〜レイside〜
「久しぶりだな山野レイ」
「・・・・・・・・・・」
「レイ?どうかしたか?」
「ハッ!や、やっぱりジンさん!?え!?なんで!?ジンさん、たしかA国の大学に行っていたはずじゃ・・・・・・」
「ああ、それなら飛び級して卒業した」
「はい!?え、と、飛び級卒業!?」
「ああ」
「ど、どんだけハイスペックチートなんですあなたは!?」
「ハイスペックチートか。久しぶりに聞いたな」
「感慨深くならないで!?え、ジンさんが副担任ってことは・・・・・・」
「ああ。今日から僕が司令官になる」
「日暮先生がやるわけじゃないんですね」
「当たり前だ。私よりゼロか海道先生の方が高いからな」
「はぁ。まあ日暮先生は置いといて。ジンさん、この島に何しに来たんです?なにか用があってきたんですよね?」
「ああ。それは後で話そう。まずは目先のことに集中だ」
「ええ」
視線を床に向け、意識を変える。
《―――ウォータイム開始!》
システムアナウンスとともにセカンドワールドが広がる。
開始からそう時間が立たないうちに。
『ゼロ、第一小隊及び第三小隊、第五小隊降下到達ポイントに到達。これより作戦を開始します!』
「了解。水中には機雷が、地上には砲撃機が設置されてる。十分気をつけて行け」
『了解!オトヒメ!』
『ええ!第三小隊行きますわよ!』
『『了解!!』』
『スズネ、俺たちも行くぞ!』
『了解や!』
グランデの港への侵入経路は三箇所ある。
第一小隊はポイントαから海に潜りグランデの港の南東へと上陸する。第三小隊は北西のポイントβに降下。対空砲や陸上武装を排除しつつそこからフラッグを狙いに。
そして第五小隊は北部ポイントγから敵を引きつけながら各機撃破し二小隊と合流。
「さぁ、ゼロから始めて零で終わらせよう!!グランデの港、制圧任務、作戦開始!!」
『『『『『了解!!!』』』』』
床に映る映像を見つつ作戦を幾重にも練る。
『こちら第一小隊。ポイントαに到達!行動を始める』
「了解。スズネ、今回は独断先行するなよ?」
『わ、分かってるって!』
『ゼロ、こちら第五小隊のフラン。アラビスタのLBXの殲滅を始めるわ』
「了解。誘導を頼む。第三小隊!」
『こちら第三小隊。準備完了ですわ』
「よし。警備が手薄になり次第残存勢力を殲滅、フラッグを奪取せよ!」
『分かりましたわ!スイ!シェリー!』
『はい!』
『うん!』
僕の指示通り的確に進む。
「やはり、第五小隊の二人の方に兵を集めてるな」
「ええ。フランとルナは脅威ですからね」
フランの操作するLBX、[アステリローサ]。ルナの操作するLBX、[ファンタズマゴリア]。どちらもストライダーフレームでありながらナイトフレームのバランスがあり、ブロウラーフレームの安定性がある。
ちなみにどちらもワンオフ機だ。
「相変わらず凄まじいな二人は」
「ええ。故に二人に兵を集中させる。生半可な戦力では太刀打ちできないから」
一度も必殺ファンクションを使わずに、次々とアラビスタのLBXジラントやアラビスタの指揮官機である[ヴェルネル]をブレイクオーバーさせていく。幸いにもアラビスタにロストされたLBXはない。
『こちら第一小隊。第三小隊と合流した。フラッグ占領に向かう』
「了解。油断するなよ」
どうやらフランとルナの方に戦力を集中させ過ぎたようだ。フラッグ周辺の敵残存LBXが少ない。
最初この港には三十近いLBXが配置されていたが、今拠点防衛に振られてる戦力はその半分以下、六機だ。そして、フランとルナはその半分を既にブレイクオーバーしていた。
「ふむ。ここまでは順調だな」
「ええ。このまま拠点占領まで持てばいいですけど」
しかしその願いは叶わず。
「!アラビスタの増援か」
警報音によるブザーとともにモニターの戦況マップに新たな敵を示す赤いフォトンが幾つか現れる。
「十五・・・・・・いや、二十四か」
「八小隊か。・・・・・・第一、第三小隊聞こえる?」
『こちら第一小隊。ゼロどうかしました?』
「アラビスタから増援が来た。数は二十四」
『了解!』
「第三小隊はフラッグを占領しつつ敵を迎撃せよ!第五小隊は殲滅を完了しだい援護に回れ!」
『了解したわ。残り四機。ルナは援護に、私もすぐ向かうわ』
『うん。わかったよ!』
『ゼロ、増援の中に蒼いヴェルネルがいる!』
「なに!?」
映像を確認すると、確かに増援の中に他のヴェルネルとは違って一機だけ蒼いヴェルネルの姿があった。
「ヴェルネル・スカイ・・・・・・。まさかここに来るとはね」
「厄介だな。ロシウスのガウンタ・イゼルファー・・・・・・。バイオレットデビル程ではないが、ヴェルネル・スカイも他のヴェルネルと性能は違う。カゲトラたちに対応出来るか・・・・・・」
日暮先生も不安げに言う。
ジンさんは最初から沈黙を貫いている。恐らくみんなのLBX操作を視ているのだろう。
「ルナ、聞こえる?」
『ゼロどうしたの?』
「ルナ、増援にヴェルネル・スカイがいる。ヴェルネル・スカイを任せてもいい?」
『もちろん、大丈夫だよ!』
「頼む。フラン」
『ええ。こっちも終わったわ。すぐに向かう』
「よし。これで何とかなる」
ルナとフランと通信し戦況を見守る。
『くっ!相変わらずのアラビスタお得意の物量作戦だな!』
『ええ。ですが、私たちにはゼロがついています。なら、負けるはずありませんわ!そうでしょう!?』
『そうやな!オトヒメの言う通りや!ハーネスのチカラ見したるわ!』
カゲトラたちの会話に僕は照れ恥ずかしくなりつつあるが冷静に戦況を把握する。
『行くぞ!!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!大真空斬!!】』
『おぉりゃあぁぁ!!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!地獄乱舞!!】
カゲトラとスズネの必殺ファンクションにより幾つかのジラントとヴェルネルをブレイクオーバーする。
しかし。
「っ!更に増援!?」
またしてもアラビスタからの増援が来た。数は十五。何としても占領を防ごうとする思惑が見える。
『させないよ!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ナパームボム!!】』
『僕らは、負けない!!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ブリッツフレイム!!】』
『ええ!負けませんわ!!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!アクアスプラッシュ!!】』
次々とアラビスタのLBXをブレイクオーバーしていくみんな。その覇気は凄まじく、絶対に負けないという強い意志が見える。
そしてそこに。
『みんな、待たせたわ。あとは任せなさい!―――行くわよ、必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ミステイックソーン!!】』
フランの操るアステリローサから必殺ファンクションが放たれる。手に持つ片手剣を地面に突き刺し、そこから茨のような棘が剣山のように発生しアラビスタのLBXをブレイクオーバーさせていく。
「よし!フラッグを制圧しろ!」
『『『『『『了解!!!』』』』』』
フラッグ制圧に向けて駆けるクラスメイトのLBX。
映像を別のものに変えると、そこにはヴェルネル・スカイとルナの操るLBX、ファンタズマゴリアがぶつかっていた。
ヴェルネル・スカイの武装はレイピア。対してファンタズマゴリアはナギナタ系の槍だ。
『やああぁぁぁっ!!』
一方的というより接戦している。
武器のリーチを巧みに使いヴェルネル・スカイを攻めていくルナ。対するヴェルネル・スカイも舞うようにレイピアを振るって攻撃する。
何合も結び、
『いまだよ!必殺ファンクション!!【アタックファンクション!!ルーナクレスケンス!!】』
三日月の斬撃がヴェルネル・スカイを捕らえる。
それと同時に。
《拠点制圧完了。グランデの港の所有権はアラビスタ同盟よりハーネスに移ります。戦闘を直ちに終了し、アラビスタ同盟の登録機体はグランデの港の敷地内より退去してください》
拠点制圧完了のシステムアナウンスが流れ、本日のウォータイムが終了した。
「ふぅ」
インカムを外し手すりに両手を付けて息を吐く。さすがに今回の任務はフランとルナがいなければ達成できなかっただろう。予想はある程度立てていた。しかし、ここまでとは。
「各員に通達。コントロールポッドから出しだい、直ちにブリーフィングルームに集合せよ」
日暮先生が珍しくインカムを着けてみんなにそう指示を出した。
出し終えるなりすぐにインカムを外すのは日暮先生らしいが。
「レイ」
「ジンさん?」
「僕のことはドルドキンスと、ウォータイムの作戦中は呼んでくれ」
「?え、何故?」
「僕がこの島にいることと、一年三組の副担をしていることはあまり周囲に広めたくない」
「分かりました。僕も作戦行動中はゼロのコードネームでお願いします」
「ああ」
そんな会話をしていると、ブリーフィングルームの扉が開きそこから一年三組の全員が入ってきた。
入ってきて僕の隣に立つジンさんを見て全員目を見張る。
「まずはグランデの港制圧、ご苦労でした。第一、第三、第五小隊のお陰で無事占有できた。第二小隊と第四小隊もご苦労さま」
未だに動かずフリーズしているところに話す。
「さて、ウォータイム終了後の今みんなに集まってもらったのは他でもない。ウチのクラスの副担任を紹介する」
「海道ジンだ。これから臨時講師として君たち一年三組の副担任を受け持つことになった」
ジンさんがそう言うと。
「か、海道ジン!?あのミゼル事変の英雄の一人!?」
カゲトラが驚いたように言う。
ジンさんは三年前、世界の歴史にも残ってる世界存亡を掛けた事件、『ミゼル事変』を解決に導いた英雄の一人として有名だ。それ以前にもジンさんは、第三回アルテミスのファイナリストとしても有名だし【秒殺の皇帝】の異名を持つLBXプレイヤーなのだ。
「それと、これからハーネスの司令はジンさんに指揮してもらう」
『『『『『『えっ!?』』』』』』
僕の言葉に全員目を丸くする。
「え、レイが指揮を執るんじゃなく、海道先生が指揮を執るちゅうこと?」
「その認識であってるよスズネ」
「いやいやいや!まてまてレイ!俺様たちはこれまでお前の指揮があったから戦えたんだぞ!?そのお前がいきなり指揮を執るのを降りるってのは納得いかねぇぞ!?」
「そうですわ!ゼロの―――レイの作戦指揮があったからこそハーネスはこれまで誰もロストすることなく来れたのです!幾ら海道ジンさんが【秒殺の皇帝】の異名を持つ方だとしても、私たちは納得できませんわ!」
「そうだね。さすがにいきなり過ぎると思うよレイ?」
次々とくる声にさすがの僕もたじろぐ。
「いや、ジンさんが指揮を執るけど、僕が執らないわけじゃないからね?」
『『『『『『はい?』』』』』』
「レイには副司令として、海道先生の補佐をしてもらう。もちろん、出撃もしてもらう」
みんなの疑問に日暮先生が答える。
「諸君のレイへの信頼は確かに確認した。その信頼を来たばかりの僕が言うのもなんだが、少しでもいい。僕にも向けてもらえないだろうか」
『『『『『『・・・・・・・・・・』』』』』』
ジンさんの懇願にカゲトラたちはそれぞれ顔を見合わせる。
みんな不安げな感じだ。
「みんなの不安はもっともだ。けど、この中で一番僕はジンさんのことを知っている。だからあえて言う。―――ジンさんは期待を裏切らない」
『『『『『『・・・・・・っ!!』』』』』』
「ジンさんなら、僕よりもっとみんなを上手く指揮することが出来る!だからみんなに実感して欲しい、ジンさんの実力を。そしてジンさんがいれば、僕たちハーネスは何処にも負けないと、ね!」
「ハーネスが何処にも負けない・・・・・・」
「俺たちが・・・・・・」
「弱小国の私たちが・・・・・・」
「フッ。レイ、君がそこまで言うなら私は依存はない」
「シスイ・・・・・・お前・・・・・・」
「カゲトラ、ギンジ、オトヒメ。君たちは我々ハーネス最強のプレイヤーを信じられないのか?」
「「「・・・・・・」」」
「私は信じよう。レイがそこまでいう海道先生の実力を」
シスイは僕の目を真っ直ぐ視て告げた。
「みんなにジンさんの実力を実感してもらうために、明日のウォータイム、早速ジンさんに指揮を執ってもらう」
『『『『『『っ!!!?』』』』』』
「場所は―――ニーズシティ」
「レーくん!ニーズシティって『ラボ』がある!?」
「ああ。明日、僕らハーネスは全小隊でニーズシティを落とす。これは日暮先生も了承している」
「日暮先生!?」
「ああ。許可してる。実際、海道先生の実力を感じてもらった方が早いからな」
「故に全員に告げる!明日のニーズシティ攻略任務に備え各自LBXのメンテナンスを怠るな!そして、僕は予言しよう。明日、僕らハーネスは新しく進化する、と」
大きな声で宣言する。
「それと、ジンさんのことは外部に漏らさないように。ジンさんのコードネームはドルドキンスだ」
「分かった。レイ、お前を信じよう。みんなもそれでいいな!」
「ああ」
「ええ。異論ありませんわ」
「感謝する」
「以上で本日のブリーフィングは終了とする!明日は気を引き締めて行くように!」
みんなが次々に退出する中、僕ら第五小隊は残り、誰もいなくなるのを待った。
誰もいなくなるのを待ってからジンさんが話した。
「さて、久しぶりだなメア、ルナ。・・・・・・まさかここにフラン、君がいるとは知らなかった」
「お久しぶりですジンさん!」
「はい。久しぶりですねジンさん」
「久しぶりね海道ジン。あの時以来ね」
ジンさんがフランに出会うのはあの時の事件以来だ。
まさかフランがこの世界にいるとは思わなかったんだろう。まぁ、それはあの二つの世界が交じりあった時に邂逅した人じゃないと分からないけどね。
見てわかるとおり僕ら第五小隊の全員はジンさんと顔見知りだ。その件についてはまた今度話すとして。
「ジンさんここに来た目的、教えてください」
僕はジンさんにここにいる理由を聞いた。
「それは君たちが一番知っているはずだ」
「!それはつまり」
「ああ。僕の目的はこの神威島で失踪した恩師である美都博士の搜索だ」
ジンさんの目的に僕らは衝撃を受けた。
何せ僕らは―――から依頼を受けこの神威島にやって来たのだから。
その依頼とは―――
この神威島とセカンドワールドの実態調査