも終わったぜ』
郷田からも連絡が来た。
『イノベーターのLBX反応、全て消失!撃退に成功したようです!』
シーカー本部のオペレーターの言葉に僕らは安堵の息を吐いた。
ようやく終わったのだ。まだそんなに時間は経ってないはずだが、僕には結構時間が経過している感じがした。
「終わったぁ〜。おつかれ〜メア、キヨカ」
「うん!」
「お疲れ様、レイ」
三人で手を合わせてハイタッチをして笑う。
イノベーターのエターナルサイクラー強奪を阻止出来たのだ。嬉しいはずがない。
三人で喜んでいると。
「ん?」
通路の端に何かを抱え走っていく中年の男性の姿を捉えた。
「レーくん?」
「どうかしたの?」
「いや、今、なにかを持って走っていく男がいて・・・・・・」
男が走ってきた方向はレベル4研究室からだった。
僕が二人に言うと。
『―――エターナルサイクラーが奪われただと!?』
拓也さんからそんな声がCCMから聴こえた。
「えっ!?」
拓也さんの言葉に目を見開く。そして、今の男の抱えていたものを思い出す。
「まさか・・・・・・!!」
男が走ってきた方向と今の状況から、恐らくあの男が結城さんの造ったエターナルサイクラーのサンプルユニットを強奪したのだろう。
「メアとキヨカは八神さんたちに合流して!」
僕はそう言うと男が走っていった方に向かって走る。
「れ、レーくん!?」
「レイ!?」
二人の声に返事を返さず、走っていった男を追いかける。
後を追いかけ。
「っく・・・・・・!どこ行った!?」
周囲を見渡す。
どっちに行ったか分からない。
だが、恐らくあの男は外に出たはずだ。
そう思い、エントランスの方に向かおうとする。
そこに。
「レイ君!」
「悠介さん!」
エレベーターから降りてきた悠介さんと合流した。
「悠介さん、さっきレベル4研究室の方から男がアタッシュケースを持って・・・・・・」
「分かってる。・・・・・・こっちだ!」
悠介さんの後を追いかけて非常階段に出た。
非常階段から見渡すと、階下にさっきの男の後ろ姿が見えた。
「いた!」
僕の声に悠介さんは僕の視線の先を視る。
「あれは・・・・・・!まさか!?」
「悠介さん?」
悠介さんの知っている人なのか、悠介さんは驚いた顔をしていた。
そのまま悠介さんは非常階段を降りて行き、僕も後を追いかける。
「待て!待つんだ!」
「待ちなさい!!」
走りながら言う悠介さんに続いて、僕も男に静止するよう言い放つ。
「止まれっ!!」
タイニーオービット社のメインエントランス前の階段を降り止まった男に悠介さんが声をかける。
「霧島さん!!」
霧島、というのがあの男の名前らしい。
「何をしているんだ霧島さん?!そのケースをこちらに返すんだ!」
悠介さんの言葉に霧島さんと呼ばれた男は返事を返さない。
「あなたはそれがなんなのか、わかっているのか!」
僕は悠介さんの隣に立ち、霧島さんを見る。
震えている霧島さんがようやく振り向くと、その手にはアタッシュケースの他に右手に拳銃を持っていた。
「邪魔をするなぁ!!!」
「っ!!」
拳銃を見て身構える。
悠介さんはスっと僕の前に出て、僕を庇うように僕に背を向ける。
「止めるんだ霧島さん。あなたはこんなことをする人ではない」
「だ、黙れっ!お、お前のせいで、私は・・・私は・・・・・・!!」
怒りと怯えを感じる言葉。
悠介さんと、この霧島さんになんの因果があるのか分からないが、今はエターナルサイクラーを取り返さないと。
「く、来るなっ!」
少しずつ下がる霧島さんに、前に出る悠介さん。
霧島さんの銃を持つ右手はブルブルと震えている。
霧島さんが階段の影部分に着くと。
「っ!?なに!?」
横からかっさらうように霧島さんから、青いスーツにサングラスを掛けた男がアタッシュケースを奪い去った。
「あれは・・・・・・・!」
紳羅さんからのデータであのスーツの格好をしている人を僕は知っていた。
「イノベーターの青の部隊!」
スーツの男はかっさらったアタッシュケースを持ち、歩道から道路を横断する。霧島さんも慌てて後を追う。
その霧島さんの目の前に突然トラックが走ってきた。
「霧島さん!!」
「ゆ、悠介さん!!」
悠介さんは立ち止まる霧島さんをトラックに引かれないよう押し出した。
霧島さんは悠介さんに押され、トラックの前からズレる。
だが―――
「ぁ―――」
霧島さんを庇い、トラックの前に出た悠介さんは―――
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
避けることも出来ず、悠介さんは霧島さんの身代わりとなってトラックにぶつかり・・・・・・・・・・・・