ダンボール戦機 英雄の弟   作:ソーナ

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回想 イノベーター編 ⅩⅥ 託された者達

 

~レイside〜

 

「―――これが、悠介さんの最後の言葉です」

 

タイニーオービット社の社長室で僕は拓也さん、結城さん、霧野さん、紳羅さんに悠介さんの最後の言葉を伝えていた。

 

「兄さん・・・・・・!」

 

「社長・・・・・・」

 

「悠介・・・・・・」

 

それぞれ思うことがあるのだろう。俯いたり、上を向いたりしていた。

 

「紳羅さん、霧島はどうなってますか?」

 

拓也さんが紳羅さんに聞く。

 

「今は我々で拘束させてもらってる。事情聴取もしてるが、どうやら霧島平治を焚き付けたのは、神谷重工会長の神谷らしい」

 

「神谷か・・・・・・」

 

忌々しそうに呟く拓也さん。

 

「悪いが、霧島平治は被害者とはいえタイニーオービットへの不法侵入に加え結城君への傷害と窃盗罪、銃刀法違反がある。なかったことには出来ないぞ。それに、間接的とはいえ悠介を殺したのは彼だ」

 

「分かっています」

 

「我々公安から警視庁の捜一に引き渡すことや、このまま送検することは簡単だ。だが、君は大きな事件にはしたくないのだろう?」

 

「ええ」

 

「ではどうする?俺は彼を許せない。幾ら悠介からの頼みとはいえな。それは君や結城くん。紗枝さんもだろう?レイ君もだ」

 

紳羅さんの言う通りだ。

言葉では許せても、内心では許せない気持ちでいっぱいだ。

例え悠介さんの頼みだとしても。

でも―――

 

「ここで彼を憎んでも、兄さんは帰ってこない。この憎しみは、霧島にではなくイノベーターに向けるべきだ。俺はそう思う」

 

「・・・・・・・・・・」

 

拓也さんはキッとした眼差しで紳羅さんを見返す。

しばしの間の二人が眼を見合わせ―――

 

「いいだろう。我々が内々で片付けておく。そうすれば公にはなるまい。悠介の死は不幸な事故として処理されるだろう」

 

「感謝する」

 

「霧島はどうする?」

 

「彼には俺たちに協力してもらいます」

 

「そうか。数日中に彼を釈放出来るようにしておこう」

 

「紳羅さん、そんなことして大丈夫なんですか?」

 

幾ら紳羅さんが警察庁公安部の人だからといって、そんなことを出来るとは思えないのだけど。

 

「問題ない。このことは上にまだ報告してないうえに知っているのはアイツらだけだ。それに、違法捜査は公安のお得意だからな」

 

「いや、違法捜査がお得意って・・・・・・・」

 

ツッコミに困る言葉に僕はたまらず変な顔を浮かべる。

変な顔を浮かべる僕に紳羅さんは不敵な笑みを浮かべて返す。

 

「結城さん、エターナルサイクラーを新たに作ることは・・・・・・」

 

「少々難しい」

 

「何故だ、結城?」

 

僕らの視線は結城さんに向けられる。

 

「その・・・・・・エターナルサイクラーの設計図が消えているんです」

 

「「「「っ!!!?」」」」

 

結城さんから告げられた言葉に僕らは目を見開く。

 

「どういうことだ?何故消えている」

 

「わかりません。誰かがデータ自体を消去(デリート)したとしか」

 

「まさか、霧島さんが・・・・・・」

 

「戻ったらいくつか霧島に聞くことがありそうだな・・・・・・」

 

「いや、可能性としては内通者が消した、だろうな」

 

「内通者ですか・・・・・・」

 

「拓也君、内通者の可能性のある候補はいるか?」

 

「・・・・・・おそらく、役員の誰かと」

 

「役員か・・・・・・」

 

役員ということは結構な上役だ。

ということは結構前からイノベーターに情報が流れていたことになる。

 

「拓也君、万が一の時は俺を頼れ」

 

「紳羅さん・・・・・・」

 

「この会社は君たちのお父上が創業した会社だ。そして、悠介が守った会社だ。俺も悠介が守ったものは守りたい。イノベーターなんぞの雑兵共に渡すか。これでも俺は公安の人間だからな」

 

不敵な笑みを浮かべながら告げる紳羅さん。

その言葉にはとても深い重みが詰まっていた。

 

「すまんが俺はそろそろ戻る。霧島の釈放は後日拓也君に連絡する」

 

「分かりました」

 

紳羅さんはそう言うと端末を取り出し、どこかに連絡しながら社長室を去った。話から多分同じ公安の部下だと思う。

紳羅さんが退室したあと。

 

「レイ、バンの様子は」

 

拓也さんの問いに僕は首を横に振って返す。

 

「そうか。レイは、その・・・・・・大丈夫なのか」

 

「ええ。もう、吹っ切れたので」

 

そう。こんな所で挫けてなんかいられない。

悠介さんの最後の言葉を直接聞いたから。

だから―――

 

「それに、覚悟を決めてきたので」

 

この新しい服に身を包んだ僕の瞳には硬い。揺るぎない決心の灯火が輝いていた。

 

「強いですねレイ君は」

 

「ええ。まだ子供なのに・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

結城さん、霧野さんが言い、拓也さんは無言を貫く。

 

「そう言えば、八神さんたちはどこです?」

 

姿が見えない4人を訊ねる。

 

「八神たちは今シーカー本部に詰めてエターナルサイクラーの行方を探してもらってる」

 

「ってことは、八神さんたちをシーカーの一員にすることにしたんですね」

 

「ああ」

 

まあ、おおむね予想通りだ。

拓也さんにとって、八神さんのイノベーターの情報は喉から手が出るほど欲しいものだろう。

八神さんはイノベーターにある4つの部隊の一つ、黒の部隊のトップだった人物だ。人望もアリ、人脈や情報もそれなりにあるはずだ。

これからのイノベーターの動きをより予測できるようになるだろう。

 

「奪われたエターナルサイクラーはオタクロス以下、ハッカー軍団にも協力をしてもらってます」

 

「わかった。檜山も動いているからな。あとは・・・・・・俺だけだ・・・・・・」

 

拓也さんはタイニーオービット社創立者の家系だ。

兄である悠介さんが亡くなった今、社長は拓也さんになるはずだ。

まだ拓也さんの中で、どうしたらいいのか分からないのだろう。

僕がそう思う中、霧野さんはジッと拓也さんを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――数日後

 

 

「―――なかなか大胆なことするねぇ」

 

空間ウインドウに映る、タイニーオービット社の新社長就任挨拶のリアルタイム中継を観て呟く。

 

「まさか役員全員を解雇するとはね」

 

ウインドウに映る新社長の拓也さんは、鋭い眼差しで役員の座る席を睨んでいた。その表情は、『これ以上好きにはさせん』と告げていた。

役員も社員も困惑の声を上げる中、役員の一人が忌々しげに拓也さんを見ていたのがチラッと映った。

僕の言葉に共感するように―――

 

「中々やるデヨのぉ~」

 

同じく空間ウインドウを観ていたオタクロスが言う。

僕が今いるのはタイニーオービット社ではなく、アキハバラにあるアキハバラタワー内のオタクロスの部屋だ。

 

「ああ。多分役員全員じゃないんだろうけど、大半がイノベーターに買収されてたんだろうね」

 

そうじゃなきゃ、拓也さんが役員全員解雇をするとは思えない。

 

「らしいのぉ。雪斗もすでに動き出しておるようじゃ」

 

「紳羅さんが?さすが公安。仕事が早い」

 

感心したように呟く。

 

「それで、エターナルサイクラーの行方とイノベーターの次の動き・・・・・・何とかなりそう?」

 

僕が今ここにいるのはオタクロスに先のタイニーオービット社での戦闘の事後報告とエターナルサイクラーのことを聞くためだ。

 

「むむぅ・・・・・・さすがにのぉ・・・・・・」

 

「持ち去ったヤツを防犯カメラから追跡出来ない?」

 

「大凡の位置であれば大丈夫だろうが・・・・・・」

 

オタクロスはすぐさま監視カメラをハッキングし、エターナルサイクラーを持ち去った時間のログを観る。

 

「・・・・・・ダメじゃ。ここからそやつの姿がばったり途絶えているデヨ」

 

「場所は?」

 

「トキオシティ、シンジュクエリアじゃ」

 

「シンジュクか・・・・・・」

 

おそらくイノベーター関連の施設に運ばれたと思うけど。

 

「っ!オタクロス、その周辺でイノベーター関連の施設ある?」

 

「ちょっと待つでよ」

 

オタクロスがすぐに検索する。

少しして。

 

「レイ、少々ここはヤバイデヨ」

 

「?」

 

オタクロスが表示した場所を視る。

そこは―――

 

「マジ?」

 

「周辺で関連施設はここだけデヨ」

 

「よりにもよってここに運ばれた?」

 

その場所は、イノベーターに属してる企業。

神谷重工の本社工場。通称【5-RAI-AS《ゴライアス》】

敵の真っ只も真っ只中だ。

 

「・・・・・・どないしよオタクロス」

 

「どないしよ言うてものぉ・・・・・・」

 

相手は重機メーカの本社工場だ。セキュリティもさながら防衛装置も他より高い。

侵入もハッキングも簡単にも行かない。

 

「それにここにエターナルサイクラーがあるかどうかもわからないデヨ?」

 

「けど、周辺で関連施設はここだけなんでしょ?エターナルサイクラーを強奪して、悠長に歩いているわけないし」

 

どうやっても手詰まりだ。

さてどうしたものか・・・・・・。

 

「レイ、1日時間をくれんか?」

 

「オタクロス?」

 

「宇崎氏が命を懸けたものじゃ。ワシもせめてもの助けをせんと」

 

オタクロスのそう言う瞳には炎が灯っていた。

 

「わかった。頼む」

 

「任せるデヨ」

 

オタクロスに任せ、僕はオタクロスの部屋から出る。

階下のホールにエレベーターで降りると、そこにはユジンさんたちオタレンジャーとヤマネコたちハッカー軍団がいた。

珍しい組み合わせに驚きながら。

 

「よぉ《恐皇帝(シェキナー)》」

 

「《恐皇帝》って、僕の事?」

 

「ああ。あのオタクロスをあんな公衆の面前で叱るやつなんざ見たことねぇしな」

 

「あれは驚きましたーネ」

 

「とっても怖かったもん」

 

ヤマネコに続いて二人も肩を竦めたり震えながら言う。

えぇー、と思いながらユジンさんの方を見る。

 

「レイくん、その・・・・・・」

 

「大丈夫。ありがとうユジンさん」

 

ユジンさんの言葉を濁す態度に察知しユジンさんに言う。

 

「オタレンジャーとハッカー軍団にお願いがある」

 

「え?」

 

「ぁ?」

 

二つのチームのリーダー格であるユジンさんとヤマネコが声を出す。

 

「イノベーターとの決戦の際、またチカラを貸してほしい」

 

ユジンさんたちに頭を下げて懇願する。

この人たちの実力は高い。イノベーターとの決戦で必要になるはずだ。

僕の懇願に・・・・・・

 

「もちろんです!関わったからには僕らも最後まで付き合います!それに、悪党は見逃せません!!アキハバラの街を守る正義の味方!それが我ら!」

 

「「「「オタレンジャー!!!」」」」

 

ユジンさんたちは即答で了承してくれた。

あとはハッカー軍団だが。

 

「本来なら俺らはキングの命令しか受けねぇんだが・・・・・・」

 

目付きを鋭くして僕に言う。

それを無言で返す。

少しの間を空けヤマネコはため息を吐き、何時もの笑みを浮かべ。

 

「キングの弟である《恐皇帝》。テメェの頼みだ」

 

「それじゃあ・・・!」

 

「イイぜ。オレっちたち、ハッカー軍団も協力してやる」

 

ヤマネコの言葉に賛同するように、後ろのメンバーも頷く。

 

「ありがとう。感謝する!」

 

「その代わり、絶てぇイノベーターの野郎どもの企みを阻止しろ」

 

「ああ。そのつもりだ」

 

手を差し出してきたヤマネコの手を掴み、瞳には不滅の炎を燃え上がらせて告げる。

絶対に、イノベーターの野望は阻止してみせる。この世界をアイツらに渡してたまるか!

 

 

 

僕がアキハバラでそんなやり取りをしてる中、タイニーオービット社では―――

 

~レイside out〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~メアside~

 

 

学校が終わった私とキヨカちゃんは、そのままタイニーオービット社に来ていた。

社内にあるシーカー本部には、オペレーターの他お姉ちゃんやカズ兄、郷田さんに郷田四天王の三人、三影さんに大口寺さん、とシーカーのメンバーが勢ぞろいしていた。

ただ二人。レーくんと、塞ぎ込んでいるバン兄を除いて。

少しして、別の扉から拓也さんと里奈さんがやってきた。

 

「みんな、揃っているな」

 

拓也さんはそのまま室内を見渡し。

 

「バンはまだダメか」

 

拓也さんの問いに、私はお姉ちゃんとカズ兄に視線を向ける。

お姉ちゃんとカズ兄は何も言わず、互いの顔を見合った。

 

「時間が必要だと思うわ」

 

私らの反応に里奈さんが心配そうに答える。

 

「あなたたちは、バン君を見守っていてあげて」

 

里奈さんの言葉にお姉ちゃんとカズ兄は「はい」と言って頷き返した。

 

「・・・・・・レイは、来てないのか?」

 

「はい 。最近、朝早くに家を出て、遅い時間に帰ってくるみたいです」

 

「そうか・・・・・・」

 

「たぶん、レイ君はレイ君で動いていると思うわ」

 

「ああ、先日はここに来てたしな」

 

拓也さんの発言に私たちは目を見開いた。

私やキヨカちゃんには全く連絡を寄越さないのに。

レーくんを見つけたら、お説教しきゃ。

 

「まあ、レイにはすでに今日の内容は伝えてあるし問題ないか。今日みんなに集まって貰ったのは、彼らを正式に迎え入れた事を伝えるためだ」

 

そう言った拓也さんの後ろの扉が再び開き、そこから黒スーツに身を包んだ男女四人が現れた。

 

「八神英二だ。改めて、よろしく頼む」

 

八神さんの挨拶に、お姉ちゃんや郷田さんたちは未だに警戒心を現してる。

そんなに警戒する必要ないのに。

だって、あのレーくんが八神さんたちは敵じゃなく、味方だって言ってるんだもん。

まあ、お姉ちゃんたちの気持ちも分からなくは無いけど・・・・・・。

 

「我々は、【エクリプス】でキミたちをサポートする」

 

「【エクリプス】?」

 

「これだ」

 

オペレーターが操作し、目の前の前のホロスクリーンに一機の巨大な戦闘機が映った。

 

「おお!すっげぇ!」

 

大口寺さんが興奮したように言うが無理もない。

あんな巨大な戦闘機なんか見たことない。

 

「ステルス司令機【エクリプス】」

 

司令機ということは、戦闘機ではないのだろう。

 

「私たちは、イノベーター研究所からアレに乗って脱出したの」

 

里奈さんのまさかの発言にギョッ!とする。

まさか大胆に乗って脱出するんんて・・・・・・

 

「操縦するのは、細井だ」

 

「どーもー!こう見えて私、戦闘機のエースパイロットだったんですよねぇ!」

 

「ジブンは、超スーパーメカニックの矢壁っス!」

 

「真野晶子よ。人呼んで、華麗なる天才ハッカー!」

 

・・・・・・・・うん、どこから突っ込んでいいのか解らないわ。

三人の自己紹介を聞いた私はそう思ってしまった。

 

「自分で呼んでるだけじゃねぇの」

 

「『天才』って嘘くさい」

 

「『天才』じゃなくて『凡才』じゃ」

 

矢澤さんと三影さん、キヨカちゃんの口撃!

真野さんにクリティカルヒットした!

―――が見えた気がした。

 

「そこっ!言いたい放題のお子ちゃまだよ!!レイはアタシの実力認めてくれたよ!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

真野さんの発言に驚く私ら。

レーくんが認めるということは、真野さんは『天才』かどうかは分からないけど、凄腕のハッカーなのは間違いない。

 

「拓也さん、エターナルサイクラーのデータが無くちゃ、どうしようもないんじゃ?」

 

「データは今も復元作業中だ。時間は掛かる。だが、必ず蘇らせて地殻動発電を止めてみせる」

 

「それじゃあ、俺たちまだやれるんだ!」

 

エターナルサイクラーを蘇らせることが出来れば、まだ私たちに勝機はある。負けたわけじゃない!

 

「おもしれぇ。こんどこそヤツらをギャフンと言わせてやる」

 

「ねぇアンタ達。イノベーターだったならなにか知ってんじゃないの?」

 

「海道が、本当は何を目論んでいるかは分からない。地殻動発電の危険性を利用して、エターナルサイクラーを世界中に売りつけるだけではないだろう。だがこれだけは言える。海道は、目的のためなら手段を選ばない。たとえ、多くの命が失われようと、あの男の心が痛むことは無い!」

 

「彼の言う通りだ。俺の親父も海道に立ち向かい、そして・・・・・・殺されたんだ」

 

「「「「「「っ!!?」」」」」」

 

私たちが衝撃の事実に驚いてる中、拓也さんは自分と海道の因縁について語った。

 

 

「初めは復讐の思いだった。だが、調べていくうちに、恐ろしい企みが次々と明らかになって行ったんだ。このままヤツを放っておけば、さらに多くの被害者が出てしまうんだ!」

 

「君や石森くん。そして私も雪斗も、海道によって大切なものを失った。こうして集まったのは必然だ」

 

八神さんの言葉に頷く拓也さん。

拓也さんはそのまま端末を取り出し―――。

 

「霧島さんをここに」

 

と言った。

 

「えっ!?霧島って・・・・・・!!」

 

私たちの向かいにある扉が開き、そこから霧野さんと、確か公安の刑事の紳羅さん、そして悠介さんが亡くなった直接の原因を作った、霧島さんが入ってきた。

 

「知っているとは思うが、霧島さんは強化ダンボールの発明者だ。今後は我々に協力してもらうつもりだ」

 

「なんだって!?」

 

「コイツは悠介さんを!!」

 

拓也さんの発言に、カズ兄と郷田さんが声を荒らげる。

私も声には出てないが、同じ感じだ。

 

「・・・・・・宇崎さん。やっぱり私は・・・・・・」

 

「霧島さん、俺は貴方を恨んでいない。貴方も、イノベーターに心の隙を突かれ、憎しみに心を奪われた」

 

「っ!」

 

「憎しみは人を変えてしまう。だが、俺はシーカーを憎しみで行動してほしくない。兄さんとレイがそれを教えてくれたんだ!」

 

「レーくんが?」

 

「ああ」

 

あの時、レーくんは悠介さんの傍にいた。

悠介さんからなにか聞いていてもおかしくないかも。

 

「霧島さん。レイ・・・いや、兄さんと山野レイからの伝言です」

 

「っ!」

 

「兄さんは貴方を責めるなと。貴方の行動は全て私に原因があると言っていました」

 

「そんな・・・・・・っ!」

 

「レイからは、『貴方のしたことは、たとえイノベーターに騙されていたとはいえ、絶対に許すことは出来ない。でも、悠介さんが貴方を許すと言っている以上、僕は貴方を責めたり恨んだり、憎んだりしない。その代わり、悠介さんが託した未来を守るため貴方の技術と知識をこれから此処で役立てて欲しい。それが、僕から貴方への罰です』だそうです」

 

「っ・・・・・・!!!」

 

悠介さんを慕っていたレーくんの気持ちが、伝言を言った拓也さんから伝わった。

そう思っている中、お姉ちゃんは霧島さんに近づいて行った。

 

「お姉ちゃん?」

 

お姉ちゃんの行動に首を傾げる。

お姉ちゃんはそのまま霧島さんの近くに行き。

 

「あの」

 

「?」

 

「色々ありすぎて、まだ自分の中で整理出来てないけど・・・・・・でも、これだけは言わせてください。強化ダンボールを造ってくれて、ありがとうございました!」

 

「え・・・・・・」

 

「ぁぁ」

 

「お姉ちゃん・・・・・・」

 

お姉ちゃんの行動と、言った意味が解り私たちはハッとした。

 

「そうだよな。強化ダンボールが出来たから、LBXバトルが安心して出来るようになったんだもんな」

 

「ありがとう」

 

「絶対に、LBXを戦争の道具にしちゃいけないんだよ」

 

「うん。LBXは戦争の道具じゃない」

 

「私たちの私たちの、大切な宝物だよね」

 

霧島さんが強化ダンボールを生み出してくれたから、今私たちの手元にLBXがある。

これは紛れもない事実。

 

「私、LBXを強化ダンボールの中に戻してあげたいんです。LBXが一番輝ける場所に」

 

「うっぅぅ~~!!」

 

お姉ちゃんの言葉に、霧島さんはその場に泣き崩れた。

そして今の霧島さんを止める者は誰もいなかった。

 

 

 

 

数時間後

 

 

「―――って事があったよ」

 

『そう』

 

家に帰った私はレーくんに連絡を取り、さっきまであったことを話した。

帰る最中、まさかイノベーターに後をつけられているとは思わず八神さんのおかげで助かった。

キヨカちゃんは郷田さんが送って行ったらしい。キヨカちゃんが郷田さんに何か話していたけど、後でそれは聞くとして。

 

「レーくん、今どこに居るの?」

 

ずっと連絡してこない幼馴染み兼親友に訊ねる。

 

『今丁度家に帰ったところだよ』

 

「ふぅん。私やキヨカちゃんに連絡くれなかった理由は?」

 

少し声に怒気が混じってるが仕方ない。

だってレーくんが連絡してこないのが悪いんだもん。

 

『え、えっと、その・・・・・』

 

「うんうん」

 

『なんと言うか、その・・・・・・忘れてたと言うか、忙しかったと言うか・・・・・・その・・・・・・』

 

もどかしそうに言うレーくん。

 

「レーくん」

 

『は、はい!』

 

「イノベーターとの決着がついたら、私たちに付き合ってよ!」

 

『へ?付き合う?買い物とか?』

 

「っ〜〜〜!!!」

 

相変わらずのレイくんの唐変木朴念仁に言葉にならないほどの呆れが出る。まぁ、いつもの事だけどね!!

 

『まぁ、いいよ?』

 

「約束だからね?約束破ったら・・・・・・」

 

『ゴクッ。や、破ったら?』

 

「一日、私たちの着せ替え人形(おもちゃ)にするからね!」

 

『りょ、了解』

 

それから私はレーくんと時間の許すまま電話越しで話した。

 

~メアside out~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~レイside~

 

 

自宅へ帰り、自室に戻るなりメアから少し怒り小言電話を貰ったが、まぁ何も話さなかった僕が悪いし・・・・・・。

時間の許すままメアと話し、終わったあとお風呂や夕食を済ませ自室に戻る。

兄さんの様子を母さんに聞いたが、まだ無理らしい。

メアから聞いた事を紳羅さんにメールで伝える。

すぐさま返信が来て、身辺警護を影ながらしてくれることになった。

さすがに動きが速い。

それから[カオス]のメンテナンス等をし眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        そして、事態は進んで行く。

    世界の命運を懸けた僕らとイノベーターの最終決戦へと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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